JIS D 6802:1997 規格概要
この規格 D6802は、無人搬送車(無人けん引車及び無人フォークリフトを含む。)を中心にした搬送システムの導入計画段階から設置運用までの安全確保に関する一般事項について規定。
JISD6802 規格全文情報
- 規格番号
- JIS D6802
- 規格名称
- 無人搬送車システム―安全通則
- 規格名称英語訳
- Automatic guided vehicle systems -- General rules on the safety
- 制定年月日
- 1990年10月1日
- 最新改正日
- 2018年10月22日
- JIS 閲覧
- ‐
- 対応国際規格
ISO
- 国際規格分類
ICS
- 53.060
- 主務大臣
- 経済産業
- JISハンドブック
- 物流 2019
- 改訂:履歴
- 1990-10-01 制定日, 1994-03-01 改正日, 1997-12-20 改正日, 2003-09-20 確認日, 2008-10-01 確認日, 2013-10-21 確認日, 2018-10-22 確認
- ページ
- JIS D 6802:1997 PDF [17]
日本工業規格(日本産業規格) JIS
D 6802 : 1997
無人搬送車システム−安全通則
Automatic guided vehicle systems−General rules on the safety
1. 適用範囲 この規格は,無人搬送車(無人けん引車及び無人フォークリフトを含む。)を中心にした搬
送システムの導入計画段階から設置運用までの安全確保に関する一般事項について規定する。
備考 この規格の引用規格を,次に示す。
JIS D 6201 フォークリフトトラック用語
JIS D 6801 無人搬送車システム−用語
2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS D 6201及びJIS D 6801によるほか,次による。
(1) 安全確認形 人と機械の共存システムにおいて,人の安全が確認されているときだけ,その機械装置
やシステムの運転開始又は継続を許可する構成。
(2) フェールセーフ 人と機械の共存の場において,機械や機器に故障などの異常が発生した場合,人や
周辺環境の安全・保護を損なうことなく,その機械が常に安全に作用すること。フェール(fail,失敗,
故障)を生じたら,必ずセーフ(safe,安全)側に作動する機能。
(3) ブレーキ開放スイッチ 無人搬送車のブレーキを,手動時だけ強制的に効かなくするためのスイッチ。
3. 無人搬送車システムの安全確保の基本 無人搬送車システムは,その稼働領域を人と共存,共用する
無人搬送車を用いて,物の搬送,荷役を行う自動搬送システムである。
人との共存において,重要なことは人の安全である。人の安全を確保するため,システム作りの目標と
して望まれることは安全確認形のシステム構成であり,したがって,安全のためのインタロックに使用す
るセンサは,フェールセーフであることが望ましい。
しかし,技術の開発・進歩によってもすべてを安全確認形にすることは,困難な場合があり,この場合
は安全の確率をより大とする安全装置と現場における運用規制の両面から,製造業者及び使用者が互いに
協議して安全の限界を認識して慎重に対処し,安全を確保しなければならない。
4. 設計及び計画段階における安全確保
4.1 構造及び安全性
4.1.1 無人搬送車の外形 無人搬送車の外形は,次のとおりとする。
(1) 無人搬送車の本体の外面は,作業上必要な部分を除き,鋭い角,突起などの危険部分がないこと。
(2) 障害物接触バンパは,歩行者との接触に対して危害を与えない安全な構造であること。
4.1.2 搬送物の確認 搬送物は荷物が変形,荷崩れを起こさないことだけでなく,移載され,搬送される
すべての動作の中で,オーバハングしたり,偏荷重になったりしないシステム作りになることを確認する
こと。
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4.1.3 表示 表示は,次のとおりとする。
(1) 表示 無人搬送車本体の見やすい位置に許容荷重と自重を,銘板などで表示すること。
(2) 銘板 無人搬送車には,次の項目を表示した銘板を取り付ける。
(a) 形式 製造業者が呼称する形式名を表示する。
(b) 自重
(c) 許容荷重
(d) 定格速度
(e) 製造年月又はその略号
(f) 製造番号
(g) 製造業者名又はその略号
(2) 安全標識 無人搬送車には,人の安全を確保する安全標識を本体に表示する。
また,必要に応じて通路及び周辺装置に表示する。
4.1.4 警報装置 無人搬送車の動きを知らせ,注意を喚起するため,次の警報装置を本体に設けなければ
ならない。
(1) 自動運転表示灯 無人搬送車が自動運転中は表示灯を点灯又は点滅させること。
(2) 発進警報器 無人搬送車が停止状態から走行状態に入る場合,発進する前に警報を発すること。
(3) 走行警報器 無人搬送車は,走行及び自動移載中に使用環境に適した警報装置を連続又は断続して作
動すること。
(4) 異常警報器 無人搬送車に異常が発生した場合は,警報灯の点灯,警報音の吹鳴などによって作業者
に異常を知らせること。
(5) 左折,右折表示灯 無人搬送車の左折又は右折方向を識別する必要がある場合は表示灯を点灯するこ
と。
4.1.5 停止状態の維持 無人搬送車は,停止時に起動指令がない限り動き出さない構造とすること。
4.1.6 非常時の操縦装置 非常時の操縦装置は,次のとおりとする。
(1) 無人搬送車の本体の容易に操作できる位置に,押す,触れるなどの操作によって,非常停止させる装
置を備えること。
(2) トラブル発生時に,作業者が無人搬送車を操作できるよう手動による運転機能を備えること。
また,手動操作箱を操作している場合は,それ以外の装置から操作ができないこと。
(3) 非常停止によって無人搬送車が停止した場合は,その異常が解除されてもその停止原因の安全が確認
されない限り,再び動き出さないこと。
4.1.7 モニタリング 無人搬送車システムに異常が起こった場合,その状態や原因がわかるモニタ機能を
もたせることが望ましい。
4.2 移載装置
4.2.1 走行時及び移載時の確認,インタロック 地上側移載装置との移載が,安全,確実に行われるよう
インタロックをとり,また,通常走行時の移載動作を禁止する。
4.2.2 移載異常 移載が正常に行えない場合,異常を検出できるようにするとともに,無人搬送車が発進
してはならない。
4.2.3 緊急停止及び安全確認 移載異常が発生し移載動作を緊急停止した場合は,作業者がその異常を解
除し,安全を確認したうえで再起動させるまで動作停止が継続しなければならない。
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4.2.4 搬送物の把持 積載装置部は,運転中及び非常停止による急激な停止に対しても,必要に応じて荷
物の落下を防止するストッパを装備するなど搬送物の落下防止構造とする。
4.2.5 地上側移載装置 搬送システムにおいて,無人搬送車との移載を行う地上側の駆動コンベヤ,自動
倉庫などの関連設備は,相互にインタロックをとり安全に移載できるようにしなければならない。
4.3 周辺装置及び関連設備
4.3.1 充電装置 充電中,バッテリ内から発生する可燃性ガスが充満するおそれがある場合,充電装置を
設置した場所は十分な換気を行い火気厳禁としなければならない。
4.3.2 走行上の安全装置 走行上の安全装置は,次のとおりとする。
(1) 安全走行のため,必要に応じて,地上側に警報,標識,表示,色分け,安全ポールなどを用いて安全
を確保すること。
(2) 人との接触,周辺との衝突を防止するため,必要に応じて地上側にも衝突を防止するための装置を設
けること。
(3) オートドア,エレベータなどの建物の設備と連動を必要とする場合は,安全に走行,ドア開閉,又は
エレベータ昇降ができるようにインタロックをとること。
4.3.3 周辺関連設備とのインタロック 周辺装置及び関連設備との荷・情報の授受などに伴う各動作のイ
ンタロックを確実に行い,続く動作の安全な起動,継続が行えるようにする。
4.4 障害物接触バンパと衝突防止
4.4.1 障害物接触バンパの装備 衝突の衝撃から作業者,搬送物及び周辺設備の安全を確保するため,そ
の機能はフェールセーフ構造となるように努め,次の各項目に基づくバンパを装備しなければならない。
(1) 接触に対して作業者及び周囲に危害を与えない安全な形状及び構造であること。
(2) その幅は,進行方向の車体幅(移載動作範囲を含まない。)と同等以上であること。
(3) 障害物接触バンパの反力,ストローク及びスイッチの作動点を無人搬送車の安全に停止できる速度,
距離を勘案して選定し,接触時に無人搬送車を停止させる構造であること。
4.4.2 接近検出装置の装備 障害物接触バンパだけで安全に停止することが困難な車速の場合は,これを
事前に検知する接近検出装置を装備し安全許容内に減速又は停止しなければならない。
なお,接近検出装置(センサ)の作動範囲は,車体幅及び車体高さ(荷役装置を除いた本体部)と同等
以上とし,検出距離は調整可能な機構が望ましい。
4.4.3 相互の衝突防止対策の実施 複数の無人搬送車を運行させる場合,必要に応じて次の各項目を配慮
した相互の衝突防止対策を講じなければならない。
(1) 後続する無人搬送車との間隔
(2) 合流する無人搬送車との合流タイミング
(3) 対向する無人搬送車とのすれ違い幅
(4) 交さ点における無人搬送車相互の進入タイミング
4.5 走行速度
4.5.1 走行速度 無人搬送車と人が共用する通路においては,無人搬送車の走行速度は障害物を検出して
速やかに停止できる速度を超えてはならない。無人搬送車には周辺の状況によって安全な運行を可能にす
るための速度選択のできる機能を備えること。ただし,使用環境に見合った十分安全な走行速度(低速)
に固定して使用する場合は除く。
4.5.2 徐行 無人搬送車は安全を確保するため,決められた場所及び接近検出装置が作動したときは徐行
しなければならない。
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4.6 非常停止
4.6.1 非常停止の意味及び種類 非常停止は,無人搬送車の走行,移載などの運転動作を速やかに停止さ
せることをいい,次のいずれかを操作し,又は作動したときは,動力源を遮断し,非常停止させる。
(1) 非常停止ボタン
(2) 障害物接触バンパ
(3) 脱線
(4) オーバスピード
4.6.2 非常停止装置・機能 無人搬送車には,次の非常停止装置・機能を設け,いずれかが操作され,又
は作動したときに非常停止しなければならない。
(1) 非常停止ボタン 人が容易に操作できる位置に非常停止ボタンなどを設けること。非常停止ボタンは
赤色とし,非常停止ボタンなどの文字を表示すること。
また,地上制御盤によって誘導路制御を行っている場合は,異常発生時に直ちに無人搬送車を停止
できる機能を備えていること。
(2) 障害物接触パンパ 無人搬送車には,作動時に人体に危害を与えるような強い押付力をもたない障害
物接触バンパを設けること。
(3) 脱線 無人搬送車が誘導路から逸脱したとき,また,誘導不能となった場合は,自動的に非常停止す
る機能を備えること。
(4) オーバスピード 走行速度が定められた値を超えて安全な運行に支障をきたすときには,非常停止す
る機能を備えること。
4.6.3 非常停止時の表示 音,光などによって人が容易に識別できる方法で非常停止の状態であることを
無人搬送車の本体上に表示しなければならない。
4.6.4 非常停止後の復帰 非常停止が働いたとき,その原因を除去し,安全を確認した後に復帰しなけれ
ばならない。
5. 導入準備及び運用段階における安全確保
5.1 導入準備
5.1.1 使用環境の確認と整備 使用環境の確認と整備は,次のとおりとする。
(1) 作業者,見学者などが無人搬送車の通路へ進入する機会や,フォークリフト,台車など他の車両と通
路を併用する機会の有無を検討し,事前にその対応を講じること。
見通しが悪く無人搬送車と不意に接触する可能性のある場所では,天井,壁などに,無人搬送車の
接近をあらかじめ知らせる接近警報装置を設置することが望ましい。
フォークリフト,台車など他の車両と交さする通路で,交通量の多い場所には,信号機,遮断機な
どを設置することが望ましい。
(2) 無人搬送車の走行と連動するオートドア,エレベータなど建物の設備がある場合は,人の通行を含め
事前にその安全を確保するための対応を講じること。
(3) 機械装置,照明,採光など建屋設備の環境面から,無人搬送車及びその周辺装置に外乱が入り不具合
を及ぼす場合があるので,これらノイズに関する環境のチェックを事前に行い,外乱の低減・侵入防
止策を講じること。
5.1.2 通路及び路面の整備 通路及び路面の整備は,次のとおりとする。
(1) 無人搬送車の通路が一般通路を共用する場合,歩行者の退避するスペースを確保すること。
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(2) 無人搬送車システムの路面は,無人搬送車の仕様によって制約があるので,安全な走行ができるよう,
事前に補修を行うこと。
5.1.3 搬送物の荷姿及び荷崩れ防止 搬送物は,システム内での搬送・荷扱いで,変形,荷崩れなどを起
こさない安定した荷姿であるよう整備と確認を行って質量・外形寸法の範囲を決める。
5.1.4 作業規定の設定と責任者の指定 作業規定の設定と責任者の指定は,次のとおりとする。
(1) システムの安全な運転を行うため,無人搬送車システムの起動・停止,バッテリの充電,安全装置の
運行前点検など,運用における適切な作業規定を,製造業者と使用者が協力して作成設定すること。
(2) 運用に当たっては,システムの運転について十分な理解と知識をもつ責任者を指定し,この責任者の
管理の下で作業規定に従い無人搬送車システムを運転すること。
5.1.5 作業者・関係者に対する事前教育 無人搬送車システムをよく理解し,無人搬送車・周辺装置の適
切な管理及び運転と異常時の措置を行えるように,作業者・関係者に対して事前に教育を行う。
5.2 運用
5.2.1 無人搬送車・周辺装置の安全監視
(1) 無人搬送車及び周辺装置は定期的に点検を行い,その点検内容を記録し保管すること。
(2) 運転に当たっては,システム全体が安全に作動できるように,無人搬送車及び周辺装置の稼働状態を
把握できる監視体制をとること。
(3) 通路は,待避空間の確保や路面のうねり・損傷だけにとどまらず,汚れ,ほこり,昼夜の照明,周辺
の運転設備などを含めて,通路環境として維持管理すること。
5.2.2 走行上の安全装置の確認
(1) 無人搬送車の通路は,安全領域,路面歩態など通路条件が,システムの制約条件内に維持されている
ことを確認し管理していくこと。
(2) 接近警報装置,標識など走行上の安全装置の動作・状態が,正常であることを確認し管理していくこ
と。
5.2.3 搬送物の確認及び管理 搬送物は,決められた質量・外形寸法の範囲にあり,変形,荷崩れなどを
起こさない安定した荷姿にあることを確認し管理する。
5.2.4 無人搬送車の警報装置の管理 無人搬送車が,作業者及び歩行者に対し注意を喚起する自動運転表
示灯,発進警報器,走行警報器,左折右折表示及び異常警報器の動作状態が,正常であることを確認し管
理する。
5.2.5 異常発生時の復帰 十分にシステムを理解した責任者の管理下,作業規定に従い異常状態解除の確
認を行った後,無人搬送車の周囲に人がいないなど安全を確認し,復帰起動させる。
5.2.6 保守点検・調整修理時の安全確保 保守点検・調整修理時の安全確保は,次のとおりとする。
(1) 十分にシステムを理解した責任者の管理の下,保守点検・調整修理の作業中であることを表示し,作
業者及び歩行者に対し立入り規制を行うこと。
(2) 後続する無人搬送車にも侵入を規制する障壁を設けるなどして,作業中の安全を確保すること。
5.2.7 設置後の改造 設置後の改造は,次のとおりとする。
(1) 無人搬送車の設置後,無人搬送車システムの改造を行う場合は,その受渡当事者間で十分な検討を行
い,安全に対する機能が低下しないことを確認し,双方了解の上で実施すること。
(2) これら改造した内容は,記録し保管すること。
――――― [JIS D 6802 pdf 5] ―――――
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JIS D 6802:1997の国際規格 ICS 分類一覧
JIS D 6802:1997の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISD6201:2017
- 自走式産業車両―用語
- JISD6801:2019
- 無人搬送車システムに関する用語