JIS G 1301:2016 フェロアロイ―分析方法通則 | ページ 2

4
G 1301 : 2016
定法との区別を要する場合に目視滴定法という。
3.5
赤外線吸収法
試料を吸収セルに送り,赤外線光の吸収セル通過での吸収量を測定して定量を行う分析方法。
フェロアロイ分析方法規格群では,試料中の分析対象成分を気体状の化合物に変換して吸収セルに送り,
その気体状の化合物による赤外線の吸収量を測定して分析対象成分の定量を行う分析方法。
3.6
熱伝導度法
試料から生じたガスを検出器に流し,基準ガスとの熱伝導度の違いによって生じる検出器中の加熱フィ
ラメントの電気抵抗の変化を測定してガス組成を定量する分析方法。
3.7
導電率法
試料を吸収液に吸収させ,その吸収液の電気導電率を測定して定量を行う分析方法。
フェロアロイ分析方法規格群では,試料中の分析対象成分を気体状の化合物に変換して吸収液に送り,
その気体状の化合物を吸収した吸収液の電気導電率を測定して分析対象成分の定量を行う分析方法。
3.8
電量法
試料を吸収液に吸収させ,その吸収液中の試料を電気分解によって分解した際の電流量を測定して定量
を行う分析方法。
フェロアロイ分析方法規格群では,試料中の分析対象成分を気体状の化合物に変換して吸収液に送り,
その気体状の化合物が溶解して生成した物質が電気分解によって,分解する際に要した電流量を測定して
分析対象成分の定量を行う分析方法。
3.9
空試験
通常,試料を用いないで,試料と同様の操作を併行して操作をする試験。
フェロアロイ分析方法規格群では,吸光光度分析法,原子吸光分析法などの検量線を作成する方法にお
いては,試料の代わりに高純度金属を用いて試料と同様の操作をする試験をいう。空試験によって調製し
た液を空試験液という。
注記 空試験は,JIS K 0211には第一文だけが定義として示されている。
3.10
ゼロメンバー
検量線用溶液において,分析対象成分の標準液を添加していない溶液。
3.11
熱(接頭語)
酸などの液体について,60 ℃以上の温度とした状態に用いる接頭語。“熱塩酸(1+1)”などのように用
いる。
3.12
温(接頭語)
酸などの液体について,4060 ℃の温度とした状態に用いる接頭語。“温塩酸(1+50)”などのように
用いる。

――――― [JIS G 1301 pdf 6] ―――――

                                                                                              5
G 1301 : 2016
3.13
成分試験試料
規定の試料調製を完了し,分析対象成分分析を行うことができる試料。
フェロアロイ分析方法規格群に規定している各定量方法規格においては,成分試験試料を分析用試料又
は単に試料ということがある。
3.14
分析試料
分析対象成分分析を行うために,成分試験試料からはかりとる試料。ただし,各定量方法規格において
分析試料を単に試料又ははかりとり試料ということがある。
3.15
室内再現条件(within-laboratory-reproducibility condition)
同一成分試験試料の測定において,時間・校正・オペレータ・装置の4因子の1個以上が異なっている
測定条件4)。
注4) 室内再現条件で求めた“室内再現精度”は,JIS Z 8402-3に規定された“中間精度”に相当す
る。
3.16
室内再現許容差(within-laboratory-reproducibility limit)
室内再現条件で得られた2個の測定結果の差の絶対値が,その値以下になることが95 %の確率で期待さ
れる値。

4 一般事項

4.1 共通一般事項

  フェロアロイ分析方法規格群に共通な一般事項は,JIS K 0050によるほか,次による。
a) 全量ピペット及びビュレット フェロアロイ分析方法規格群で用いる全量ピペット及びビュレットは,
特に指定がない場合は,JIS R 3505のクラスAのものを用いる。
なお,自動ビュレットは,指定滴加量の繰返し測定(体積換算値)の標準偏差の2倍の値が,JIS R
3505に規定されている,その指定滴加量(体積)でのクラスAの許容誤差内であれば,全量ピペット
及び/又はビュレットの代わりに使用できる。
b) 全量フラスコ フェロアロイ分析方法規格群で用いる全量フラスコは,特に指定がない場合は,JIS R
3505のクラスAの受用のものを用いる。ただし,JIS K 0050の附属書H(体積計の校正方法)によっ
て校正した場合は,クラスBのものを用いてもよい。
c) はかり 化学分析用の分析試料などのはかりとりに用いるはかりは,特に指定がない場合は,最小読
取値が0.1 mgで,国際標準とトレーサビリティが得られている分銅によって校正された,化学はかり
又は電子はかりとする。
d) ふるい ふるいは,特に指定がない場合は,JIS Z 8801-1による。
e) 水 フェロアロイ分析方法規格群で用いる水は,特に指定がない場合は,JIS K 0557に規定する種別
A3又はA4相当の水を用いる。

4.2 個別一般事項

  フェロアロイ分析方法規格群に規定した各定量方法における一般事項は,JIS K 0113,JIS K 0115,JIS K
0116,JIS K 0117,JIS K 0119,JIS K 0121,JIS Z 2615及びJIS Z 2616による。

――――― [JIS G 1301 pdf 7] ―――――

6
G 1301 : 2016

5 成分試験試料の採取,調製及び取扱い

5.1 成分試験試料の採取,調製及び保管

  成分試験試料の採取及び調製は,JIS G 1501及びJIS G 1601JIS G 1604による。成分試験試料の保管
期間は,通常,6か月とする。
なお,試料の保管に際しては,試料が変質を起こさないように温度,直射日光,水分などの影響のない
場所に保管する。

5.2 化学分析方法の成分試験試料のはかりとり

  化学分析方法の成分試験試料は,5.1で採取及び調製した成分試験試料から,4.1 c) に規定されたはかり
を用いて,はかりとった試料の組成が成分試験試料の平均組成となるように,かつ,その質量が化学分析
方法を規定したフェロアロイ分析方法規格群の各定量方法規格に規定しているはかりとり量の表示桁に丸
めたときに規定を満たすようにはかりとり,その質量を0.1 mgの桁まで読み取る。ただし,熱的分析方法
においては,1 mgの桁までの読取りでよく,この場合に用いるはかりは,4.1 c) の規定を満たさなくても
よい。ただし,フェロアロイ分析方法規格群の各定量方法規格に読取り桁数が規定されている場合には,
その規定に従う。

5.3 機器分析方法の成分試験試料の調製

  機器分析方法の成分試験試料は,機器分析方法の各定量方法規格に記載する方法に従って調製する。

6 分析値のまとめ方

6.1 空試験

  化学分析方法による分析においては,全操作を通じて空試験を行い,分析値を補正しなければならない。
なお,フェロアロイ分析方法規格群の各定量方法規格に空試験は行わないと規定されている場合には,
空試験及び空試験値の補正を省略する。

6.2 分析回数

  分析回数は,分析依頼者からの要求による。要求がない場合には,JIS Z 8402-6によるのが望ましい。
ただし,7.2.1の真度の検討を行って分析値の妥当性が確認されれば,1回の分析でもよい。

6.3 分析値の採択

  化学分析方法による分析においては,7.2の分析値の精確さの検討,特に7.2.1の真度の検討を行って検
討結果が満足できる場合にだけ分析値を採択することが望ましい。

6.4 分析値の表示

  分析値は,はかりとった試料の質量に対する質量分率で表し,百分率を示す%を用いて表示する。
分析値の報告桁は,分析法の精度を考慮して決定する。数値の丸め方は,JIS Z 8401による。JISの製
品規格の規定によって分析値を報告する場合には,規定された各成分の表示の最下位まで表示する。

7 化学分析方法の許容差の取扱い方

7.1 化学分析方法の許容差

  化学分析方法の許容差は,フェロアロイ分析方法規格群の化学分析方法の各定量方法規格に規定する。
フェロアロイ分析方法規格群に許容差を規定していない場合には,7.3による。

7.2 化学分析方法の分析値の精確さの検討

7.2.1  真度の検討
分析試料と化学特性が近似し,認証値が成分試験試料の予想含有率に近い認証標準物質を一つ選んで,

――――― [JIS G 1301 pdf 8] ―――――

                                                                                              7
G 1301 : 2016
分析試料と併行して分析し,得られた認証標準物質の分析結果と認証値との差の絶対値が,その分析方法
規格の対標準物質許容差を超えなければ,同時に分析して得られた分析試料の分析値の真度は,満足でき
るものと判断する。複数の試料について,分析操作が分析試料と同一の場合は,それらの試料に対し,一
つの認証標準物質によって真度の検討を行ってもよい。
対標準物質許容差の求め方は,次のいずれかによる。
a) 各定量方法規格に対標準物質許容差が規定されている場合 対標準物質許容差は,その規定に従う。
b) 各定量方法規格に対標準物質許容差の規定がなく,室間再現許容差が規定されている場合 対標準物
質許容差C(質量分率)は,次のいずれかの方法によって求める。室間再現許容差が式で規定されて
いる場合は,室間再現許容差の式に認証値を代入して室間再現許容差を求め,得た値に0.357
1(=1.0/2.8)を乗じた値を室間再現標準偏差として式(1)又は式(2)に代入して対標準物質許容差Cを求め
る。室間再現許容差が数値の表で示されている場合は,認証値における室間再現許容差を補完法によ
って求め,得た値に0.357 1(=1.0/2.8)を乗じた値を室間再現標準偏差として式(1)又は式(2)に代入して
対標準物質許容差Cを求める。
なお,補完法とは,例えば,隣り合った2点間に一次式を求め,この一次式から許容差を近似する
ことをいう。
1) 使用した認証標準物質の認証書に個々のデータが記載され,認証値決定時の分析値の標準偏差が求
められる場合は,式(1)によって求める。
2
sC 2
C 2 sR (1)
NC
ここに, sC : 試料と併行に分析した認証標準物質の認証値決定時の分析の
標準偏差(標準偏差を求める個々のデータは,認証値決定試
験参加分析室ごとの平均値)(質量分率)
NC : 用いた標準物質の認証値決定試験参加分析室数
sR : 室間再現標準偏差(質量分率)
2) 使用した認証標準物質の認証書に個々のデータの記載がなく,不確かさの値だけが記載されている
場合は,式(2)によって求める。
2
C 2 (UCRM / k) 2
sR (2)
ここに, UCRM : 使用した認証標準物質の認証値の不確かさ
k : 包含係数。JIS K 0211に規定され,拡張不確かさを得るため
に合成標準不確かさに乗じる係数で,通常は23の値をと
る。
c) 各定量方法規格に対標準物質許容差及び室間再現許容差が規定されていない場合 式(3)において
mCRMに認証値[%(質量分率)]を入れて室間再現標準偏差を求め,その値をb) の式(1)又は式(2)に
代入して対標準物質許容差Cを求める。
0.6015
sR 0.018 21mCRM (3)
7.2.2 併行精度の検討
同一分析室において,同一成分試験試料を併行条件で2回分析して得られた2個の分析値の結果の範囲
が,その分析方法に規定している併行許容差(r)以下であれば,これらの2個の分析値の間に異常な差は
ないものと判断する。この場合には,併行許容差式の成分含有率の項には,2個の分析値の平均値を代入
する。

――――― [JIS G 1301 pdf 9] ―――――

8
G 1301 : 2016
7.2.3 室内再現精度(中間精度)の検討
同一分析室において,同一成分試験試料を再現条件で2回分析して得られた2個の分析結果の差の絶対
値が,その分析方法規格に規定されている室内再現許容差を超えなければ,この2個の分析結果の間に異
常な差はないものと判断する。室内再現許容差が式で規定されている場合には,2個の分析値の平均値を
式の成分含有率の項に代入する。
注記 JIS Z 8402-3では併行標準偏差と再現標準偏差との間の誤差因子をもつ場合を中間精度と呼ん
でいて,この語が正規の用語であるが,フェロアロイ分析方法規格群では,従来からの呼称に
従って,室内再現精度の用語を用いる。
7.2.4 室間再現精度の検討
二つの異なる分析室において,同一成分試験試料をそれぞれ分析して得られた結果の範囲が,その分析
方法規格に規定している室間再現許容差(R)以下であれば,これらの二つの分析室の間に異常な差はな
いものと判断する。室間再現許容差が式で規定されている場合には,2個の分析値の平均値を式の成分含
有率の項に代入する。

7.3 許容差が規定されていない場合の取扱い方

  分析方法規格に許容差又は分析精度が規定されていない場合の許容差,又は分析方法規格の定量範囲に
対して許容差若しくは分析精度の適用範囲が狭い場合の適用範囲外の許容差は,次の式によって算出する。
a) 併行許容差
0.6036
r 0.0243 m1 (4)
ここに, r : 併行許容差[%(質量分率)]
m1 : 併行許容差を求める二つの分析結果の平均値[%(質量分率)]
b) 室内再現許容差
0.6036
Rw 0.0291 m2 (5)
ここに, Rw : 室内再現許容差[%(質量分率)]
m2 : 室内再現許容差を求める二つの分析結果の平均値[%(質量
分率)]
c) 室間再現許容差
0.6015
R 0.0510 m3 (6)
ここに, R : 室間再現許容差[%(質量分率)]
m3 : 室間再現許容差を求める二つの分析結果の平均値[%(質量
分率)]

7.4 許容差の判定方法

  併行許容差,室内再現許容差及び室間再現許容差の判定は,各々の分析結果の報告桁を報告桁の一番少
ない結果に合わせてその差を求め,許容差も分析結果の報告桁に丸めて比較する。対標準物質許容差の判
定は,分析結果の報告桁を認証値の表示桁に合わせてから認証値との差を求めて比較する。ただし,分析
結果の報告桁数が少なく,認証値の表示桁に合わせることができない場合は,認証値及び許容差を分析結
果の報告桁に丸めて比較する。
許容差を分析結果の報告桁に丸めるとゼロとなる場合は,その報告桁の値が1となる値を許容差とする。

8 化学分析方法による定量値の計量計測トレーサビリティ

  フェロアロイ分析方法規格群のうちの化学分析方法によって得た定量値は,7.2.1に規定された真度を満
足していれば,適用した分析法の国際単位系(SI)への計量計測トレーサビリティが得られている。

――――― [JIS G 1301 pdf 10] ―――――

次のページ PDF 11

JIS G 1301:2016の国際規格 ICS 分類一覧

JIS G 1301:2016の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISG1501:1998
フェロアロイのサンプリング方法通則
JISG1601:1998
フェロアロイの成分用試料のサンプリング方法(その1 フェロマンガン,フェロシリコン,フェロクロム,シリコマンガン及びシリコクロム)
JISG1602:1998
フェロアロイの成分用試料のサンプリング方法(その2 フェロタングステン,フェロモリブデン,フェロバナジウム,フェロチタン及びフェロニオブ)
JISG1603:1985
フェロアロイの成分用試料のサンプリング方法(その3 フェロホスホル,金属マンガン,金属けい素,金属クロム,カルシウムシリコン及びフェロボロン)
JISG1604:2000
フェロアロイの成分用試料のサンプリング方法(その4 フェロニッケル)
JISG2301:1998
フェロマンガン
JISG2302:1998
フェロシリコン
JISG2303:1998
フェロクロム
JISG2304:1998
シリコマンガン
JISG2306:1998
フェロタングステン
JISG2307:1998
フェロモリブデン
JISG2308:1998
フェロバナジウム
JISG2309:1998
フェロチタン
JISG2310:1986
フェロホスホル
JISG2311:1986
金属マンガン
JISG2312:1986
金属けい素
JISG2313:1998
金属クロム
JISG2314:1986
カルシウムシリコン
JISG2315:1998
シリコクロム
JISG2316:2000
フェロニッケル
JISG2318:1998
フェロボロン
JISG2319:1998
フェロニオブ
JISK0050:2019
化学分析方法通則
JISK0113:2005
電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則
JISK0115:2004
吸光光度分析通則
JISK0115:2020
吸光光度分析通則
JISK0116:2014
発光分光分析通則
JISK0117:2017
赤外分光分析通則
JISK0119:2008
蛍光X線分析通則
JISK0121:2006
原子吸光分析通則
JISK0211:2013
分析化学用語(基礎部門)
JISK0557:1998
用水・排水の試験に用いる水
JISK8001:2017
試薬試験方法通則
JISR3505:1994
ガラス製体積計
JISZ2615:2015
金属材料の炭素定量方法通則
JISZ2616:2015
金属材料の硫黄定量方法通則
JISZ8101-1:2015
統計―用語及び記号―第1部:一般統計用語及び確率で用いられる用語
JISZ8301:2019
規格票の様式及び作成方法
JISZ8401:2019
数値の丸め方
JISZ8402-1:1999
測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第1部:一般的な原理及び定義
JISZ8402-6:1999
測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第6部:精確さに関する値の実用的な使い方
JISZ8801-1:2019
試験用ふるい―第1部:金属製網ふるい