JIS E 6102:2015 鉄道車両―交流主電動機 | ページ 2

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用に適用されている。
なお,都市内輸送,又はそれに似た短時間運転の繰返しに用いる主電動機へのこの用語の適
用は適切ではない。
3.5
間欠負荷定格(intermittent duty rating)
間欠負荷で運転される主電動機が,表2に示す温度上昇限度をいかなる時点でも超えることなく運転で
きる,断続的な運転サイクルで与えられる機械的出力。
3.6
保証定格(guaranteed rating)
製造業者が試験のために設定する定格。主電動機の場合,通常は連続定格とするが,受渡当事者間の協
定によって短時間定格又は間欠負荷定格としてもよい。補助電動機の場合,特に指定がなければ連続定格
とする。
3.7
代用定格(rating under commercial frequency)
受渡当事者間の協定によって商用周波数電源で試験を行う場合の運転条件として定めた定格。
3.8
定格電圧(rated voltage)
主電動機を保証定格で運転するときに,供給される線間電圧の基本波の実効値。
注記 電車線から直接又は間接的に給電される主電動機の定格電圧は,附属書Dに定義されている電
車線の公称電圧の下で,定格電流が流れているときに主電動機に加えることができる最高電圧
(過渡変動を除く。)である。
3.9
最高電圧(maximum voltage)
運転中に,主電動機に供給される最も高い線間電圧の基本波成分の実効値。
3.10
繰返しピーク電圧(repetitive peak voltage)
電力変換装置の出力電圧波形のピーク値。電車線電圧の過渡変動,その他の予測できない要因で生じる
不規則な過渡ピーク値を除く。
3.11
最大電流(maximum current)
5.3で定義する規定特性に示される最大電流。
3.12
最高使用回転速度(maximum working speed)
製造業者が指定した電動機の最高回転速度。
注記1 主電動機を搭載している車両の性能が規定されている場合,この回転速度は,鉄車輪の最小
摩耗直径,又はゴムタイヤの最小踏面直径の場合の車両の最高運転速度に対応する回転速度
を下回らない。
注記2 補助電動機でこの速度を指定する場合,特殊な用途に対しては,運転中に発生し得る最も好
ましくない電圧,周波数,負荷などの条件を考慮する。

――――― [JIS E 6102 pdf 6] ―――――

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4 使用条件

  使用者が特に定める場合を除き,使用条件は,次による。
a) 標高 IEC 62498-1のクラスA3(1 200 m以下)とする。
b) 温度 日陰でIEC 62498-1のクラスT4(−10 ℃40 ℃)とする。
上記のいずれか一方,又は両方の限界を超えて運転する主電動機の場合は,受渡当事者間の協定によっ
て環境条件を設定してもよい。詳細は,IEC 60034-1による。
さらに,使用者は,主電動機がさらされる使用環境,例えば,じんあい(塵埃),湿度,温度,雪,振動・
衝撃条件などを製造業者に知らせなければならない。

5 特性

5.1 情報交換

  主電動機の設計者及び電力変換装置の設計者は,相互の連携に特に注意を払う必要がある。1台の電力
変換装置によって並列給電される主電動機の定格では,車輪直径の差及び電動機特性の差,並びに高粘着
運転時の軸重移動による負荷分担を考慮する。製造業者は,使用者に車輪直径の最大許容差を伝えなけれ
ばならない。
主電動機の設計者及び電力変換装置の設計者は,これらを組み合わせた主回路システムが,この規格の
要求事項を満たすように,技術的に必要な全ての事項について協調を図る。このため,主電動機の設計者
は,主電動機と電力変換装置との間の相互作用を十分に評価するために必要な全ての情報を,電力変換装
置の設計者に提供する。電力変換装置の設計者も,また,次の情報を主電動機の設計者に提供する。すな
わち,き電システムの最高電圧値及び最低電圧値での運転を含む全領域にわたる特性について,例えば,
電力変換装置の出力電圧波形(繰返しピーク電圧を含む。),電流,基本周波数,高調波及び電力の特性に
ついて示す。この情報交換を記録した資料は,主電動機及び電力変換装置の必須条件として仕様書に含め
る。
注記1 詳細情報は,JIS E 5008の5.3.1.1[主電動機と変換装置(インバータ)との間のインタフェ
ース]を参照する。
注記2 主電動機及び電力変換装置の間の配線長及び主電動機端子電圧のピーク値について考慮す
る。
注記3 電力変換装置の出力電圧波形及びその主電動機への影響については,IEC 60034-17を参照す
る。

5.2 基準巻線温度

  主電動機の耐熱クラスとは無関係に,基準巻線温度は150 ℃とする。この基準温度を特性曲線に注記す
る。ただし,旧JIS E 6102:2004以前に基準巻線温度115 ℃で決定した仕様の主電動機の繰返し発注品の
場合は,基準巻線温度を115 ℃としてもよい。

5.3 規定特性

  一般に,主電動機の仕様書には,この規格の関係箇条に示す特性曲線を含める。これらの特性曲線は,
“規定特性”と定義し,各変化量の設計上の限界までプロットする。受渡当事者間の協定がない限り,こ
れらの特性は,附属書Dに規定する公称電圧における性能を示し,主電動機が発注される前に製造業者が
使用者に提供する。

5.4 決定特性

  決定特性は,8.2.1に従って実施した形式試験の結果から求めた特性値で,8.2.2の裕度を満たさなければ

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ならない。事前に受渡当事者間の協定がない限り,同一使用者又は同一用途に対して以前に製造された主
電動機と電磁気的に等価な主電動機との決定特性は,以前に製造された主電動機と同一とする。その場合
は,特性の承認は受渡試験の結果だけによる。

5.5 効率特性

  効率特性は,電力変換装置からの給電に含まれる高調波の損失を考慮する。同期電動機の励磁用電力は,
損失に含める。別に考慮する場合(例えば,補助負荷として),その旨を特性曲線に明示する。

5.6 主電動機特性

  主電動機の規定特性及び決定特性は,電力変換装置給電時の特性である。また,これらの特性では,主
電動機の全使用領域にわたって回転速度の関数として,主電動機の線間電圧,電流,周波数,平均トルク
及び効率を示す。誘導電動機の特性ではすべりを示し,また,同期電動機の特性では励磁電流を示す。電
圧曲線は,基本波成分の実効値を示す。電流曲線は,基本波成分の実効値及び全実効値を示す。ブレーキ
モードで使用される主電動機については,主電動機の回転速度に応じたトルク入力及び電気出力を示す同
様の特性を求める。
注記1 主電動機の設計者と電力変換装置の設計者との間での情報交換の必要性については,5.1を参
照する。
歯数比,車輪直径及び動力伝達損失が明示されていれば,特性曲線は主電動機のトルク及び回転速度の
代わりに動輪周引張力及び車両速度を示してもよい。動力伝達損失に協定値を用いる場合は,附属書Bに
よる。
注記2 並列給電される主電動機において,車輪直径の差及び車軸間の軸重移動が及ぼす影響を考慮
する必要性については5.1を参照する。

5.7 補助電動機特性

  補助電動機の規定特性及び決定特性は,電力変換装置給電時の特性である。これらの特性では,その電
動機の全使用領域における各運転周波数に対し,電動機の出力の関数として,電動機の線間電圧,電流,
回転速度及び平均トルクを示す。連続可変周波数で運転する電動機の特性は,最大周波数及び最小周波数
だけプロットしてもよい。誘導電動機の特性はすべりを示し,また,同期電動機の特性では励磁電流を示
す。電圧曲線は,基本波成分の実効値を示す。電流曲線は,基本波成分の実効値及び全実効値を示す。こ
れらの特性では,給電高調波成分から生じる付加的損失及び保証定格における効率を明示する。
補助電動機の特性については,出力の代わりに回転速度の関数として特性曲線を作成してもよい。
注記 主電動機の設計者と電力変換装置の設計者との間での情報交換の必要性については,5.1を参照
する。

6 表示

6.1 銘板

  主電動機には,次の項目を含む銘板を取り付ける。
a) 製造業者名
b) 形式
c) 製造番号
d) 製造年
さらに,各主電動機の固定子及び回転子の両方に製造番号を刻印し,また,単一回転方向で設計した主
電動機の場合には,回転方向を明示する。

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主電動機の製造番号及び回転方向は,その主電動機を車両に取り付けた状態で読みやすいように明示す
る。

6.2 端子及びリード線の表示

  端子及びリード線の表示は,受渡当事者間の協定による。協定によらない場合,IEC 60034-8の規定に
よる。

7 試験

7.1 試験の種別

7.1.1  一般
試験の種類は,次による。
a) 形式試験
b) 受渡試験
c) 調査試験
注記 JIS E 5011-1及びJIS E 5011-2に基づいた組合せ試験を更に実施する場合,重複を避けるため
に,形式試験又は調査試験は,組合せ試験と同じ試験台で実施することが望ましい。
7.1.2 形式試験
7.1.2.1 一般
形式試験は,新形式の主電動機の定格,特性及び性能を確認するための試験である。形式試験の試験方
法は,箇条8による。この試験は,新設計の主電動機の1台について行い,受渡当事者間の協定がない限
り,その主電動機は,最初に製造された10台中の任意の1台とする。
既存の主電動機と同等の設計で製造場所及び/又は製造方法が変更となっている場合,7.1.2.4を参照す
る。
製造業者は,試験開始前に,この規格に基づく試験仕様書を使用者に提供する。
製造業者は,形式試験終了後,試験成績書を使用者に提出する。
7.1.2.2 電力変換装置給電による形式試験
各主電動機が個別の電力変換装置によって給電される場合,車両運転時に使用される電力変換装置を使
って形式試験を行うのが望ましいが,代わりに,車両の電力変換装置からの給電と電圧波形及び高調波が
同等とみなされる電源を使ってもよい。1台の電力変換装置から並列に数台の主電動機が給電される場合,
形式試験は,車両運転時に使用される電力変換装置の電圧波形及び高調波が同等とみなされる電源によっ
て1台の主電動機で行う。使用者の要求があれば,製造業者は試験時及び運転時に給電される電圧波形及
び高調波の類似性を示し,また,電源の差による主電動機性能上の影響を示す。受渡当事者間の協定がな
い限り,電力変換装置の電気出力特性が変わった場合,形式試験を再度実施する。
7.1.2.3 正弦波電源による形式試験
正弦波電源による形式試験は,主電動機特性の参考値を提供するための試験である。この試験には,受
渡当事者間の協定によって定められた定格における温度上昇試験を含む。製造業者は,電圧,周波数,ト
ルク,通風条件及び試験時間を決定する。ただし,試験時間は少なくとも1時間以上とし,実使用と比べ
て過酷とならない運転条件とする。試験条件は,同一設計品における後続の試験においても,そのまま維
持する。温度上昇試験方法は,8.1による。
7.1.2.4 繰返し形式試験
次の全ての条件を満足する場合には,その主電動機は形式試験の一部を省略してもよい。

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a) 受渡当事者間の協定がある場合。
b) 正弦波電源による形式試験(7.1.2.3参照)の結果がある場合。
c) 受渡試験の結果が以前に製造した同一仕様の主電動機の裕度内にある場合。
d) 出力特性が同じで電磁的設計も同じ主電動機に対して,同等又はそれを上回る定格で,実施された形
式試験証明書を製造業者が提出する場合。
繰返し形式試験は,繰返し発注品がある場合,及び製造方法及び/又は製造場所を変更した場合につい
て適用する。
7.1.3 受渡試験
受渡試験は,主電動機が正しく組み立てられ,適正な耐電圧試験に耐え,かつ,電気的及び機械的に健
全に動作することを実証するために行う試験である。受渡試験の試験方法は,箇条9による。受渡試験は,
全主電動機について行う。ただし,発注以前に受渡当事者間の協定があれば,それに代わる試験手法を適
用してもよい(例えば,厳密な品質管理手法の下に大量生産される電動機の場合)。その場合,例えば,次
のいずれかの方法を選択してもよい。ただし,9.5に示す耐電圧試験は全数実施する。
a) 全主電動機で実施する受渡試験項目の削減
b) 受渡試験の全項目を実施する主電動機台数を製作台数に応じて設定
7.1.4 調査試験
調査試験は,付加情報を得るために実施する任意の試験である。調査試験は,電動機の発注以前に受渡
当事者間の協定がある場合にだけ実施する。ただし,これらの試験結果は電動機の受取条件とはしない。

7.2 試験項目

  試験は,次に示す種別1を適用する。ただし,三相かご形誘導主電動機の場合は,受渡当事者間の協定
によって種別2を適用してもよい。
a) 種別1 試験項目は,表1による。
表1−種別1の適用試験項目
該当細分箇条
試験項目 誘導電動機 同期電動機
形式試験 受渡試験a) 形式試験 受渡試験a)
温度上昇試験 ○ 8.1 − ○ 8.1 −
短時間温度上昇試験/短時
○ 7.1.2.3 ○ 9.1 b) − ○ 9.2 / 9.1 b)
間温度上昇運転
特性試験 ○ 8.2 ○ 9.3.2 ○ 8.2 ○ 9.3.3
高速試験 ○ 8.3 ○ 9.4 b) ○ 8.3 ○ 9.4
耐電圧試験 − ○ 9.5 − ○ 9.5
振動測定 ○ 8.4 ○ 9.6 b) ○ 8.4 ○ 9.6 b)
騒音測定 ○ b) − ○ b) −
附属書C 附属書C
注a) 形式試験を実施した主電動機を含めて全ての主電動機は,受渡試験を実施する。
b) 試験の要否は,受渡当事者間で決定する。

――――― [JIS E 6102 pdf 10] ―――――

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JIS E 6102:2015の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60349-2:2010(MOD)

JIS E 6102:2015の国際規格 ICS 分類一覧

JIS E 6102:2015の関連規格と引用規格一覧