JIS E 1101:2001 普通レール及び分岐器類用特殊レール | ページ 2

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E 1101 : 2001
表4.2 レールの寸法許容差及び幾何公差(50S,70S,80Sレール)
単位mm
項目 レールの種類
50Sレール 70Sレール 80Sレール
長さ 10m未満 +10
−5
10m以上 +15
−5
高さ +1.0
−0.5
頭部幅 +1.0
−0.5
腹部幅 +1.0
−0.5
底部全幅及び片幅 ±1.5
底部に対する垂直中心軸の頭頂部の振れ 1.0 0.5
切断面の直角度 1.0 0.5
レールの曲 左右 長さ10m以上 10
がり 上方(2) 9m以上,10m未満 9
下方(2) 8m以上,9m未満 7
7m以上,8m未満 6
6m以上,7m未満 5
5m以上,6m未満 4
レール端部の曲がり 左右 1.0 0.5
上方(2) 1.2 0.5
下方(2) 0.3
レール底部の平面度 − 0.4
レールのねじれ 1.0
注(2) 表4.1の注(2)参照。
7. 外観及び内部健全性
7.1 外観 レールの外観は,次による。
a) レールは,長にわたり均等な形状で,有害なねじれなどがあってはならない。
b) レールの表面には,割れ,きずなどの有害な欠点があってはならない。
c) レールの表面きずの許容値は,表5による。ただし,30kgレールの表面きずの深さ及びかみだし高さ
は,0.6mm未満とする。
d) レールの表面に使用上有害な欠点がある場合,製造業者はグラインダ手入れによって欠点の除去を行
うことができる。ただし,この場合の条件は,次による。
1) レールの手入れ後の寸法は,6.の規定を満足しなければならない。
2) レールの手入れの部分は,きれいに仕上げられており,圧延のままの面との境は,滑らかでなけれ
ばならない。
e) 検査員は,はつり工具などによって,表面欠点を調べることができる。その場合,それらの欠点がレ
ールの使用上有害な影響を及ぼすかどうかを,判定する。
f) 製造業者は,熱間又は冷間のいずれの状態においても,欠点を隠すような作業を行ってはならない。

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表5 表面きずの許容値
きずの種類 部位 許容値
線状きず 頭部 D<0.4mm
底面
その他 D<0.6mm
ヘゲきず 頭部 D<0.4mm
圧着きず ただし,0.4≦D<0.6mmのときは,S<150mm2であれば可。
その他 D<0.4mm
ただし,0.4≦D<0.6mmのときは,S<200mm2であれば可。
折込きず 頭部 D<0.4mm
かききず 底面
その他 D<0.6mm
カリバーき 頭部 H<0.4mm
ず 底面
上・下首部 H<0.6mm
備考 表中の記号,Dは深さ,Sは表面積,Hはかみだし高さをいう。
7.2 内部健全性 レールの内部健全性は,次による。
a) 継目孔なしレールには,パイプきずがあってはならない。
b) 継目孔ありレールには,有害なパイプきずがあってはならない。ただし,パイプきずがレールの腹部
内に点在し,その長さがレール高さに対して,きょ(鋸)断面では2/15以下,研磨面では4/15以下
で,かつ,開口していないものは有害としない。
c) レールには,9.8によって試験を行ったとき,折れ,割れ,欠損などの異常が生じるような内部の欠点
があってはならない。
d) レールには,9.9によって試験を行ったとき,有害な不純物の偏析などの内部の欠点があってはならな
い。有害な欠点の限度を附属書2に示す。
e) レールには,9.10によって試験を行ったとき,ラミネーション,パイプその他の非金属介在物などの
欠点があってはならない。
f) 注文時,受渡当事者間で協定がある場合は,鋼の種類及び製造工程に応じて,連続非破壊検査(例え
ば,超音波探傷)を適用する。この試験は,製造業者の責任において行う。
8. 製造方法,加工方法並びに基準型板及び作業用限界ゲージ
8.1 製鋼方法 レールの製造に用いる鋼塊及び連続鋳造によって製造する鋳造鋼片(以下,鋳片という。)
は,純酸素転炉又は電気炉によって製造しなければならない。
なお,注文者は入札に際し,製造業者に対して製鋼方法及びその主な特性についての資料提出を要求す
ることができる。
製造業者は,注文者に通知せずに,これらの内容を変更してはならない。
8.2 レールの製造方法 レールの製造方法は,次による。
a) 製造業者は,全製造工程にわたって,最善の技術をもってこの規格に適合したレールが製造できるよ
うにしなければならない。
b) 鋼塊は,完全に凝固してから圧延する。ただし,転倒したまま凝固させてはならない。
c) 鋼塊の原断面積は,圧延されるレールの断面積の25倍以上でなければならない。
d) 鋳片の原断面積は,圧延されるレールの断面積の8倍以上でなければならない。ただし,30kgレール

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については,7倍以上とすることができる。
e) 鋼塊及び鋳片の端は,レールの内部に有害な欠点を残さないように,十分な長さを切り捨てる。
f) レールには,シャッターき裂が発生しないように,溶鋼脱ガス,レールの徐冷などの適切な処理を施
す。
g) 注文者からの要求があれば,製造業者は,レール鋼材のシャッターき裂防止のための方法を通知する
ものとする。
h) 圧延冷却後のレールの曲がりは,できるだけ小さくする。また,両端は,下反りにならないようにす
る。
i) レールの曲がりを矯正するときには,材質に悪影響を及ぼすような加工を行ってはならない。
j) レールの両端は,その長さ方向に対して直角に切り,その切り口に残ったまくれは取り除く。
k) 継目孔ありのレールの端面及び孔の全周には,付図1付図8に示すように面取りを施し,孔は正確
にあける。
8.3 基準型板及び作業用限界ゲージ 基準型板及び作業用限界ゲージは,次による。
a) 製造業者は,注文者の要求がある場合にはレールの標準断面及び特定部の検査に必要なすべての基準
型板及び作業用限界ゲージを自己の負担で製作し,注文者の承認を受けるものとする。
b) 製造業者はレールの製造に先立ち,レールの断面の理論上の形状に合致する雄型及び雌型の基準型板
2組及び規定の寸法許容差をもった作業用限界ゲージを2組製作する。
c) この基準型板及び作業用限界ゲージは,注文者(又は代理人)の承認を受けたのち刻印するものとす
る。
d) 基準型板及び作業用限界ゲージの各1組は,検査終了時まで注文者又は注文者の委託を受けた検査員
(以下,単に検査員という。)が保管する。
e) 検査は,これらの基準型板及び作業用限界ゲージだけが有効である。
f) 基準型板及び作業用限界ゲージは,注文者又は他の検査機関において適切と承認された場合は,他の
注文者もこれを使用することができる。
g) 基準型板及び作業用限界ゲージの例を,附属書3に示す。
9. 試験
9.1 製造監督立会い 検査員は,随時製造方法を検査する権利をもち,また,発注品の検査に立ち会う
ことができる。検査員は,製造工程において,指定された条件が遵守されていることを確かめるため,必
要なチェックを行う権利をもつ。
製造監督立会いは,製造作業遂行に支障がないように行う。
9.2 供試材の提示 検査員は,製造業者との合意があれば,圧延開始前に,鋼塊についてあらかじめ協
定された検査回数に従って,試験片を採取する鋼塊を指定することができる。これらの試験片は,鋼塊別
に区分し,当該鋼塊から製造されたレールの受入検査が終了するまで保管する。
連続鋳達については,受渡当事者間の協定があれば,試験片を採取した鋳片及びストランドの位置を検
査員に通知する。
検査員の検査は,通常の作業を妨げないように行う。
9.3 試験項目 レールには,表6に示す項目について品質の保証をしなければならない。

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表6 試験項目
分類 鋼の レール 溶鋼 引張 硬さ 落重試験 落重試験 サルファプ破面 形状 外観
種類 の種類 分析 試験 試験 1類用 2類用 リント試験試験 寸法
1類 AR 30A 必す 必す 不要 必す 不要 不要 協定 必す 必す
37A 必す 必す 不要 必す 不要 不要 協定 必す 必す
40N 必す 必す 必す 必す 不要 必す 協定 必す 必す
50N 必す 必す 必す 必す 不要 必す 協定 必す 必す
60 必す 必す 必す 必す 不要 必す 協定 必す 必す
50S 必す 必す 必す 必す 不要 必す 協定 必す 必す
70S 必す 必す 必す 必す 不要 必す 協定 必す 必す
80S 必す 必す 必す 必す 不要 必す 協定 必す 必す
2類 1A 全種類 必す 必す 協定 不要 協定 協定 協定 必す 必す
1B 全種類 必す 必す 協定 不要 協定 協定 協定 必す 必す
2A 全種類 必す 必す 協定 不要 協定 協定 協定 必す 必す
2B 全種類 必す 必す 協定 不要 協定 協定 協定 必す 必す
3A 全種類 必す 必す 協定 不要 協定 協定 協定 必す 必す
3B 全種類 必す 必す 協定 不要 協定 協定 協定 必す 必す
備考1. 協定とあるのは,受渡当事者間の協定がある場合に適用する。
2. 2類の硬さ試験は,合否判定の対象としない。
3. 破面試験は,鋼塊を用いて製造したレールの場合に適用する。
9.4 試験片採取
a) ロット 同一溶鋼に属する全鋼塊又は全ストランドの鋳片を1ロットとする。
b) 分析試験用の供試材採取 分析試験用の供試材採取は,JIS G 0303の3.(化学成分)による。ただし,
1溶鋼が150t以上の場合,協定によって供試材採取を2個とすることができる。
c) 機械試験及び組織試験用の供試材採取 1類の場合は,表7による。連連続鋳造の場合,供試材は2
溶鋼の混ざり合った部分から採取してはならない。2類の場合は,特段の協定がない限り,最初に圧
延された鋳片から供試材を採取する。
表7 供試材採取(1類用)
項目 鋼塊の場合 連続鋳造の場合
引張試験 任意の鋼塊から圧延されたレールの一部の任意のストランドの任意の鋳片から圧延さ
切捨て部分の後端から1個採取。 れたレールの任意の部分から1個採取。
硬さ試験 引張試験片採取と同じ。 引張試験片採取と同じ。
落重試験 任意のレールの頭部の切捨て部分の後端か任意の鋳片から圧延されたレールの任意の
ら1個採取。 部分から1個採取。
サルファ 任意のレールの頭部の切捨て部分の後端か任意の鋳片から圧延されたレールの任意の
プリント ら1個採取。 部分から1個採取。
試験
破面試験 適用しない。
そのロットの最初に圧延されたレールの頭
部の切捨て部分の後端から1個採取。
最小500tに1個,最高は50tにつき1個採取。
備考1. 落重試験の供試材は,引張試験の供試材を採取したのとは別の鋼塊又はストランドの鋳片から
圧延されたレールから採取することが望ましい。
2. サルファプリント試験用の供試材は,引張試験,落重試験の供試材を採取したのとは別の鋼塊
又はストランドの鋳片から圧延されたレールから採取することが望ましい。
d) 引張試験片採取 引張試験片のうち,1類用はJIS Z 2201に規定する4号試験片とし,図1に示す位
置から削り出す。2類用の試験片はJIS Z 2201に規定する14A号試験片(直径10mm,標点距離50mm)
とし,図2に示す位置から削り出す。

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e) 落重試験片採取 落重試験片は,レール断面のままとし,供試材を1類用は約1 500mm,2類用は1
300mm以上の長さに切断したものとする。
f) サルファプリント試験片採取 サルファプリント試験片は,レール断面のままとし,供試材を10mm
以上に切断したものとする。
g) 破面試験片採取 破面試験片は,レール断面のままとする。熱間状態で短いレールを採取して,大気
中で完全に冷却するか,若しくは約600℃(変形しない温度)まで大気中で冷却した後に急冷するか,
又は冷却されたレールから採取する。
図1 引張試験片の採取位置(1類用) 図2 引張試験片の採取位置(2類用)
9.5 分析試験 分析試験方法は,JIS G 1211,JIS G 1212,JIS G 1213,JIS G 1214,JIS G 1215又は,JIS
G 1253,JIS G 1256,JIS G 1257,JIS G 1258のいずれかによる。
9.6 引張試験 レールの引張試験方法は,JIS Z 2241による。
9.7 硬さ試験 レールの硬さ試験方法は,JIS Z 2243による。
9.8 落重試験 レールの落重試験は,次による。
9.8.1 落重試験(1類用) 試験方法は,附属書4に定めた試験機を用いて行う。ただし,試験条件は,
表8のとおりとする。鋳片から圧延されたレールについては,受渡当事者間の協定によって落重試験を省
略してもよい。
9.8.2 落重試験(2類用) 試験方法は,附属書4に定めた試験機を用いて行う。ただし,試験条件は,
表9のとおりとする。
表8 落重試験(1類用)
単位m
レールの種類 試験片の支え方 落下の高さ 支点間の距離 打撃回数
30kgレール 頭部を上にして載せる。 4.0 0.914 1回
37kgレール 5.0
40kgNレール 頭部を下にして載せる。 5.1
50kgNレール 7.0
60kgレール 10.6
50Sレール 6.1
70Sレール 10.0
80Sレール

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JIS E 1101:2001の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 5003:1980(MOD)

JIS E 1101:2001の国際規格 ICS 分類一覧

JIS E 1101:2001の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISG0202:2013
鉄鋼用語(試験)
JISG0203:2009
鉄鋼用語(製品及び品質)
JISG0404:2014
鋼材の一般受渡し条件
JISG0560:2008
鋼のサルファプリント試験方法
JISG1211-1:2011
鉄及び鋼―炭素定量方法―第1部:燃焼-二酸化炭素重量法
JISG1211-2:2011
鉄及び鋼―炭素定量方法―第2部:燃焼-ガス容量法
JISG1211-3:2018
鉄及び鋼―炭素定量方法―第3部:燃焼-赤外線吸収法
JISG1212:1997
鉄及び鋼―けい素定量方法
JISG1213:2001
鉄及び鋼―マンガン定量方法
JISG1214:1998
鉄及び鋼―りん定量方法
JISG1215-1:2010
鉄及び鋼―硫黄定量方法―第1部:鉄分離硫酸バリウム重量法
JISG1215-2:2010
鉄及び鋼―硫黄定量方法―第2部:クロマトグラフ分離硫酸バリウム重量法
JISG1215-3:2010
鉄及び鋼―硫黄定量方法―第3部:硫化水素気化分離メチレンブルー吸光光度法
JISG1215-4:2018
鉄及び鋼―硫黄定量方法―第4部:高周波誘導加熱燃焼-赤外線吸収法
JISG1253:2002
鉄及び鋼―スパーク放電発光分光分析方法
JISG1256:1997
鉄及び鋼―蛍光X線分析方法
JISG1257:1994
鉄及び鋼―原子吸光分析方法
JISG1258-0:2007
鉄及び鋼―ICP発光分光分析方法―第0部:一般事項
JISG1258-1:2014
鉄及び鋼―ICP発光分光分析方法―第1部:多元素定量方法―酸分解・二硫酸カリウム融解法
JISG1258-2:2014
鉄及び鋼―ICP発光分光分析方法―第2部:多元素定量方法―硫酸りん酸分解法
JISG1258-3:2014
鉄及び鋼―ICP発光分光分析方法―第3部:多元素定量方法―酸分解・炭酸ナトリウム融解法
JISG4801:2011
ばね鋼鋼材
JISG4801:2021
ばね鋼鋼材
JISZ2241:2011
金属材料引張試験方法
JISZ2243:2008
ブリネル硬さ試験―試験方法