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5.5.4 沈殿の生成 沈殿の生成は,次の手順によって行う。
a) 5.5.3 c)で得た溶液をコニカルビーカー(500 ml)に水を用いて移し入れる。
b) くえん酸溶液[5.2 i)]10 mlを加え,アンモニア水を加えてpHを9.09.1に調節した後,水で液量を
約400 mlとする。
c) 溶液を約90 ℃に加熱し,溶液を激しくかき混ぜながら,ジメチルグリオキシム溶液[5.2 j)]を溶液
中のニッケル予想含有量が4085 mgのときには44 ml,80125 mgのときには60 ml加え,十分に
かき混ぜた後,室温まで放冷する。
d) 沈殿を5.5.1で恒量にしたガラスろ過器を用いてこし分け,温水で1012回洗浄する。
5.5.5 沈殿のひょう量 沈殿のひょう量は,次の手順によって行う。
a) 5.5.4 d)で得た沈殿をガラスろ過器とともに145155 ℃の空気浴中で約1時間乾燥し,デシケーター
中で室温まで放冷した後,その質量をはかる。恒量となるまで,145155 ℃の空気浴中で約1時間乾
燥し,デシケーター中で室温まで放冷して質量をはかる操作を繰り返す。
b) )で得た質量から5.5.1で得た質量を差し引く。
5.6 空試験
空試験は行わない。
5.7 計算
試料中のニッケル含有率を,次の式によって算出する。
m1 0.2032
Ni 100
m0
ここに, Ni : 試料中のニッケル含有率[%(m/m)]
m :
1 5.5.5 b)で得た質量(g)
m :
0 試料はかり取り量(g)
6. 銅分離ジメチルグリオキシム沈殿分離エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム・亜鉛逆滴定法
6.1 要旨 試料を硝酸と硫酸との混酸で分解した後,白金電極を用いて電解を行い,銅を陰極に析出さ
せて除去する。溶液にくえん酸を加え,アンモニア水でアルカリ性とした後,ジメチルグリオキシムを加
え,生成するジメチルグリオキシムニッケルの沈殿をこし分ける。沈殿を塩酸に溶解し,過剰のエチレン
ジアミン四酢酸二水素二ナトリウム(以下,EDTA2Naという。)を加えた後,pHを調節し,亜鉛標準溶液
で逆滴定する。
6.2 試薬
試薬は,次による。
a) 塩酸(2+1,1+50)
b) 混酸 5.2 f)による。
c) アンモニア水
d) アンモニア水(1+1)
e) 過酸化水素(1+5)
f) くえん酸溶液 5.2 i)による。
g) ジメチルグリオキシム溶液 5.2 j)による。
h) DTA2Na溶液 エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物7.45 gをはかり取り,ビーカ
ー (200 ml) に移し入れ,水を加えて溶解した後,溶液を1 000 mlの全量フラスコに水を用いて移し
入れ,水で標線まで薄める。溶液は,ポリエチレン容器に保存する。
i) 0.02 mol/l亜鉛標準溶液 亜鉛[99.99 % (m/m) 以上]1.308 gをはかり取り,ビーカー(200 ml)に移
し入れ,時計皿で覆い,塩酸(1+1)10 mlを加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで冷却した後,
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時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を1 000 mlの全量フラスコに
水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
j) エリオクロムブラックT溶液 エリオクロムブラックT0.5gをエタノール(99.5)100 mlに溶解し,
溶液をろ過した後,塩化ヒドロキシルアンモニウム4.5 gを加えて溶かし,よくかき混ぜる。
6.3 器具
器具は,次による。
a) 電解ビーカー 5.3 a)による。
b) 円筒状白金電極 5.3 b)による。
c) らせん状白金電極 5.3 c)による。
d) 半円形時計皿 通常,図4の(2)のもの(2枚一組)を用いる。
6.4 試料はかり取り量
試料はかり取り量は,試料中のニッケル含有率に応じて,表3による。
表 3 試料はかり取り量及び混酸の添加量
試料中のニッケル含有率 試料はかり取り量 混酸 [6.2 b) ] 添加量
% (m/m) g ml
1.0 以上 3.0 未満 4.00 40
3.0 以上 7.0 未満 2.00 30
7.0 以上 35 以下 1.00 25
6.5 操作
6.5.1 試料の分解 試料の分解は,次の手順によって行う。
a) 試料をはかり取ってビーカー(200 ml)に移し入れ,時計皿で覆い,混酸[6.2 b)]を,試料はかり取
り量に応じて,表3によって加え,穏やかに加熱して試料を分解し,5,6分間煮沸して窒素酸化物を
追い出す。
b) 室温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き(9),溶液を電
解ビーカー[6.3 a)]に水を用いて移し入れ,水で液量を150 mlとする。
6.5.2 銅の分離 銅の分離は,次の手順によって行う。
a) 6.5.1 b)で得た溶液中に円筒状白金電極[6.3 b)]及びらせん状白金電極[6.3 c)]を挿入し,半円形時
計皿[6.3 d)]で覆う。
b) 5.5.3のb)及びc)の手順に従って操作する(12)。
注(12) 5.5.3 c)の操作終了後の溶液中にマンガン酸化物の沈殿が生成している場合には,溶液をかき混
ぜながら過酸化水素(1+5)を二酸化マンガンの沈殿が溶解するまで滴加し,溶液をコニカルビ
ーカー(500 ml)に水を用いて移し入れ,時計皿で覆い,1520分間煮沸して過酸化水素を分
解し,常温まで冷却した後,時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除く。
6.5.3 ニッケルの沈殿分離 ニッケルの沈殿分離は,次の手順によって行う。
a) 6.5.2 b)で得た溶液を200 mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
b) この溶液をニッケル量が1535 mgになるようにコニカルビーカー(500 ml)に分取し,水を加えて
液量を約200 mlとする。
c) くえん酸溶液[6.2 f)]10 mlを加え,アンモニア水を加えてpHを9.09.1に調節した後,水で液量を
約300 mlとする。
d) 溶液を約90 ℃に加熱し,溶液を激しくかき混ぜながら,ジメチルグリオキシム溶液[6.2 g)]30 ml
を加え,十分にかき混ぜた後,室温まで放冷する。
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e) 沈殿をろ紙(5種A)を用いてこし分け,温水で十分に洗浄した後,温水及び熱塩酸(2+1)10 mlを
注いで元のビーカーに洗い落して溶解し,ろ紙は温水及び温塩酸(1+50)で数回ずつ洗浄し,洗液は
沈殿を溶かした溶液に合わせる。
6.5.4 滴定 6.5.3 e)で得た溶液にEDTA2Na溶液[6.2 h)]を正確に40 ml加え,2,3回振り混ぜた後,
アンモニア水(1+1)を滴加し,pHを8.08.5に調節する。エリオクロムブラックT溶液[6.2 j)]0.1 ml
を指示薬として加え,0.02 mol/l亜鉛標準溶液[6.2 i)]で滴定し,溶液の色が赤紫になった点を終点とし,
0.02 mol/l亜鉛標準溶液の使用量を求める。
6.6 空試験
200 mlの全量フラスコに混酸[6.2 b)]を試料はかり取り量4.0 gの場合は40 ml,2.0 gの場
合には30 ml,1.0 gの場合には25 ml取り,水で標線まで薄める。以下,6.5.3 b)6.5.4の手順に従って試
料と同じ操作を試料と並行して行う(13)。
注(13) 6.5.3 b)における空試験液の分取量は,試料溶液の分取量と同量とする。
6.7 計算
試料中のニッケル含有率を,次の式によって算出する。
(A1 A2 ) 0.001 174
Ni= 100
B
m
200
ここに, Ni : 試料中のニッケル含有率[%(m/m)]
1A : 空試験液での0.02 mol/l亜鉛標準溶液使用量(ml)
2A : 試料溶液での0.02 mol/l亜鉛標準溶液使用量(ml)
m : 試料はかり取り量(g)
B : 6.5.3 b)で分取した試料溶液及び空試験液の量(ml)
7. 原子吸光法
7.1 要旨
試料を塩酸と硝酸との混酸で分解した後,溶液を原子吸光光度計の空気・アセチレンフレー
ム中に噴霧し,その吸光度を測定する。
7.2 試薬
試薬は,次による。
a) 塩酸(1+9)
b) 混酸(塩酸1,硝酸1,水2) 使用の都度調製する。
c) 銅溶液(20 mgCu/ml) 銅[99.96 % (m/m) 以上]10.0 gをはかり取ってビーカー(300 ml)に移し入
れ,時計皿で覆い,混酸[ b)]200 mlを数個に分けて加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで冷
却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を500 mlの全量フ
ラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
d) 亜鉛溶液(20 mgZn/ml) 亜鉛[99.9 % (m/m) 以上]10.0 gをはかり取ってビーカー(300 ml)に移
し入れ,時計皿で覆い,混酸[ b)]200 mlを加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで冷却した
後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を500 mlの全量フラスコ
に水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
e) 鉛溶液(20 mgPb/ml) 鉛[99.9 % (m/m) 以上]10.0 gをはかり取ってビーカー(500 ml)に移し入
れ,時計皿で覆い,硝酸(1+4)250 mlを加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで冷却した後,
時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を500 mlの全量フラスコに水
を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
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f) すず溶液(20 mgSn/ml) すず[99.9 % (m/m) 以上]10.0 gをはかり取ってビーカー(500 ml)に移
し入れ,時計皿で覆い,塩酸225 ml及び硝酸75 mlを加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで冷
却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を500 mlの全量フ
ラスコに塩酸(1+1)を用いて移し入れ,塩酸(1+1)で標線まで薄める。
g) アルミニウム溶液(20 mgAl/ml) アルミニウム[99.9 % (m/m) 以上]10.0 gをはかり取ってビーカ
ー(500 ml)に移し入れ,時計皿で覆い,塩酸(1+1)200 ml及び銅溶液[ c)]1 mlを加え,穏やか
に加熱して分解する。硝酸(1+1)2 mlを加え,穏やかに加熱して完全に分解する。常温まで冷却し
た後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を500 mlの全量フラス
コに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
h) マンガン溶液(20 mgMn/ml) マンガン[99.9 % (m/m) 以上]10.0 gをはかり取ってビーカー(500 ml)
に移し入れ,時計皿で覆い,塩酸(1+1)300 mlを加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで冷却
した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を500 mlの全量フラ
スコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
i) 鉄溶液(20 mgFe/ml) 鉄[99.9 % (m/m) 以上]10.0 gをはかり取ってビーカー(300 ml)に移し入
れ,時計皿で覆い,混酸[ b)]200 mlを加え,加熱して分解する。常温まで冷却した後,時計皿の下
面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を500 mlの全量フラスコに水を用いて移
し入れ,水で標線まで薄める。
j) 標準ニッケル溶液A(1 000 最一椀一 ニッケル[99.9 % (m/m) 以上]1.000 gをはかり取ってビー
カー(300 ml)に移し入れ,時計皿で覆い,硝酸(1+1)30 mlを加え,穏やかに加熱して分解する。
常温まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を1 000
mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄めて標準ニッケル溶液Aとする。
k) 標準ニッケル溶液B(100 最一椀一 標準ニッケル溶液A[ j)]を使用の都度,必要量だけ水で正確
に10倍に薄めて標準ニッケル溶液Bとする。
7.3 試料はかり取り量
試料はかり取り量は,1.00 gとする。
7.4 操作
7.4.1 試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次の手順によって行う。
a) 試料をはかり取って,ビーカー(200 ml)に移し入れる。
b) 時計皿で覆い,混酸[7.2 b)]20 mlを加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで冷却した後,時計
皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除く(7)。
c) 溶液を100 mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める(14)。
d) この溶液を,表4の分取量に従って100 mlの全量フラスコに分取し,塩酸(1+9)で標線まで薄める。
注(14) 試料中のニッケル含有率が0.01 %(m/m)以上0.1 %(m/m)未満の場合には,d)の操作は行わない。
表 4 分取量
試料中のニッケル含有率 分取量
%(m/m) ml
0.1以上 1.0未満 20.0
1.0以上 7.0以下 10.0
7.4.2 吸光度の測定 7.4.1のc)又はd)で得た溶液の一部を,水を用いてゼロ点を調整した原子吸光光度
計の空気・アセチレンフレーム中に噴霧し,波長232.0 nm又は341.5 nmにおける吸光度を測定する。
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7.5 空試験
試薬だけを用いて,7.4.1及び7.4.2の手順に従って試料と同じ操作を試料と並行して行う(15)。
注(15) 7.4.1 d)で試料溶液を分取する場合には,空試験液も試料溶液と同量分取する。
7.6 検量線の作成
検量線の作成は,次の手順によって行う。
a) 試料用検量線の作成
1) 銅溶液[7.2 c)],亜鉛溶液[7.2 d)],鉛溶液[7.2 e)],すず溶液[7.2 f)],アルミニウム溶液[7.2 g)],
マンガン溶液[7.2 h)]及び鉄溶液[7.2 i)]を,その銅,亜鉛,鉛,すず,アルミニウム,マンガン
及び鉄の量が7.4.1 a)ではかり取った試料中の銅,亜鉛,鉛,すず,アルミニウム,マンガン及び鉄
の量と10 mgのけたまで等しくなるように数個の100 mlの全量フラスコに取る。
2) 水で標線まで薄めた後,各溶液を,7.4.1 d)で分取した試料溶液と同量ずつ分取し,それぞれ100 ml
の全量フラスコに移し入れる(16)。
3) 標準ニッケル溶液A[7.2 j)]及び/又は標準ニッケル溶液B[7.2 k)]の各種液量(ニッケルとして
07 000 柿 を段階的に加え,塩酸(1+9)(17)で標線まで薄める。
4) 各溶液の一部を,水を用いてゼロ点を調整した原子吸光光度計の空気・アセチレンフレーム中に噴
霧し,波長232.0 nm又は341.5 nmにおける吸光度を試料溶液と並行して測定し,得た吸光度とニ
ッケル量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。
注(16) 注(14)を適用した場合には,この2)の操作は行わない。
(17) 注(14)を適用した場合には,塩酸(1+9)の代わりに水を用いる。
b) 空試験用検量線の作成 数個の100 mlの全量フラスコに混酸[7.2 b)]20 mlを取る。以下,a)の2)
4)の手順に従って操作する。
7.7 計算
計算は,次のいずれかによる。
a) 7.4.1 d)の操作を行わなかった場合 7.4.2及び7.5で得た吸光度と7.6のa)及びb)で作成した検量線と
からそれぞれニッケル量を求め,試料中のニッケル含有率を,次の式によって算出する。
A1 A2
Ni 100
m
ここに, Ni : 試料中のニッケル含有率[% (m/m)]
1A : 試料溶液中のニッケル検出量(g)
2A : 空試験液中のニッケル検出量(g)
m : 試料はかり取り量(g)
b) 7.4.1 d)の操作を行った場合 7.4.2及び7.5で得た吸光度と7.6のa)及びb)で作成した検量線とからそ
れぞれニッケル量を求め,試料中のニッケル含有率を,次の式によって算出する。
A1 A2
Ni 100
B
m
100
ここに, Ni : 試料中のニッケル含有率[%(m/m)]
1A : 分取した試料溶液中のニッケル検出量(g)
2A : 分取した空試験液中のニッケル検出量(g)
m : 試料はかり取り量(g)
B : 7.4.1 d)で分取した試料溶液及び空試験液の量(ml)
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JIS H 1056:2003の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 1810:1976(NEQ)
- ISO 4742:1984(MOD)
- ISO 4743:1984(NEQ)
JIS H 1056:2003の国際規格 ICS 分類一覧
JIS H 1056:2003の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISH1012:2001
- 銅及び銅合金の分析方法通則