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G 0559 : 2019
がら,切出しきず及び研削きずを研削し,研磨する。試験片の前処理で対象部位に影響が出ないように注
意して処理する。試験力が小さいほど,一層注意して前処理しなければならない。研磨後,必要な場合,
前処理が適切かどうか見極め,表面に問題がないかどうか確かめるために,適切な溶液を用いて試験片を
エッチングする。前処理が不適切な場合,最終的な前処理操作を繰り返す。表面の被膜又は残さい(滓)
を注意深く取り除く。表面を指で触れてはならない。マイクロビッカース硬さを適用する場合は,エッチ
ングしない研磨したままの表面を試験するのがよい。マクロ組織試験を適用する場合は,異なる組織を現
出させ,区別するように適切にエッチングする。
7 測定方法
7.1 硬さ試験による測定方法
表面に垂直な1本又は幅1.5 mmの範囲W内にある複数本の線に沿ってくぼみをつける(図3参照)。複
数本の線の場合,線の間隔は,JIS Z 2244,JIS Z 2245又はJIS Z 2251の要求事項を満足しなければなら
ない。
隣り合うくぼみ間の距離Δdは,くぼみの対角線長さの3倍以上とする(図3参照)。表面から連なる各
くぼみ間のずれ(例 d2−d1)は0.1 mm以下とし,表面からの距離は,±25 μmの精度で測定しなければ
ならない。ただし,表面硬化層が厚い場合は,限界硬さ近傍を除き,0.1 mmを超えてもよい。くぼみの対
角線長さは,JIS B 7725,JIS B 7726又はJIS B 7734に規定された精度で測定しなければならない。
表面に最も近いくぼみの中心は,表面から,そのくぼみの対角線長さの2.5倍以上の距離になければな
らない。ビッカース圧子又はヌープ圧子を用いる試験では,試験力は,通常,HV 0.3を適用し,HV 0.1
HV 10を使用してもよい。くぼみの測定は,光学顕微鏡を使用し,適切な照度になるようにする。これに
は,カメラが附属する場合と附属しない場合とがあり,接眼レンズ又はスクリーンの幅若しくは高さの
25 %75 %の範囲に拡大し,くぼみの端部にゆがみがなく,焦点を合わせられなければならない。
注記 図3に示したくぼみの間隔のために,通常,0.980 7 N2.942 Nの試験力が適用されている。
受渡当事者間で合意した位置の二つ以上の範囲で前処理された表面を測定し,各範囲の結果を表面から
の距離の関係として硬さ推移曲線2)を描く。
注2) 硬さ推移曲線は,JIS G 0202[鉄鋼用語(試験)]の番号3224参照。
JIS Z 2245のロックウェル硬さ試験又はロックウェルスーパーフィシャル硬さ試験,若しくはJIS Z 2251
のヌープ硬さ試験を行い,硬さ推移曲線を作る場合は,受渡当事者間で協定した方法によって行う。
硬さ試験の一般事項は,JIS Z 2244,JIS Z 2245又はJIS Z 2251による。
――――― [JIS G 0559 pdf 6] ―――――
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図3−硬さ測定点の位置
7.2 マクロ組織試験による測定方法
マクロ組織試験による測定は,次の手順によって行う。
a) 試験片を硬化面に垂直に切断し,切断面を研磨仕上げして被検面とする。切断又は研磨によって,被
検面の組織に影響を及ぼさないように,十分注意する。被検面は,通常,JIS R 6010の研磨材の粒度
P240以上の研磨布紙で仕上げる。
注記 研磨材の粒度P240で仕上げたとき,JIS B 0601の最大高さ粗さRzは,6.3 μm程度となる。
b) 被検面を5 %ナイタール3)又は硝酸(1+19)4)で明瞭な着色状態が得られるように適切な時間エッチ
ングし,このエッチング面をエタノール又は水で洗浄した後,20倍を超えない倍率の拡大鏡でエッチ
ングによる着色状況を調べる。
注3) 体積分率が5 %になるように硝酸(62 %硝酸と同等のもの。)のエタノール溶液を調製したも
の。体積分率5 %とは,体積比で1 : 19を意味している。
4) 体積分率が5 %になるように硝酸(62 %硝酸と同等のもの。)の水溶液を調製したもの。体積
分率5 %とは,体積比で1 : 19を意味している。
8 結果の評価
8.1 硬さ試験
7.1で規定した測定方法に従って,表面から限界硬さ(3.1参照)又は硬さが生地と同じになる位置まで
の距離を定める。この距離が,有効硬化層深さ又は全硬化層深さとなる(図4参照)。
注記 測定の不確かさは,測定結果に影響する主な要因を特定するために有用である。
受渡当事者間の協定によって,7.1で規定した測定を2回実施して,硬さ推移曲線を2本作成し,それぞ
れから得られた硬化層深さの平均値を採用してもよい。
なお,両者の差が0.1 mmを超えるときは,試験を繰り返す。
全硬化層深さの決定が困難な場合,受渡当事者間の協定によって,硬化層のおおよその深さの2倍の深
さで測った生地の硬さより30 HV50 HVだけ高い点を,全硬化層深さを決定する硬さとしてもよい。
――――― [JIS G 0559 pdf 7] ―――――
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1 硬さ推移曲線 X 表面からの距離
2 限界硬さ Y 硬さ
3 生地と同じ硬さ
D1 有効硬化層深さ
D2 全硬化層深さ
図4−硬化層深さを決定するための硬さ推移曲線
8.2 マクロ組織試験
全硬化層深さは,生地と異なって着色されている部分の,表面からの深さを測定することによって求め
る。
9 表示
硬化層深さの表示は,次による。
a) 硬化層深さは,ミリメートルで示し,小数点以下1位までとする。
b) 硬化層深さの表示記号は,表2による。
表2−硬化層深さの表示記号
測定方法
硬化層深さ 適用限界硬さ 硬さ試験による測定方法a) マクロ組織試験
による測定方法
ビッカース硬さの場合b) ロックウェル硬さの場合
高周波焼入 表1による限界硬さ HD-H△-E( ) HD-H□-E( ) −
有効硬化層深さ Hlimit DS-H△-H( ) DS-H□-H( ) −
炎焼入 表1による限界硬さ FD-H△-E( ) FD-H□-E( ) −
有効硬化層深さ Hlimit DS-H△-F( ) DS-H□-F( ) −
高周波焼入
− HD-H△-T HD-H□-T HD-M-T
全硬化層深さ
炎焼入
− FD-H△-T FD-H□-T FD-M-T
全硬化層深さ
――――― [JIS G 0559 pdf 8] ―――――
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表2−硬化層深さの表示記号(続き)
注a) 硬化層深さの表示の例は,次による。△にはJIS Z 2244の表3(硬さ記号と試験力)における硬さ記号の数字,
□にはJIS Z 2245の表1(ロックウェル硬さのスケール及びその内容)又は表2(ロックウェルスーパーフィ
シャル硬さのスケール及びその内容)におけるスケール,及び( )内には表1の限界硬さ又は受渡当事者間
で協定した最小表面硬さの80 %の限界硬さの値を記入する。
例1 HD-H0.3-E(450)1.5 : 箇条7のビッカース硬さ試験によって試験力2.9 Nで測定し,450 HVまでの高周
波焼入有効硬化層深さ1.5 mmの場合
例2 FD-HC-E(41)1.8 : 箇条7のロックウェル硬さCスケール試験によって測定し,41 HRCまでの炎焼入有
効硬化層深さ1.8 mmの場合
例3 HD-H30N-E(60)1.0 : 箇条7のロックウェルスーパーフィシャル硬さ試験によって測定し,60 HR30N
までの高周波焼入有効硬化層深さ1.0 mmの場合
例4 HD-M-T3.2 : 箇条7のマクロ組織試験によって測定し,高周波焼入全硬化層深さ3.2 mmの場合
例5 DS-H0.3-H(500)1.5 : 箇条7のビッカース硬さ試験によって試験力2.9 Nで測定し,500 HVまでの高周
波焼入有効硬化層深さ1.5 mmの場合
例6 DS-HC-H(50)1.8 : 箇条7のロックウェル硬さCスケール試験によって測定し,50 HRCまでの高周波
焼入有効硬化層深さ1.8 mmの場合
b) ヌープ硬さ試験による測定方法で行った場合の表示記号は,受渡当事者間の協定による。
10 報告
報告が必要な場合には,受渡当事者間の協定のない限り,少なくとも次の項目を含む。
なお,受渡当事者間の協定によって,次の項目の一部を省略してもよい。
a) この規格に基づいて測定した旨の記載(JIS G 0559)
b) 試験方法(硬さ試験方法,試験力,倍率,複数本の線に沿ってくぼみをつけた場合は平行線間の距離,
マクロ組織試験方法によった場合は腐食液)
c) 測定の結果(箇条9参照)
d) 試験片名称,識別番号,試験位置など
e) 測定時に発生した特記事項
f) 試験片(製品又は同一鋼種の鋼材)の区分
g) 熱処理条件
参考文献 JIS B 0601 製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状 : 輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状
パラメータ
――――― [JIS G 0559 pdf 9] ―――――
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G 0559 : 2019
G0
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附属書JA
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(参考)
9 : 2
JISと対応国際規格との対比表
019
JIS G 0559:2019 鋼の炎焼入及び高周波焼入硬化層深さ測定方法 ISO 18203:2016,Steel−Determination of the thickness of surface-hardened layers
(I) JISの規定 (II)国際 (III)国際規格の規定 (V) JISと国際規格との技術的差
(IV) JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
規格番号 の評価及びその内容 異の理由及び今後の対策
箇条番号 内容 箇条 内容 箇条ごと 技術的差異の内容
及び題名 番号 の評価
1 適用範囲 − 1 適用範囲 削除 JISでは,浸炭硬化層深さ測定方法浸炭硬化層深さ測定方法は,JIS G
を適用範囲から削除した。 0557として規定しているため,削
除している。
3 用語及び 3 用語及び定義 変更 ISO規格では,有効硬化層深さ以外定義を明確にするために追加し
定義 に表面硬化層深さなど4用語を定 た。技術的差異はない。
義しているが,JISでは,引用規格
としてJIS G 0201及びJIS G 0202
に変更した。
3.1 有効硬化層深さ 3 3.1 有効硬化層深さ 追加 国内の実態に合わせた。
JISでは,表1を適用することとし,
計算式は,許容事項とした。
JISでは,“焼入れのまま,又は 定義を明確にするために追加し
200 ℃を超えない温度で焼戻しし た。技術的差異はない。
た硬化層の表面から”を追加した。
4 測定の原 4.3 マクロ組織試験 − − 追加 JISでは,マクロ組織試験による測国内では,簡便方法として用いら
理 による測定 定方法を追加した。 れている。
5 試験装置 − − 追加 JISでは,ロックウェル硬さ試験を国内の実態に合わせた。
許容したので,この試験の校正方法
を追加した。
――――― [JIS G 0559 pdf 10] ―――――
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JIS G 0559:2019の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 18203:2016(MOD)
JIS G 0559:2019の国際規格 ICS 分類一覧
- 77 : 金属工学 > 77.040 : 金属の試験 > 77.040.99 : その他の金属試験方法
JIS G 0559:2019の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB7725:2010
- ビッカース硬さ試験―試験機の検証及び校正
- JISB7725:2020
- ビッカース硬さ試験―試験機の検証及び校正
- JISB7726:2017
- ロックウェル硬さ試験―試験機及び圧子の検証及び校正
- JISB7734:1997
- ヌープ硬さ試験―試験機の検証
- JISB7734:2020
- ヌープ硬さ試験―試験機の検証及び校正
- JISG0201:2000
- 鉄鋼用語(熱処理)
- JISG0202:2013
- 鉄鋼用語(試験)
- JISR6010:2000
- 研磨布紙用研磨材の粒度
- JISZ2244:2009
- ビッカース硬さ試験―試験方法
- JISZ2245:2016
- ロックウェル硬さ試験―試験方法
- JISZ2245:2021
- ロックウェル硬さ試験―試験方法
- JISZ2251:2009
- ヌープ硬さ試験―試験方法