JIS E 4071-1:2019 鉄道車両―車上エネルギー貯蔵システム―第1部:シリーズハイブリッドシステム | ページ 6

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規定する。
試験レベルを次に分類する。
・ 車両/システムインタフェース試験(レベル1) 一体で動作する論理インタフェース(補助回路機
器,車両全体の制御装置,地上設備及び信号設備などとの)及びハードウェアのインタフェース(電
線など)
例 ハイブリッドシステムの制御装置,補助回路機器及び車両全体の制御装置のインタフェース。
・ システム及びインタフェース試験(レベル2) 車両と主回路(駆動)との物理的及び制御上のイン
タフェース
例 ESU/ESS,直流中間リンク,主回路装置,ブレーキ抵抗器及びPPS並びにハイブリッドシス
テム制御装置(各装置の制御装置を兼ねるか,専用の制御装置を設けるか)とのインタフェー
ス。
・ コンポーネント試験(レベル3) 図2に示すESU,電力変換装置,電動機など
・ サブコンポーネント試験(レベル4) ESU内のリチウム二次電池,EDLCなど
7.5及び表2参照。

7.2 形式試験

  新しいシステムでは定格,特性及び性能を検証するため各新設計箇所に関係するレベル2及びレベル1
で形式試験を実施する。サブコンポーネント,コンポーネント,システム及び/又は車両の供給業者は,
供給範囲に応じた適切なレベルの形式試験を実施する責任を負う。レベル3及びレベル4は,関連する部
品の規格に従って事前に実施する。
システムに対する形式試験後に組み合わせたシステム内の機器の設計,又は製造過程に変更が生じた場
合,組み合わせたシステムへの変更の影響を評価する。形式試験を再実施するか又は一部の形式試験を実
施するかの判断は,使用者と製造業者とで協定する。製造業者が同等システムに対する全試験項目を網羅
した形式試験報告書をあらかじめ準備できる場合,形式試験は,使用者と製造業者との協定によって省略
することができる。
(実測で検証済の)信頼できるモデルによるシミュレーション結果で試験の代替とすることができる。
これは使用者と製造業者との協定によって決定する。

7.3 任意試験

  任意試験はハイブリッドシステムの追加情報を得るために実施することができる。任意試験は必須では
なく,使用者と製造業者との協定によって,必要とした場合に限り実施する。使用者と製造業者との特別
な協定がなければ,試験結果はシステムの合否判定基準として扱わない。

7.4 受渡試験

  受渡試験はシステム又は車両が正しく組み立てられ,全ての部品,システム及び/又は車両機能が適切
で安全に動作することを検証する。受渡試験は全ての部品,システム及び/又は車両に対し全ての試験項
目について製造業者が実施する。ただし,製造業者と使用者との協定があれば,製造業者及び使用者は,
協定によって代替の試験手順を採用してもよい。その結果同時に発注された製品に対し受渡試験項目を減
らし,ランダムに選んだ部品,システム及び/又は車両にだけ全ての受渡試験項目を行う方法によっても
よい。
受渡当事者間の協定に基づく受渡試験は,仕様書に規定された場合だけ実施する。

7.5 試験の種類

  試験の種類は,表2による。

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試験は,部品試験,組合せ試験及び車両試験に分類される。
使用者からの特別な要求事項は,使用者と製造業者との間で協定する。
表2に挙げる試験の位置付けは,使用者と製造業者との間で審議し協定することができる。
表2−試験一覧表
試験項目 試験の位置付け 試験の種別 レベルa) 箇条/細分箇条
試験台での組合せ試験
ESS充放電制御機能 B T 2 8.3.1
外部充放電試験 B O 2 8.3.2
開放試験 C又はB T 2,3 8.3.3
縮退モード試験 B O 2 8.3.4
SOC/SOE試験 B O 2 8.3.5
最大トルクでの加減速試験 B T 2 8.4.1
エネルギー貯蔵システムだけでの出力トルク試験 B T 2 8.4.2
システムシーケンス試験 − − − 8.5
a) システム起動 B T 2 −
b) 力行運転(保護条件による電力制限を含む。) B T 2 −
c) 回生試験(保護条件による電力制限も含む。) B T 2 −
d) 1台以上のESS及び/又はESUの開放 B T 2 −
e) 1台以上のESS及び/又はESUの再接続 B T 2 −
f) 1台以上のPPSの開放 B T 2 −
g) 1台以上のPPSの再接続 B T 2 −
h) システムシャットダウン B T 2 −
i) 冗長性及び縮退モード B T 2 −
エネルギー効率及びエネルギー消費量測定 B O 2 8.6.2
燃料消費量の算定 B O 2 8.6.3.1
排気ガス排出レベルの算定 B O 2 8.6.3.2
ESSの運用持続時間の測定 B O 1 8.7.2
低温運転試験 B又はC O 2又は3 8.8.2
高温運転試験 B又はC O 2又は3 8.8.3
短絡保護試験 B又はC O 2又は3 8.9
ESU耐久試験 C O 4 8.10
車両レベル
ESS開放試験 V R 1 9.2
車両シーケンス試験 − − − 9.3
j) システム起動 V R 1 −
k) 力行運転 V R 1 −
l) 回生ブレーキ運転 V R 1 −
m) 1台以上のESS及び/又はESUの開放 V R 1 −
n) 1台以上のESS及び/又はESUの再接続 V R 1 −
o) 1台以上のPPSの開放 V R 1 −
p) 1台以上のPPSの再接続 V R 1 −
q) システムシャットダウン V R 1 −
r) 冗長性及び縮退モード V R 1 −
駆動システムの消費エネルギー測定 V O 1 9.4
燃料消費の算定 V O 1 9.5.1
排気ガス排出レベルの算定 V O 1 9.5.2

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表2−試験一覧表(続き)
試験項目 試験の位置付け 試験の種別 レベルa) 箇条/細分箇条
補助回路の消費電力量測定 V O 1 9.6
ESSによる車両の運用持続時間試験 V O 1 9.7
騒音測定 V O 1 9.8
注記1 表中の“任意”形式試験は,使用者と製造業者との協定によって実施することが望ましい。“任意”形式試
験と任意試験は,同じ試験の種類ではない。
注記2 試験の位置付けの略号は,次のとおりである。
C : 部品試験
B : 組合せ試験
V : 車両
注記3 試験の種別の略号は,次のとおりである。
T : 形式試験
O : 任意試験
R : 受渡試験
注a) レベルについては7.1参照。

7.6 合否判定基準

  箇条8及び箇条9に規定のない合否判定基準は,次による。
・ 機能に関しては,システムが規定どおり正常に動作することを検証する。
・ 性能又は特性試験に関しては,性能又は特性が仕様書に適合することを検証する。仕様書は使用者と
製造業者との協定で定める。

8 組合せ試験

8.1 一般

  箇条8に規定する以外の試験項目は,JIS E 5008,JIS E 5011,JIS E 6102及びJIS E 6103参照。

8.2 試験条件

  試験条件は,JIS E 5011による。

8.3 ESS制御

8.3.1  ESS充放電制御機能
ESSの定格電力での充放電は,使用者と製造業者との間で協定された要求事項に従って実施する。例え
ば,PPS,ESS及び電力変換装置のパワーフローを監視し,適切に制御していることを検証する。
8.3.2 外部充放電試験
外部充放電機能が備わっている場合は,指定された充放電の速さで時間,電流及び電圧を測定する。初
期温度及び冷却条件は使用者と製造業者との間の協定で定める。しかし,充電の下限及び上限は,定電流
及び/又は定電圧の充放電が可能な範囲内に設定する。
8.3.3 開放試験
どの電源が故障した場合でも,損傷又は安全を損なうことなく故障した装置を開放できなければならな
い。例えば,保守用に設置している手動開放機構をもつ場合は,試験を実施しなければならない。
8.3.4 縮退モード試験
縮退モードが規定されている場合は,例えば,ESU/ESS,ディーゼルエンジン,燃料電池又は外部電
源などの電源の一部又は全部が開放された状態で,どの部品も恒久的な損傷又は安全を損なうことなく車
両が運転できなければならない。

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縮退モード特有の使用範囲は,使用者と製造業者との間の協定で定める。
8.3.5 SOC/SOE試験
ESSのSOC又はSOEは最初に設定する。SOC又はSOEの変化は,あらかじめ定められた運転パターン
全域にわたり時間とエネルギーとを測定することで常時監視しなければならない。これは電荷又はエネル
ギーの収支積算を適切に行い,通常運転終了時に,算出されたSOC又はSOEを初期時と同じ状態に戻す
(例えば,エンジン出力によって)ためである。
繰返し運転パターンが必要な場合は,各運転パターン終了後にSOC又はSOEを運転前と同じ状態とす
るよう後処理を行うことが望ましい。後処理は,例えば,外部又は内部電源,架線,第三軌条などの,ESS
単体での充放電で行ってもよい。
この試験の合否判定基準は,使用者と製造業者との間で協定する。

8.4 出力トルク

8.4.1  最大トルクでの加減速試験
シリーズハイブリッドシステムのトルク特性は,設計どおりであることを検証する。各電源(PPS又は
ESS)の分担を測定することが望ましい。
測定は,JIS E 5011の箇条7(トルク特性試験)に従って実施する。
試験は,主電動機の熱時に力行及び電気ブレーキにおいて,最大ノッチで全速度領域にわたり徐々に速
度を上昇及び低下させて実施する。このときシステムの異常な停止があってはならない。速度変化率は,
各用途及びシステムに適切に設定することが望ましい。
最大力行又はブレーキ指令を与えたとき,シリーズハイブリッドシステムは,自動的にESSの状態に関
係なく,出力可能な電力を供給しなければならない。
ESS及び/又はPPSからの電力又はエネルギー制限によって,最大性能が利用できなくてもよい。
ESSによってアシスト又は制限された特性を測定する。
8.4.2 エネルギー貯蔵システムだけでの出力トルク試験
エネルギー貯蔵システムだけでの運転が必要な場合は,PPSを開放しエネルギー貯蔵システムからのエ
ネルギーでの規定のトルクを出力する。

8.5 システムシーケンス試験

  システムシーケンス試験の目的は,運転パターンと関係なく,組み合わせた装置が規定の運転順序で動
作することを確認する。次の運転順序を確認する。
a) システム起動 制御電源を投入しシステムの起動に必要な動作が行われる。
b) 力行運転(保護条件による電力制限を含む。) 力行指令を投入し主回路が力行回路を構成し,起動
を開始する。規定の速度範囲の複数の引張指令で試験する(JIS E 5011の箇条7参照)。
c) 回生試験(保護条件による電力制限も含む。) ブレーキ指令を投入し主回路がブレーキ回路を構成
し,ブレーキを開始する。規定の速度範囲の複数のブレーキ指令で試験する(JIS E 5011の箇条7参
照)。
d) 1台以上のESS及び/又はESUの開放 1台以上のESS及び/又はESUを開放する。このシーケン
スは規定の条件で実施する。ESS/ESU又は電力変換装置が作動中にこのシーケンスを行う場合は,
ESS/ESU又は電力変換装置が開放前に安全に停止する(8.3.3参照)。
e) 1台以上のESS及び/又はESUの再接続 手順d) で開放したESS及び/又はESUが,再接続でき
る。このシーケンスは規定の条件で実施する。再接続後にESS/ESU又は電力変換装置は規定どおり
正常に動作する。

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f) 1台以上のPPSの開放 1台以上のPPSを開放する。このシーケンスは規定の条件で実施する。電力
変換装置が作動中にこのシーケンスを行う場合は,電力変換装置が開放前に安全に停止する(8.3.3参
照)。
g) 1台以上のPPSの再接続 手順f) で開放したPPSが,再接続できる。このシーケンスは規定の条件
で実施する。再接続後にPPSは規定どおり正常に動作する。
h) システムシャットダウン 運転終了後に主回路,制御回路ほかを順序遮断することでシステムを停止
できる。
i) 冗長性及び縮退モード 冗長性及び縮退モードの試験は,規定どおりに実行する(8.3.4参照)。
異常動作(例えば,過電圧,過電流,意図しないシステム遮断など)が発生しない。

8.6 エネルギー効率及びエネルギー消費量

8.6.1  一般
システムは等価負荷と組み合わせて運転し,JIS E 5011の8.3(ルートプロファイルによる電力消費量)
に従った測定を実施する。負荷条件は設備の制約によって実際と異なってもよい。
試験は定常状態,例えば,電力変換装置,電動機,ESSなどが熱的平衡状態になった後に実施する。(実
測で検証済の)信頼できるモデルによるシミュレーション結果で試験の代替とすることができる。これは
使用者と製造業者との協定によって決定する。
測定手順は,JIS E 5011参照。JIS E 5011に示す合否判定基準は,ESSのエネルギー消費量は含まれて
いない。ESSを含むエネルギー消費量の合否判定基準は,使用者と製造業者とで協定しなければならない。
製造業者は附属書Bに示す,例えば,PPS(燃料消費を含む。),ESSなどの装置に適切な精度をもつ測定
機器を選択する責任がある。
この規格は試験台で行う測定,並びに工場内及び線路上での完成車両試験に適用する。営業運転用の車
上エネルギー測定システムと異なる,仮設の測定装置を使用してもよい。
使用者と製造業者との協定によって,IEC 62888を営業運転の車上エネルギー測定の方法及び誤差の定
義の規定に適用,使用してもよい。例えば,IEC 62888-2に規定するように電圧計,電流形及び電力計の
エネルギー測定装置の精度の計算に二乗和平方根を用いることができる。
8.6.2 エネルギー効率及びエネルギー消費量測定
8.6.2.1 一般
規定の運転(間隔,距離,速度など)で,エネルギー効率及びエネルギー消費量を測定する。
エネルギー効率及びエネルギー消費量を算定するために,規定の運転で図2の全てのサブシステムの電
圧及び電流を同時に測定しパワーを時間積分する。必要があれば使用者と製造業者との協定で,サブシス
テム内の幾つかの部品(に注目し)を測定してもよい。
8.6.2.2 準備
規定の運転を開始する前のESSのエネルギーレベルを決定する。
8.6.2.3 測定機器
測定機器の精度は,JIS E 5011の6.4(測定精度及び許容差)に適合する。
8.6.2.4 測定位置
端子及び配線の損失を最小限とする測定方法で行う。測定位置を次に示す。
a) PS 電源の出力端子で測定する。直流又は交流電力の電流及び電圧センサーは,PPSのエネルギー
消費量を決定するために使用できる。必要によって流量計も軽油又はガス燃料消費量測定に使用でき
る。

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JIS E 4071-1:2019の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 62864-1:2016(MOD)

JIS E 4071-1:2019の国際規格 ICS 分類一覧

JIS E 4071-1:2019の関連規格と引用規格一覧