JIS G 1317-1:2020 フェロモリブデン分析方法―第1部:モリブデン定量方法

JIS G 1317-1:2020 規格概要

この規格 G1317-1は、フェロモリブデン中のモリブデンの定量方法について規定。

JISG1317-1 規格全文情報

規格番号
JIS G1317-1 
規格名称
フェロモリブデン分析方法―第1部 : モリブデン定量方法
規格名称英語訳
Method for chemical analysis of ferromolybdenum -- Part 1:Determination of molybdenum content
制定年月日
2020年8月20日
最新改正日
2020年8月20日
JIS 閲覧
‐ 
対応国際規格

ISO

国際規格分類

ICS

77.100
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
‐ 
改訂:履歴
2020-08-20 制定
                                                                                 G 1317-1 : 2020

pdf 目 次

ページ

  •  1 適用範囲・・・・[1]
  •  2 引用規格・・・・[1]
  •  3 一般事項・・・・[1]
  •  4 定量方法の区分・・・・[1]
  •  5 鉄分離亜鉛アマルガム還元過マンガン酸カリウム滴定法・・・・[1]
  •  5.1 要旨・・・・[1]
  •  5.2 試薬・・・・[2]
  •  5.3 器具・・・・[2]
  •  5.4 試料はかりとり量・・・・[2]
  •  5.5 操作・・・・[2]
  •  5.6 空試験・・・・[4]
  •  5.7 計算・・・・[4]
  •  5.8 許容差・・・・[4]
  •  6 8-キノリノールモリブデン重量法・・・・[4]
  •  6.1 要旨・・・・[4]
  •  6.2 試薬・・・・[4]
  •  6.3 器具・・・・[5]
  •  6.4 試料はかりとり量・・・・[5]
  •  6.5 操作・・・・[5]
  •  6.6 空試験・・・・[6]
  •  6.7 計算・・・・[6]
  •  6.8 許容差・・・・[6]
  •  7 モリブデン酸鉛重量法・・・・[6]
  •  7.1 要旨・・・・[6]
  •  7.2 試薬・・・・[6]
  •  7.3 装置及び器具・・・・[7]
  •  7.4 試料はかりとり量・・・・[7]
  •  7.5 操作・・・・[7]
  •  7.6 空試験・・・・[9]
  •  7.7 計算・・・・[9]

――――― (pdf 一覧ページ番号 1) ―――――

G 1317-1 : 2020

まえがき

  この規格は,産業標準化法第12条第1項の規定に基づき,日本フェロアロイ協会(JFA)及び一般財団
法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業規格を制定すべきとの申出があり,日本
産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本産業規格である。これによって,JIS G
1317:1998は廃止され,その一部を分割して制定したこの規格に置き換えられた。
  この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
  この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
  JIS G 1317の規格群には,次に示す部編成がある。
    JIS G 1317-1 第1部 : モリブデン定量方法
    JIS G 1317-2 第2部 : 炭素定量方法
    JIS G 1317-3 第3部 : けい素定量方法
    JIS G 1317-4 第4部 : りん定量方法
    JIS G 1317-5 第5部 : 硫黄定量方法
    JIS G 1317-6 第6部 : 銅定量方法
    JIS G 1317-7 第7部 : アルミニウム定量方法

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                                       日本産業規格                             JIS
                                                                           G 1317-1 : 2020

フェロモリブデン分析方法−第1部 : モリブデン定量方法

Method for chemical analysis of ferromolybdenum- Part 1: Determination of molybdenum content

1 適用範囲

  この規格は,フェロモリブデン中のモリブデンの定量方法について規定する。

2 引用規格

  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
    JIS G 1301 フェロアロイ−分析方法通則
    JIS H 6202 化学分析用白金皿
    JIS K 8001 試薬試験方法通則
    JIS R 1301 化学分析用磁器るつぼ
    JIS R 3503 化学分析用ガラス器具

3 一般事項

  分析方法に共通な一般事項は,JIS G 1301による。

4 定量方法の区分

  モリブデンの定量方法は,次のいずれかによる。
a) 鉄分離亜鉛アマルガム還元過マンガン酸カリウム滴定法 この方法は,モリブデン含有率(質量分率)
    50 %80 %の試料に適用する。
b) 8-キノリノールモリブデン重量法 この方法は,モリブデン含有率(質量分率)50 %80 %の試料に
    適用する。ただし,タングステン含有率が0.1 %(質量分率)以上の試料には適用してはならない。
c) モリブデン酸鉛重量法 この方法は,モリブデン含有率(質量分率)50 %80 %の試料に適用する。

5 鉄分離亜鉛アマルガム還元過マンガン酸カリウム滴定法

5.1 要旨

  試料を,硫酸と硝酸とで分解し,加熱して濃縮し,硫酸の白煙を発生させて硝酸を除去し,水酸化ナト
リウム溶液を加えて鉄などを水酸化物として分離する。硫酸で酸濃度を調節し,亜鉛アマルガムを加えて
振り混ぜ,モリブデンを還元した後,過マンガン酸カリウム溶液で滴定する。

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G 1317-1 : 2020

5.2 試薬

  試薬は,次による。
5.2.1  硝酸(1+1)
5.2.2  硫酸(1+1)
5.2.3  二酸化炭素
5.2.4  融解合剤(炭酸ナトリウム1,炭酸カリウム1)
5.2.5  亜鉛アマルガム 水銀450 gを三角フラスコ(300 mL)に移し入れ,これに硫酸(1+10)で表面
の酸化皮膜を除いた粒状亜鉛10 gを加え,その表面を少量の硫酸(1+10)で覆い,ときどき振り動かし
ながら水浴上で加熱して粒状亜鉛を溶融させ,室温まで放冷し,少量の硫酸(1+10)でアマルガムの表面
を覆って保存する。
    警告 水銀及び亜鉛アマルガムは,猛毒であるので,排気設備の使用によってこれらの蒸気の吸入を
          防止する。さらに,保護具の着用によって,これらの試薬及びこれらの試薬を添加した溶液と
          の接触を避ける。
5.2.6  水酸化ナトリウム溶液(200 g/L)
5.2.7  0.02 mol/L過マンガン酸カリウム溶液 調製,標定及び計算は,JIS K 8001のJA.6.4(滴定用溶液
の調製,標定及び計算)のg)による。

5.3 器具

  還元器は,通常,図1のものを用い,下方のコック以下には,沸騰させて空気を除去し,冷却した水を
満たしておく。

5.4 試料はかりとり量

  試料はかりとり量は,0.50 gとする。

5.5 操作

5.5.1  試料の分解
  試料の分解は,次の手順によって行う。
a) 試料をはかりとってビーカー(300 mL)に移し入れ,時計皿で覆う。
b) 硫酸(1+1)20 mL及び硝酸(1+1)5 mLを加え,加熱して分解する。
c) 放冷した後,時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除き,硫酸の白煙が発生するまで加熱する。
d) 引き続き,硫酸の白煙を発生させた状態で15分20分間加熱して硝酸を追い出す。
e) 放冷した後,温水100 mLを加え,加熱して可溶性塩類を溶解する。
f)  不溶解残さが認められる場合は,ろ紙(5種B)を用いてこし分け,温水で4,5回洗浄し,ろ液及び
    洗液は,ビーカー(300 mL)に受け,主液として保存する。不溶解残さは,ろ紙とともにニッケルる
    つぼ(30 mL)に移し入れ,600 ℃以下でろ紙を灰化した後,1 g2 gの融解合剤(5.2.4)を加え,850 ℃
    以上で加熱して融解する。放冷した後,るつぼに温水20 mLを加え,融成物を溶解して主液に合わせ
    る。るつぼは,水で洗い洗液も主液に合わせる。
5.5.2  鉄などの分離
  鉄などの分離は,次の手順によって行う。
a) 5.5.1のe)又はf)で得た溶液をかき混ぜながら水酸化ナトリウム溶液(200 g/L)を少量ずつ加え,水酸
    化鉄(III)の沈殿が僅かに生成するまで中和し,更に20 mLを加える。
b) 加熱して3分5分間穏やかに沸騰させた後,常温まで冷却して250 mLの全量フラスコに水を用いて
    移し入れ,水で標線までうすめる。

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                                                                                 G 1317-1 : 2020
c) 溶液を乾いたろ紙(5種B)を用いて乾いたビーカー(300 mL)にろ過する。
d) ろ液から50 mLを分取してビーカー(100 mL)に移し入れる。
5.5.3  モリブデンの還元
  モリブデンの還元は,次の手順によって行う。
a) 5.5.2 d)で得た溶液に硫酸(1+1)6 mLを加えてかき混ぜる。
b)   )の溶液を亜鉛アマルガム(5.2.5)200 gを入れた還元器(5.3)に15 mL以下の水を用いて移し入れ
    る。
c)   )で用いた還元器に二酸化炭素を3分間通じて,空気を置換した後,5分間激しく振り混ぜ,モリブ
    デンを還元する。
5.5.4  滴定
  還元器の亜鉛アマルガムを受器に移す。溶液は,空気に触れると酸化しやすいので,還元器内に空気が
入らないように注意しながら,直ちに0.02 mol/L過マンガン酸カリウム溶液(5.2.7)で滴定し,溶液が微
紅色に変わる点を終点とする。ただし,図1のb)の蓋付還元器を使用する場合は,二酸化炭素を通じなが
ら滴定する。
                                                                                      単位 mm
                a) 蓋なし還元器                             b) 蓋付還元器
                                        図1−還元器の例

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G 1317-1 : 2020

5.6 空試験

  空試験は,行わない。

5.7 計算

  試料中のモリブデン含有率を,式(1)によって算出する。
                              0.003198 VF
                         Mo                  100  (1)
                                  50
                                      m1
                                  250
                      ここに,        Mo :  試料中のモリブデン含有率[%(質量分率)]
                                       V :  5.5.4で得た0.02 mol/L過マンガン酸カリウム溶液の使用
                                             量(mL)
                                       F :  0.02 mol/L過マンガン酸カリウム溶液のファクター
                                       m1 :  試料はかりとり量(g)

5.8 許容差

  許容差は,表1による。
                                          表1−許容差
                                                                単位 %(質量分率)
                        種類                 室内許容差          室間再現許容差
             低炭素フェロモリブデン             0.13                  0.22
             高炭素フェロモリブデン             0.15                  0.35
             注記 この許容差は,モリブデン含有率60.8 %(質量分率)の低炭素フェロモリブデ
                  ン及びモリブデン含有率60.4 %(質量分率)の高炭素フェロモリブデンの試料
                  を用いた共同実験結果から求めたものである。

6 8-キノリノールモリブデン重量法

6.1 要旨

  試料を,硫酸,硝酸及びふっ化水素酸で分解し,水酸化カリウム溶液で鉄などを分離する。モリブデン
を,エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム(以下,EDTA2Naという。)及びしゅう酸アンモニウム
を共存させて,8-キノリノールモリブデンとして沈殿させる。こし分け,乾燥して8-キノリノールモリブ
デンの質量をはかる。

6.2 試薬

  試薬は,次による。
6.2.1  塩酸
6.2.2  塩酸(1+1)
6.2.3  硝酸(1+3)
6.2.4  ふっ化水素酸
6.2.5  硫酸(1+1)
6.2.6  酢酸(1+1)
6.2.7  水酸化カリウム溶液(250 g/L)
6.2.8  水酸化カリウム洗浄液(2 g/L)
6.2.9  酢酸アンモニウム溶液(200 g/L)

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                                                                                 G 1317-1 : 2020
6.2.10  しゅう酸アンモニウム一水和物
6.2.11  EDTA2Na溶液(10 g/L)
6.2.12  メチルレッド溶液 JIS K 8001のJA.5(指示薬)による。
6.2.13  8-キノリノール溶液 8-キノリノール3 gを酢酸12 mLに溶解し,水60 mLを加え,40 ℃に加熱
する。アンモニア水(1+1)を滴加して沈殿を僅かに生じさせる。次に,かき混ぜながら酢酸を加え過ぎ
ないように注意して滴加し,沈殿を再溶解する。冷却し,水を加えて液量を100 mLとする。

6.3 器具

  多孔質で細孔の大きさ5 μm10 μmのるつぼ形ガラスろ過器(JIS R 3503の付図64の1G4)は,使用
する前に熱水及び硝酸(1+4)で洗浄し,最後に水で数回洗浄する。125 ℃で乾燥し,デシケーター中で
常温まで放冷してその質量をはかる操作を,恒量(質量差が0.3 mg以下)になるまで繰り返し行ったもの
を用いる。
  使用後は,水流で沈殿を取り除き,硫酸(1+1)が5 mL10 mL入ったビーカーに入れて加熱し,硫酸
の白煙が発生するまで濃縮し,冷却する。るつぼ形ガラスろ過器をビーカーから取り出し,熱水約100 mL
を穏やかに吸引してろ過器を通し,洗浄する。

6.4 試料はかりとり量

  試料はかりとり量は,0.50 gとする。

6.5 操作

6.5.1  試料溶液の調製
  試料溶液の調製は,次の手順によって行う。
a) はかりとった試料を,ポリテトラフルオロエチレン(以下,PTFEという。)製ビーカー(200 mL)又
    は白金皿(JIS H 6202の100番)に移し入れ,PTFE製又は白金製の蓋で覆う。
b) 硫酸(1+1)10 mL及び硝酸(1+3)5 mLを加え,加熱して分解する。放冷した後,蓋の下面を水で
    洗った後蓋を取り除く。ふっ化水素酸5 mLを加え,加熱して硫酸の濃厚な白煙を15分間発生させる。
    放冷した後,水30 mL及び塩酸5 mLを加え,蓋で覆い,加熱して可溶性塩を溶解する。常温まで冷
    却した後,蓋の下面を水で洗った後蓋を取り除き,250 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水
    で標線までうすめる。
c) 溶液を100 mL分取してビーカー(300 mL)に移し入れ,水を加えて液量を約150 mLとする。かき混
    ぜながら,水酸化カリウム溶液(250 g/L)を少しずつ加えて,沈殿を僅かに生成させ,更に10 mLを
    加える。3分5分間沸騰させ,放冷した後,ろ紙(5種A)を用いてビーカー(500 mL)にろ過する。
    ろ紙上の沈殿を水酸化カリウム洗浄液(2 g/L)で4,5回洗浄し,温水で2,3回洗浄する。洗液は,
    ろ液と合わせる。
d) ろ紙上の沈殿を元のビーカー(300 mL)に水を用いて移し入れ,ろ紙上の残った沈殿を温塩酸(1+1)
    で溶解する。ろ紙を温水で4,5回洗浄する。この洗液は,元のビーカー(300 mL)に受ける。
e)   )で得た溶液に水を加えて液量を約150 mLとし,かき混ぜながら水酸化カリウム溶液(250 g/L)を
    少しずつ加えて沈殿を僅かに生成させ,更に10 mLを加える。3分5分間沸騰させ,放冷した後,
    ろ紙(5種A)を用いてc)で用いたビーカー(500 mL)にろ過する。沈殿を水酸化カリウム洗浄液(2
    g/L)で4,5回洗浄し,温水で2,3回洗浄する。洗液は,ろ液と合わせる。
6.5.2  沈殿の生成及び分離
  沈殿の生成及び分離は,次の手順によって行う。
a) 6.5.1 e)で得た溶液にEDTA2Na溶液(10 g/L)10 mL及びしゅう酸アンモニウム一水和物3 gを加え,

――――― [pdf 6] ―――――

G 1317-1 : 2020
    穏やかに加熱してしゅう酸アンモニウム一水和物を溶解した後,放冷する。メチルレッド溶液1滴2
    滴を指示薬として加え,赤を呈するまで塩酸(1+1)を滴加する。酢酸(1+1)5 mLと酢酸アンモニ
    ウム溶液(200 g/L)10 mLとを加える。
b)   )の溶液を沸騰するまで加熱し,かき混ぜながら8-キノリノール溶液(6.2.13)20 mLを加える。とき
    どきかき混ぜながら80 ℃90 ℃で10分間加熱して8-キノリノールモリブデンの沈殿を熟成させる。
c) 沈殿を,質量既知のるつぼ形ガラスろ過器(6.3)を用いてこし分け,ビーカー内壁に付着した沈殿は,
    ポリスマンを用いてこすり落として,るつぼ形ガラスろ過器に水で洗い移す。熱水で10回洗浄する。
    この沈殿を,るつぼ形ガラスろ過器とともに125 ℃で一夜間乾燥した後,デシケーター中で常温まで
    放冷し,その質量をはかる。

6.6 空試験

  空試験は,行わない。

6.7 計算

  試料中のモリブデン含有率を,式(2)によって算出する。
                              0.2305  m2  m3  100
                         Mo                        (2)
                                    100
                                         m4
                                    250
                      ここに,        Mo :  試料中のモリブデン含有率[%(質量分率)]
                                       m2 :  6.5.2 c)で得た質量(g)
                                       m3 :  6.3で得た空のるつぼ形ガラスろ過器の質量(g)
                                       m4 :  試料はかりとり量(g)

6.8 許容差

  許容差は,表2による。
                                          表2−許容差
                                                                  単位 %(質量分率)
                          種類                  室内再現許容差      室間再現許容差
            62 %(質量分率)フェロモリブデン         0.13                0.24
            72 %(質量分率)フェロモリブデン         0.09                0.23
            注記 許容差は,共同実験からJIS Z 8402-2及びJIS Z 8402-3によって求めた値である。

7 モリブデン酸鉛重量法

7.1 要旨

  試料を,硝酸,ふっ化水素酸及び硫酸で分解し,アンモニア水で鉄などを分離する。硫化水素ガスを通
じて,不純物を除いたろ液を硫酸で酸性とし,硫化モリブデンを沈殿させ,ろ過する。硫化モリブデンを
塩酸及び臭素水に溶解する。次に,水酸化ナトリウム溶液で中和した後,塩酸で弱酸性にする。酢酸鉛溶
液を加え,モリブデン酸鉛として沈殿さた後,ろ過する。強熱した後,モリブデン酸鉛の質量をはかる。

7.2 試薬

  試薬は,次による。
7.2.1  塩酸
7.2.2  塩酸(1+1)

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7.2.3  硝酸(1+1)
7.2.4  硫酸(1+1,1+4)
7.2.5  ふっ化水素酸
7.2.6  アンモニア水
7.2.7  アンモニア水(1+1)
7.2.8  硫化水素 ボンベ又は硫化水素発生装置から得られるもの。
    警告 硫化水素は,無色で,かつ,特異臭(腐卵臭)で毒性があるので,換気機能のよい通風室で取
          り扱う。
7.2.9  硫化水素飽和水 水に硫化水素を数分間激しく通じたもの。この溶液は,使用の都度,調製する。
7.2.10  硫化水素洗浄液(2+100) 硫酸(2+100)に硫化水素を数分間激しく通じたもの。この溶液は,
使用の都度,調製する。
7.2.11  酒石酸
7.2.12  飽和臭素水 臭素3 mL4 mLに水を加えて100 mLにする。激しく振り混ぜた後に静置して,上
澄み液を用いる。
7.2.13  塩素酸カリウム
7.2.14  水酸化ナトリウム溶液(80 g/L)
7.2.15  酢酸鉛溶液 酢酸鉛[(CH3COO)2Pb]100 gに酢酸(CH3COOH)10 mLと水990 mLとを加え,加
熱して溶液とする。
7.2.16  酢酸アンモニウム溶液(500 g/L)
7.2.17  硝酸アンモニウム溶液(25 g/L)
7.2.18  クロム酸カリウム溶液(20 g/L)

7.3 装置及び器具

  装置及び器具は,次による。
7.3.1  磁器るつぼ 沈殿のひょう量(7.5.5)に使用する磁器るつぼ(JIS R 1301のB形30 mL)は,使用
する前にるつぼを温塩酸(1+4)に30分間浸し,水で洗った後,乾燥する。次に,るつぼを電気炉に入れ,
700 ℃900 ℃で30分間加熱し,デシケーター中で常温まで放冷してその質量をはかる操作を,恒量(質
量差が0.3 mg以下)になるまで繰り返し行ったものを用いる。
7.3.2  硫化水素発生装置 硫化水素発生装置は,JIS R 3503の付図51のキップガス発生器の中から,硫
化水素の使用量によって適切な大きさのものを選び,硫化鉄(II)と塩酸(1+1)とによって硫化水素を
発生させる。

7.4 試料はかりとり量

  試料はかりとり量は,0.50 gとする。

7.5 操作

7.5.1  試料の分解
  試料の分解は,次の手順によって行う。
a) 試料をはかりとって,PTFE製ビーカー(200 mL)又は白金皿(JIS H 6202の100番)に移し入れ,
    PTFE製又は白金製の蓋で覆う。
b) 硝酸(1+1)10 mLを加え,次に,ふっ化水素酸を数滴ずつ3 mL添加して分解する。
c) 放冷した後,蓋の下面を水で洗った後蓋を取り除く。
d) 硫酸(1+1)10 mLを加えて,硫酸の白煙が発生するまで加熱する。

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G 1317-1 : 2020
e) ビーカー(300 mL)に水30 mLを用いて移し入れ,加熱して可溶性塩類を溶解した後,放冷する。
7.5.2  鉄の分離
  鉄の分離は,次の手順によって行う。
a) 7.5.1 e)で得た溶液を僅かに水酸化鉄の沈殿が生じるまでアンモニア水を加え中和する。この溶液を,
    温アンモニア水(1+1)75 mLの入ったビーカー(300 mL)に,かき混ぜながら少しずつ加えて水酸
    化鉄を沈殿させた後,ろ紙(5種B)を用いてろ過し,温水で10回洗浄する。ろ液及び洗液は,ビー
    カー(500 mL)に受ける。
b) 沈殿を,少量の硫酸(1+4)で溶解し,僅かに水酸化鉄の沈殿が生じるまでアンモニア水を加え中和
    する。この溶液を,温アンモニア水(1+1)75 mLの入ったビーカー(300 mL)に,かき混ぜながら
    少しずつ加えて水酸化鉄を沈殿させ,再沈殿を行う。
c) ろ紙(5種B)を用いてろ過し,温水で10回洗浄し,ろ液及び洗液をa)で得たろ液及び洗液に合わせ,
    主液として保存する。
7.5.3  硫化モリブデンの沈殿の生成
  硫化モリブデンの沈殿の生成は,次の手順によって行う。
a) 7.5.2 c)で得た溶液に酒石酸3 gを加え,加熱して液量を約200 mLとし,アンモニア水10 mLを加え
    た後,硫化水素を激しく通じ溶液が赤になるまで飽和させる。
b) 沈殿を,ろ紙(5種B)を用いてろ過し,硫化水素飽和水(7.2.9)を用いて5,6回洗う。ろ液及び洗
    液は,ビーカー(500 mL)に受ける。
c) ろ液及び洗液を約60 ℃に加熱し,溶液の赤が消失するまで硫酸(1+1)を滴加して酸性として,硫化
    モリブデンを沈殿させた後,約60 ℃で15分間静置する。
d) ろ紙(5種B)を用いてろ過し,硫化水素洗浄液(2+100)(7.2.10)で10回洗浄する。ろ液は捨て,
    ビーカーは保存する。
7.5.4  モリブデン酸鉛の沈殿の生成
  モリブデン酸鉛の沈殿の生成は,次の手順によって行う。
a) 7.5.3 d)で得た硫化モリブデンの沈殿を,硫化物の沈殿の生成に用いた7.5.3 d)で保存したビーカーに
    水を用いて洗い入れる。
b) ろ紙に残った沈殿は,温塩酸(1+1)20 mLに飽和臭素水(7.2.12)10 mL加えた液で溶解して,a)の
    溶液と合わせる。
c) 塩酸10 mL及び塩素酸カリウム3 gを加え加熱して溶解し,ろ紙(5種B)を用いてろ過し,温水で3,
    4回洗浄する。ろ液及び洗液は,主液として保存する。
d) 不溶解残さを,ろ紙とともに磁器るつぼに移し,乾燥した後,600 ℃以下でろ紙を灰化し,1 mL2 mL
    の水酸化ナトリウム溶液(80 g/L)を加え加熱して溶解し,主液に合わせる。
e) 溶液を加熱して50 mLに濃縮する。水酸化ナトリウム溶液(80 g/L)を加えて中和し,塩酸(1+1)
    10 mLを加え,更に水を加えて液量を約250 mLとする。
f)  酢酸アンモニウム溶液(500 g/L)50 mLを加え,沸騰直前まで加熱し,酢酸鉛溶液(7.2.15)25 mLを
    滴加して,モリブデン酸鉛を沈殿させる。
g) 溶液を数分間沸騰した後に,40 ℃60 ℃で,2時間3時間静置して,沈殿させた後,ろ紙(5種C)
    を用いてろ過し,温硝酸アンモニウム溶液(25 g/L)で洗浄する。ろ液に,クロム酸カリウム溶液(20
    g/L)を加え,鉛(II)イオンの濁りが認められなくなるまで洗浄する。

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7.5.5  ろ紙の灰化及び沈殿のひょう量
  ろ紙の灰化及び沈殿のひょう量は,次の手順によって行う。
a) 沈殿を,ろ紙とともに磁器るつぼ(7.3.1)に移し入れ,乾燥した後,600 ℃以下でろ紙を灰化する。
b) 600 ℃で数分間強熱し,デシケーター中で常温まで放冷した後,磁器るつぼの質量をはかる。
c)   )の操作を,恒量(質量差が0.3 mg以下)となるまで繰り返す。

7.6 空試験

  空試験は,行わない。

7.7 計算

  7.5.5 c)で得た質量から,試料中のモリブデン含有率を,式(3)によって算出する。
                              0.2613 m5  m6
                         Mo                   100  (3)
                                    m7
                      ここに,        Mo :  試料中のモリブデン含有率[%(質量分率)]
                                       m5 :  7.5.5 c)で得た質量(g)
                                       m6 :  7.3.1で得た空の磁器るつぼの質量(g)
                                       m7 :  試料はかりとり量(g)
参考文献
[1] JIS Z 8402-2:1999 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第2部 : 標準測定方法の併行
    精度及び再現精度を求めるための基本的方法
[2] JIS Z 8402-3:1999 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第3部 : 標準測定方法の中間
    精度

JIS G 1317-1:2020の国際規格 ICS 分類一覧

JIS G 1317-1:2020の関連規格と引用規格一覧