JIS E 4071-1:2019 鉄道車両―車上エネルギー貯蔵システム―第1部:シリーズハイブリッドシステム | ページ 8

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E 4071-1 : 2019
コンデンサの理論エネルギーは,最大電圧に基づき式(A.1)となる。
1CU 2
ETh max (A.1)
2
ここに, ETh : 理論エネルギー
C : 静電容量
Umax : 最大電圧
注記 (EDLCの)静電容量の測定は,JIS E 5012-3参照。
コンデンサでは全電荷を電極間から取り除く又は放電可能で,対応する理論上最低電圧はゼロである。
つまりUmin=0。
A.1.3 定格エネルギー
定格エネルギーERの定義は,3.1.18.2による。“定格”条件でESUから放電可能なエネルギー量である。
電池の定格エネルギーは,放電試験の定電流と測定電圧との積の積分である(例 C5率)。
例えば,リチウム二次電池の定格エネルギーはIEC 62928の結果及びJIS C 8715-1参照。
コンデンサの定格エネルギーは,実用的には定格電圧を基に,式(A.2)となる。
1CU 2
ER R (A.2)
2
ここに, ER : 定格エネルギー
C : 静電容量
UR : 定格電圧
注記 EDLCの定格エネルギーERは,等価直列抵抗ESRの損失のため完全には得られない。
A.1.4 使用可能エネルギー
使用可能エネルギーEuseの定義は,3.1.18.3による。あらかじめ規定されたSOC又は電圧の制限範囲内
において放電可能なエネルギーのうち使用可能な部分である。最大及び最小限度値は,通常,使用者と製
造業者とによって設定する。
例えば,機器の制約による電力,電流又は最大及び最小電圧を定めてもよい。
電池の使用可能エネルギーは,使用者と製造業者とで最初に協定した負荷サイクルの制約なく,使用可
能なエネルギーである。
コンデンサの使用可能エネルギーは,式(A.3)のように事実上,最高使用可能電圧におけるエネルギーと
最小使用可能電圧におけるエネルギーの差である。
1 2 1 2
Euse CUuse CUusemin (A.3)
2 2
ここに, Euse : 使用可能エネルギー
C : 静電容量
Uuse : 最大使用可能電圧
Uusemin : 最小使用可能電圧
注記 EDLCの使用可能エネルギーEuseは,等価直列抵抗ESRの損失のため完全には得られない。
A.2 SOC及びSOEの内容
A.2.1 一般
容量及びエネルギーについて幾つかの定義があるため,充電状態(SOC)及びエネルギー状態(SOE)

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を容量及びエネルギーの内容の組合せとして次に定義する。
目的及び用途によって使用者が適宜定義を選択する。
一般にSOCは定義に基づいて使用可能な最大量(例 理論,定格又は使用可能)に対するESUに残存
する容量との比率である。SOCは,通常(0.01.0の)小数又はパーセント(%)で表す。1.0又は100 %
のSOCの値は満充電状態を表し,0.0又は0 %は完全放電状態を表す。SOEはESUの使用可能なエネルギ
ーの比率で,小数又はパーセントで表す。
A.2.2 理論目的
理論目的としては,式(A.4)及び式(A.5)の定義が適切である。
CHThremaining
SOCTh (A.4)
CHTh
EThremaining
SOETh (A.5)
ETh
ここに, CHTh : 理論容量(Ah)
CHThremaining : 残存理論容量(Ah)
ETh : 理論エネルギー(Wh)
EThremaining : 残存理論エネルギー(Wh)
A.2.3 一般目的
一般目的としては,式(A.6)及び式(A.7)の定義が適切である。
CHRremaining
SOC (A.6)
CHR
ERremaining
SOE (A.7)
ER
ここに, CHR : 定格容量(Ah)
CHRremaining : 残存定格容量(Ah)
ER : 定格エネルギー(Wh)
ERremaining : 残存定格エネルギー(Wh)
A.2.4 実用目的
実用目的としては,式(A.8)及び式(A.9)の定義が適切である。
CHuseremaining
SOCEf (A.8)
CHuse
Euseremaining
SOEEf (A.9)
Euse
ここに, CHuse : 使用可能容量(Ah)
CHuseremaining : 残存使用可能容量(Ah)
Euse : 使用可能エネルギー(Wh)
Euseremaining : 残存使用可能エネルギー(Wh)
A.2.5 使用可能な係数
使用可能な係数としては,寿命初期(BOL)及び寿命末期(EOL)の両方に適用できる,式(A.10)及び
式(A.11)の定義が適切である。
CHuse
COUSOC (A.10)
CHR

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Euse
COUSOE (A.11)
ER
ここに, CHR : 定格容量(Ah)
CHuse : 使用可能容量(Ah)
ER : 定格エネルギー(Wh)
Euse : 使用可能エネルギー(Wh)
注記 異なる容量又はエネルギーのほかの組合せの比率も,必要によって使用できる。
(A.2.2A.2.4の比は同じ条件で比較したもの。A.2.5は条件の異なるものの比較。)
CHR
COUSOCRTh (A.12)
CHTh
ER
COUSOERTh (A.13)
ETh
CHuse
COUSOCuseTh (A.14)
CHTh
Euse
COUSOEuseTh (A.15)
ETh

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附属書B
(参考)
エネルギー関連の用語及び定義
B.1 一般
この附属書はエネルギー関連の定義,用語及び詳細計算方法について記載する。
同じ“回生率”という用語に様々な定義が,広く用いられていることに留意することが望ましい。例え
ば,図9に示す構成(架線で給電される非ハイブリッド車両)の回生性能は,集電装置(例えば,パンタ
グラフ又は集電舟)を通じた車両と給電線間の送電電力の計測によることが一般的である。しかし,この
ことは,主回路装置が回生電力を発生していても,回生電力が補助負荷へ供給する電力より小さい場合の
給電線から車両へのパワーフローが正になることもあることを意味する。
それゆえ,図9に示すPPSサブシステムでの損失が無視できる場合でも,供給,回生及び消費電力,回
生率並びにほかの多くの車両の性能指標が,次に定義する主回路装置の指標と大きく異なることがあり得
る。
また,個々の回路構成によって,エネルギー関連の性能指標の適切な解釈は,大きく異なることに留意
することが望ましい。例えば,図6の構成では,PPSへの回生エネルギーは,基本的に電力網に戻され再
利用される。しかし,図4では,エンジン又は排気ブレーキによって消費され,再利用されないのだから,
別の解釈が望まれる。
それゆえ,エネルギー効率の性能指標は,明確に定義しシステムの構成によって適切に扱われることが
望ましい。
B.2 回生指標の用語及び定義
B.2.1
電源サブシステム(power source subsystem)
シリーズハイブリッドシステムの構成品のうち,主な動作がシステムのほかの構成品に電力を供給する
動作であるもの。
注記 ESSは,状況によって電源と電力吸収要素との両方とみなすことができる。
B.2.2
電力吸収サブシステム(power sink subsystem)
シリーズハイブリッドシステムの構成品のうち,主な動作がシステムのほかの構成品から電力を受けて,
指定の目的を完遂するため,それを消費する動作であるもの。
注記 B.2.1の注記参照。
B.2.3
供給エネルギー(supplied energy)
<シリーズハイブリッドシステムの電源サブシステム> 規定の運転パターンにおいて電源サブシステ
ムからシステムのほかの構成品に給電されるエネルギー量。
<シリーズハイブリッドシステムの電力吸収サブシステム> 規定の運転パターンにおいてシステムの
ほかの構成品から電力吸収サブシステムに給電されるエネルギー量。
<架線車両> 規定の運転パターンにおいて架線から車両に給電されるエネルギー量。

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B.2.4
回生エネルギー(regenerated energy)
<シリーズハイブリッドシステムの電源サブシステム> 規定の運転パターンにおいてシステムのほかの
構成品から電源サブシステムに給電されるエネルギー量。
<シリーズハイブリッドシステムの電力吸収サブシステム> 規定の運転パターンにおいて電力吸収サ
ブシステムからシステムのほかの構成品に給電されるエネルギー量。
<架線車両> 規定の運転パターンにおいて車両から架線に給電されるエネルギー量。
B.2.5
消費エネルギー(consumed energy)
供給エネルギーから回生エネルギーを減じて得られるエネルギー量。
B.2.6
回生率(regenerative efficiency)
供給エネルギーに対する回生エネルギーの比率。
B.3 シリーズハイブリッドシステムのエネルギー関連性能指標
B.3.1 一般
シリーズハイブリッドシステムのエネルギー効率を評価する場合,最も重要な指標は3.1.8に定義したよ
うに消費エネルギーである。
供給エネルギー,回生エネルギー及び/又は消費エネルギー(シリーズハイブリッドシステムの各サブ
システム及び/又はシステム全体について),回生率(主回路装置及び/又はシリーズハイブリッドシステ
ム全体について)などのようなほかの性能指標も使用できるし,適切と思われる場面では考慮されること
が望ましい。
この附属書で定義する性能指標の可能な目的は,シリーズハイブリッドシステムの各サブシステムの省
エネルギーの寄与を調査することを含むが,これに限定されるものではない。
B.3.2 測定位置
この附属書に記載する性能指標の計算には,シリーズハイブリッドシステムのリンクブロックとサブシ
ステムとのパワーフローを測定する必要がある。図B.1の構成例でパワーフローは,PPPS,PESS,PTE,PBR
及びPAUXで表す。
注記 図B.1のリンクブロックには損失があるが一般に小さく,この附属書では無視する。

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JIS E 4071-1:2019の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 62864-1:2016(MOD)

JIS E 4071-1:2019の国際規格 ICS 分類一覧

JIS E 4071-1:2019の関連規格と引用規格一覧