JIS E 4071-1:2019 鉄道車両―車上エネルギー貯蔵システム―第1部:シリーズハイブリッドシステム | ページ 7

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b) SS ESSの出力端子で測定する。
c) 主回路装置 入力端子で測定する。
d) ブレーキ抵抗器 ブレーキ抵抗器の入力端子で測定する。
e) 補助回路機器(AUX) 補助回路の主な電力が補助電源装置から供給される場合は,補助電源装置の
入力端子で測定する。
f) サブシステムの部品 必要があれば,例えば,電力変換装置,交流き電のPPS用変圧器など,サブシ
ステムの部品の効率を算定するために,使用者と製造業者との協定によって部品の測定を実施しても
よい。
8.6.2.5 測定
力行及び回生ブレーキのエネルギー測定するために,規定の運転を規定回数繰り返す。
試験後にESSの貯蔵エネルギー及び初期レベルとの相違を測定し,算出する。
初期と各運転パターン(負荷サイクルで)の終わり又は全繰返しサイクルの終わりにSOC/SOEを運転
前と同じ状態とする後処理を行うことが望ましい。後処理は,例えば,外部若しくは内部電源又は架線に
よる,ESS単体での充放電で行ってもよい。
試験の運転パターン及び負荷条件は,使用者と製造業者とで協定する。
8.6.2.6 性能を満足するために必要なシステムのエネルギー消費量計算
試験の最後に,電源から供給されたエネルギーからESSに試験中に新たに貯蔵されたエネルギーを差し
引いてシステムのエネルギー消費量を計算する。システムのエネルギー消費量は,主回路装置,ブレーキ
抵抗器及び補助回路機器の消費量を含む。
ESSの電荷又はエネルギーに差異がある(ΔSOC/ΔSOE)場合,電荷又はエネルギーの差異をエネルギ
ー消費量に換算することで差異を調整することができる。
8.6.2.7 該当特定運転パターンのエネルギー消費量計算
8.6.2.5で測定したエネルギー消費量を基に,走行距離と負荷とから該当運転パターンでの消費量を計算
する。
8.6.3 燃料消費及び排気ガス排出量の算定(エンジン又は燃料電池の場合)
8.6.3.1 燃料消費の算定
規定の運転パターン及び負荷条件での燃料消費を測定し,又は計算する。試験の運転パターン及び負荷
条件は,使用者と製造業者とで協定する。
使用者と製造業者との協定によって,燃料消費は,燃料タンクで測定する実燃料消費又は事前に定置試
験で得られたエンジンの運転状況ごとの燃料消費データを基にしたこの試験時のエンジンの運転状況から
換算した値のいずれかで決定する。
8.6.3.2 排気ガス排出レベルの算定
排気ガスの排出量を測定し,又は計算する。その成分を分析する。
使用者と製造業者との協定によって,排気ガス排出量は,実測定又は事前に定置試験で得られたエンジ
ン運転状況ごとのガス排出量データを基にしたこの試験でのエンジンの運転状況から換算した値のいずれ
かで決定する。

8.7 ESSによる車両の運用持続時間試験

8.7.1  一般
この試験は,ESSが要求される運転でエネルギーを供給できる性能があるかを検証する。
(実測で検証済の)信頼できるモデルによるシミュレーション結果で試験の代替とすることができる。

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例えば,試験設備の制約などが理由となる。これは使用者と製造業者との協定によって決定する。
8.7.2 ESSの運用持続時間の測定
PPSを開放し,ESSからの電力を用いて規定の運転(持続時間,距離,速度など)ができる。
PPSを開放し,ESSだけを使用して運転持続時間を確認する。

8.8 環境試験

8.8.1  一般
システムは指定の温度(低温及び高温)で動作しなければならない。この試験は,主にESUに焦点を当
てる。
既存の同様のシステムの部品レベル試験又は信頼性試験結果を,使用者と製造業者との協定によって使
用できる。
8.8.2 低温運転試験
規定の温度等級の下限温度(例えば,IEC 62498-1:2010の表2のT1で周囲温度−25 ℃)で運転を開始
した後,ESUが規定の運転パターン起動を供給できる状態になるまでの時間を測定する。加温,冷却など
によってESUの温度は平衡状態であることを考慮する。
使用者と製造業者との協定によって部分的なサブシステム試験を行ってもよい。
試験設備の制約がある場合,試験方法は使用者と製造業者との協定で定める。
8.8.3 高温運転試験
ESUの上限温度(例えば,IEC 62498-1:2010の表2のT1で機器箱内温度50 ℃)で,規定の運転パター
ンを測定する。加温,冷却などによってESUの温度は平衡状態であることを考慮する。
使用者と製造業者との協定によって部分的なサブシステム試験を行ってもよい。
試験設備の制約がある場合,試験方法は使用者と製造業者との協定で定める。
注記 例えば,試験を規定の最大周囲温度で行わない場合,温度測定結果(10 ℃と40 ℃との間で)
を直線補外するか,又は温度シミュレーションモデル(例えば,内部抵抗の変化を考慮するな
ど)を用いて最大運転温度に補正する。

8.9 短絡保護試験

  製造業者と使用者との協定による適切な方法によってESSの規定箇所を短絡する。
オフ状態で故障条件を作成してからシステムを起動させて試験を行ってもよい。
短絡したときに,ESSが使用者と製造業者とで協定したハイブリッドシステムの保護の考え方の規定ど
おりに動作する。
試験設備が損傷する可能性によって制約がある場合は,試験方法を製造業者と使用者との協定で定める。

8.10 ESU耐久試験

  耐久試験は,サブコンポーネントレベル関連規格に従って実施する。
・ EDLCの耐久サイクル試験は,JIS E 5012-3に従って実施する。
・ リチウム二次電池の耐久サイクル試験は,IEC 62928で規定する。
(実測で検証済の)信頼できるモデルによる耐久性シミュレーション結果で試験の代替とすることがで
きる。例えば,特に,営業運転の負荷サイクル試験などが該当する。これは使用者と製造業者との協定に
よって決定する。

――――― [JIS E 4071-1 pdf 32] ―――――

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9 車両試験

9.1 一般

  ハイブリッド車両の完成車両試験を,次に示す。
次に規定のない試験項目は,JIS E 4041参照。
例えば,試験設備の制約がある場合,(実測で検証済みの)信頼できるモデルによるシミュレーション結
果で試験の代替とすることができる。これは,使用者と製造業者との協定によって適用することができる。

9.2 ESS開放試験

  ESSは緊急時又は故障時に自動又は手動によって,即座かつ安全に開放されなければならない。例えば,
保守用に開放手段を備えている場合,手動及び/又は自動で開放することを試験する。
注記 この試験は車両シーケンス試験の一部で実施する。

9.3 車両シーケンス試験

  車両シーケンス試験の目的は,完成車両が規定の運転順序で動作することを確認する。次の運転順序を
確認する。
a) システム起動 制御電源を投入し,車両の起動に必要な動作が行われる。
b) 力行運転 力行指令が投入され,力行回路が構成されることで,起動を開始する。規定の速度範囲で,
複数の引張力指令[電力アシスト(図10参照)及び/又は電力制限(図11参照)の機能をもつ場合,
それらを含む。]で試験する{JIS E 4041の9.2[力行性能(速度・引張力特性)]参照}。
c) 回生ブレーキ運転 ブレーキ指令が投入され,ブレーキ回路が構成されることで,ブレーキを開始す
る。規定の速度範囲で,複数のブレーキ指令[電力アシスト(図10参照)及び/又は電力制限(図
11参照)の機能をもつ場合,それらを含む。]で試験する[JIS E 4041の9.4(ブレーキ試験)参照]。
d) 1台以上のESS及び/又はESUの開放 1台以上のESS及び/又はESUを開放する。このシーケン
スは,規定の条件で実施する。ESS/ESU又は電力変換装置が作動中にこのシーケンスを行う場合は,
ESS/ESU又は電力変換装置が開放前に安全に停止しなければならない(9.2参照)。
e) 1台以上のESS及び/又はESUの再接続 手順d) で開放したESS及び/又はESUが,再接続でき
る。このシーケンスは,規定の条件で実施する。故障が除かれるか故障した部品/システムが安全に
開放していれば,再接続後にESS/ESU又は電力変換装置は規定どおり正常に動作する。
f) 1台以上のPPSの開放 1台以上のPPSを開放する。このシーケンスは,規定の条件で実施する。電
力変換装置が作動中にこのシーケンスを行う場合は,電力変換装置が開放前に安全に停止する。
g) 1台以上のPPSの再接続 手順f) で開放したPPSが,再接続できる。このシーケンスは,規定の条
件で実施する。故障が除かれるか故障した部品/システムが安全に開放していれば,再接続後に車両
は規定どおり正常に動作する。
h) システムシャットダウン 主回路,制御回路などのスイッチ切順序に従って,指令によって車両シス
テムを停止できる。
i) 冗長性及び縮退モード 冗長性及び縮退モードが,規定どおり行うことができる。
異常動作(例 過電圧,過電流,意図しないシステム遮断など)がみられない。

9.4 駆動システムの消費エネルギー測定

  使用者が規定する区間,運転パターン及び負荷条件で消費エネルギーを測定する。運転パターンと負荷
条件は使用者と製造業者との協定で定める。
測定方法は,8.6.2参照。
注記 測定結果の評価に開始及び終了位置の標高を考慮する。

――――― [JIS E 4071-1 pdf 33] ―――――

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9.5 燃料消費及び排気ガス排出量の算定(エンジン又は燃料電池の場合)

9.5.1  燃料消費の算定
燃料消費の算定は,8.6.3.1参照。
9.5.2 排気ガス排出レベルの算定
排気ガス排出レベルの算定は,8.6.3.2参照。

9.6 補助回路の消費電力量測定

  エネルギーの主消費部分として補助回路機器(例えば,空調)がハイブリッドシステムの運転に影響が
大きいので,補助回路の消費電力量を測定する。
補助電源装置が補助回路の全電力を供給する場合は,補助電源装置の入力端子で測定する。
補助電源装置の負荷以外の回路がある場合は,各回路ごとに消費エネルギーを測定する。

9.7 ESSによる車両の運用持続時間試験

  ESSの運転時間の算定は,8.7.2参照。

9.8 騒音測定

  走行時及び停車時の騒音を測定する。
騒音の測定は,JIS E 4041の9.17[騒音試験(任意の試験)]参照。
ハイブリッドシステムに特別なエンジンと冷却器の間欠運転とを考慮し,例えば,ある条件におけるデ
ィーゼルエンジン又は冷却器のような,PPSを構成する機器の起動/停止の組合せで騒音を測定する。
必要があれば使用者と製造業者との協定によって,部品試験又は試験台の試験で部品又はサブシステム
について実施する。

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附属書A
(参考)
電池及びコンデンサの充電状態(SOC)及びエネルギー状態(SOE)
A.1 容量及びエネルギー内容
A.1.1 一般
この規格では容量とエネルギーとを理論,定格及び使用可能の三つの区分で定義する。この附属書の主
な目的は,採用する電池技術の電池及び/又はコンデンサのESUに適用する定義又は関係を詳述し,明ら
かにすることである。
例えば,図A.1は,コンデンサ及び電池が蓄える容量及びエネルギーの各定義の相違を示している。
Qusemin
ETh 理論エネルギー ER 定格エネルギー
Euse 使用可能エネルギー
Qmax 最大電荷 Qmin 最小電荷
QUmax 最大電圧での電荷 QUmin 最小電圧での電荷
Qusemax 最大使用可能電荷 Qusemin 最小使用可能電荷
U 電圧 UOC 開回路電圧
UR 定格電圧 Umax 最大電圧
Umin 最小電圧
Uuse 最大使用可能電圧 Uusemin 最小使用可能電圧
注記 電池では,微少電流に対し使用可能エネルギーは定格エネルギーと同等となる。
図A.1−容量及びエネルギー内容の相違
A.1.2 理論エネルギー
理論エネルギーEThの定義は,3.1.18.1による。(例えば,ジュール熱又はオーム熱の損失なしでエネルギ
ー貯蔵機器から放電可能な)微少放電電流でESUに貯蔵する最大エネルギー量である。

――――― [JIS E 4071-1 pdf 35] ―――――

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JIS E 4071-1:2019の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 62864-1:2016(MOD)

JIS E 4071-1:2019の国際規格 ICS 分類一覧

JIS E 4071-1:2019の関連規格と引用規格一覧