JIS E 6102:2015 鉄道車両―交流主電動機 | ページ 4

                                                                                             13
E 6102 : 2015

9.4 高速試験

  受渡試験の高速試験は,基本的には巻線形回転子主電動機についてだけ実施する。ただし,この試験の
かご形誘導主電動機への実施は,受渡当事者間の協定による。高速試験を実施する主電動機は,3.12で定
義した最高使用回転速度の1.2倍で,高温時に2分間運転する。その後,9.5に規定する耐電圧試験に合格
しなければならない。ただし,かご形誘導主電動機の場合は,常温で実施してもよい。
注記 受渡試験の高速試験を行う場合には,無負荷高速回転による転がり軸受の損傷を防止するため
の注意が必要である(例えば,最高使用回転速度を下回らない範囲での試験回転速度の低減)。

9.5 耐電圧試験

  耐電圧試験は,次の種別1又は種別2のいずれかによる。
a) 種別1 この試験は,誘導主電動機及び同期主電動機に適用し,一般的には正弦波形に近い波形で,
周波数帯域25100 Hzの交流を用いて行う。ただし,発注前に受渡当事者間の協定があれば,直流で
試験を行ってもよい。試験電圧は,各回路の巻線とフレームとの間に,その他の全ての回路の巻線を
フレームに接続した状態で順次加える。通常の状態にある新規製造の主電動機に対してだけ電圧低減
をせずに耐電圧試験を実施する。この試験は,前記の受渡試験終了直後の高温時の主電動機に対して
実施する。試験電圧は表4に示す電圧のうち,最高値を選択して行う。また,電圧は試験電圧の1/3
以下の値から開始して,昇圧する。試験電圧に達したとき,1分間維持する。
表4−耐電圧の試験電圧(種別1)
単位 V
グループ 巻線 試験電圧
1 グループ2以外の全ての 交流試験 2×Udc+1 000
巻線 又は
2×Urp /2+1 000
又は
Urpb /2+1 000
直流試験 3.4×Udc+1 700
又は
2.4×Urp+1 700
又は
1.2×Urpb+1 700
2 同期主電動機の励磁巻線 交流10Ue : 交流最低1 500 V交流最高3 500 V
直流17Ue : 直流最低2 550 V直流最高5 950 V
注記 試験電圧を表す記号は,次のとおりである。
Udc : 電車線が最高電圧で,主電動機を運転した場合,直流中間回路に印加さ
れる対地最高平均電圧。
Urp : 電車線が最高電圧で,主電動機を運転した場合,電動機の巻線に印加さ
れる対地最高繰返しピーク電圧(繰返しピーク電圧は3.10に規定)。
Urpb : 主電動機がブレーキ中に,巻線に現れる対地最高繰返しピーク電圧。
Ue : 励磁電圧の最高平均値。
直流中間回路及び主電動機巻線のどの点も接地されていない場合は,Udc,Urp及びUeの値はこれらの回
路のどこかが接地した場合に現れる可能性のある対地最高電圧とする。
繰り返して試験を行う場合の電圧低減については,受渡当事者間で協定する。
注記1 電力変換装置(JIS E 5008参照)を試験するために使用する値は,主電動機を試験するため

――――― [JIS E 6102 pdf 16] ―――――

14
E 6102 : 2015
に使用する値以下とする。
注記2 この細分箇条は,主電動機の試験について定義する。巻線の絶縁システムの評価については,
IEC 60034-18-41を参照する。
b) 種別2 この試験は,受渡当事者間の協定がある場合,三相かご形誘導主電動機に限定して適用でき,
商用周波数の正弦波を用いて,次によって行う。
1) 耐電圧試験に先立って絶縁抵抗を測定し,その値が適切であることを確認する。
2) 全ての試験終了後,誘導主電動機のリード線端子を全部接続し,これと接地部との間に,3) に示す
商用周波数の試験電圧を1分間印加し,異常の有無を調べる。印加は,まず試験電圧の1/3以下の
電圧を加え,それから試験電圧まで,電圧計を読むことができる範囲内で,できるだけ速やかに電
圧を上昇させ,試験電圧値に達した後,1分間その値を維持する。
3) 試験電圧の実効値は,表4Aによる。
表4A−耐電圧の試験電圧(種別2)
単位 V
誘導主電動機の種類 試験電圧 注記
外部から電力の供給 2.25×U+2 000 U : 直流の場合は,電車線の標準電圧と
を受ける場合 し,交流の場合は,電車線が標準電
圧であるときに誘導主電動機にか
かる最高電圧とする。
外部から電力の供給 2×U+1 000 U : 車両システムによって決まる最高
を受けない場合 電圧とする。
システムが接地系の場合,最高電圧は対地最高電圧とする。

9.6 振動測定(釣合い良さ試験)

  主電動機が試験台上に据え付けられたとき,回転子の釣合い良さの基準が達成されており,その実使用
の回転速度の範囲内で円滑に回転することを実証する。歯車装置と一体形の主電動機の場合,当該歯車装
置を付けて試験する。受渡当事者間の協定があれば,振動が起こる可能性が予測される場合,8.4で規定し
た試験を,それぞれの主電動機について行ってもよい。

10 調査試験

10.1 一般

  この試験は,任意試験の項目であり,受渡当事者間の協定によって適用し,その試験結果は主電動機の
受取条件とはしない。

10.2 騒音測定

  誘導主電動機を定格電圧及び定格周波数,又は代用定格電圧及び代用定格周波数で無負荷運転し,騒音
レベルを測定する。定格電圧又は代用定格電圧での無負荷運転が困難な場合の電圧低減は,受渡当事者間
で協定する。また,測定位置は,図C.1及び図C.2の基準測定点による。

――――― [JIS E 6102 pdf 17] ―――――

                                                                                             15
E 6102 : 2015
附属書A
(規定)
温度測定
A.1 電動機部品の温度
固定子巻線,同期主電動機の界磁巻線などの絶縁巻線の温度は,抵抗法によって測定し,かご形回転子,
ダンパ巻線及びスリップリングの温度は,電気式温度計法によって測定する。両測定方法は,次に示す。
試験中の冷却風温度が1040 ℃の範囲であれば,測定した温度上昇を補正しなくてもよい。
もし,形式試験中の冷却風温度がこの範囲外の場合には,測定した温度上昇の補正について受渡当事者
間で協定してもよい。
短時間温度上昇試験を開始する前に,巻線の温度が冷却風温度と比べて4 K以内であることを温度計又
は抵抗測定によって確認する。巻線の温度上昇を計算する場合には,そうした±4 Kの初期温度差を,計
算結果が高い場合は減じて,低い場合は加えて補正する。
a) 抵抗法 抵抗法では,巻線の温度上昇は,試験中の巻線抵抗の増加値で決定する。
銅巻線の場合,試験終了時の温度上昇は,次の式によって決定する。
R
t2 ta =2 235 t1 235 ta
R1
ここに, t2−ta : 温度上昇(K)
t1 : 巻線の初期温度(℃)
R1 : 温度t1における巻線抵抗(Ω)
t2 : 試験終了時の巻線温度(℃)
R2 : 試験終了時の巻線抵抗(Ω)
ta : 試験終了時の冷却風温度(℃)
注記 銅以外の材料については,上記の式中の値235を,その材料の0 ℃における抵抗温度係数に置
き換える。
b) 電気式温度計法 この方法では,主電動機の停止直後に関係部品の測定可能な最高温度部分にて,電
気式温度計で温度を測定する。
A.2 冷却風の温度
全閉形主電動機に対しては,主電動機から12 mの間隔で主電動機の周囲に4個以上の温度計を配置
して,冷却風温度を測定する。
それ以外の場合は全て,冷却風温度は主電動機への取入口において測定し,取入箇所が2か所以上ある
場合は,冷却風を各箇所で測定した値の平均値とする。
主電動機に入る冷却風及び周囲温度を測定する場合,真の温度が記録されるように,温度計をふく(輻)
射熱及び隙間風のような空気の流れから防護する。冷却風温度の変化による誤差を回避するために,変化
を最低限に抑えるために必要な措置をとる。
試験終了時の冷却風温度は,連続定格試験の最後の1時間又は短時間試験の全試験時間に対して,約15
分間の間隔で測定を行い,これらの平均値とする。
A.3 抵抗値の測定

――――― [JIS E 6102 pdf 18] ―――――

16
E 6102 : 2015
A.3.1 冷時の初期抵抗値
冷時の初期抵抗値の測定は,試験後の高温時の測定と同じ計器を用いて行うが,各試験の始めに測定を
繰り返す必要はない。巻線温度は,抵抗を測定したときの温度計による巻線表面温度とし,そのときの周
囲温度と4 K以上の差があってはならない。
A.3.2 高温時の抵抗値
高温時の抵抗は,試験を終了し,主電動機を停止した後速やかに測定する。測定は,電圧電流計法(電
圧−電流法),ブリッジ法,その他の適切な手段で行うことができるが,初期温度の測定方法と同一の方法
を用いる。
電圧電流計法による場合は,電流自体が温度上昇に影響しない範囲で,必要な精度を得られる十分に大
きな電流とする(通常,この精度を保つには,定格電流の10 %を超えない値がよい。)。
A.4 主電動機の停止及び冷却開始時点
試験の終了時に,主電動機を迅速に停止させる。
試験中の主電動機には通電しないブレーキの方法が望ましい。その場合の冷却開始時点は,主回路をブ
レーキの直前に開路し,同時に各冷却風を止めた時点とする。
この方法が実施困難であれば,主電動機が迅速に停止し,しかも負荷電流がブレーキ中にほぼ一定の状
態で通電されるような方法を採用してもよい。その冷却開始時点は,負荷電流が試験値の80 %に低下した
時点とし,この時点で冷却風を止める。
A.5 高温時の抵抗測定並びに冷却及び加熱曲線の外挿
各巻線の抵抗測定は,冷却開始後45秒間以内に開始し,少なくとも5分間維持する。
各巻線の抵抗測定の間隔は,最初の3分間は20秒間を超えず,以後は30秒間を超えないものとする。
試験終了後45秒間以内に停止することが困難な大形電動機に対しては,特殊なブレーキ装置の設置と2
分間を超えない時間延長について,受渡当事者間で協定する。
これらの測定値から計算した温度上昇は,温度を対数目盛,時間を線形目盛とした時間の関数としてプ
ロットする。このようにして得られた曲線を冷却開始時点まで外挿し,試験終了時点の温度上昇値を求め
る。

――――― [JIS E 6102 pdf 19] ―――――

                                                                                             17
E 6102 : 2015
附属書B
(規定)
主電動機の動力伝達損失の協定値
B.1 主電動機の動力伝達損失の協定値
主電動機の動力伝達損失の協定値が効率計算に含まれている場合,それらの協定値は,図B.1に従う。
曲線a : 平行カルダン軸の一組の歯車における減速段ごとの損失。
曲線b : 直角カルダン軸の一組の歯車における減速段ごとの損失。
両曲線には懸架装置又は歯車箱の軸受損失が含まれている。
注記 これらの協定損失は,特別な指定条件がない場合の車両性
能の計算に用いる。これらの値は,回転機類又は歯車装置
の受取り又は拒絶の基準ではない。
図B.1−主電動機の動力伝達損失の協定値

――――― [JIS E 6102 pdf 20] ―――――

次のページ PDF 21

JIS E 6102:2015の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60349-2:2010(MOD)

JIS E 6102:2015の国際規格 ICS 分類一覧

JIS E 6102:2015の関連規格と引用規格一覧