JIS E 4071-1:2019 鉄道車両―車上エネルギー貯蔵システム―第1部:シリーズハイブリッドシステム | ページ 5

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・ 多くの異なるアシスト制御方式が,様々な目的で考案されている。図10 b) から図10 d) は可能な例
を示している。いずれも異なる方式を示している。図10 b) の場合では,PPSからの電力とESSから
の電力との比を一定にしている。図10 c) の場合ESSがPPSに対し優先し低速領域では全電力を供給
するので,図10 a) と対照的である。そして,図10 d) の場合,他の場合ではPTEは固定であるのに
対し,PTEがPPPS及びPESSに依存する。表1のモードの選択も異なる。
上記のように色々な構成及びモードを取り得る。エネルギーに関する定義によって適切に評価すること
が重要である。詳細を,附属書Bに示す。
力行性能だけでなく,電気ブレーキ性能も同様にアシストできる。

――――― [JIS E 4071-1 pdf 21] ―――――

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モード モード モード モード
II III II III
45 45
電力
電力
40 40
35
PTE 35
PTE
30 30
25
PPPS 25
PPPS
20 20
15 15
10 PESS 10 PESS
5 5
0 0
-5
0 20 40 60 80
速度
100
-5
0 20 40 60 80
速度
100
1.6 1.6
1.4 1.4
引張力
引張力
1.2 TTE 1.2 TTE
1 1
0.8 0.8
0.6 0.6
TPPS TPPS
0.4 0.4
0.2 TESS 0.2 TESS
0 0
0
-0.2
20 40 60 80
速度
100 0
-0.2
20 40 60 80 速度
100
a) PSがESSに優先 b) 比例方式
モード モード モード
IV III III
45 45
電力
電力
40 40
35
PTE 35
PTE
30 30
PPPS
25
PPPS 25
20 20
15 15
PESS
10 PESS 10
5 5
0 0
-5
0 20 40 60 80
速度
100
-5
0 20 40 60 80
速度
100
1.6 1.8
1.4 1.6
引張力
引張力
1.2 TTE 1.4
1 1.2 TTE
1
0.8
0.8
0.6
TPPS 0.6 TPPS
0.4
0.4
0.2 TESS 0.2
TESS
0
0
0
-0.2
20 40 60 80 速度
100
0 20 40 60 80 速度
100
-0.2
c) SSがPPSに優先 d) 電力組合せ方式
PPPS 主電源(PPS)の電力 PESS エネルギー貯蔵システム(ESS)の電力
PTE 主回路装置(TE)の電力
TPPS TTEのうちPPSの供給による部分 TESS TTEのうちESSの供給による部分
TTE 引張力TESS+TPPS=TTE
注記1 これらの例でESS電源の挙動はある速度領域で一定と仮定しているが,ESS技術によって異なる挙動を取り
得る。
注記2 これらの例では,ESSのSOC及び/又はSOEは運転パターンに必要な電力を十分供給できると仮定している。
注記3 ESSによる電源の挙動は,ある速度領域内で一定と仮定している。
図10−車上ESSによる力行性能アシスト

――――― [JIS E 4071-1 pdf 22] ―――――

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4.3.3 縮退モード運転
シリーズハイブリッドシステムで車両は,PPSの機能が故障した場合にも走行できるように設計するこ
とができる。図11の例では,PPSが故障すればハイブリッド車が走行を続けられるようにESSが電力を
出力する(PESS及びTESS各々を示す。)。しかし一般に,ESSで利用できるエネルギー及び電力は限られる
ので,最大電力及び最大速度は,縮退運転では制限される。
45
電力
40
35
PPPS
30
25
20 PESS
15
10
5
0
-5
0 20 40 60 80
速度
100
1.6
1.4
TPPS
引張力
1.2
1
0.8
0.6 TESS
0.4
0.2
0
0
-0.2
20 40 60 80 速度
100
PPPS 主電源(PPS)の電力 PESS エネルギー貯蔵システム(ESS)の電力
TPPS TTEのうちPPSの供給による部分 TESS TTEのうちESSの供給による部分
図11−車上ESSによる縮退モードの性能

5 環境条件

5.1 一般

  使用条件は,使用者が等級を指定する場合を除いて,IEC 62498-1:2010に従う。使用者は仕様書に考慮
する等級を明記する。明示のない場合は,A1,T1などの添え字1の等級とする。
その他の条件が適用される場合,適用可能であれば,JIS C 60721-3-5から選択する。
注記 この規格で使用者と製造業者との協定を必要とする細分箇条の一覧を,附属書Dに示す。

5.2 標高

  機器が仕様書で規定されたとおりの性能を出すことのできる標高の等級は,別の規定がない限り,IEC
62498-1:2010の表1の等級A3による。
注記 標高は,特に,空気圧力に関係し,その結果,冷却システム及び絶縁に影響する。

5.3 温度

  車両,ハイブリッドシステム及び機器が仕様書で規定されたとおりの性能を出すことのできる周囲温度
の等級は,別の規定がない限り,IEC 62498-1:2010の表2の等級T4による。
製造業者が寿命計算をする場合,使用者は,製造業者が規定する鉄道車両の周囲温度を決定するために

――――― [JIS E 4071-1 pdf 23] ―――――

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必要な情報を提供する。提供されない場合,IEC 62498-1:2010の表3の基準温度TR1を適用する。
基準温度は,寿命期間中に気候温度が材料に及ぼす劣化と同等の効果がある定常温度と考える。
注記 温度による劣化は,温度の指数関数で進行する(例えば,絶縁材料についてはJIS C 2143-5な
どを参照)。基準温度は,通常,年平均気温よりも高い。
標高の等級としてIEC 62498-1:2010の表1のAXを規定した場合,使用者は,標高幅(例えば,0 m1 000
m及び1 000 m2 000 m)ごとの標高及び気温との依存性の情報を提供する。
ハイブリッドシステム機器に予熱又は予冷却が必要な場合は,受渡当事者間で協定する。

6 機能及びシステム要求事項

6.1 機械的要求事項

6.1.1  機械ストレス
6.1.1.1 振動及び衝撃
ハイブリッドシステムは,設計で規定した取付位置に固定支持されている場合(取付部分に使用する防
振支持を含む。),JIS E 4031で規定する振動及び衝撃に耐える必要がある。
6.1.1.2 ほかの加速度
次の要求内容については,受渡当事者間で協定する。協定がない場合,JIS E 4031による。
a) 鉄道車両が曲線区間を通過中又は曲線区間上で停車しているとき,鉄道車両の垂直軸に対し直角に作
用する正味の左右方向の許容加速度成分。
b) 補助回路機器を含むハイブリッドシステムが,仕様書で規定された性能を連続して動作できる左右方
向及び前後方向の加速度。
6.1.2 外部の機械的影響に対する保護
侵入に対する防護等級は,直接接触及び実装状況に対する要求事項を満足するようにJIS C 0920に従っ
て規定する。

6.2 制御上の要求事項

  ハイブリッドシステムは最低限次の機能をもたなければならない。
・ パワーフロー制御
・ エネルギー及びパワーフローの監視
・ ESU状態の監視

6.3 電気的要求事項

6.3.1  外部充放電機能
必要があればハイブリッドシステムは,外部充放電機能を備えなければならない。外部充放電機能の仕
様書は,受渡当事者間の協定による。
6.3.2 エネルギー貯蔵システムだけでの運転
PPS,つまりディーゼル発電機,架線,第三軌条などからの電力が利用できない場合,必要があれば,
ESSは,使用者の指定する主回路性能及び補助負荷で運転できなければならない。

6.4 開放要求事項

  ハイブリッドシステムの各ESUは,故障又は保守目的で安全に開放又は切り離す手段を設けなければな
らない。
ハイブリッドシステムの各電源は,他のサブシステムから電源を安全に切り離す開放装置を設けなけれ
ばならない。

――――― [JIS E 4071-1 pdf 24] ―――――

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6.5 縮退モード

  なにをもって縮退モードとするかは使用者が規定し,受渡当事者間で協定する。一部又は全ての個別電
源(例えば,ESU/ESS,ディーセルエンジン,燃料電池,外部電源)が故障した場合,残りの電源が縮
退モードの要求事項を満たさなければならない。

6.6 安全上の要求事項

6.6.1  電気的危険性に対する防護
電気的危険性に対する防護は,JIS E 5051に従って運転手,保守要員及び乗客について考慮する。
6.6.2 火災挙動及び防護
燃料,ESUその他の火災防護対策は,使用者が規定する。規定がない場合は,附属書C参照。
6.6.3 その他の要因に対する防護
ESUについて外部からの機械的衝撃に対する防護は,IEC 62262に従って施す。
ESUからの影響,例えば,爆発,ガスの発散及び/又は放出などから,環境,運転手,保守要員及び乗
客を防護する処置を考慮する。
6.6.4 短絡保護
ESSは,適切な短絡保護を設けなければならない。
使用者は,ハイブリッドシステムの一部に短絡保護を備えるか否かを仕様書に規定する。
試験は,8.9によって実施する。

6.7 寿命に対する要求事項

  ESUの寿命の算定を考慮することが望ましい。部品供給業者が提供するデータを使用できる。寿命モデ
ル構築においては運転パターンを考慮する。ESU寿命モデルの構築及び寿命算定は用途に依存し,必要に
応じ部品供給業者又はESU供給業者とシステム供給業者及び使用者との間で協定する。
寿命末期(EOL)の定義として次の例がある。
a) 部品に注目した場合(特に,EDLCの場合) 時間経過は静電容量を低下させ内部抵抗を増大させる。
そのため,使用者と製造業者とは“静電容量が初期静電容量に対しあるパーセントXより低下す
るか,又は内部抵抗が初期抵抗値のY倍となったときをEOLとする。”と協定することができる。
X,Y又はほかの値は,プロジェクトによって使用者と製造業者とで協定することが望ましい。
b) 運転パターンに注目した場合 運転パターンをシステムインテグレータ又は使用者が提供することが
望ましい。ESU供給業者及び/又はシステムインテグレータはこのパターンに従って寿命を推定する。

6.8 ハイブリッド車両の騒音に関する追加要求事項

  測定方法は,JIS E 4041参照。
特定の騒音に関する要求事項がある場合,騒音の発生(の規定値)は使用者と製造業者との協定によっ
て定める。

7 試験の種類

7.1 一般

  試験は,次の三つの種類に分類される。
a) 形式試験
b) 任意試験
c) 受渡試験
システムの個別機器の受渡試験は,関連する規格に従って実施する。幾つかの最低限の受渡試験を次に

――――― [JIS E 4071-1 pdf 25] ―――――

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JIS E 4071-1:2019の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 62864-1:2016(MOD)

JIS E 4071-1:2019の国際規格 ICS 分類一覧

JIS E 4071-1:2019の関連規格と引用規格一覧