JIS H 1056:2003 銅及び銅合金中のニッケル定量方法 | ページ 4

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H 1056 : 2003

8. ICP発光分光法

8.1 要旨

 試料を塩酸と硝酸との混酸で分解し,溶液をICP発光分光装置のアルゴンプラズマ中に噴霧
し,その発光強度を測定する。

8.2 試薬

 試薬は,次による。
a) 塩酸(1+9)
b) 混酸(塩酸2,硝酸1,水2) 使用の都度調製する。
c) 銅 99.96 % (m/m) 以上で,ニッケルを含有しないもの又はニッケル含有率が低く既知のもの。
d) 亜鉛 99.9 % (m/m) 以上で,ニッケルを含有しないもの又はニッケル含有率が低く既知のもの。
e) すず 99.9 % (m/m) 以上で,ニッケルを含有しないもの又はニッケル含有率が低く既知のもの。
f) 鉛 99.9 % (m/m) 以上で,ニッケルを含有しないもの又はニッケル含有率が低く既知のもの。
g) アルミニウム 99.9 % (m/m) 以上で,ニッケルを含有しないもの又はニッケル含有率が低く既知のも
の。
h) 鉄 99.9 % (m/m) 以上で,ニッケルを含有しないもの又はニッケル含有率が低く既知のもの。
i) マンガン 99.9 % (m/m) 以上で,ニッケルを含有しないもの又はニッケル含有率が低く既知のもの。
j) 標準ニッケル溶液(500 最一椀一 ニッケル[99.9 % (m/m) 以上]0.500 gをはかり取り,ビーカー
(200 ml)に移し入れ,時計皿で覆い,硝酸(1+1)30 mlを加え,穏やかに加熱して分解する。常温
まで冷却した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って時計皿を取り除き,溶液を1 000 ml
の全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。

8.3 試料はかり取り量

 試料はかり取り量は,0.50 gとする。

8.4 操作

8.4.1  試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次の手順によって行う。
a) 試料をはかり取って,ビーカー(200 ml)に移し入れる。
b) 時計皿で覆い,混酸[8.2 b)]30 mlを加え,穏やかに加熱して分解する。常温まで冷却した後,時計
皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗って,時計皿を取り除く(7)。
c) 溶液を100 mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める(18)。
d) この溶液を表5の分取量に従って100 mlの全量フラスコに分取し,塩酸(1+9)で標線まで薄める。
注(18) 試料中のニッケル含有率が0.01 % (m/m) 以上0.5 % (m/m) 未満の場合には,次のd)の操作を行
わない。
表 5 分取量
試料中のニッケル含有率 分取量
% (m/m) ml
0.5 以上 2.5 未満 20.0
2.5 以上 7.0 以下 10.0
8.4.2 発光強度を測定 8.4.1のc)又はd)で得た溶液の一部を,ICP発光分光装置のアルゴンプラズマ中
に噴霧し,波長221.647 nm,231.604 nm又は232.003 nmの発光強度を測定する(19)。
注(19) 精度及び真度を確認してあれば高次のスペクトル線を用いてもよく,バックグランド補正機構
が付いている装置では,バックグランド補正機構を用いてもよい。

8.5 空試験

 空試験は,次のいずれかによる。
a) 8.4.1 d)の操作を行わない場合 8.6 a)の検量線作成操作において得られる標準ニッケル溶液を添加し
ない溶液の発光強度を,空試験の発光強度とする。

――――― [JIS H 1056 pdf 16] ―――――

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H 1056 : 2003
b) 8.4.1 d)の操作を行う場合 8.6 b)の検量線作成操作において得られる標準ニッケル溶液を添加しない
溶液の発光強度を,空試験の発光強度とする。

8.6 検量線の作成

 検量線の作成は,次のいずれかの手順によって行う。
a) 8.4.1 d)の操作を行わない場合
1) 銅[8.2 c)],亜鉛[8.2 d)],すず[8.2 e)],鉛[8.2 f)],アルミニウム[8.2 g)],鉄[8.2 h)]及びマ
ンガン[8.2 i)]を0.50 gの試料中に含まれる量と10 mgのけたまで等しくなるように(20)数個はかり
取り,数個のビーカー(200 ml)にそれぞれ移し入れる。
2) 8.4.1 b)の操作を行った後,標準ニッケル溶液[8.2 j)]05.0 ml(ニッケルとして02 500 柿 を
段階的に加える。溶液を100 mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
3) 溶液の一部をICP発光分光装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,波長221.647 nm,231.604 nm又は
232.003 nmの発光強度を試料溶液と並行して測定し(19),得た発光強度とニッケル量との関係線を作
成し,その関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。
注(20) 221.647 nmの波長で発光強度を測定する場合には,共存する銅が影響するので,銅[8.2 c)]は
1 mgのけたまで同じになるようにはかり取る。
b) 8.4.1 d)の操作を行う場合
1) 銅[8.2 c)],亜鉛[8.2 d)],すず[8.2 e)],鉛[8.2 f)],アルミニウム[8.2 g)],鉄[8.2 h)]及びマ
ンガン[8.2 i)]を0.50 gの試料中に含まれる量と10 mgのけたまで等しくなるように(20)はかり取り,
ビーカー(200 ml)に移し入れる。
2) 8.4.1のb)及びc)の手順に従って操作した後,8.4.1 d)で分取した試料溶液の量と同量ずつ数個の100
mlの全量フラスコに分取し,標準ニッケル溶液[8.2 j)]07.0 ml(ニッケルとして03 500 柿
を段階的に加え,塩酸(1+9)で標線まで薄める。
3) 溶液の一部をICP発光分光装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,波長221.647 nm,231.604 nm又は
232.003 nmの発光強度を試料溶液と並行して測定し(19),得た発光強度とニッケル量との関係線を作
成し,その関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。

8.7 計算

 計算は,次のいずれかによる。
a) 8.4.1 d)の操作を行わない場合 8.4.2及び8.5 a)で得た発光強度と8.6 a)で作成した検量線とからニッ
ケル量を求め,試料中のニッケル含有率を,次の式によって算出する。
A1 (A2 A3 )
Ni 100
m
ここに, Ni : 試料中のニッケル含有率[%(m/m)]
1A : 試料溶液中のニッケル検出量(g)
2A : 空試験液中のニッケル検出量(g)
3A : 8.6 a) 1)ではかり取った銅[8.2 c)],亜鉛 [8.2 d) ],す
ず[8.2 e)],鉛[8.2 f)],アルミニウム[8.2 g)],鉄
[8.2 h)]及びマンガン[8.2 i)]中に含まれるニッケ
ルの合量(g)
m : 試料はかり取り量(g)
b) 8.4.1 d)の操作を行った場合 8.4.2及び8.5 b)で得た発光強度と8.6 b)で作成した検量線とからニッケ
ル量を求め,試料中のニッケル含有率を,次の式によって算出する。

――――― [JIS H 1056 pdf 17] ―――――

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H 1056 : 2003
B
A1 (A2 A3 )
Ni 100 100
B
m
100
ここに, Ni : 試料中のニッケル含有率[%(m/m)]
1A : 分取した試料溶液中のニッケル検出量(g)
2A : 分取した空試験液中のニッケル検出量(g)
3A : 8.6 b) 1)ではかり取った銅[8.2 c)],亜鉛 [8.2 d) ],す
ず[8.2 e)],鉛[8.2 f)],アルミニウム[8.2 g)],鉄
[8.2 h)]及びマンガン[8.2 i)]中に含まれるニッケ
ルの合量(g)
B : 8.4.1 d)で分取した試料溶液及び空試験液の量(ml)
m : 試料はかり取り量(g)

――――― [JIS H 1056 pdf 18] ―――――

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H 1056 : 2003
H1
2
0
附属書(参考) ISと対応する国際規格との対比表
56 : 20
JIS H 1056 : 2002 銅及び銅合金中のニッケル定量方法 ISO 1810 : 1976 銅合金−ニッケルのジメチル・グリオキシム吸光光度法
03
ISO 4742 : 1984 銅合金−ニッケルの重量法
ISO 4743 : 1984 銅合金−ニッケルの滴定法
(I) ISの規定 (II) 国際(III) 国際規格の規定 (V) ISと国際規格との技術的差異の理
(IV) ISと国際規格との技術的差異の
規格番号 項目ごとの評価及びその内容 由及び今後の対策
表示箇所:本体
表示方法:点線の下線又は実線の側線
項目 内容 項目 内容 項目ごとの 技術的差異の内容
番号 番号 評価
1.適用 ISO 1810
銅及び銅合金(伸銅品,鋳物用地金 1. 銅合金中のニッケルの定量 NEQ 試薬が不適当。 ISO 1810及びISO 4743は試薬として
範囲 及び鋳物)中のニッケルの定量 ISO 4742 1. 銅合金中のニッケルの MOD/追加 ISOを包含し,すべて 環境規制物質(オゾン層保護対策物
定量 の伸銅品,地金及び鋳質)であるクロロホルムを使用する方
物を対象としている 法なのでJISとして採用できない。
ISO 4743 1. NEQ
銅合金中のニッケルの定量 試薬が不適当。
2.引用 JIS H 1012(銅及び銅合金の分析方 − − ISOには規定されていな MOD/追加
規格 法通則)を引用 い。
3.一般 分析の一般事項はJIS H 1012によ − − ISOには規定されていな MOD/追加
事項 ることを規定。 い。
4.定量 a) 銅分離ジメチルグリオキシムニISO 4742 1. 重量法 IDT ISOには規定してい 定量方法は,濃度範囲や対応設備の有
方法の ッケル重量法 2.0%≦Ni≦50% ない定量方法を追加 無などから適切な方法が選択されるべ
区分 2.0%≦Ni≦50% した。 きであるので一つに限定することは好
b) 銅分離ジメチルグリオキシム沈 − − ISOには規定されていな MOD/追加 ましくない。したがって,従来から規
殿分離エチレンジアミン四酢酸二 い。 定されていたJISの定量方法及び最新
水素二ナトリウム・亜鉛逆滴定法 の機器による定量方法を追加した。
1.0%≦Ni≦35% ISOを包含した四つの定量方法を規定
c) 原子吸光法 − − ISOには規定されていな MOD/追加 しており,状況に応じていずれかを選
0.01%≦Ni≦7.0% い。 択して使用ができる。したがって,国
d) CP発光分光法 − − ISOには規定されていな MOD/追加 際的にも,なんら問題ないのでJISだ
0.01%≦Ni≦7% い。 けに規定された定量方法をISOへ提案
することは当面行わない。
5. 銅分 ISO 4742
試料を硝酸で分解し,アミド硫酸を 6. JISに同じ IDT 技術的には一致して
離ジメ 加えた後又は試料を硝酸と硫酸との いる。
チルグ 混酸で分解した後,白金電極を用い
リオキ て電解を行い,銅を陰極に析出させ
シムニ て除去する。溶液にくえん酸を加え,
ッケル アンモニア水でアルカリ性とした
重量法 後,ジメチルグリオキシムを加え,
生成するジメチルグリオキシムニッ
ケルの沈殿をこし分け,その質量を
はかる。

――――― [JIS H 1056 pdf 19] ―――――

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H 1056 : 2003
(I) ISの規定 (II) 国際(III) 国際規格の規定 (V) ISと国際規格との技術的差異の理
(IV) ISと国際規格との技術的差異の
規格番号 項目ごとの評価及びその内容 由及び今後の対策
項目 表示箇所:本体
番号 表示方法:点線の下線又は実線の側線
項目 内容 内容 項目ごとの 技術的差異の内容
番号 評価
6. 銅分 試料を硝酸と硫酸との混酸で分解 − − − MOD/追加 ISOには規定してい ISOに規定がなくても,なんら問題は
離ジメ した後,白金電極を用いて電解を行 ない定量方法を追加 ないので,当面ISOに提案すること
チルグ い,銅を陰極に析出させて除去す した。 は見送る。
る。溶液にくえん酸を加え,アンモ
リオキ ニア水でアルカリ性とした後,ジメ
シム沈 チルグリオキシムを加え,生成する
殿分離 ジメチルグリオキシムニッケルの
エチレ 沈殿をこし分ける。沈殿を塩酸に溶
ンジア 解し,過剰のエチレンジアミン四酢
酸二水素二ナトリウム(以下,
ミン四
EDTA2Naという。)を加えた後,pH
酢酸二 を調節し,亜鉛標準溶液で逆滴定す
水素二 る。
ナトリ
ウム・亜
鉛逆滴
定法
7. 原子 試料を塩酸と硝酸との混酸で分解 − − − MOD/追加 ISOには規定してい ISOに規定がなくても,なんら問題は
吸光法 した後,溶液を原子吸光光度計の空 ない定量方法を追加 ないので,当面ISOに提案すること
気・アセチレンフレーム中に噴霧 した。 は見送る。
し,その吸光度を測定する。
8. ICP 試料を塩酸と硝酸との混酸で分解 − − − MOD/追加 ISOには規定してい ISOで採用の動きあり動向を見守る。
発光分 し,溶液をICP発光分光装置のア ない定量方法を追加
光法 ルゴンプラズマ中に噴霧し,その発 した。
光強度を測定する。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価 : NEQ(ISO 1810 : NEQ,ISO 4742 : MOD,ISO 4743 : NEQ)
備考1. 項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― IDT 技術的差異がない。
― MOD/追加 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
― NEQ 技術的差異があり,かつ,それがはっきりと識別され説明されていない。
2. JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― MOD 国際規格を修正している。
― NEQ 技術的内容及び構成において,国際規格と同等でない。
H1 056 : 2003
2

JIS H 1056:2003の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 1810:1976(NEQ)
  • ISO 4742:1984(MOD)
  • ISO 4743:1984(NEQ)

JIS H 1056:2003の国際規格 ICS 分類一覧

JIS H 1056:2003の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISH1012:2001
銅及び銅合金の分析方法通則