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附属書1参考C
きりもみ又はフライス削りの技術的条件
C.1 要約
フェロニッケル鋳塊又は片の硬さは等級(ニッケルの含有率)及び,特に不純物の含有率(主に炭素と
けい素)によって,かなり変化する。
鋳塊又は片のビッカース硬さ(又は同等の硬さ尺度)が180600のとき非常に硬いと考えなければなら
ない。
使用する切削刃及びその使用条件を注意して選ばなければならない。汚染を避けるために水を使わずに
行わなければならないので,切削は非常に難しい。
備考 きりもみ又はフライス削りによる切削は,最も一般的な操作方法である。また,以下のように
それぞれの必要な条件に合う工具で切削することも可能である。フライス削りは,切断面に対
して行われる。しかし,この種の切削は遅い。
C.2 非常に硬いフェロニッケルの場合
切削が非常に困難で刃の摩耗及びそれによる切削片の汚染があったり,又は試料採取が不可能な場合,
材料を熱処理することが望ましい。実際の操作は,金属の硬さと結晶構造に依存する。
指標として,硬さがビッカース180を超えるとき熱処理を行う。熱処理は鋳塊,切り取った鋳塊の一部
又は片に対して,次のように行う。
鋳塊,鋳塊の一部又は片を650800℃の炉に224時間入れておく。
その後,炉の加熱を止め,一夜間ゆっくり放冷する。短時間で行いたいときは,鋳塊又は片を砂に埋め
て23時間で200℃以下まで冷却する。
この処理によって,どんな炉内雰囲気であっても空気の存在で起こる表面の酸化と,0.51mmの深さ
までの範囲での炭素の逸散が起こる。そこで,熱処理後の金属表面からは切削片をとってはならない。厚
さ23mmで表面を削り取り,残ったブロックを切削して切削片を得るか,又は切削による最初の深さ2
3mmまでの切削片は捨て,それ以降の深さから切削片を得る。
C.3 切削刃の選択
使用する切削刃は,刃の摩耗及びそれによる切削片の汚染が極力少なくなるように適切な型及び等級の
鋼からなるものとする。
高速度鋼刃について,附属書1参考C表1にISO 4957 (Tool steels) の規定を示す。
炭素,クロム,コバルトの含有率が高いと,刃は硬くなる。モリブデンは切削片が刃に付着するのを防
ぐ。
例えば,ビッカース180を超えるような硬いフェロニッケルについては,経験上コバルトを7.5%以上含
む鋼が不可欠であることが分かっている。S11タイプが最も適している。
あまり硬くないフェロニッケルについては,例えば,S12タイプのようにコバルトの含有率約5%のもの
で満足できる。
――――― [JIS G 1604 pdf 16] ―――――
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G 1604 : 2000
タングステンカーバイド刃の場合は,工具の摩耗と破壊を避けるため,摩擦抵抗と強じん度との間で折
り合いのつく種類のものを選ぶ。したがって,ISO 513のM10,M20,M30の中から選ぶとよい。
備考 ここで述べたことは,分析所での実際の経験を元にした目安である。
附属書1参考C表1 高速度工具鋼
等級 S9 S 10 S 11 S 12
型式 HS 12-1-5-5 HS 10-4-3-10HS 2-9-1-8 HS 7-4-2-5
C % 1.451.60 1.201.35 1.051.20 1.051.20
Co % 4.705.20 9.5010.5 7.508.50 4.705.20
Cr % 3.504.50 3.504.50 3.504.50 3.504.50
Mo % 0.701.00 3.203.90 9.0010.0 3.504.20
V % 4.755.55 3.003.50 0.901.40 1.702.20
W % 11.513.0 9.0010.0 1.301.90 6.407.40
熱処理後のロックウェル
最低硬さ (HRC) 1) 65 66 66 66
1) 66HRCは,ビッカース硬さでほぼ900に等しい。
C.4 注意事項
切削中の切削刃と金属との間の振動は,できるだけ避けなければならない。
金属をきりもみする際,短いけれども細すぎないドリルを使用する(直径は12mm以上,好ましくは15
20mmのもの)。ねじれ角の小さいものがよい。例えば,標準のねじれ角は30°であるが,ねじれ角15°
のドリルの方がよい。
テーパシャンクドリル(モールステーパソケットNo.2又はNo.3)を使用することが非常に望ましい。
また,フライスも直径に比例して短いものを使用しなくてはならない。
機械は非常に精密なものでなければならない。このことは,ミリングテーブルの有無に関係なく,フラ
イス盤では容易に達成されるが,ボール盤ではかなり困難である。
いずれの場合でも,十分に硬い中間ジグ(ISOテーパSA40又はSA50)を用いて刃を軸に取り付けるこ
とが可能でなければならない。
C.5 切削条件
切削には,次のようなことが要求される。
− 刃が摩滅しないために,刃の発熱が非常に少ないこと。刃の摩耗は切削中に得られる切削片を観察す
ることによって検知できる。わずかな黄色ならよいが,決して青になってはならない。
− 刃の送りは,材料の加工硬化を避けるため,きりもみ又はフライス削り中は最小値以下としない。
刃を正常に操作するためには,振動,摩耗及び異常な発熱がないことが必要である。
よい切削具合を得るために,附属書1参考C表2に示す切削条件を考慮する必要がある。
――――― [JIS G 1604 pdf 17] ―――――
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G 1604 : 2000
附属書1参考C表2 切削条件
記号 切削条件 測定単位
N 工具の回転数 min−1
D きりもみ又はフライスの刃の径 mm
d 刃数1)
V1 直線切削速度 m/min
V2 mm/min
フライス削りでは横供給,きりもみで
あれば垂直供給の長さ方向供給速度
a 刃送り速度 mm/刃
1) 機械的項目として,きりもみであればC.6.1,C.6.2及び
C.6.3を,フライス削りであればC.6.4,C.6.5及びC.6.6を
参考にしてそれぞれの刃を一つの溝に一致させる。
これらの切削条件は,次の式で表す。
DN
V1
1000
V2
a
Nd
(上の式は,附属書1参考C表2に示した単位で成立する。)
よい切削条件は適切なV1とaを選択し,それぞれの機械についてNとV2を調節することによって得ら
れる(1)。
推奨する例を附属書1参考C表3に示す。
附属書1参考C表3 推奨する切削条件
V1 V1 a a a
最大 適正 最大 適正 最低
m/min m/min mm/刃 mm/刃 mm/刃
高速度鋼のきりもみ 4 23 0.05 0.04 0.03
1012
タングステンカーバイドのきりもみ 47 0.03 0.02 0.015
6
高速度鋼の切削片破砕フライス削り 23 0.03 0.0150.02 0.01
高速度鋼のフライス削り 6 24 0.05 0.030.04 0.02
当然,低硬さ金属の切削では附属書1参考C表3の値を大きくしてもよい。
実際に,これらの基準を満たすために,切削は次の条件の範囲で行われる。
N=30100min−1(きりもみのとき)
40100min−1(フライス削りのとき)
V2=310mm/min(きりもみのとき)
520mm/min(フライス削りのとき)
注(1) フライス削りの場合,直線切削速度は厳密な方法で適用できる。上述した直径Dは,常に回転
刃の切削部分に相当する直径である。一方,きりもみの場合,式V1は,ドリルの外径の太さの
切削部分には適用できるが,より小さい径の切削部分,とりわけ先端部ではあまり意味をなさ
ない。ドリルが切削よりもむしろ圧力によって入り込むからである。このような理由で,切削
条件の組合せが,きりもみよりフライス削りの方がうまく制御できる。
C.6 適切な刃の例
この例は,単なる目安であるが,世界中の様々な工具から最も適した物を選ぶのに有用であろう。切断
――――― [JIS G 1604 pdf 18] ―――――
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片を見て寿命を判断する方法が最も信頼できる。あるところで購入した工具の性能及び切削性はほかのと
ころで購入したものより劣るかもしれない。したがって,ここで示すものはあくまで例である。
C.6.1 高速度工具鋼ドリル
直径 : 1520mm
モールステーパ : No.2又はNo.3
使用長さ : 6070mm
ねじれ角 : 15°(又は30°)
先端角 : 140°(又は130°,ただし,これより小さいものはいけない。)
逃げ角 : 5°7°
前逃げ角 : 約15°
すくい角 : 正(ねじれと同じ方向),ただし,3°6°
ドリル先端のグラインディング(シャープニング) : 三つのすくい角,クリアランス,バッククリア
ランス,ウェブクリアランス
シンニング(ウェブの先端を薄くした部分)には,12mmのクロス刃があってもよい。
C.6.2 カーバイドドリル
附属書1参考C図1 カーバイドドリル
直径 : 約15mm
使用長さ : 約35mm
モールステーパ : No.2
ねじれ角 : 10°15°(又は30°)
先端角 : 130°
逃げ角 : 2°4°
前逃げ角 : 約15°
すくい角 : 正(ねじれと同じ方向),ただし,2°5°
シャープニング : 三つの逃げ角,クリアランス,バッククリアランス,シンニング
C.6.1のシンニングについての記載は,ここでも適用される。ここでクロス刃を1mm未満にしないこと
が非常に重要である。そうしないと先端破断の危険性が非常に大きい。
この種のドリルは最も硬いフェロニッケルには使用しない。硬さが増すと,カーバイドのはく離及び先
端破断の危険性が増す。また,切削片が穴の中で固まって摩擦を引き起こすため,カーバイドの下地の鋼
の摩耗が非常に重要となる。全体がカーバイドの工具を使えば,後者は抑制できる。
C.6.3 オイルホールドリル
附属書1参考C表4及び附属書1参考C図2参照。
――――― [JIS G 1604 pdf 19] ―――――
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附属書1参考C表4 オイルホールドリルの特徴
ドリル径
15.875mm 19.050mm
全長 241.3mm 266.7mm
溝長 123.825mm 149.225mm
らせん角 34° 34°
先端角 118° 118°
クリアランス角1) 10° 10°
バッククリアランス角(大よそ)2) 10° 10°
1) 側面とランド(マージン)との交点で測定する。
2) この角度は性能を改善する。このようなシャープニング又はフラッ
タードリップと呼んでいる角度は,側面に対する効果的関係角を減
らし多くの応用に対して有益性が確かめられている。
附属書1参考C図2 オイルホールドリル
これらのドリルは,油を供給する代わりに圧縮空気で使われる。この目的のために,特殊なカップリン
グを使用する。
このようなドリルは高コバルト鋼製又は高モリブデン鋼製ではない。このため,非常に硬いフェロニッ
ケルには使用できない。
附属書1図1の切削片回収装置をきりもみの際使用する。
――――― [JIS G 1604 pdf 20] ―――――
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JIS G 1604:2000の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 8049:1988(MOD)
- ISO 8050:1988(MOD)
JIS G 1604:2000の国際規格 ICS 分類一覧
JIS G 1604:2000の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISG1326:2000
- フェロニッケル分析方法
- JISG2316:2000
- フェロニッケル