JIS G 3315:2022 ティンフリースチール | ページ 5

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B.4.1.4 操作
操作は,次の手順によって行う。
a) 試験片を,90 ℃以上に加熱した水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)(B.4.1.3.3)約50 mLに5分間10
分間保持し,クロム水和酸化物を溶解除去する。
b) 電解装置(B.4.1.2)に試験片を固定し,水酸化ナトリウム溶液(40 g/L)(B.4.1.3.4)25 mLを加える。
c) 炭素棒又は白金棒を陰極として入れ,試験片を陽極として電解し,試験片から細かい泡が発生したら
電解を停止する。
d) 電解液を100 mLの全量フラスコに移し入れ,試験片,電解装置の内壁及び陰極表面を水で数回洗浄
し,洗液は,全量フラスコに入れ,水を標線まで加える。
e) この溶液から20 mLを分取し,ビーカー(200 mL)に入れる。
f) 硫酸(1+3)(B.4.1.3.1)を加え,pH 7とする。
g) 混酸(B.4.1.3.2)3 mLを加え,加熱煮沸し,更に過マンガン酸カリウム溶液(5 g/L)(B.4.1.3.5)2 mL
を加えて3分間4分間煮沸してクロムをクロム(VI)に酸化する。この溶液を冷却した後,尿素溶
液(200 g/L)(B.4.1.3.8)10 mLを加え,亜硝酸ナトリウム溶液[最初は20 g/L溶液(B.4.1.3.6)を用
い,次に2 g/L溶液(B.4.1.3.7)を用いる。]をかき混ぜながら過マンガン酸の赤紫色が消えるまで,1
滴ずつ加え,更に尿素と亜硝酸との反応による泡立ちがなくなるまで十分にかき混ぜる。
h) 放冷した後,溶液を100 mLの全量フラスコに移し入れ,1,5-ジフェニルカルボノヒドラジド溶液
(B.4.1.3.9)3 mLを加え,水を標線まで加える。
i) 2分間放置した後,呈色溶液の一部を分光光度計の吸収セル(1 cm)にとり,水を対照液として波長
540 nm付近の吸光度を測定する。
j) 空試験による補正を行い,B.4.1.5によって作成した検量線からクロムの量を求める。空試験では,水
酸化ナトリウム溶液(40 g/L)(B.4.1.3.4)5 mLに水を加えて約20 mLとした後,f) h)の操作をした
液を用いる。
k) 金属クロム付着量を,次の式によって算出する。
50000
CrW
A
ここで, Cr : 金属クロム付着量(mg/m2)
W : j)で得たクロム量(mg)
A : 離した面積(cm2)
B.4.1.5 検量線の作成
クロム標準液(B.4.1.3.10)0 mL20 mLを数個のビーカー(200 mL)に段階的に取り,水酸化ナトリウ
ム溶液(40 g/L)(B.4.1.3.4)5 mLを加え,水で液量約20 mLとする。以下,B.4.1.4 f) i)の手順に従って
操作し,クロム量と吸光度との関係を作成して検量線とする。
B.4.2 電解離法
B.4.2.1 原理
試験片を陽極として,水酸化ナトリウム溶液中で定電流電解し,そのときの電位−時間曲線から電気量
を算出し,ファラデーの法則によって金属クロム付着量を求める。
B.4.2.2 試験装置及び電解条件

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試験装置及び電解条件は,次による。
a) 装置の回路構成例を,図B.2に示す。
記号説明
1 : 電解槽基板
2 : Oリング
3 : 電解槽締付用ジグ
4 : フランジ付電解槽
5 : 銀−塩化銀参照電極
6 : 記録電位差計
7 : 陰極
8 : 定電流装置
9 : 試験片(陽極)
図B.2−回路の構成例
b) 定電流装置は,10 mA120 mAの範囲で定電流を供給可能な仕様とする。
c) 電解槽には,陰極,試験片(陽極)及び銀−塩化銀参照電極を取り付ける。電解槽における試験片,
銀−塩化銀参照電極,陰極の各間の距離は,任意でよい。
d) 電解条件は,次による。
電解液 : 水酸化ナトリウム溶液(10 g/L100 g/L)
液温 : 室温(20 ℃±15 ℃)
電流 : 10 mA120 mA
B.4.2.3 操作
操作は,次による。
a) 十分に脱脂した試験片を,電解槽に取り付ける。
b) 試験片の測定面だけが電解液に触れるようにし,陰極及び銀−塩化銀参照電極を取り付けた電解槽に,

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電極部が浸るまで適量の電解液を入れる。
c) 試験片(陽極)の電位を銀−塩化銀参照電極を基準として記録電位差計で連続的に記録し,図B.3の
ような電位−時間曲線を作成する。
図B.3−電位−時間曲線
d) 電位−時間曲線から,電解が金属クロム層から地鉄に移るときの電位の変曲点PBを読み取る。変曲点
が明確でない場合は,図B.3に示すように,変曲点前後の直線部の延長の交点を変曲点とする。
e) PBまでの電解時間(秒)と通じた電流とから,ファラデーの法則を用いて,金属クロム量を次の式に
よって算出する。
I
Cr 0.898 tA
ここで, Cr : 金属クロム量(mg/m2)
t : PAからPBまでの電解時間(s)
I : 電流値(mA)
A : 電解液に接触する試験片の面積(cm2)
0.898 : 金属クロムを求めるための単位の変換係数3)
注3) 0.898は,次の方法によって求めた係数である。
[金属クロムのモル質量(g/mol) : 51.996]/[金属クロム1 mol溶解(0→+6)の電気量(C/mol) :
96 485×6]×(電流単位の変換係数 : 10−3)/(面積単位の変換係数 : 10−4)×(質量単位の
変換係数 : 103)
B.4.3 蛍光X線分析法
B.4.3.1 原理
表面のクロム水和酸化物層を溶解離した試験片に,励起X線を照射したときに放出されるクロムの蛍
光X線の強度を測定し,金属クロム付着量が既知の試験片からの蛍光X線強度と比較して,金属クロム付
着量を求める。
B.4.3.2 試験装置
試験装置は,JIS K 0119の箇条5(装置)による。
B.4.3.3 測定蛍光X線

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測定する蛍光X線は,Cr Kα(波長0.229 nm)の一次線とする。
B.4.3.4 測定条件
X線管のターゲットは,金属クロム付着量の測定に適したものを使用し,管電圧及び管電流は,測定す
る蛍光X線の最低励起電圧,測定回路による数え落としなどを考慮して選定する。スリット幅,分光結晶,
検出器などの分光部は,測定する蛍光X線に対する分解能,金属クロム付着量範囲に適した条件を選定す
る。
B.4.3.5 検量線の作成及び校正
金属クロムの付着量が既知の試験片からの蛍光X線強度によって,検量線を作成する。定期的に校正用
の試験片からの蛍光X線強度を測定し,検量線を校正する。
B.4.3.6 操作
操作は,次の手順によって行う。
a) 試験片を90 ℃以上の水酸化ナトリウム溶液(300 g/L)(B.4.1.3.3)約50 mL中に5分間10分間保持
して,クロム水和酸化物を除去する。
b) 試験片を装置の試料室に正しく取り付け,X線照射面積を試料マスクによって調整する。
c) 設定された条件によって,試験片にX線を照射し,クロムの蛍光X線強度を測定する。
d) 試験片を電解離,研磨,加熱した硫酸(1+3)(B.4.1.3.1)に浸せきなどによって金属クロム層を完
全に除去する。
e) 再びb) c)の手順によって,地鉄のクロムの蛍光X線強度を測定する。同種の試料を,多数測定する
場合は,あらかじめ同種の原板中のクロムの蛍光X線強度を求めておくことによって,この操作を省
略してもよい。
f) c)とe)とのクロムの蛍光X線強度差を,検量線によって1 m2当たりの金属クロム付着量に換算する。
B.4.3.7 装置の点検
装置の点検は,適切に行わなければならない。点検を行う事項は,JIS K 0119の箇条15(装置の点検)
による。

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附属書C
(規定)
クロム水和酸化物付着量試験方法
C.1 一般事項
試験方法の一般事項は,JIS K 0050,JIS K 0115,JIS K 0119及びJIS K 8001による。
C.2 試験片
試験片は,次による。
a) 1,5-ジフェニルカルボノヒドラジド吸光光度法に使用する試験片は,およそ2 500 mm2の面積をもつ円
形又は正方形とする。蛍光X線分析法に使用する試験片は,その照射面積を314 mm2以上確保できる
大きさとする。
b) 試験片は,13.1によって採取する。ただし,試験片を採取することなく,13.1に規定する各位置でク
ロム水和酸化物付着量を測定可能な場合は,試験片採取を省略してもよい。
C.3 試験方法の種類
試験方法は,次のいずれかによる。
a) 1,5-ジフェニルカルボノヒドラジド吸光光度法
b) 蛍光X線分析法
C.4 試験方法
C.4.1 1,5-ジフェニルカルボノヒドラジド吸光光度法
C.4.1.1 原理
加熱した水酸化ナトリウム溶液中で表面のクロム水和酸化物層を溶解し,この溶液中のクロムをクロム
(VI)に酸化した後,1,5-ジフェニルカルボノヒドラジドを加えて呈色させ吸光度を測定し,クロム水和酸
化物中のクロム量を求める。
C.4.1.2 溶解装置
クロム水和酸化物溶解装置の例を,図C.1に示す。

――――― [JIS G 3315 pdf 25] ―――――

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JIS G 3315:2022の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 11950:2016(MOD)

JIS G 3315:2022の国際規格 ICS 分類一覧

JIS G 3315:2022の関連規格と引用規格一覧