JIS H 1054:2002 銅及び銅合金中の鉄定量方法 | ページ 4

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れ,水で標線まで薄める。
i) マンガン溶液 (20mgMn/ml) マンガン[99.9% (m/m) 以上]10.0gをはかり取ってビーカー (500ml)
に移し入れ,時計皿で覆い,塩酸 (1+1) 300mlを加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで冷却し
た後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を500mlの全量フラス
コに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
j) 標準鉄溶液A (1 000 最 攀一 ─ m/m) 以上]1.000gをはかり取ってビーカー
し入れ,時計皿で覆い,塩酸 (1+1) 30ml及び硝酸5mlを加え,穏やかに加熱して分解する。常温ま
で冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を1 000mlの
全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄めて標準鉄溶液Aとする。
k) 標準鉄溶液B (100 最 攀一 準鉄溶液A[j) ]を使用の都度,必要量だけ水で正しく10倍に薄めて標
準鉄溶液Bとする。

8.3 試料はかり取り量

 試料はかり取り量は,1.00gとする。

8.4 操作

8.4.1 試料溶液の調製

 試料溶液の調製は,次の手順によって行う。
a) 試料をはかり取ってビーカー (200ml) に移し入れる。
b) 時計皿で覆い,混酸[7.2b) ]20mlを加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで冷却した後,時計皿の
下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除く(12)。
c) 溶液を100mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める(13)。
d) この溶液を表5の分取量に従って100mlの全量フラスコに分取し,塩酸 (1+9) で標線まで薄める。
注(12) けい酸の沈殿が析出した場合には,溶液をろ紙(5種A)でろ過した後,水でろ紙を洗浄し,ろ
液と洗液とを合わせる。
(13) 試料中の鉄含有率が0.01% (m/m) 以上0.2% (m/m) 未満の場合には,次のd)の操作は行わない。
表5 分取量
試料中の鉄含有率 分取量
% (m/m) ml
0.2以上 1.0未満 20.0
1.0以上 6.0以下 10.0

8.4.2 吸光度の測定

 8.4.1のc)又はd)で得た溶液の一部を,水を用いてゼロ点を調整した原子吸光光度
計の空気・アセチレンフレーム中に噴霧し,波長248.3nm又は372.0nmにおける吸光度を測定する。

8.5 空試験

 試薬だけを用いて,8.4.1及び8.4.2の手順に従って試料と同じ操作を試料と並行して行う(14)。
注(14) 8.4.1d)で試料溶液を分取する場合には,空試験液も試料溶液と同量分取する。

8.6 検量線の作成

 検量線の作成は,次の手順によって行う。
a) 試料用検量線の作成
1) 銅溶液[8.2c) ],亜鉛溶液[8.2d) ],ニッケル溶液[8.2e) ],鉛溶液[8.2f) ],すず溶液[8.2g) ],アルミニウム
溶液[8.2h) ]及びマンガン溶液[8.2i) ]を,その銅,亜鉛,ニッケル,鉛,すず,アルミニウム及びマン
ガンの量が8.4.1a)ではかり取った試料中の銅,亜鉛,ニッケル,鉛,すず,アルミニウム及びマン
ガンの量と10mgのけたまで等しくなるように数個の100mlの全量フラスコに取る。
2) 水で標線まで薄めた後,各溶液を8.4.1d)で分取した試料溶液と同量ずつ分取し,それぞれ100mlの
全量フラスコに移し入れる(15)。
3) 標準鉄溶液A[8.2j) ]及び/又は標準鉄溶液B[8.2k) ]の各種液量(鉄として06 000 柿 を段階的に正

――――― [JIS H 1054 pdf 16] ―――――

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確に加え,塩酸 (1+9) (16)で標線まで薄める。
4) 各溶液の一部を,水を用いてゼロ点を調整した原子吸光光度計の空気・アセチレンフレーム中に噴
霧し,波長248.3nm又は372.0nmにおける吸光度を試料と並行して測定し,得た吸光度と鉄量との
関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。
注(15) 注(13)を適用した場合には,この2)の操作は行わない。
(16) 注(13)を適用した場合には,塩酸 (1+9) の代わりに水を用いる。
b) 空試験用検量線の作成 数個の100mlの全量フラスコに混酸[8.2b) ]20mlを取る。以下,a)の2)4)の
手順に従って操作する。

8.7 計算

 計算は,次のいずれかによる。
a) 8.4.1d)の操作を行わなかった場合 8.4.2及び8.5で得た吸光度と8.6のa)及びb)で作成した検量線と
から,それぞれ鉄量を求め,試料中の鉄含有率を,次の式によって算出する。
A1−A2
Fe= 100
m
ここに, Fe : 試料中の鉄含有率 [% (m/m) ]
A1 : 試料溶液中の鉄検出量 (g)
A2 : 空試験液中の鉄検出量 (g)
m : 試料はかり取り量 (g)
b) 8.4.1d)の操作を行った場合 8.4.2及び8.5で得た吸光度と8.6のa)及びb)で作成した検量線とから,
それぞれ鉄量を求め,試料中の鉄含有率を,次の式によって算出する。
A1−A2
Fe= 100
B
m
100
ここに, Fe : 試料中の鉄含有率 [% (m/m) ]
A1 : 分取した試料溶液中の鉄検出量 (g)
A2 : 分取した空試験液中の鉄検出量 (g)
m : 試料はかり取り量 (g)
B : 8.4.1d)で分取した試料溶液及び空試験液の量 (ml)

9. ICP発光分光法

9.1 要旨

 試料を塩酸と硝酸との混酸で分解し,溶液をICP発光分光装置のアルゴンプラズマ中に噴霧
し,その発光強度を測定する。

9.2 試薬

 試薬は,次による。
a) 塩酸 (1+9)
b) 混酸(塩酸2,硝酸1,水2) 使用の都度調製する。
c) 銅 99.96% (m/m) 以上で,鉄を含有しないもの又は鉄含有率が低く既知のもの。
d) 亜鉛 99.9% (m/m) 以上で,鉄を含有しないもの又は鉄含有率が低く既知のもの。
e) ニッケル 99.9% (m/m) 以上で,鉄を含有しないもの又は鉄含有率が低く既知のもの。
f) 鉛 99.9% (m/m) 以上で,鉄を含有しないもの又は鉄含有率が低く既知のもの。
g) すず 99.9% (m/m) 以上で,鉄を含有しないもの又は鉄含有率が低く既知のもの。
h) アルミニウム 99.9% (m/m) 以上で,鉄を含有しないもの又は鉄含有率が低く既知のもの。
i) マンガン 99.9% (m/m) 以上で,鉄を含有しないもの又は鉄含有率が低く既知のもの。
j) 標準鉄溶液 (500 最 攀一 ─ m/m) 以上]0.500gをはかり取り,ビーカー (2

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入れ,塩酸 (1+1) 30mlを加え,時計皿で覆い,加熱して分解する。硝酸1mlを加え,加熱して鉄を
酸化し,更に加熱して窒素酸化物を除く。常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を
水で洗って時計皿を取り除き,溶液を1 000mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで
薄めて標準鉄溶液とする。

9.3 試料はかり取り量

 試料はかり取り量は,0.50gとする。

9.4 操作

9.4.1 試料溶液の調製

 試料溶液の調製は,次の手順によって行う。
a) 試料をはかり取って,ビーカー (200ml) に移し入れる。
b) 時計皿で覆い,混酸[9.2b) ]30mlを加え,加熱して分解する。常温まで冷却した後,時計皿の下面及び
ビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除く(12)。
c) 溶液を100mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める(17)。
d) この溶液から10.0mlを100mlの全量フラスコに分取し,塩酸 (1+9) で標線まで薄める。
注(17) 試料中の鉄含有率が0.01% (m/m) 以上0.5% (m/m) 未満の場合には,次のd)の操作は行わない。

9.4.2 発光強度の測定

 9.4.1のc)又はdで得た溶液の一部を,ICP発光分光装置のアルゴンプラズマ中
に噴霧し,波長238.204nm又は259.940nmの発光強度を測定する(18)。
注(18) 精度及び真度を確認してあれば高次のスペクトル線を用いてもよく,バックグラウンド補正機
構が付いている装置では,バックグラウンド補正機構を用いてもよい。

9.5 空試験

 空試験は,次のいずれかによる。
a) 9・4・1d)の操作を行わない場合 9.6a)の検量線作成操作において得られる標準鉄溶液を添加しない溶
液の発光強度を,空試験の発光強度とする。
b) 9・4・1d)の操作を行う場合 9.6b)の検量線作成操作において得られる標準鉄溶液を添加しない溶液の
発光強度を,空試験の発光強度とする。

9.6 検量線の作成

 検量線の作成は,次のいずれかの手順によって行う。
a) 9.4.1d)の操作を行わない場合
1) 銅[9.2c) ],亜鉛[9.2d) ],ニッケル[9.2e) ],鉛[9.2f) ],すず[9.2g) ],アルミニウム[9.2h) ]及びマンガン[9.2i) ]
を0.50gの試料中に含まれる量と10mgのけたまで等しくなるように,それぞれ数個はかり取り,
数個のビーカー (200ml) に移し入れる。
2) 9.4.1b)の操作を行った後,標準鉄溶液[9.2j) ]05.0ml(鉄量として02 500 柿 を段階的に加える。
溶液を100mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
3) 溶液の一部をICP発光分光装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,波長238.204nm又は259.940nmの
発光強度を試料と並行して測定し(18),得た発光強度と鉄量との関係線を作成し,その関係線を原点
を通るように平行移動して検量線とする。
b) 9.4.1d)の操作を行う場合
1) 銅[9.2c) ],亜鉛[9.2d) ],ニッケル[9.2e) ],鉛[9.2f) ],すず[9.2g) ],アルミニウム[9.2h) ]及びマンガン[9.2i) ]
を0.50gの試料中に含まれる量と10mgのけたまで等しくなるように,それぞれ数個はかり取り,
数個のビーカー (200ml) に移し入れる。
2) 9.4.1のb)及びc)の手順に従って操作した後,溶液を10.0mlずつ数個の100mlの全量フラスコに分
取し,標準鉄溶液[9.2j) ]06.0ml(鉄量として03 000 柿 を段階的に加え,塩酸 (1+9) で標線ま
で薄める。
3) 溶液の一部をICP発光分光装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,波長238.204nm又は259.940nmの

――――― [JIS H 1054 pdf 18] ―――――

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発光強度を試料と並行して測定し(18),得た発光強度と鉄量との関係線を作成し,その関係線を原点
を通るように平行移動して検量線とする。

9.7 計算

 計算は,次のいずれかによる。
a) 9.4.1d)の操作を行わなかった場合 9.4.2及び9.5a)で得た発光強度と,9.6a)で作成した検量線とから
鉄量を求め,試料中の鉄含有率を,次の式によって算出する。
A1− A2−A3
Fe=
m
ここに, Fe : 試料中の鉄含有率 [% (m/m) ]
A1 : 試料溶液中の鉄検出量 (g)
A2 : 空試験液中の鉄検出量 (g)
A3 : 9.6a)1)ではかり取った銅[9.2c) ],亜鉛[9.2d) ],ニッケル[9.2e) ],
鉛[9.2f) ],すず[9.2g) ],アルミニウム[9.2h) ]及びマンガン[9.2i) ]
中に含まれる鉄の合量 (g)
m : 試料はかり取り量 (g)
b) 9.4.1d)の操作を行った場合 9.4.2及び9.5b)で得た発光強度と,9.6b)で作成した検量線とから鉄量を
求め,試料中の鉄含有率を,次の式によって算出する。
10
A1− A2−A3
100
Fe= 100
10
m
100
ここに, Fe : 試料中の鉄含有率 [% (m/m) ]
A1 : 分取した試料溶液中の鉄検出量 (g)
A2 : 分取した空試験液中の鉄検出量 (g)
A3 : 9.6b)1)ではかり取った銅[9.2c) ],亜鉛[9.2d) ],ニッケル[9.2e) ],
鉛[9.2f) ],すず[9.2g) ],アルミニウム[9.2h) ]及びマンガン[9.2i) ]
中に含まれる鉄の合量 (g)
m : 試料はかり取り量 (g)

――――― [JIS H 1054 pdf 19] ―――――

                                      附属書(参考) JISと対応する国際規格との対比表
JIS H 1054 : 銅及び銅合金中の鉄定量方法 ISO 1812 : 1976銅合金−鉄の1,10-フェナントロリン吸光光度法
ISO 4748 : 1984銅合金−Na2EDTA滴定法
(I) ISの規定 (II) 国際 (III) 国際規格の規定 (V) ISと国際規格との技術的
(IV) ISと国際規格との技術的差
規格番号 差異の理由及び今後の対策
異の項目ごとの評価及びその内容
表示箇所 : 本体
表示方法 : 点線の下線
項目 内容 項目 内容 項目ごとの 技術的差異の内容
番号 番号 評価
1. 適用 ISO 1812
銅及び銅合金(伸銅品,鋳物用地金及 1. 銅合金中の鉄定量方法を規定 MOD/追加 ISOを包含し,すべて
範囲 び鋳物)中の鉄定量方法を規定 ISO 4748 1. 銅合金中の鉄定量方法を規定 の伸銅品及び鋳物を
対象としている。
2. 引用JIS H 1012銅及び銅合金の分析方法通 ISOには規定されていない。 MOD/追加
規格 則を引用
3. 一般分析の一般事項はJIS H 1012による ISOには規定されていない。 MOD/追加
事項 ことを規定
4. 定量 ISO 4748
a) 塩化物抽出分離エチレンジアミン 2. Na2EDTA滴定法 MOD/変更 ISOでは規定してい 定量方法は,濃度範囲や対応設
方法の 四酢酸二水素二ナトリウム・亜鉛 及び ない定量方法を追加 備の有無などから適切な方法
区分 逆滴定法 5. 定量範囲規定なし した。 が選択されるべきであるので
0.3≦Fe≦7.5 一つに限定することは好まし
b) スルホサリチル酸吸光光度法 − − ISOには規定されていない。 MOD/追加 くない。したがって,従来から
0.06≦Fe≦6.0 規定されていたJISの定量方法
c) 塩化物抽出分離1,10-フェナントISO 1812 2. 1,10-フェナントロリン吸光光
MOD/変更 及び最新の機器による定量方
ロリン吸光光度法 及び 度法 法を追加した。
0.0001≦Fe≦0.4 7. Fe≦0.4 ISOを包含した五つの定量方
d) 原子吸光法 − − ISOには規定されていない。 MOD/追加 法を規定しており,状況に応じ
0.01≦Fe≦6.0 ていずれかを選択して使用が
e) CP発光分光法 − − ISOには規定されていない。 MOD/追加 できる。したがって,国際的に
0.01≦Fe≦6.0 も,何ら問題ないのでJISだけ
H1
に規定された定量方法をISO
05
へ提案することは当面行わな
4:
い。
20
1
0
7
2

――――― [JIS H 1054 pdf 20] ―――――

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JIS H 1054:2002の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 1812:1976(MOD)
  • ISO 4748:1984(MOD)

JIS H 1054:2002の国際規格 ICS 分類一覧

JIS H 1054:2002の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISH1012:2001
銅及び銅合金の分析方法通則