この規格ページの目次
- 4.3 鋼管の性状
- 4.4 溶接シーム位置の識別
- 4.5 識別記号
- 4.6 容易に消失しないマーク
- 4.7 フィルムのオーバーラップ
- 5 試験方法
- 5.1 一般
- 5.2 像質クラス
- 5.3 フィルムシステム及び増感紙
- 5.4 蛍光増感紙
- 5.5 後方散乱及び内部散乱
- 5.6 放射線照射の方向
- 5.7 試験部の有効長さ
- 5.8 撮影方法
- 5.9 フィルムと溶接部表面との間隔
- 5.10 線源と溶接部表面との距離
- 5.11 露出条件
- 5.12 X線管電圧
- 6 像質
- 6.1 像質及び透過度計
- JIS G 0803:2021の引用国際規格 ISO 一覧
- JIS G 0803:2021の国際規格 ICS 分類一覧
- JIS G 0803:2021の関連規格と引用規格一覧
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4.3 鋼管の性状
鋼管は,有効な検査ができるように,真っすぐであり,異物などが付着していてはならない。溶接部及
び近傍の母材部の表面は,放射線透過検査の判定に影響を及ぼすような異物の付着及び表面の不均一さ1)
があってはならない。
注1) 判定に影響を及ぼす程度の引っかききず,あばたなど。
許容される表面状態にするためのグラインダ仕上げは,適用してもよい。
4.4 溶接シーム位置の識別
余盛を取り除く場合には,放射線透過写真上で溶接シーム位置が識別できるように,マーカ(通常,矢
の形状の鉛のマーク)を,溶接シームの両端に置かなければならない。
4.5 識別記号
検査した溶接シーム位置と放射線透過写真とが同一部位であることを,明白かつ確実にするために,識
別記号(通常,鉛の文字記号)を溶接シームの放射線透過写真の各部位に配置し,それらの記号を放射線
透過写真に表示しなければならない。
4.6 容易に消失しないマーク
位置情報は,それぞれの放射線透過写真を正確な位置に再配置するための照合ポイントを提供するため
に,鋼管表面の線源側に付けた容易に消失しないマーク(permanent marking)によって与えなければなら
ない。ただし,放射線透過写真を再配置するための位置情報が,例えば,塗料によるマーク又は正確なス
ケッチによって提供される場合には,容易に消失しないマークは用いなくてもよい。
4.7 フィルムのオーバーラップ
分割されたフィルムで,連続した溶接シームの放射線透過検査を行う場合,隣り合うフィルムは検査さ
れない部位が残らないように,少なくとも10 mmオーバーラップさせなければならない。オーバーラップ
の幅は,管の表面に機械的に付けたマークによって証明する。
警告 X線又はガンマ線の人体への被ばくは,健康上大いに有害となり得る。X線機器又は放射線を使
用する場合は,常に,適切な安全処置をとらなければならない。
電離放射線を使用する場合は,地方の,国の又は国際的な安全ルールを厳密に守らなければな
らない。
5 試験方法
5.1 一般
鋼管の管軸方向及びらせん方向の溶接部の試験は,X線フィルムを用いた放射線透過検査方法によって
行う(デジタル式放射線透過検査方法については,箇条1の注記1参照)。
5.2 像質クラス
像質は,次の像質クラスA及び像質クラスB(ISO 17636-1参照)に区分する。
− 像質クラスA : 標準感度でのX線試験方法による像質クラス
――――― [JIS G 0803 pdf 6] ―――――
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− 像質クラスB : 特別感度でのX線試験方法による像質クラス
注記 ほとんどの場合は,像質クラスAが適用されている。像質クラスBは,非常に重要で厳格な用途
のものに限定して適用することを意図している。像質クラスBでは,C4以上のフィルムシステ
ムクラス(細粒フィルム及び鉛はく増感紙)を用いている。このため,通常,長い露出時間を要
する。要求される像質クラスは,通常,製品規格で規定される。
5.3 フィルムシステム及び増感紙
フィルムシステムのクラスは,像質クラスAに対しては,C5以上,像質クラスBに対しては,C4以上
(ただし,X線管電圧が150 kV未満ではC3以上)とする。フィルムシステムのクラスは,ISO 11699-1及
びISO 17636-1による。
像質クラスA及び像質クラスBに対する金属はく増感紙(通常は,鉛はく増感紙)は,0.02 mm0.25
mmの厚さとする。ただし,線源に対して後ろ側に配置する増感紙には,他の厚さのものを用いてもよい。
ダブルフィルム法2) を適用する場合,フィルムを挟む両側の増感紙の厚さは,線源に対して前側に用いる
増感紙に許容される厚さ以下とする。
注2) ダブルフィルム法とは,カセットにフィルムを2枚挿入し,同じものを2枚撮影する方法である。
5.4 蛍光増感紙
蛍光増感紙(salt intensifying screen)は,用いない。
5.5 後方散乱及び内部散乱
後方散乱X線及び内部散乱X線の量は,最小限になるように注意しなければならない。
後方散乱X線の防御が不完全と思われる場合,特殊記号(通常,高さ10 mm,厚さ1.5 mmの“B”の鉛
文字)をカセット又はフィルムホルダの裏に付け,放射線透過写真を通常の方法で撮影する。この記号の
像が,バックグラウンドよりも白く放射線透過写真上に現れる場合は,後方散乱X線の防御が不完全であ
り,追加の予防策が必須である。
5.6 放射線照射の方向
放射線照射の方向は,試験する溶接シームの中心を向き,かつ,管表面に垂直な方向でなければならな
い。
5.7 試験部の有効長さ
5.11及び箇条8で規定する条件を守れるようにするため,試験部の有効長さは,有効長さの両端におい
て,X線の中心部に対する透過厚さの増加が,像質クラスAでは20 %,像質クラスBでは10 %を超えな
い範囲としなければならない。
5.8 撮影方法
撮影は,単壁撮影方法3)(single wall penetration)を用いる。単壁撮影方法を適用できない鋼管の寸法の
場合には,受渡当事者間の協定によって,二重壁撮影方法(double wall penetration)を用いてもよい。
注3) IS Z 2300は,単壁撮影方法として,内部線源撮影方法又は内部フィルム撮影方法を規定してい
る。
――――― [JIS G 0803 pdf 7] ―――――
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5.9 フィルムと溶接部表面との間隔
フィルムと溶接部表面との間隔は,できる限り小さくしなければならない。
5.10 線源と溶接部表面との距離
線源と溶接部表面との距離fの最小値は,実効焦点寸法dとの比f/dによって求める。f/dは,式(1)及び
式(2)による。
像質クラスA
f
≧ 5.7b3/2 (1)
d
像質クラスB
f 3/2
≧15b (2)
d
ここで, b : 線源側溶接部表面とフィルム表面との距離(mm)
d : 実効焦点寸法(mm)
f : 線源と溶接部表面との距離(mm)
図1のノモグラムに,これらの関係を示す。
5.11 露出条件
露出条件は,試験を行う部位の健全な溶接金属の透過写真のフィルム濃度が,像質クラスBでは,2.3以
上,像質クラスAでは,2.0以上になるようにしなければならない。かぶり濃度4) は,0.3を超えてはなら
ない。
注4) かぶり濃度は,未露光のフィルムを現像したときの全体の濃度[支持体(ベース)の着色濃度及
び感光乳剤の濃度を合わせたもの]である(JIS Z 2300参照)。
5.12 X線管電圧
十分な感度を維持するため,X線管電圧は,図2に示す最大値を超えてはならない。
――――― [JIS G 0803 pdf 8] ―――――
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単位 mm
注記 実効焦点寸法dの値及び線源側溶接部表面とフィルム表面との距離bの値を直線で結ぶことによって,像質
クラスA又は像質クラスBの線源と溶接部表面との最小距離fminの値が得られる。
図1−線源側溶接部表面とフィルム表面との距離b及び実効焦点寸法dに関連した,
線源と溶接部表面との最小距離fminを求めるためのノモグラム
――――― [JIS G 0803 pdf 9] ―――――
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G 0803 : 2021
記号説明
X : 透過厚さ(mm)
Y : X線管電圧(kV)
図2−1 000 kVまでのX線装置に対する,透過厚さを因子とした最大X線管電圧
6 像質
6.1 像質及び透過度計
像質(Image quality)は,受渡当事者間の合意によって,ISO 19232-1,ISO 19232-2又はJIS Z 2306に規
定されたタイプの軟鋼製の透過度計を用いて測定する。透過度計は,溶接部に隣接する線源側母材部の表
面に配置しなければならない(図3及び図4参照)。
線源側の表面に配置できない場合は,透過度計は,フィルム側に配置する。この場合,“F”の文字を透
過度計の近くに配置し,手順を変更したことを検査報告書に記録する。
なお,透過度計をフィルム側に配置した場合は,通常,線源側に配置した場合に比べ,針金径又は穴径
が一つ又は二つ多く確認される。注文者は,比較のために線源側及びフィルム側の両方に配置した透過度
計で,鋼管の供試管上において露出試験をすることを要求してもよい。
針金形透過度計を使用する場合,針金は,溶接方向に対して直角に向け,許容できる針金の像質が得ら
れるように配置する。通常,溶接部近傍の母材部に存在する均一な光学密度(吸光度)の部分で,10 mm
以上の連続した長さが明瞭に見える場合,針金の像質は,合格とする。必要に応じて,追加の透過度計又
はより長い透過度計を,溶接部を横断して配置する。
注記 詳細は,ISO 19232-1,ISO 19232-2,ISO 17636-1,ISO 3183:2012及びJIS Z 2306に規定されてい
る。
――――― [JIS G 0803 pdf 10] ―――――
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JIS G 0803:2021の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 10893-6:2019(MOD)
JIS G 0803:2021の国際規格 ICS 分類一覧
- 23 : 一般的に利用される流体システム及びその構成要素 > 23.040 : パイプライン部品及びパイプライン > 23.040.10 : 鉄管及び鋼管
JIS G 0803:2021の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISG0203:2009
- 鉄鋼用語(製品及び品質)
- JISG0431:2009
- 鉄鋼製品の雇用主による非破壊試験技術者の資格付与
- JISG0431:2021
- 鉄鋼製品の雇用主による非破壊試験技術者の資格付与
- JISZ2300:2009
- 非破壊試験用語
- JISZ2300:2020
- 非破壊試験用語
- JISZ2305:2013
- 非破壊試験技術者の資格及び認証
- JISZ2306:2015
- 放射線透過試験用透過度計
- JISZ4561:1992
- 工業用放射線透過写真観察器