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C 9910 : 2011 (IEC 62430 : 2009)
注記1 プロセスへのインプットは,一般に,他のプロセスのアウトプットになる。
注記2 組織におけるプロセスは,一般に,価値を付加するために,管理された状況下で計画及び実
施する(JIS Q 9000:2006の3.4.1修正)。
3.14
製品(product)
全ての製品又はサービス
注記 これには相互に連結及び/又は相互に関連した製品又はサービスが含まれる(JIS Q 14040:2010
の3.9修正)。
3.15
製品カテゴリ(product category)
環境側面が合理的に類似していると予測できる,技術的又は機能的に類似した製品の範囲。
3.16
利害関係者(stakeholder)
組織又は活動に利害がある個人,グループ又は組織。
注記 通常,利害関係者は,組織又は活動に影響を与えるか又は影響を受ける可能性がある(JIS Q
14050:2003の1.5修正)。
4 環境配慮設計の基本的枠組み
注記 箇条4に関連する詳細情報は,附属書Aに記載されている。
4.1 一般
箇条4では,組織によって実施される環境配慮設計の基本的枠組みを規定する。
箇条5に,実際に,運用ベースで実施される環境配慮設計のプロセスを規定する。
4.2 ライフサイクル思考(life cycle thinking : LCT)
環境配慮設計は,ライフサイクル思考の概念に基づいており,それは,製品の全てのライフサイクル段
階を通じて,各段階の環境側面を考慮し,著しい影響をもつと予測される側面について,設計及び開発プ
ロセスの中で検討されなければならない。
ライフサイクル思考の主な要素は,次のとおりである。
a) 製品のライフサイクル全体を考慮し,環境に与える有害な影響を最小限にする目標を立てる。
b) 製品の著しい環境側面を特定し,定性的に評価し,可能な場合は定量化する。
c) 環境側面とライフサイクル段階双方とのトレードオフを検討する。
上記は,設計及び開発プロセスのできるだけ早い段階で実施する。その段階に,製品のライフサイクル
全体を通じた環境性能に影響を与える仕様変更及び設計改善を行うためのほとんどの機会が存在する。
注記1 ライフサイクル思考の第一段階として,意図されている製品の機能を判断するとよい。その
後の設計及び開発段階で,活用されたビジネスモデルの影響を認識するとよい。
注記2 組織の管理下にある製品のライフサイクル段階には,通常,原材料の加工,製造,流通,再
使用,保守,及び使用済段階が含まれる。
注記3 製品がシステムの一部の場合,一つ又は複数のライフサイクル段階の中で,一つの製品の環
境パフォーマンスをそのシステム内の他の製品によって変更されることがある。
注記4 環境配慮設計は,サプライチェーン上の全ての利害関係者の協力及び貢献を求める。
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4.3 法的及び利害関係者の要求事項
環境配慮設計は,法的及び利害関係者の要求事項を踏まえることで実効性がある。そのような要求事項
を,関連する変更内容が環境配慮設計を実施する組織が理解するように,定期的に見直されなければなら
ない。
法的及び利害関係者の要求事項には,次の事項を含む。
a) 国内及び国際的な法規制がもたらす制限及び義務
b) 技術規格及び自主的な協定
c) 市場又は顧客のニーズ,動向及び期待
d) 社会的な期待及び投資家の期待,例えば,技術革新
4.4 マネジメントシステムへの統合
環境配慮設計,及びその環境に与える影響を最小限にするという目的は,組織の方針及び戦略に反映さ
せなければならない。組織に製品設計及び開発の機能を含むマネジメントシステムが存在している場合は,
環境配慮設計プロセスを,文書化されたシステム体系に統合しなければならない。
環境への配慮は,組織のリスクマネジメントプロセス全体の中の一要素にすることができる。
注記1 “リスクマネジメント”は,ISO Guide 73に定義されている。
組織のマネジメントシステムの手順に従って,環境配慮設計のプロセスは,必要に応じて,及びあらか
じめ定められた間隔でレビューを行い,継続的な適合性,妥当性及び有効性を確認しなければならない。
このレビューの中に,関連する組織の方針及び戦略に対する変更の必要性及び環境配慮設計プロセスの改
善を含めなければならない。
注記2 製品の設計及び開発における継続的改善の反復プロセスは,PDCA[Plan(計画),Do(実施),
Check(点検),Act(改善)]サイクルによって説明することができる。このアプローチは,
法的,技術的,組織的,経済的及び環境的要求事項の変更を管理する手段を提供する。
注記3 環境配慮設計プロセス及びその目的に関するコミュニケーションが組織内で実施されること
によって,影響を受ける部門がその意図を理解して,協力及び協調を図ることができる。
注記4 マネジメントシステムは,例えば,JIS Q 9001及びJIS Q 14001で規定されている。
5 環境配慮設計プロセス
注記 箇条5に関連する詳細情報は,附属書Bに記載されている。
5.1 一般
環境配慮設計を実施する組織は,製品の設計及び開発プロセスの一環として,環境配慮設計プロセスを
確立し,それを文書化し,実施し,維持しなければならない。このプロセスには次の手順を含み,詳細は
5.25.5で説明する。
a) 法的及び利害関係者の環境要求事項の分析
b) 環境側面及び関係する環境影響の特定及び評価
c) 設計及び開発
d) レビュー及び継続的改善
組織は,上記の手順に従いながら,定められた活用範囲の中で責任及び権限を定め,文書化しなければ
ならない。
注記 上記のプロセスa) d) は,次のようにPDCAサイクルに対応する。
− ステップa) 及びb) は,Plan(計画)に対応する。
――――― [JIS C 9910 pdf 7] ―――――
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− ステップc) は,Do(実施)に対応する。
− ステップd) は,Check(点検)及びAct(改善)に対応する。
5.2 法的及び利害関係者の環境要求事項の分析
環境配慮設計の最初のステップとして,組織は,環境側面の特定(5.3参照)と同時に実施するため,共
通及び技術分野固有レベルの両方において,関連する法的及び利害関係者の要求事項を理解しなければな
らない。これらの要求事項は,製品開発の基本的な枠組みを設定する。
組織は,適宜,次のことを確実にしなければならない。
a) 該当する行政当局及び利害関係者からの,次の事項を含む活用可能な環境要求事項を特定する。
− 製品の機能
− ライフサイクル段階
− 製品の環境側面
− 関連する市場の地理的範囲
− 組織の関連する活動
b) 既存及び新規の要求事項に関する定期的なレビュー,及びその特定を行う。
c) 影響を受ける製品の機能及びライフサイクル段階,組織の関連活動並びに責任及び権限,及び結果と
して実施する措置を特定し,要求事項を体系的に分析し,文書化する。
d) 設計段階に活用する新規又は既存のものから変更した要求事項によって,製品への影響を評価し,必
要な是正措置を行う。
注記1 共通の要求事項は,あらゆる形態の電気・電子の技術分野及び製品に活用することができ
る。
注記2 技術分野固有の要求事項は,特定の製品カテゴリを対象とする。
5.3 環境側面及び対応する環境影響の特定及び評価
組織は,環境側面及び対応する環境影響を特定するための手順を確立しなければならない。それは,次
の手順で構成する。
a) 環境側面及び対応する環境影響の特定 製品の各ライフサイクル段階において,環境影響の原因とな
るインプット(原材料,エネルギー,その他の資源など),及びアウトプット(製品,半製品,不合格
品,廃棄物,排出物など)を特定する(図B.1参照)。
特定されているプロセス,材料,部品又は構成要素に関連した定性的及び定量的な環境情報を利用
することができる。実行可能な場合,定量的な手法を推奨する。
注記 環境側面の特定は,製品カテゴリに対しても行うことができる。
b) 特定した環境側面に関係する環境影響の評価
c) 著しい環境側面の決定 製品のライフサイクルにおいて全ての関連する環境側面を特定した後,関係
する環境影響に基づいた評価及び優先順位付けによって,著しい環境側面を決定する。組織は,これ
以降の環境配慮設計プロセスの手順において,製品又は製品カテゴリに対して決定したこれらの著し
い環境側面に適切に対処すべきである。単一の環境側面又は単一のライフサイクル段階についてだけ
し(恣)意的に扱うことは避けることが望ましい。
環境側面の定性的又は定量的評価,及び優先順位付けを行うことができる。実行可能な場合,定量
的な手法を推奨する。
5.4 設計及び開発
設計ソリューションの選択は,様々な環境側面と,製品の機能,技術的要求事項,品質,性能,ビジネ
――――― [JIS C 9910 pdf 8] ―――――
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スリスク,経済的側面のようなその他の関連考慮事項とのバランスをとることが望ましい。遵法上(例 健
康及び安全,電磁両立性)何らかの特性が要求される場合も,環境への負荷を最小化する方法で対応しな
ければならない。これらの考慮事項は,新しい技術の研究開発にも活用する。
次の手順について,設計及び開発の中で実施しなければならない。
a) 製品の機能を規定する。
b) 法的及び利害関係者の要求事項の分析,及び環境側面の評価から,著しい環境パラメータを定義する。
c) これらのパラメータに対して,改善の戦略を特定する。
d) 改善の戦略に基づき,環境負荷低減の目標(環境目標)を作成する。
e) 環境負荷低減の目標(環境目標)に対応する製品仕様(環境製品仕様)を作成する。
f) 他の設計考慮事項を検討しながら,目標を達成するために必要な技術的解決手法を開発する。
注記 環境配慮設計ツール(附属書C参照)及び他の関連する規格を利用してもよい。
5.5 レビュー及び継続的改善
組織は,製品のライフサイクル全体にわたる著しい環境側面のレビュー及び継続的改善の手順を確立し,
実施し,維持しなければならない。
組織は,著しい環境側面に影響を及ぼし得る状況が発生したとき,又は主要な設計段階が完了したとき
に設計レビューを実施し,製品仕様(環境製品仕様)を満たしているかどうかを評価しなければならない。
製品の環境目標を満たしていない場合,現在又は将来の設計活動において,改善の是正処置を実施しなけ
ればならない。
注記 組織は,製品を市場に提供した後に,更にレビューを実施して,顧客及び他の利害関係者から
の情報のフィードバック及び追加的な環境関連の情報を考慮することができる。そのことによ
って,環境配慮設計プロセスの継続的改善を支援し,将来の製品開発における仕様決定の基礎
となる組織の方針及び手順の改定に組み込むことができる。
設計レビューの記録は,そのレビューに伴い是正処理を実施した内容を含めて保持し,将来の製品開発
及び継続的改善の参考情報の一つとしなければならない。
5.6 環境配慮設計のための情報共有
組織は,環境配慮設計プロセスの一部として,サプライチェーン上において,設計及び開発に関わる組
織に対して,その組織が,環境配慮設計の目的を達成する上で必要な製品又は製品カテゴリの情報を開示
しなければならない。
情報交換の例は,次のとおりである。
a) 製品,製造プロセス,及び製品が稼働するために使用される資源
注記 使用される資源には,水,エネルギー及び材料がある。
b) 製品によって生成される排出物
c) 環境パフォーマンスを改善するための指針
d) 使用済製品の処理方法
e) 法的及び顧客の要求事項を満たしていることを示す自己宣言
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附属書A
(参考)
環境配慮設計の基本的枠組み
注記 附属書Aは,箇条4に関連した情報を提供する。
A.1 一般(4.1)
環境配慮設計は,ライフサイクル思考を基礎として,組織の設計及び開発プロセスの一部とすることが
望ましい(4.2参照)。図A.1は,組織における既存のマネジメントシステムに環境配慮設計がどのように
組み込まれ得るのかを示している(4.4参照)。
図A.1−環境配慮設計プロセスの概要
図A.1に示されているように,環境配慮設計プロセスは,Plan(計画),Do(実施),Check(点検)及
びAct(改善)のアプローチに対応する。
A.2 ライフサイクル思考(4.2)
ライフサイクル思考は,環境配慮設計の実施に不可欠である。次の事項が,ライフサイクル思考の要素
となり得る。
a) 包括的視野 組織は,設計及び開発プロセスにおいて,製品の単一のライフサイクル段階又は環境側
面にし(恣)意的に焦点を当てるのではなく,製品の全てのライフサイクル段階について,環境及び
その他のビジネス上の観点から検討し,環境パフォーマンスの総合的な改善の目標を維持する。
b) ビジネス戦略 組織は,環境影響を低減する方法を検討するとき,製品の改善だけに焦点を当てるの
ではなく,より広いビジネスモデル(製品サービスシステム,使用済段階の選択肢など)にどのよう
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JIS C 9910:2011の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 62430:2009(IDT)
JIS C 9910:2011の国際規格 ICS 分類一覧
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.020 : 環境保護