JIS G 1281:1977 ニッケルクロム鉄合金分析方法 | ページ 3

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ある。
(6) モリブデン酸アンモニウム溶液を加えるときの適当な酸濃度は比較的狭いので,試料溶液の分
取は250mlにうすめたのち50.0mlをとるようにし,同じ51でも100mlにうすめてから20.0mlを
とるようにしてはならない。
(7) モリブデン酸アンモニウムを加えてから,けいモリブデン酸の生成には常温では約4分間を要
するが,加熱した場合は30秒で十分である。
(8) ふっ化水素酸を加えると,りんモリブデン酸及びひ素モリブデン酸は直ちに分解するが,けい
モリブデン酸も徐々に分解するので,30秒以内に硫酸第一鉄アンモニウム溶液を加えて,けい
モリブデン酸をモリブデン青まで還元しておく必要がある。
(9) 硫酸第一鉄アンモニウム溶液を加えてから約30秒後にモリブデン青の吸光度は一定値を示す
ようになり,その後は少なくとも1時間は安定である。
(10) 溶液中にふっ化水素酸が入っているから,吸光度を測定したら,なるべく早く吸収セルを水洗
いしておくのがよい。ふっ化水素酸に対する耐食性は,並ガラス,ほうけいガラス,石英の順
に強くなる。
(11) 波長800840nmに吸収極大がある。ろ光板光度計を使うときは,この付近に主波長のあるフ
ィルターを使えばよい。
(12) 4.3.4の操作に従うときは,りん5%,ひ素2.5%,チタン1%までの共存は差し支えない。
(13) 第2のメスフラスコ溶液を用いて測定した吸光度が空試験値となる。
(14) 本法では塩酸,モリブデン酸アンモニウム溶液,硫酸第一鉄アンモニウム溶液に含まれるけい
素は誤差の原因となるから,なるべくけい素含有率の低いものを使用し,また試薬溶液はガラ
ス壁からけい素が溶けてくるのを避けるため,ポリエチレン容器に貯蔵する。
5. マンガン定量方法
5.1 方法の区分 マンガンの定量方法は,過よう素酸ナトリウム酸化過マンガン酸吸光光度法による。
この方法は,マンガン含有率0.1%以上2%未満の試料に適用する。
5.2 過よう素酸ナトリウム酸化過マンガン酸吸光光度法
5.2.1 要旨 試料を塩酸と硝酸の混酸で分解して,過よう素酸ナトリウムを加えて煮沸し,マンガンを過
マンガン酸に酸化し,冷却後,尿素を加えて一定量にうすめる。この溶液の一部を吸収セルに取り,その
吸光度を測定し,次に残りの溶液に亜硝酸ナトリウムを加えて過マンガン酸の赤紫色を消し,再び前と同
じ条件で吸光度を測定し,その差を求める。
5.2.2 試薬 試薬は,次による。
(1) 混酸A(塩酸1,硝酸1,水1)
(2) 混酸B 水300mlをかき混ぜながらこれに少しずつ硫酸60ml,次にりん酸70mlを加え,冷却して水
で600mlとする。
(3) 硝酸銀溶液 (2W/V%)
(4) 亜硝酸ナトリウム溶液 (10W/V%)
(5) 過よう素酸ナトリウム溶液 (5W/V%)
(6) 過硫酸アンモニウム溶液 (20W/V%)
(7) 尿素溶液 (10W/V%)
(8) 標準マンガン溶液〔N/100過マンガン酸カリウム溶液 (0.3161gKMnO4/l)〕過マンガン酸カリウム0.33g

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をはかり取りフラスコ (2000ml) に移し入れ,水1050mlを加え,加熱して12時間静かに煮沸した
のち,一夜間暗所に放置する。上澄み液を乾燥したガラスろ過器 (G4) でろ過し,ろ過器に付着した
溶液は水洗いすることなく,あらかじめ蒸気洗浄してあるかっ色びんに入れて暗所にたくわえる。こ
の溶液の標定は,次のように行う。
150200℃で11.5時間乾燥し,硫酸デシケーター中で冷却したしゅう酸ナトリウム(容量分析用
標準試薬)0.20.25gを正しくはかり取り,水に溶解して250mlのメスフラスコに移し,水で標線ま
でうすめる。これから25.00mlをビーカー (300ml) に分取する。これに水20mlと硫酸10mlを加え,
液温を2530℃とし,ゆるくかき混ぜながら調製した標準マンガン溶液を滴定所要量(推定)の約2ml
手前まで,ビュレットのコックを全開して注加し,紅色が消えるまで放置する。更に5560℃に加熱
して滴定を続け,反応速度がにぶり終点が近くなれば1滴ずつ.前に加えた過マンガン酸カリウムの
色が消えてから加え,30秒間微紅色を持続するまで滴定する。
空試験 別に水200ml,硫酸10mlを加え,5560℃に加熱したものについて,同じ標準マンガン溶
液で空試験を行い補正する。
標準マンガン溶液1mlに相当するマンガン量を,次の式によって求める。
G 1.0
f1 f2
V S
ここに f1 : 標準マンガン溶液1mlに相当するマンガン量 (g)
G : はかり取ったしゅう酸ナトリウム中のしゅう酸ナトリウム量 (g)
0.1 : しゅう酸ナトリウム溶液の分取率
V : 空試験値を補正した標準マンガン溶液の使用量 (ml)
S : 正確なN/100過マンガン酸カリウム溶液1mlに相当するしゅう酸
ナトリウム量 (0.0006701g)
f2 : 正確なN/100過マンガン酸カリウム溶液1mlに相当するマンガン
量 (0.0001099g)
5.2.3 試料はかり取り量 試料はマンガン含有率に応じ,表3に従ってはかり取る。
表3
マンガン含有率 % 試料はかり取り量 g
0.1以上 1.0未満 0.250
1.0以上 2.0未満 0.10
5.2.4 操作 定量操作は,次の手順によって行う。
(1) 試料をビーカー (300ml) にはかり取り,時計ざらでおおい,混酸A20mlを加え,静かに加熱して分解
する。これに混酸B30mlを加えて静かに加熱し,硫酸白煙を発生させ,しばらく放冷する。
(2) これを水80mlでうすめ,過よう素酸ナトリウム溶液10mlを加え,加熱煮沸し,呈色し始めてから引
き続き5分間煮沸したのち,冷水を加えて液量を約150mlとし,流水を用いて冷却する。これに尿素
溶液10mlを加え,250mlのメスフラスコに移し入れ,水で正しく標線までうすめる。
(3) この溶液の一部を光度計の吸収セルにとり,波長530nm付近の吸光度を測定する。次に残っているメ
スフラスコの呈色液に亜硝酸ナトリウム溶液14滴(1)を加えて過マンガン酸の紅色を消したのち,そ
の一部を吸収セルにとり,前と同じ条件で吸光度を測定する。
5.2.5 計算 5.2.6で作成した検量線からそれぞれに相当するマンガン量を求め(2),試料中のマンガン含
有率を,次の式によって算出する。
A 圀
マンガン % 100

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ここに A : 呈色させた試料溶液中から検出されたマンガン相当量 (g)
B : 脱色させた試料溶液中から検出されたマンガン相当量 (g)
W : 試料はかり取り量 (g)
5.2.6 検量線の作成 マンガン含有率既知の標準試料を用い,5.2.4(1)(3)の手順に従って操作し,得た
吸光度とマンガン量との関係線を作成して検量線とする。また標準試料の代わりに標準マンガン溶液0
25.0mlを段階的に250mlのメスフラスコに取り,水で標線までうすめた溶液を使って検量線を作成しても
よい。ただし,この場合は水で標線までうすめたのち,直ちに吸光度を測定する必要がある。
注(1) 亜硝酸ナトリウム溶液14滴の添加による溶液の増量は無視する。このため添加する亜硝酸ナ
トリウム溶液は最少限にとどめ,まず1滴を加えて振り混ぜ,なお過マンガン酸の紅色が残った
ときは,更に1滴を追加して振り混ぜるようにする。
(2) 検量線が直線とならない部分に吸光度の読みが得られた場合には,必ず5.2.4(4)の方法で検量線
を使う。検量線が直線であるときは,呈色液と脱色液の吸光度の差を求め,これに相当するマ
ンガン量を求めてもよい。
備考 過よう素酸ナトリウム溶液の代わりに,硝酸銀,過硫酸アンモニウム溶液を用いる場合は,次
のように操作する。
5.2.4(1)の手順に従って操作したのち,これに水80mlと硝酸銀溶液5mlを加え,加熱して煮
沸させ,過硫酸アンモニウム溶液(3)10mlを加え,引き続き約1分間(4)煮沸してマンガンを過マ
ンガン酸に酸化する。直ちに冷水を加えて液量を約150mlとし,流水を用いて冷却し,尿素溶
液10mlを加え,250mlのメスフラスコに移し入れ,水で標線までうすめ,以下5.2.4(3)以降の
手順に従って操作し,マンガン含有率を求める。
注(3) 過硫酸アンモニウム溶液は,夏期又は温所では保存に耐えず,数日間で力価が低下して低値を
与える原因となることがあるから,なるべく新しく調製して使用する。また尿素は,過マンガ
ン酸を消費しないものを用いなければならない。
(4) 過硫酸アンモニウム溶液10ml添加後の煮沸時間は,2分を超えてはならない。永く煮沸を継続
すると,生成した過マンガン酸が分解して,低値を与える原因となることがある。
6. りん定量方法
6.1 方法の区分 りんの定量方法は,硫酸ヒドラジン還元モリブデン青吸光光度法による。
この方法は,りん含有率0.05%以下の試料に適用する。
6.2 硫酸ヒドラジン還元モリブデン青吸光光度法
6.2.1 要旨 試料を塩酸と硝酸の混酸で分解し,過塩素酸を加えて白煙処理を行い,クロムを重クロム酸
に酸化し,塩酸を加えてクロムを塩化クロミルとして揮散除去する。塩類を水で溶解し,一定量を分取す
る。亜硫酸水素ナトリウムでクロム,鉄などを還元したのち,りんをモリブデン酸アンモニウム及び硫酸
ヒドラジンでモリブデン青として吸光度を測定する。
6.2.2 試薬 試薬は,次による。
(1) 塩酸
(2) 過塩素酸 (60%)
(3) 硫酸 (7.5v/v%)
(4) 混酸(塩酸1,硝酸1,水1)
(5) 塩化ナトリウム

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(6) 亜硫酸水素ナトリウム溶液 (10w/v%)
(7) 混合試薬溶液
A液 : 結晶モリブデン酸アンモニウム [(NH4)6Mo7O24・4H2O] 20gを温水約100mlに溶解し,
これに硫酸 (1+1) 600mlを加えて冷却し,水で1000mlにうすめる。
B液 : 硫酸ヒドラジン1.5gを水で溶解し,水で全量を1000mlにうすめる。
上記の溶液を使用のつどA液25ml,B液10ml,水65mlの割合で混合する。この試薬は変色するの
で,使用のつどこれを調製する。
(8) 標準りん溶液(10 最一 りん酸二水素ナトリウム (NaH2PO4・2H2O) を110℃で恒量としたのち,
デシケーター中で冷却したもの0.3871gをはかり取り,水に溶解し,水で1000mlにうすめ原液とする。
必要量だけ水で正しく10倍にうすめる。この標準溶液の標定はJIS G 1214(鉄及び鋼中のりん定量
方法)の5.2(5)の標定方法によって行う。
6.2.3 試料はかり取り量 試料は,0.50gをはかり取る。
6.2.4 操作 定量操作は,次の手順によって行う。
(1) 試料をはかり取り,三角フラスコ (200ml) に移し入れ,混酸30mlを加え徐々に加熱して分解し,過
塩素酸15mlを加えて加熱を続け,フラスコ内部が透明となり過塩素酸の蒸気がフラスコの内壁を伝
わって逆流する程度に保持し,液が赤色になるまで十分酸化する。 これに塩酸又は塩化ナトリウム
を少量ずつ加え,大部分のクロムを塩化クロミルとして揮散させる。引き続き加熱し,過塩素酸の蒸
気がフラスコの内壁を伝わって逆流する程度に56分間保持したのち熱板からおろし,放冷する。
(2) 水約40mlを加え,振り混ぜて塩類を溶解し,ろ紙(5種A)を用いて100mlのメスフラスコにろ過し,
温水で洗浄する。流水を用いて室温まで冷却し,水で標線までうすめる。
(3) この溶液から20.0mlずつを2個の100mlメスフラスコ(1)に分取し,亜硫酸水素ナトリウム溶液10ml
をそれぞれ加え,沸騰水浴中で溶液の赤かっ色が消失し溶液の色が変化しなくなるまで加熱する。こ
のうち第1のメスフラスコには混合試薬溶液25mlを加えて振り混ぜ,沸騰水浴中で約10分間加熱し
て完全に呈色させ,流水中で室温まで冷却したのち,水で標線までうすめる。第2のメスフラスコに
は硫酸 (7.5v/v%) 25mlを加えたのち冷却し,水で標線までうすめる。
(4) これらの溶液の一部を光度計の吸収セルに取り,第2の溶液を対照液として波長825nm(2)付近におけ
る吸光度を測定する。
6.2.5 計算 6.2.6で作成した検量線からりん量を求め,試料溶液中のりん含有率を,次の式によって算
出する。
A
りん % 100
W B
ここに A : 分取した試料溶液中のりん検出量 (g)
W : 試料はかり取り量 (g)
B : 試料溶液の分取比
6.2.6 検量線の作成 りん含有率既知の標準試料を用い,6.2.4(1)(4)の手順に操作し,得た吸光度とり
ん量との関係線を作成して検量線とする。また標準試料の代わりに標準りん溶液05.0mlを段階的に
100mlのメスフラスコに取り,過塩素酸1ml及び水を加えて液量を約20mlとした溶液を使って検量線を作
成してもよい。
ただし,この場合は6.2.4(3)の亜硫酸水素ナトリウムを加える手順以降に従って操作する。
注(1) 新しいメスフラスコを使用するときは,水を入れてこれを沸騰水浴中で約10分間加熱したのち

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常温まで冷却する。この操作を数回繰り返し,容積変化がわずかになってから使用する。
(2) モリブデン青の吸収極大は,波長820830nmにある。ろ光板光度計を使用する場合は,この
付近に主波長のあるフィルターを使えばよい。
7. 硫黄定量方法
7.1 方法の区分 硫黄の定量方法は,燃焼中和滴定法による。
7.2 燃焼中和滴定法
7.2.1 要旨 試料を酸素ガス気流中で高温に熱し,全硫黄を酸化して亜硫酸ガスなどとし,これを過酸化
水素水に吸収させて硫酸とし,水酸化ナトリウム標準溶液で滴定する。
7.2.2 試薬 試薬は,次による。
(1) 吸収液〔過酸化水素水 (0.1%)〕 過酸化水素水 (30%) 3.5mlを取り,これに水を加えて1000mlにう
すめる。この溶液は微量の酸を含むことがあるので,その一定量を取り,水酸化ナトリウム標準溶液
で滴定し,その結果によって母液に水酸化ナトリウム標準溶液を加えて酸を中和して,かっ色びんに
保存する。この溶液は使用のつど,正確に中和して使用する。
(2) /100水酸化ナトリウム標準溶液 水酸化ナトリウム0.4gを水約500mlに溶解し,これを1000mlの
メスフラスコに移し,水酸化バリウム溶液(飽和,約4%)1mlを添加したのち,水で標線までうすめ
る。
この溶液の標定には,硫黄含有率既知の標準試料を用いて7.2.5の手順によって操作し,次の式によ
って水酸化ナトリウム標準溶液1mlに相当する硫黄量 (g) を求める。このさい標準試料は,分析試料
と同じ鋼種のものを用いる。
S
f
V
ここに f : N/100水酸化ナトリウム標準溶液1mlに相当する硫黄量 (g)
S : 標準試料中の硫黄量 (g)
V : N/100水酸化ナトリウム標準溶液の使用量 (ml)
(3) メチルレッド・メチレンブルー混合指示薬 メチルレッド0.125gとメチレンブルー0.083gをエチルア
ルコールに溶解し,エチルアルコールで100mlにうすめる。
(4) 助燃剤 銅,すず,鉄及び酸化クロムいずれも硫黄含有率のできるだけ少ないものとする。
7.2.3 装置及び器具(付図5参照) 装置及び器具は,原則として次のものを用いる。
(1) 酸素ガス清浄装置 この装置は,酸素ガス中に含まれるガスで,硫黄定量に有害なものを除き,酸素
ガスを清浄乾燥するのを目的とするもので,クロム酸飽和硫酸(硫酸比重1.82, 90%)を入れた洗びん
(a),固体水酸化ナトリウム又はソーダ石灰を詰めた塔 (b),硫酸を入れた洗びん (c) 及び活性アルミ
ナを詰めた塔 (d) を順次連結する。
(2) 燃焼炉 燃焼炉 (f) は長さ約300mmの管状電気炉で,長さ約600700mm,内径24mmの磁器燃焼管
(e) を入れ,炉壁から4060mm (h) 突き出させ,管の先端に硬質ガラスキャップをはめ,これをばね
で炉壁に締めつける。管状電気炉の代わりに高周波誘導加熱装置(付図2)を使用することができる。
(3) 吸収びん 吸収びん (i) には,吸収液約40ml(液の高さ60mm)を入れる。
(4) 磁器ボート及び磁器ボートカバー 磁器ボート (j) は,長さ約80mm,外幅約15mm,高さ約12mm
のものを用い,これに適合する長さ約60mmの磁器ボートカバー (k) を用いる。これらは,あらかじ
め酸素気流中で1450℃で10分間空焼きしたのち,デシケーター中に保存する。

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