JIS E 6102:2015 鉄道車両―交流主電動機 | ページ 3

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b) 種別2 試験項目を,表1Aに示す。
表1A−種別2の適用試験項目
試験の種類
試験項目 該当細分箇条
形式試験 受渡試験 調査試験
一次巻線抵抗測定 ○ ○ − 8.2.1 b) 1)

無負荷試験 ○ ○ − 8.2.1 b) 2)

拘束試験 定格周波数 ○ ○ − 8.2.1 b) 3.1)

低周波数 ○ − − 8.2.1 b) 3.2)

特性の算出 ○ − − 8.2.1 b) 4)
温度上昇試験a) ○ − − 8.1
耐電圧試験 ○ ○ − 9.5
高速試験a) ○ ○ − 8.3,9.4
振動測定a) ○ ○ − 8.4,9.6
騒音測定 − − ○ 10.2
注a) 温度上昇試験,高速試験及び振動測定には,種別2としての独自の設定はないが,使用者の便を考慮
し表1と同じ項目を記載している。

8 形式試験

8.0A 試験電源

  誘導主電動機の形式試験に用いる電源は,次の種別1又は種別2のいずれかによって行う。ただし,同
期主電動機は種別1による。
a) 種別1 車両の電力変換装置出力と同等波形の電源。
b) 種別2 正弦波又は方形波の,定格又は代用定格の電圧及び周波数の電源。

8.1 温度上昇試験

8.1.1  一般
温度上昇試験は,主電動機の保証定格において行う。定格機械出力は,主電動機の軸において直接又は
間接的に測定してもよい。また,定格条件は定格機械出力とはせず,決定特性に示された主電動機に給電
される電圧,電流及び周波数としてもよい。連続定格試験の場合は,負荷増大又は冷却風の低減によって
飽和温度に達するまでの時間を短縮してもよい。その場合,定格条件を最低2時間維持するか,又は飽和
温度に達したことを適切な方法によって証明する。
飽和温度は,試験の最終1時間の温度の変化が,2 K未満となる状態とする。
8.1.2 温度上昇試験中の通風
主電動機は,車両のダクト及びフィルタを含めて,温度上昇に影響する全ての部品を現車と同様に配置
した通風状態又は等価な状態で試験する。強制通風による冷却の場合,静圧及び風量は主電動機の入気口
で測定し,この静圧及び風量の関係を示す表を作成する。一般的に車両の移動に起因する冷却は,考慮し
ないが,特殊な場合,例えば,全閉形主電動機のようにこの冷却が特に重要な場合は,受渡当事者間の協
定で試験条件を取り決めてもよい。強制通風主電動機の場合には,その通風量をJIS B 8330で規定する試
験装置を用いて測定してもよい。
8.1.3 温度測定
温度は,附属書Aに基づいて測定する。
8.1.4 結果の判定

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A.4で規定した“冷却開始時点”での巻線及びスリップリングの温度上昇は,表2に示す値を超えては
ならない。
8.1.5 温度上昇限度
絶縁システムの耐熱クラスは,JIS C 4003の規定による。表2は,主電動機に用いている絶縁処理され
た巻線及びその他の部品に対して,冷却風の温度から上昇した温度の許容限度を示す。同一主電動機の異
なる部位で耐熱クラスが異なる場合の温度上昇限度は,該当部位の耐熱クラスの値を適用する。
表2−連続定格及び短時間定格における温度上昇限度
単位 K
部位 測定方法 絶縁システムの耐熱クラス
130(B) 155(F) 180(H) 200 220 250
固定子巻線
抵抗法 130 155 180 200 220 250
同期主電動機の回転界磁巻線
スリップリング 電気温度計 120 120 120 120 120 120
誘導電動機のかご形回転子 電気温度計 全ての巻線及びその他の部位の温度上昇は,危険にするほど高く
及びダンパ巻線 しない。
全閉形主電動機に対しては,表2の温度上昇限度を10 K引き上げる。
主電動機がエンジン及びその他の熱源に直接又は間接的にさらされる場合,表2に定める値を下回る温
度上昇限度を受渡当事者間の協定によって決定できる。
8.1.6 短時間過負荷温度上昇試験
短時間過負荷定格が規定されている場合には,次に示す試験を1回以上行う。直前に実施する温度上昇
試験終了後,冷却特性を継続してプロットし,最も高い巻線温度が表3の試験開始時に示す温度まで冷却
した時点で,短時間過負荷温度上昇試験を開始する。受渡当事者間で規定した時間を運転後,8.1.3に基づ
いて温度上昇値を測定し,表3の最終時に示す温度上昇値に対し±20 Kの範囲内であることを確認する。
測定した温度上昇値が,表3の最終時に示す温度上昇値に対し±20 Kの範囲を超える場合には,電流又は
運転時間を設定し直して再度試験を実施する。
表3−短時間過負荷定格における温度上昇値
単位 K
部位 絶縁システムの耐熱クラス
130(B) 155(F) 180(H) 200 220 250
固定子巻線 試験開始時 85 100 120 130 140 155
同期主電動機の回転界磁巻線 最終時 130 155 180 200 220 250
全閉形主電動機の場合は,上記の最終時の温度上昇値に10 Kを加える。
受渡当事者間の協定があれば,試験開始時の温度にするために別の方法を用いてもよい。
受渡当事者間の協定があれば,主電動機のその他の部位(例えば,回転子,ダンパ巻線,軸受など)の
温度を測定してもよい。

8.2 特性試験及び裕度

8.2.1  特性試験
特性試験は,次の種別1又は種別2のいずれかによる。

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a) 種別1 規定特性を確認する試験は,主電動機への電気的入力及びその主電動機からの機械的出力を
測定することによって行う。出力は,直接測定するか,又は供試主電動機に駆動される効率が既知の
電気機械の出力を測定して算出してもよい。代わりに,受渡当事者間の協定によって,試験される主
電動機の出力又は入力のいずれかを損失分離法で推定してもよい。負荷試験は,基準巻線温度付近で
行い,その試験結果の値は,補正が必要ならば基準巻線温度での値に補正する。試験の測定点数は,
主電動機の決定特性をプロットするのに十分な回数を行う。電力変換装置ヘの電気入力は,受渡当事
者間の協定による方法によって測定するが,その試験結果は電動機の受取条件とはしない。主電動機
への電気入力は,主電動機の製造業者と電力変換装置の製造業者とで協定のうえ,規定特性の値を変
更してもよいが,主電動機及び電力変換装置が保証定格で運転されたときに,全ての部分の温度上昇
がそれぞれの限度内であり,かつ,主電動機の損失が8.2.2に規定する裕度の範囲内であることを条件
とする。同期主電動機の規定の励磁電流も同様に変更してもよい。
試験は,片側回転方向だけで行う。主電動機の複雑な入力波形を測定する計測器は,規定の公差に
基づき十分な精度に校正ができ,電流,電圧及び電力を表示するものを使用する。
b) 種別2 誘導主電動機の特性試験は,次による。この試験は,三相かご形誘導主電動機に限定し,か
つ,受渡当事者間の協定がある場合に適用できる。
1) 一次巻線抵抗測定 一次巻線の抵抗は,任意の周囲温度において誘導主電動機の各端子間で測定し
た抵抗値を式(1)によって換算する。
R1 385
r1 (1)
2 235 t
ここに, r1 : 150 ℃における一次巻線の一相当たりの抵抗(Ω)
R1 : 各端子間で測定した一次巻線抵抗の平均値(Ω)
t : 抵抗測定時の周囲温度(℃)
なお,電圧降下法でR1を測定する場合の測定電流は,連続定格電流の1020 %とする。
2) 無負荷試験 無負荷試験は,端子間電圧が互いに平衡している三相電源を用い,定格周波数又は代
用定格周波数において,定格電圧又は代用定格電圧で無負荷運転し,入力が一定になるまで連続運
転した後,誘導主電動機を指定された通風状態とし,一次電流,力率及び入力を測定する。
3) 拘束試験 拘束試験は,次による。低周波数の拘束試験及び特性の算出は,最初の4台について実
施し,その4台の特性の平均値を標準値とする。
3.1) 定格周波数拘束試験 回転子を拘束し,定格周波数又は代用定格周波数において,定格電流又は
代用定格電流とほぼ同じ電流を流し,直ちに一次端子電圧,電流,力率及び入力を測定する。
3.2) 低周波数拘束試験 定格周波数又は代用定格周波数の1/2の周波数において,3.1) と同じ試験方
法で行う。
4) 特性の算出 一次巻線の抵抗測定,無負荷試験及び拘束試験の結果から,定格周波数又は代用定格
周波数における誘導主電動機の定数を算出し,定格周波数又は代用定格周波数における特性を算出
する。特性の算出方法は,円線図法又は等価回路法による。特性の算出は最初の4台について実施
し,その平均値を標準値とする。
8.2.2 裕度
8.2.2.1 主電動機
裕度は,次の種別1又は種別2のいずれかによる。
a) 種別1 最大トルクが出力される回転速度から最高回転速度の90 %の速度までの間で,規定特性の電

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気入力による決定トルクは,規定値の95 %以上とする。保証定格点における主電動機の損失は,規定
特性から求められる値に対して15 %以上超過してはならない。
b) 種別2 特性の算出[8.2.1 b) 4) 参照]で算出される保証定格における効率及び力率の決定特性は,次
の下限値以上とする。
1) 効率
50 kW以下の誘導機 ηl=η−0.15×(100−η)
50 kWを超える誘導機 ηl=η−0.10×(100−η)
ここに, ηl : 保証定格における効率の下限値(%)
η : 保証定格における効率の規定特性(%)
2) 力率
(1/6)×(100−pf) < 2である場合 pfl=pf−2
2 ≦ (1/6)×(100−pf) ≦ 6である場合 pfl=pf−(1/6)×(100−pf)
6 < (1/6)×(100−pf) である場合 pfl=pf−6
ここに, pfl : 保証定格における力率の下限値(%)
pf : 保証定格における力率の規定特性(%)
正弦波電源形式試験(7.1.2.3参照)での温度上昇は,基の形式試験結果に対し±12 %又は±15 Kでなけ
ればならない。
8.2.2.2 補助電動機
保証定格点におけるトルクの決定値は,規定値以上とする。また,保証定格点における電流は,規定値
以下であり,更に規定の起動トルクを発生させる電流は,5.1に従い電力変換装置の製造業者が規定した値
を超えてはならない。

8.3 高速試験

  高速試験は,電力変換装置によって給電される全ての形式の主電動機に対して行う。電動機は,高温時
に,3.12で定義した最高使用回転速度の1.2倍で2分間行う。代わりに,回転子を定格での試験終了時と
同一温度上昇値まで上げることを条件として,回転子を固定子に組み込む前に試験してもよい。いずれの
場合も,試験の前後で回転子部の変形がないことを確認する。受渡当時者間の協定によって,かご形誘導
主電動機の場合は,試験開始時の温度を常温としてもよい。

8.4 振動測定

  振動測定は,形式試験として行う。主電動機が歯車装置と一体形の場合は,歯車装置を取り外すか,歯
車装置箱を仮設のエンドブラケットに取り替えなければならない。主電動機は取付器具を使わずに試験台
の上に設置してもよい。主電動機の回転速度が3 600 min−1以下での振動速度は3.5 mm/s以下でなければ
ならない。3 600 min−1を超える速度に関しては,振動速度は5.25 mm/s未満でなければならない。
軸受で固定されていない主電動機の場合は,軸方向の振動速度の測定は除外できる。
追加情報は,IEC 60034-14による。
可変速形の電動機では,全動作領域の中で何点かの速度で測定しなければならない。
試験架台の共振現象によって限度値を超える振動速度が発生する場合,共振速度が測定を行う回転速度
と一致せず,かつ,振動速度の水準が限度内であれば,共振を無視してもよい。共振現象が測定を行う回
転速度で発生した場合,別の試験台によって再試験する。
注記 外部から発生する振動が装置に及ぼす影響は,この規格の適用範囲ではない(JIS E 4031参照)。

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9 受渡試験

9.1 一般

  誘導主電動機の受渡試験は,次の種別1又は種別2のいずれかによって行う。ただし,同期主電動機は
種別1による。また,この種別1及び種別2は,次の9.3及び9.5に示す種別1及び種別2に対応した試
験条件で行う。
a) 種別1 受渡試験は,商用周波数又は運転中に使用する周波数の正弦波電源を用いて,片側回転方向
で行う。正弦波と異なる波形を使用する場合,受渡当事者間で協定しなければならない。各々の試験
(例えば,無負荷試験及び回転子拘束試験)で使用する周波数は同じでなくてもよいが,一度設定し
た周波数は変更しない。測定点に対する決定値は,形式試験を受けた1台を含んだ4台の主電動機の
平均値とする。温度変化の影響を減らすために,試験は全ての主電動機に対して,同じ順序で行う。
効率測定は不要であり,また,ブレーキモードでの試験も不要である。同一形式の主電動機内の一貫
性を確認するために,正弦波電源による温度上昇形式試験(7.1.2.3参照)をランダムに,又は受渡当
事者間の協定による間隔で実施してもよい。裕度は8.2.2による。高速試験及び振動測定には,電力変
換装置の電源を用いてもよい。
b) 種別2 正弦波又は方形波の,定格又は代用定格の電圧及び周波数による試験である。試験は,受渡
当事者間の協定がある場合に,三相かご形誘導主電動機に限定して適用する。

9.2 短時間温度上昇運転

  この試験は,巻線形回転子の主電動機だけに適用する。正弦波電源による形式試験(7.1.2.3及び9.1参
照)を実施した主電動機を除き,各々の主電動機は,試験終了時に少なくとも150 ℃以上の固定子巻線温
度になるように短時間運転を行う。温度の確認は最初の2台の主電動機に対する測定によって行う。もし,
条件を変更する場合は,温度確認を繰り返し行う。温度確認が2台の主電動機で検証できれば,それ以降,
温度を測定する必要はない。

9.3 特性試験及び裕度

9.3.1  一般
特性試験及び裕度は,次の種別1又は種別2のいずれかによる。
a) 種別1 9.3.2又は9.3.3による。
b) 種別2 8.2.1 b) による。
9.3.2 誘導主電動機
誘導主電動機の試験は,次による。
a) 決定特性で示された速度の10100 %の任意の点において,主電動機に最大磁束を生じるような電圧
での無負荷試験を行い,その電流は,9.1 a) にて確定した決定値に対し,±10 %とする。
b) 回転子を拘束した状態で,ほぼ保証定格電流を流すような電圧を主電動機に印加する。この電圧は,
最初の主電動機において確定し,以後の全ての試験に適用する。その場合の電流は,9.1 a) にて確定
した決定値に対し±5 %とする。
9.3.3 同期主電動機
同期主電動機の試験は,次による。
a) 決定特性上において主電動機内に発生する最大磁束に相当する開回路電圧を生じるように励磁された
発電機として同期主電動機を運転し,その励磁電流が,9.1 a) で確定した決定値に対し±15 %とする。
b) 保証定格電流になるように励磁電流を調節する短絡回路で同期主電動機を運転したとき,その励磁電
流が,9.1 a) にて確定した決定値に対し±5 %とする。

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JIS E 6102:2015の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60349-2:2010(MOD)

JIS E 6102:2015の国際規格 ICS 分類一覧

JIS E 6102:2015の関連規格と引用規格一覧