JIS G 1258-8:2017 鉄及び鋼―ICP発光分光分析方法―第8部:タングステン定量方法―硫酸りん酸分解法 | ページ 2

4
G 1258-8 : 2017

7 試料のはかりとり

  試料はかりとり量は,0.50 gとする。

8 操作

8.1 試料溶液の調製

  試料溶液の調製は,次の手順によって行う。
a) 試料をはかりとって石英ガラス製ビーカー(200 mL)に移し入れ,石英ガラス製時計皿で覆う。
b) 塩酸10 mL及び硝酸10 mLを加え,熱板上で加熱した後,混酸(5.4)20 mLを加え,加熱を続けて分
解する。
c) 石英ガラス製時計皿の一端を持上げ,少し傾けて石英ガラス製時計皿の下面についた水滴を,石英ガ
ラス製ビーカーの内壁を伝わらせてビーカー内に戻す。さらに,三酸化硫黄の白煙が発生する直前ま
で加熱し,いったん熱板から降ろし,硝酸を滴加して試料を完全に分解する。
d) 樹脂製ピペットを用いてふっ化水素酸0.2 mLを加え,はじめは徐々に加熱して水分を蒸発させ,三酸
化硫黄の白煙が発生しはじめたら,300 ℃以上の温度で加熱して白煙を強く3分間発生させた後,放
冷する。
e) 石英ガラス製時計皿の下面を水で洗って石英ガラス製時計皿を取り除く。石英ガラス製ビーカーの内
壁を水洗した後,熱板上に移し,三酸化硫黄の白煙が弱く発生するまで加熱した後,放冷する。
f) 過酸化水素(1+1)を0.2 mL加え,更に水30 mL及び塩酸2 mLを加え,穏やかに加熱して塩類を溶
解し,石英ガラス製時計皿で覆い,引き続き加熱して5分間沸騰させる。常温まで冷却した後,石英
ガラス製時計皿の下面を水で洗って石英ガラス製時計皿を取り除く。
g) 内標準元素としてイットリウム溶液A(5.7)又はイットリウム溶液B(5.8)を正確に加え,溶液を
100 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線までうすめる。イットリウム溶液の添加量は,
あらかじめ100 mLの全量フラスコに混酸(5.4)20 mL及びタングステン標準液A(5.9)20.0 mLを
とり,水で標線までうすめた溶液のタングステン発光強度を求め,その発光強度とほぼ一致するイッ
トリウム添加量を求めておく。

8.2 発光強度の測定

  8.1 g)で得た溶液の一部を噴霧してICP発光分光分析装置(箇条6)のアルゴンプラズマ中に導入し,タ
ングステンの発光強度及び内標準元素としてイットリウムの発光強度を測定する。得たタングステンの発
光強度のイットリウム発光強度に対する比を求める。
なお,溶液に二酸化けい素の沈殿を含有するおそれのある場合には,乾いたろ紙(5種A)でろ過して,
アルゴンプラズマ中に導入する。

9 空試験

  鉄(5.6)0.500 gをはかりとって石英ガラス製ビーカー(200 mL)に移し入れ,石英ガラス製時計皿で
覆う。以下,8.1のb) g)及び8.2の手順に従って,試料と同じ操作を試料と併行して行う。

10 共存成分のスペクトル重なり係数

  あらかじめ各共存成分jの発光スペクトルのタングステンの分析線への重なりについて調べ,スペクト
ルの重なりがある場合には,スペクトル重なり補正係数Ljを次の手順によって求める。
注記 共存成分のスペクトル重なり係数については,JIS G 1258-0の5.4(共存成分のスペクトル重な

――――― [JIS G 1258-8 pdf 6] ―――――

                                                                                              5
G 1258-8 : 2017
り係数)に規格群共通規定が記載されている。
a) 5個の石英ガラス製ビーカー(200 mL)を準備し,それぞれに鉄(5.6)0.500 gをはかりとって移し入
れる。
b) タングステン標準液B(5.10)020 mLを段階的に正確に加え,石英ガラス製時計皿で覆う。
c) 8.1のb) g)の操作を行い,スペクトル重なり係数を求める検量線用溶液を調製する。
d) 8.2によって発光強度比を求め,添加したタングステン量との関係線を作成してタングステン含有率換
算値(質量分率)00.2 %の検量線とする。
e) 共存成分jの量を段階的に3又は4水準添加して,鉄と共存成分jとの二元系溶液(鉄量は,共存成
分量の合計で0.500 gになるように加える。)を8.1の手順に従って調製した後,8.2の操作を行う。
f) e)で得た発光強度比からd)で作成した検量線を用いて見掛けのタングステン量を求め,試料中の見掛
けのタングステン含有率[質量分率(%)]に換算した値ΔWを求める。
g) 二元系溶液の共存成分jの試料中含有率換算値Mj[質量分率(%)]をX,対応したΔW[質量分率(%)]
をYとして,両者の一次回帰式(Y=aX+b)の係数a及びbの値を求める。
h) )で求めた一次回帰式の勾配aをタングステンに対する共存成分jのスペクトル重なり補正係数Ljと
する。

11 検量線の作成

  検量線の作成は,次の手順によって行う。検量線用溶液は,試料と併行に調製する。また,検量線用溶
液の発光強度の測定も,試料と併行に行う。
注記 検量線の作成については,JIS G 1258-0の5.5(検量線の作成)に規格群共通規定が記載されて
いる。
a) 5個の石英ガラス製ビーカー(200 mL)を準備し,それぞれに表4に従って,鉄(5.6)をはかりとっ
て移し入れる。
b) 表4に従ってタングステン標準液A(5.9)を正確に加え,石英ガラス製時計皿で覆う。
c) 8.1のb) g)の操作を行い,検量線用溶液を調製する。イットリウム溶液A(5.7)又はイットリウム
溶液B(5.8)の添加量は,試料溶液の調製と同量とする。
d) 8.2によって検量線用溶液の発光強度比を求め,添加したタングステン量との関係線を作成して検量線
とする。
表4−検量線用溶液へのタングステン標準液添加量
検量線用溶液No. タングステン標準液A タングステン添加量 鋼0.5 g中タングステン鉄(5.6)はか
(5.9)添加量 含有率換算値 りとり量
mL mg [質量分率(%)] g
1(ゼロメンバー) 0 0 0 0.500
2 5 25 5 0.475
3 10 50 10 0.450
4 15 75 15 0.425
5 20 100 20 0.400

12 検量線の校正

  試料溶液の発光強度比測定時に,作成した検量線に経時変化がある場合は,タングステンの濃度が異な

――――― [JIS G 1258-8 pdf 7] ―――――

6
G 1258-8 : 2017
る2個の検量線用溶液1) を用意して,8.2によって発光強度比を測定し,得た発光強度比の検出量換算値
が検量線作成時におけるそれら溶液の検出量換算値と一致するように,検量線を校正する。
注1) 例えば,検量線用溶液の上限及び下限の2個を用いる。

13 計算

  計算は,次の手順によって行う。
注記 計算については,JIS G 1258-0の5.6(計算)に規格群共通規定が記載されている。
a) 未補正含有率の算出 8.2及び空試験(箇条9)で得た発光強度比を,箇条11で作成した検量線又は
箇条12で校正した検量線を用いてタングステン量に換算し,試料中のタングステンの未補正含有率を,
式(1)によって算出する。
m1 m2 m3
Xw' 100 (1)
m
ここに, Xw' : 試料中のタングステンの未補正含有率[質量分率(%)]
m1 : 試料溶液中のタングステン検出量(g)
m2 : 空試験液中のタングステン検出量(g)
m3 : 空試験ではかりとった鉄(5.6)中のタングステン量(g)
鉄(5.6)中のタングステンの含有率(質量分率)が,0.01 %
未満であることが保証されている場合は,タングステンの
量を0とする。
m : 試料はかりとり量(g)
b) 定量値の算出 a)で得た未補正含有率(Xw'),箇条10で求めたスペクトル重なり補正係数(Lj)及び
他の方法2) で得た共存成分の含有率(Wj)から,試料中のタングステンの含有率を式(2)によって算出
する。
Xw=Xw'− Lj×Wj) (2)
ここに, Xw : 試料中のタングステンの含有率[質量分率(%)]
Xw' : a)で得たタングステンの未補正含有率[質量分率(%)]
Lj : 箇条10で得たタングステンに対する共存成分jのスペクトル
重なり補正係数
Wj : 試料中の共存成分jの含有率[質量分率(%)]
注2) 例えば,共存成分の含有率を求める分析法については,マンガン,ニッケル,クロム,バナジ
ウムなどは滴定法を,モリブデン,銅,コバルト,チタン,ニオブなどは吸光光度法などがあ
る。

14 許容差

  許容差は,表5による。

――――― [JIS G 1258-8 pdf 8] ―――――

                                                                                              7
G 1258-8 : 2017
表5−許容差
タングステン定 併行許容差 室内再現許容差 室間再現許容差
量値の平均値 [質量分率(%)] [質量分率(%)] [質量分率(%)]
[質量分率(%)]
10.0 以上 f (n)× f (n)× f (n)×
20.0 以下 [0.001 01×(W)+0.042 3] [0.006 24×(W)+0.031 9]
[0.001 56×(W)+0.082 2]
許容差計算式中のf (n)の値は,JIS Z 8402-6の表1(許容範囲の係数)による。nの値は,併行許容差
の場合は併行分析回数,室内再現許容差の場合は同一分析室内における分析回数,室間再現許容差の場
合は分析に関与した分析室数である。また,(W)は,許容差を求めるタングステン定量値の平均値[質量
分率(%)]である。
注記 許容差は,タングステン含有率(質量分率)9.03 %以上19.9 %以下の試料を用いて共同実験を行っ
た結果から求めた値である。

JIS G 1258-8:2017の国際規格 ICS 分類一覧

JIS G 1258-8:2017の関連規格と引用規格一覧