JIS F 8102:2015 船用電気設備―リチウム二次電池を用いた蓄電池設備 | ページ 2

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a) インバータ・コンバータで構成される充放電システムを用いる例
b) 充電装置と電力変換装置とを分割した構成例
図2−蓄電池設備の構成例
3.14
通風装置
通風機を用いて行う強制冷却装置。

4 単電池及び電池システム

4.1 安全性要求事項

  単電池又は電池システムは,JIS C 8715-2で規定した安全性要求事項に適合しなければならない。

4.2 電池システムの構造・材料及び周囲条件

4.2.1  設置環境に関する安全性要求事項
電池システムは,通常の取扱方法によって操作又は接触したとき,人体に傷害を生じさせないように作
り,装備しなければならない。また,電池システムは,機械的傷害の危険にさらされることなく,かつ,
水,蒸気,油などによって損傷を受けないような,照明された近寄りやすい場所に装備しなければならな
い。やむを得ず,機械的傷害の危険,又は水,蒸気,油などによって損傷を受ける危険にさらされる場合
には,電池システムの構造は設置場所に適したものとしなければならない。

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4.2.2 材料に関する安全性要求事項
電池システムに使用する絶縁材料,配線材料などは,耐湿性,耐塩性及び耐油性をもち,難燃性材料で
なければならない。電池システムに使用するボルト,ナット,端子などの部品は,耐食材料を用いるか,
又は適切な防食処理を施したものでなければならない。
注記 この規格で要求される耐湿性,耐塩性及び耐油性をもつ材料並びに難燃性材料とは,JIS F 8061
又はこれと同等の規格によって選定された材料である。
4.2.3 据付けに関する安全性要求事項
電池システムは,堅固な構造で,適切な難燃性材料のきょう(筐)体(キャビネット,ラック,ケース
など)にまとめて配置しなければならない。複数のきょう体を2段以上に配列する場合,強制冷却装置を
設ける場合を除き,きょう体の前後部は,通風のため50 mm以上の空所を設けなければならない。さらに,
電池システムを船舶に設置する据付け位置が,JIS C 8715-2で規定した耐落下特性試験の高さを上回る場
合は,ボルト及びナットで電池システムを強固な船体構造部材に固定するなど,据付け位置から電池シス
テムが落下することを防ぐための適切な手段を施さなければならない。
4.2.4 ボルト・ナットの緩み止めに関する安全性要求事項
電池システムに用いるボルト,ナットなどには,有効な緩み止めを施さなければならない。
注記 有効な緩み止めとは,JIS F 8006の規定による振動検査,又はJIS C 60068-2-6において,プロ
ペラ及び機関によって船体に誘導された振動の影響に耐え得る対策を施したものである。
4.2.5 傾斜及び振動に関する安全性要求事項
単電池又は電池システムは,設置する船舶において想定される傾斜角度(静的傾斜及び動的傾斜を含む。)
及び振動に耐え得るよう,適切な手段で据え付けられていなければならず,かつ,支障なく動作するもの
でなければならない。
4.2.6 周囲温度条件
電池システムは,周囲温度0 ℃45 ℃で安全性に支障なく動作するものでなければならない。この温
度を超える区域又は下回る区域内に設置する場合は,想定される条件に従って,適切な単電池又は電池シ
ステムを選定するか,又は同区域を適切に環境制御しなければならない。
なお,JIS C 8715-2の附属書Aでは,リチウム二次電池の一般的な標準温度範囲は10 ℃45 ℃である
と規定されている。標準温度範囲よりも低温側の温度域においてリチウム二次電池を充電する場合,負極
表面上への金属リチウムの析出が生じ,発熱・熱暴走に至る可能性がある。したがって,電池システムは,
低温度域における安全性の低下に留意した設計をしなければならない。

4.3 表示

  単電池又は電池システムの本体,取扱説明書などの表示は,JIS C 8715-1の箇条11(表示)による。

5 蓄電池設備

5.1 充電器

  充電器は,単電池及び電池システムの製造業者が指定する仕様に従って設計したものであり,単電池及
び電池システムの特性に応じて適正な充電電流及び充電電圧を維持できるものでなければならない。また,
充電設備の中に充電電圧を示す指示計を設けなければならない。

5.2 保護装置

  単電池及び電池システムの危機的状態を招くおそれのある設定値(充電終止電圧,最大充電電流,並び
に単電池及び電池システムの使用上限温度及び使用下限温度など)の変更については,使用者によって容

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易に変更されないようにパスワードなどで保護しなければならない。
リチウム二次電池は,熱暴走によって発火するおそれがあるため,電池システムの直近又は電池システ
ムの内部にヒューズを設けるか,又は短絡事故によって発火しないための十分な耐性が求められる。さら
に,単電池ごとの電圧,温度などを計測するために,計測用の信号線が単電池に接続される場合にも,信
号線の短絡によって,信号線の発火又は単電池の熱暴走を引き起こすおそれがあるので,例えば,ヒュー
ズ又は電流ブレーカによる保護,信号線及び接続端子の難燃化,信号線の分離配置などを考慮する必要が
ある。

5.3 電力変換装置

  船内給電のためにコンバータ,インバータなどの電力変換装置を使用する場合は,JIS F 8061の給電系
統の特性に記載された要件及びJIS F 8067の半導体コンバータに関する要件を満たすものでなければなら
ない。また,蓄電池設備及び船内発電機の両方をもつ船舶においては,安全な並列運転を行うために適切
な措置を施さなければならない(附属書A参照)。
その他の電気設備については,必要に応じて,JIS又はIEC規格の該当規定を準用する。例えば,電気
推進装置については,JIS F 8073で規定している。

5.4 警報及び安全装置

  蓄電池設備には,単電池又は電池システムの温度,電圧,電流などを監視する装置を設けることとし,
これらの監視装置により異常値が検知された場合には自動的に充放電を停止する装置を設けなければなら
ない。また,複数の単電池を組み合わせて電池システムを構成する場合は,単電池,電池パック又はモジ
ュール単位で電池間の充電不均衡を補正する機能を設けなければならない。
5 kWを超える出力をもつ充電器に接続する電池システム又は定格容量(Ah)に公称電圧(V)を乗じた
値が100 kW・hを超える電池システムにおいては,異常発生時に船橋,機関制御室など通常人のいる場所
に警報を発しなければならない。この場合の警報は,一括警報として差し支えない。

6 設置場所及び区画

6.1 周囲条件

  単電池及び電池システムの設置場所は,4.2.6の周囲温度条件を満足しなければならない。

6.2 設置区画

  定格容量(Ah)に公称電圧(V)を乗じた値が100 kW・hを超える電池システムは,次の要件を満足し
なければならない。
a) 電池システムは,専用の区画に設置しなければならない。充放電システムは電池システムの専用の区
画外に設置しなければならないが,リスク評価などに基づき安全性の確認された蓄電池設備の場合は,
この限りでない(附属書B参照)。
b) 電池システムを設置する区画は,適切な防火構造をもち,床面は容易に発火しない性質,天井張り及
び壁の露出面は炎の広がりが遅い性質のものでなければならない。
注記 この規格で要求される防火構造とは,船舶防火構造規則又は一般財団法人日本海事協会が発
行している鋼船規則・同検査要領 R編 防火構造,脱出設備及び消火設備に基づき,適切に
設計された構造である。

6.3 居住区画内への設置の禁止

  コンピュータ又は制御機器の保護に用いるための無停電電源装置(UPS)などに使用される小容量の蓄
電池を除き,電池システムを居住区画内に設置してはならない。

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6.4 通風装置

  リチウム二次電池は,通常の充放電で爆発性ガス,可燃性蒸気などを放出しないが,過充電などの異常
状態において,これらのガス,蒸気などを放出するおそれがある。したがって,電池システムを設置する
蓄電池設置区画は,次の要件を満足しなければならない。
a) 定格容量(Ah)に公称電圧(V)を乗じた値が100 kW・hを超える電池システムを設置する場合は,
過充電などの異常状態を経て火災が発生した場合に効果的な消火を行うため,通常,専用の区画を密
閉できる構造とするとともに,初期火災消火後の煙を排出するための手段(可燃性ガスを放出する電
池システムにあっては,可燃性ガス排出手段を兼ねる。)を設ける。煙排出手段は,通常時に使用する
通風装置と兼用のものとして差し支えないが,通風装置への給電は専用の区画外の電源を用いなけれ
ばならない。また,この通風装置は同区画開口からの自然排気として差し支えないが,機械式とする
場合であって鎮火後に可燃性ガスを放出する可能性のある電池システムにあっては,外装形とするか
又は防爆形とし,かつ,通風装置は無火花構造とする。
b) リチウム二次電池は,通常の充放電時にも発熱することから,電池システムの作動温度範囲と船舶の
周囲温度とを考慮し,必要に応じて適切な容量の通風装置を設置する。
c) 5 kWを超える出力をもつ充電器に接続する電池システムを設置する区画に通風装置を設置する場合
は,通風が喪失した場合に通常乗組員がいる場所に警報を発しなければならない。

7 火災探知器及び消火設備

7.1 火災探知器

  定格容量(Ah)に公称電圧(V)を乗じた値が100 kW・hを超える電池システムを設置する区画には,
通常,可燃性ガスの発生及び火災を探知するための独立した固定式火災探知器を設けることとし,安全な
脱出及び消火活動のため,船橋,機関制御室など通常人のいる場所に警報を発しなければならない。
なお,用いられる火災探知器は単電池及び電池システムの特性に応じ,早期に探知可能な方式(煙式,
熱式,光電式など)としなければならない。

7.2 消火設備

  電池システムの設置場所には,次の要件を満足する消火設備を備えなければならない。
a) 消火設備は,電池システムの特性に応じた効果的な設備でなければならない。
b) 定格容量(Ah)に公称電圧(V)を乗じた値が100 kW・hを超える電池システムを設置する区画につ
いては,火災の発生場所において火災を鎮圧し,迅速に消火するために,当該場所における火災の発
達の可能性を考慮した固定式消火装置を設置しなければならない。当該固定式消火装置は,電池シス
テムの火災に対して,二酸化炭素,窒素などの不活性ガスで消火するものとし,水又は海水を用いて
はならない。固定式消火装置の操作は蓄電池設置区画外から行うことができなければならない。
c) )及びb)で規定する効果的な消火装置が設置できない場合は,蓄電池火災を局所化する措置(難燃性
又は耐火性の仕切りを設けたきょう体への収納,密封箱形容器への収納など)を講じなければならな
い。その仕様については電池製造業者などを含む受渡当事者間の協議による。

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附属書A
(参考)
船内給電にリチウム二次電池を使用する場合の要件
A.1 用語及び定義
この附属書で用いる主な用語及び定義は,次に示す。
A.1.1
単独運転
電力系統事故時などにおいて,分離して単独系統に送電を行う運転。
A.1.2
並列運転
電力系統,同期機などが並列した状態で運転している状態。
A.1.3
主電源(装置)
船を正常な稼働状態及び居住状態に維持するために,必要な全ての設備に配電する主電源盤へ電力を供
給する電源。
A.1.4
非常電源
主電源からの給電が故障の場合,非常配電盤に給電する電力源。
A.1.5
主発電機
主電源の電力を発生する発電機。
A.1.6
フェールセーフ(の原則)
機器又は装置に故障が生じても安全側に作動する機能。
A.1.7
デッドシップ状態
動力の欠如のため,主推進装置,ボイラ及び補機類が稼働していない状態。
A.1.8
選択遮断
配電系統中,回路に短絡事故が発生した場合,それらの事故の影響を限定するため故障点に最も近い保
護遮断器だけが遮断する動作。
A.1.9
重要負荷
船の航海,推進及び人命の安全のため,快適な居住性のため,又は船の特殊設備のため欠くことができ
ない機器。
A.2 蓄電池設備の一般要件
A.2.1 蓄電池設備と船内発電機との両方をもつ船舶における蓄電池設備の要件

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JIS F 8102:2015の国際規格 ICS 分類一覧

JIS F 8102:2015の関連規格と引用規格一覧