JIS G 2404:2015 鉄鋼用アルミニウムドロス分析方法 | ページ 7

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G 2404 : 2015
9.4.4 磁器燃焼ボート及び磁器燃焼ボートカバー
JIS Z 2615の8.10(磁器燃焼ボート及び磁器燃焼ボートカバー)による。
管状電気抵抗加熱炉に使用する磁器燃焼ボート及び磁器燃焼ボートカバーは,JIS R 1306に規定する
CB1及びCBC1とする。磁器燃焼ボート及び磁器燃焼ボートカバーは,あらかじめ空気中又は酸素(9.3.2)
中約1 250 ℃で約5分間空焼きを行う。一度に多数空焼きした場合は,放冷した後,若干の余熱をもつ状
態から使用直前までグリースなどを塗らないデシケーター中で保管する。取扱いはピンセットなどを用い,
直接手を触れてはならない。長時間保管したものは,空試験値が高くなっているおそれがあるので使用を
避け,再度空焼きを行う。

9.5 装置

  使用する装置は,市販の高周波誘導加熱炉燃焼−赤外線吸収炭素分析装置若しくは管状電気抵抗加熱炉
燃焼−赤外線吸収炭素分析装置又はそれらと同等の装置で,酸素精製部,試料燃焼部,燃焼ガス精製部及
び炭素酸化物定量部からなる。装置の組立ては,JIS Z 2615の9.7.2(装置の組立て)による。装置構成の
例を,図3に示す。
圧力及び 二酸化炭素 燃焼管
酸素 酸化管 脱水管
流量調整器 吸収管 及び加熱炉
酸素精製部
試料+
脱硫管 酸化管及び加熱炉 脱水管 集じん管 助燃剤
燃焼ガス精製部 試料燃焼部
赤外線吸収セル 赤外線吸収検出器
炭素酸化物定量部
図3−装置構成の例
9.5.1 酸素精製部
二酸化炭素吸収管にはシリカゲル,雲母などの無機質の支持体に水酸化ナトリウムを含浸させたもの,
粒状の水酸化ナトリウム,ソーダ石灰などを,脱水管には過塩素酸マグネシウムを詰める。圧力調整器及
びバルブによって一定の圧力に保ち,燃焼管を通り,赤外線吸収検出器の試料セルに送る。燃焼管の酸素
は,流路切換器によって加熱前には流路外にパージし,測定開始(加熱)時には赤外線吸収検出器側に流
路を切り換える。
注記 市販の赤外線吸収検出器の装置には,対照セルを用いるものがある。
9.5.2 試料燃焼部
試料を酸素気流中で加熱燃焼する部分で,試料挿入部,燃焼管及び加熱炉からなる。加熱炉には,高周
波誘導加熱炉又は管状電気抵抗加熱炉が使用される。その入口は酸素精製部に,出口は燃焼ガス精製部に

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連結して使用する。
a) 高周波誘導加熱炉 高周波誘導加熱炉は,JIS Z 2615の8.6 b)(高周波誘導加熱炉)による。
b) 管状電気抵抗加熱炉 管状電気抵抗加熱炉は,約1 250 ℃以上の温度に加熱できるもので,JIS Z 2615
の8.6 a)(管状電気抵抗加熱炉)による。
9.5.3 燃焼ガス精製部
燃焼ガス精製部は,JIS Z 2615の7.1.4(燃焼ガス精製部)による。
集じん管には石英ガラスウールを,脱水管には過塩素酸マグネシウムを詰める。酸化管には白金触媒を
詰め,約350 ℃に加熱する。
9.5.4 炭素酸化物定量部(赤外線吸収部)
赤外線吸収検出器は,赤外線発生源(IRソース),試料セル,検出部などから構成され,炭素酸化物の
赤外線吸収量を測定できるものを用いる。その測定回路は,直線化回路,演算回路などから構成する。赤
外線吸収検出器から取り出した電気信号を,炭素酸化物に変換・加算して,炭素の量に比例した電圧を指
示計に供給する。指示計は,試料はかりとり量を指定する場合には,炭素の含有率を直読できることが望
ましい。
注記 市販の装置には,二酸化硫黄の検出器及び硫黄用の指示器をもち,硫黄との同時定量ができる
ものがある。

9.6 分析用試料

  4.2.4による。

9.7 試料はかりとり量

  試料はかりとり量は,表4に従い,1 mgの桁まではかる。
表4−試料はかりとり量
使用装置 炭素含有率 試料はかりとり量
%(質量分率) g
高周波誘導加熱炉 0.10以上 7.0以下 0.1
管状電気抵抗加熱炉 0.10以上 0.5未満 0.2
0.5 以上 7.0以下 0.1

9.8 操作

9.8.1  予備操作
予備操作は,次の手順によって行う。
a) 電源を入れ,各部が十分に安定した後,酸素(9.3.2)を送入して装置の気密性を確認する。酸化管を
指定の温度に保つ。また,管状電気抵抗加熱炉の場合は,燃焼管の温度を約1 250 ℃に保つ。
b) 装置で指定する圧力及び流量で酸素(9.3.2)を通気し,指示計のゼロ点などを調節する。
9.8.2 定量操作
定量操作は,次のいずれかの手順によって行う。
a) 高周波誘導加熱炉による場合 予備操作を行った後,次の手順によって行う。
1) はかりとった試料(9.7)を高周波磁器燃焼るつぼ(9.4.3)に入れる。
2) 助燃剤(9.3.7)を高周波磁器燃焼るつぼ(9.4.3)中の試料にかぶせるように入れる。事前に,用い
る分析装置で試料が完全燃焼できる最適な助燃剤の組合せ条件を求めておく。助燃剤の一般的な添

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加量の例を表5に示す。
表5−高周波誘導加熱炉における助燃剤の例
種類 添加量 添加順 添加方法
g
タングステン(粒状2501 000 μm) 1.5 1 試料の上に添加順に従っ
すず(粒状2501 000 μm) 0.3 2 てかぶせて置く。偏りがあ
鉄(粒状1501 000 μm) 0.6 3 れば,平らにする。
3) 試料及び助燃剤を入れた高周波磁器燃焼るつぼに蓋(9.4.3)をかぶせて受台に置き,加熱コイルの
中心部に挿入し,燃焼管を気密になるように閉じる。
4) 燃焼管内が所定の圧力になるのを待ち,高周波誘導加熱炉を作動させ,試料を燃焼する。
5) 発生した燃焼ガスは,燃焼ガス精製部を経て赤外線吸収セルに送る。
6) 指示値が次第に増加し,指示計が一定値を示したとき高周波誘導加熱を止め,指示値を読み取る。
7) 読み取った指示値は,9.10.1による検量線を用いて炭素量に変換する。
注記 市販の装置では,燃焼管を閉じると,酸素は燃焼管,燃焼ガス精製部及び赤外線吸収検出
器の試料セルを経て大気中に放出するパージ時間が設定できる。高周波磁器燃焼るつぼ
(9.4.3)挿入のため燃焼管を開けるときは,ランス(試料の燃焼を促進するために,酸素
を試料の直上へ効率よく供給する搬送管)から酸素が噴出しているので,空気は燃焼管内
に侵入しない。
市販の装置では,燃焼時間タイマーの設定によって,加熱開始,加熱停止などの動作を
自動的に行うものがある。
指示値は,赤外線吸収量の積分値又は炭素含有率に換算された値で示される。
b) 管状電気抵抗加熱炉による場合 予備操作を行った後,次の手順によって行う。
1) 磁器燃焼ボート(9.4.4)に助燃剤(9.3.7)を表6に従い入れる。この上にはかりとった試料(9.7)
を加え入れ,更に残りの助燃剤をかぶせるようにして加えて3層状にし,磁器燃焼ボートカバー
(9.4.4)をかぶせる。事前に,用いる分析装置で試料が完全燃焼できる最適な助燃剤又はその組合
せ条件を求めておく。助燃剤の一般的な添加量の例を表6に示す。
表6−管状電気抵抗加熱炉における助燃剤の例
種類 添加量 添加方法
g
すず(粒状140250 μm)又は 1.0 試料の下に助燃剤1.0 g又は
タングステン(粒状200900 μm) 又は 2.0 gを層状に置く。
2.0
2.0 試料の上に助燃剤2.0 gを層状
に置く。
2) 1 250 ℃に加熱された燃焼管の挿入口を開いて,試料及び助燃剤を入れた磁器燃焼ボート及び磁器
燃焼ボートカバー(9.4.4)を燃焼管内の適切な部位に挿入し,燃焼管を気密になるように直ちに閉
じる。
3) 適切な流量(例えば,5 L/min程度)で酸素(9.3.2)を流し,試料を燃焼する。

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4) 発生した燃焼ガスを,酸素(9.3.2)とともに燃焼ガス精製部を経て赤外線吸収セルに送る。
5) 燃焼ガス中の炭素酸化物含有量に相当する指示値を読み取る。炭素含有率換算値を指示値とする形
式の場合は,試料はかりとり量の入力を0.100 g又は0.200 gとする。試料中の炭素の化学形態によ
って所要燃焼時間が異なるので,あらかじめ確認した積分時間で測定する。通常120秒間とし,一
連の測定の途中で変更しない。
6) 読み取った指示値は,9.10.2による検量線を用いて炭素量に変換する。

9.9 空試験

a) 高周波誘導加熱炉による場合 試料に加えるのと同量の助燃剤だけをはかりとって高周波磁器燃焼る
つぼに入れた後,9.8.2 a) の3)6)の手順に従って試料と同じ操作を,試料と併行して行い,空試験指
示値を読み取る。
b) 管状電気抵抗加熱炉による場合 試料に加えるのと同量の助燃剤だけをはかりとって磁器燃焼ボート
に入れた後,9.8.2 b) の2)5)の手順に従って試料と同じ操作を,試料と併行して行い,空試験指示
値を読み取る。
空試験は,2回行う。空試験値は,2個の空試験指示値から平均空試験指示値を計算し,9.10による検量
線を用いて空試験値を炭素量に変換する。

9.10 検量線の作成

9.10.1  高周波誘導加熱炉による場合
注記 市販の装置には,試料はかりとり量及び空試験値を補正し,炭素含有率を直読できるものがあ
る。この場合には,指示値が既知の炭素含有率と一致するように調節できる。
9.10.1.1 試薬を用いる検量線の作成
a) 炭素含有率0.10 %(質量分率)以上1.0 %(質量分率)未満の試料の場合
1) 検量線シリーズの調製 検量線溶液の調製は,5個の50 mL全量フラスコのそれぞれに,表7に示
す炭素標準液A(9.3.8)又は炭素標準液B(9.3.9)の体積を5 段階はかりとり,二酸化炭素を除い
た水(9.3.1)を標線まで加えて混合して希釈溶液とする。各希釈溶液の100 μLずつを,ピストン式
ピペット(9.4.1)を用いて分取して5個のすずカプセル(9.4.2)のそれぞれに入れ,9095 ℃で約
2時間乾燥する。グリースなどを塗らないデシケーター中で室温まで放冷する。
表7−炭素含有率0.10 %(質量分率)以上1.0 %(質量分率)未満の場合の検量線シリーズ
炭素標準液A(9.3.8)又は 希釈溶液中の すずカプセル(9.4.2)に はかりとり試料中の
炭素標準液B(9.3.9)の量 炭素含有量 入れた炭素量 炭素含有率
mL mg/mL mg %(質量分率)
0a) 0a) 0 0
2 1.0 0.10 0.10
4 2.0 0.20 0.20
10 5.0 0.50 0.50
20 10.0 1.00 1.00
注a) ゼロメンバー(分析対象成分の標準液を添加していない溶液)
2) 測定 1)で調製した,炭素標準液の入ったすずカプセル(9.4.2)を高周波磁器燃焼るつぼ(9.4.3)
に入れ,カプセルを高周波磁器燃焼るつぼの底の方へ軽く押さえ付けて鉄(9.3.3)0.100 gを加え,
はかりとり試料に加えるのと同じ種類及び量の助燃剤(9.3.7)で覆う。高周波磁器燃焼るつぼと内

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容物を9.8.2 a)の3)6)の手順に従って処理する。
3) 検量線の作成 検量線シリーズの各溶液について,2)で得た指示値からゼロメンバーの指示値を差
し引いて正味の指示値とする。検量線シリーズの各溶液の炭素量(mg)に対する正味の指示値をプ
ロットした検量線を作成する。
b) 炭素含有率1.0 %(質量分率)以上7.0 %(質量分率)以下の試料の場合
1) 検量線シリーズの調製 炭酸ナトリウム(9.3.5)又はしゅう酸ナトリウム(9.3.6)を,表8の各行
に示す質量をはかりとり,5個のすずカプセル(9.4.2)のそれぞれに移し入れる。はかりとった試
薬をすずカプセルの中に入れることができない場合は,それを高周波磁器燃焼るつぼ(9.4.3)の底
に直接置いてもよい。
表8−炭素含有率1.0 %(質量分率)以上7.0 %(質量分率)以下の場合の検量線シリーズ
試薬のはかりとり質量 すずカプセル(9.4.2)に はかりとり試料中の
炭酸ナトリウム しゅう酸ナトリウム 入れた炭素量 炭素含有率
(9.3.5)の場合 (9.3.6)の場合
mg mg mg %(質量分率)
0a) 0a) 0 0
12.9 5.6 1.0 1.0
37.7 16.8 3.0 3.0
62.9 27.9 5.0 5.0
88.1 39.1 7.0 7.0
注a) ゼロメンバー
2) 測定 1)で調製した,炭酸ナトリウム(9.3.5)又はしゅう酸ナトリウム(9.3.6)の入ったすずカプ
セル(9.4.2)を高周波磁器燃焼るつぼ(9.4.3)に入れ,カプセルを高周波磁器燃焼るつぼの底の方
へ軽く押さえ付けて鉄(9.3.3)0.100 gを加え,はかりとり試料に加えるのと同量の助燃剤(9.3.7)
で覆う。高周波磁器燃焼るつぼと内容物を9.8.2 a)の3)6)の手順に従って処理する。
3) 検量線の作成 検量線シリーズの各溶液について,2)で得た指示値からゼロメンバーの指示値を差
し引いて正味の指示値とする。検量線シリーズの各溶液の炭素量(mg)に対する正味の指示値をプ
ロットした検量線を作成する。
9.10.1.2 鉄鋼認証標準物質を用いる検量線の作成
a) 検量線作成用試料の選定 検量線を作成したい炭素含有率範囲に対して,その上下限近傍の含有率を
含み,かつ,認証された炭素含有率が適用範囲を均等に満足するように,できるだけ4種類以上の鉄
鋼認証標準物質(9.3.11)を選定する。鉄鋼認証標準物質を2種類準備する場合[例えば,JSS 150-15
炭素含有率0.469 %(質量分率)及びJSS 110-7炭素含有率4.12 %(質量分率)],これら標準物質の採
取量を0.10.5 gの範囲で変化させて,はかりとったときの標準物質中の炭素量が0.510 mgの間で
56段階になるようにはかりとり量を決める。
注記 鉄鋼認証標準物質(9.3.11)の使用によってトレーサビリティを確保する。一般的な鉄鋼認証
標準物質のはかりとり量は,0.5 g又は1 gとする場合が多い。含有率の高い定量域を検量で
きない場合(例えば,5 %以上)は,鉄鋼認証標準物質(9.3.11)のはかりとり量を変動させ
て補完することができる。
b) 測定 測定は,次による。

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