JIS H 1101:2013 電気銅地金分析方法 | ページ 2

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H 1101 : 2013

5 分析値のまとめ方

5.1 分析回数

  同一分析所において2回の併行分析を行う。
なお,分析回数は,次のいずれかによって増減することができる。
a) 各分析所の設備,作業者の力量,過去の統計的な解析結果など
b) 受渡当事者間の協定

5.2 分析値の表示

  分析値は,質量分率で表し,指定がある場合を除きJIS H 2121に規定された数値の有効最小位の次の桁
まで算出し,JIS Z 8401の規則Aによって丸める。

6 銅定量方法

6.1 定量方法の区分

  銅の定量方法は,次のいずれかによる。
a) 差数法 この方法は,銅含有率99.96 %(質量分率)以上の試料に適用する。
b) 銅電解重量法 この方法は,銅含有率99.90 %(質量分率)以上の試料に適用する。

6.2 差数法

6.2.1  要旨
JIS H 2121に規定された不純物の含有率の合計[%(質量分率)]を100[%(質量分率)]から差し引き
算出する。
6.2.2 計算
試料中の銅含有率を次の式によって算出する。算出された銅含有率の値は,JIS H 2121に規定された最
小位の桁未満を切り捨てる。
n
iX
Cu 100
i1
ここに, Cu : 試料中の銅含有率[%(質量分率)]
n : 製品規格で規定した不純物の化学成分の数
Xi : 製品規格に規定した不純物の化学成分iの分析値を製品規格
に規定された銅含有率の最小位の桁の次の桁に丸めた値
[%(質量分率)]

6.3 銅電解重量法

6.3.1  要旨
試料を硝酸と硫酸との混酸で分解した後,白金電極を用いて電解し,陰極に銅を電着させ,その質量を
はかる。電解終了後の電解液中に残留する銅量を原子吸光法又はICP発光分光分析法によって測定し,銅
量を求め,電着銅量に加える。
6.3.2 試薬
試薬は,次による。
a) 硝酸(1+1)
b) 硫酸(1+1)
c) 混酸(硝酸7,硫酸10,水40) 水230 mLに硫酸(1+1)200 mLを少量ずつかき混ぜながら加える。
冷却した後,硝酸(1+1)140 mLを加えかき混ぜる。
d) エタノール(99.5)

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e) 銅標準液(Cu : 20 g /mL) 銅標準液は,次のいずれかを用いる。
1) 市販の銅標準液 酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致した場合に用い,濃度が100 g/mL
より濃い場合は,水で正確にうすめて原液(Cu : 100 g/mL)とする。この原液を使用の都度,必
要量だけ水で正確に5倍にうすめて使用する。
注記 計量法標準供給制度(JCSS : Japan Calibration Service System。以下,JCSSという。)に基づ
く銅標準液がある。
2) 金属を用いて調製した銅標準液 銅[99.9 %(質量分率)以上]0.100 gを硝酸(1+1)20 mLで分
解し,常温まで冷却した後,1 000 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線までうすめ
て原液(Cu : 100 g /mL)とする。この原液を使用の都度,必要量だけ水で正確に5倍にうすめて
使用する。
6.3.3 器具
器具は,次による。
a) 電解ビーカー 図1のものとし,試料の分解においては,ビーカーの上部に密着できる空冷還流冷却
器形の蓋を用いる。
なお,図1のものと比較して,銅液の損失がないことを確認してあれば,他の形状のビーカーを用
いることができる。
b) 円筒状白金陰極 一例を図2に示す。
c) らせん状白金陽極 一例を図3に示す。
d) 半円形時計皿 一例を図4に示す。
単位 mm
単位 mm
材質 : ガラス製
図1−電解ビーカー 図2−円筒状白金陰極の例

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単位 mm
単位 mm
厚さ : 11.2 mm
材質 : 硬質ガラス又はポリエチレン
図3−らせん状白金陽極の例 図4−半円形時計皿の例
6.3.4 試料のはかりとり量
試料のはかりとり量は,円筒状白金陰極[6.3.3 b)]の質量に近いはかり瓶を用い5.000 g以上,5.005 g
以下とし,0.1 mgの桁まではかる。
6.3.5 操作
操作は,次による。
a) 準備操作 円筒状白金陰極[6.3.3 b)]を硝酸(1+1)中に浸して洗浄した後,水を用いて洗浄し,次
いでエタノール(99.5)を用いて洗浄する。約100 ℃の空気浴中で乾燥した後,バーナーで赤熱する
まで加熱する。デシケーター中で常温まで放冷した後,その質量を試料をはかりとった同じ精密天び
んを用い0.1 mgの桁まではかる。
b) 試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次の手順による。
1) 試料をはかりとって,電解ビーカー[6.3.3 a)]に移し入れる。
2) 蓋[6.3.3 a)]で覆い,混酸[6.3.2 c)]57 mLを加えて穏やかに分解する。反応がおさまってきたら
約80 ℃に加熱し,試料を完全に分解するとともに,酸化窒素を追い出す。
注記 加熱には,温度調節の容易な水浴又は電気ホットプレートを用いるとよい。
3) 蓋の内面及びビーカーの内壁を水で洗浄した後,蓋を取り除き,水を加えて液量を約150 mLとす
る。
c) 電解 電解は,次の手順による。
1) ) で質量をはかった円筒状白金陰極[6.3.3 b)]とらせん状白金陽極[6.3.3 c)]とをb) 3)で得た溶
液中に挿入し,2個の半円形時計皿[6.3.3 d)]で覆う。

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2) 必要に応じて適切な加熱装置を用いて液温を2030 ℃として最初の約5時間は,0.30.4 Aの電流
を通じた後,次の15時間は,0.60.7 Aの電流を通じて電解する。
なお,低電流(約0.3 A)で長時間(約30時間)電解を行ってもよい。
3) 電解液が無色になったならば,半円形時計皿の下面,ビーカーの内壁及び電極の液面上に露出した
部分を水洗し,その洗浄水によって電解液面を約5 mm上昇させ,更に約1時間電解を続ける。
4) 新しく電解液に浸かった陰極の柄に,銅の電着が認められなければ,半円形時計皿の下面を水で洗
って半円形時計皿を取り除き,電気を通じた状態で水洗しながら,両極を引き上げる。ただし,新
しく電解液に入った陰極の柄に銅が電着した場合は,3) の手順を繰り返す。
5) 引き上げた陰極を,新たに水を満たした別のビーカー中に手早く浸して接続部から取り外し,通電
を遮断する。電解を終えた溶液は,電解残液として保存する。
6) 新たに水を満たしたビーカー2個を用意し,陰極を順次浸して手早く水洗する。次にエタノール
(99.5)を満たしたビーカー2個を用意し,これに陰極を順次浸して水分を除去する。
d) 乾燥及びひょう量 c) 6) で得た銅を電着した円筒状白金陰極[6.3.3 b)]を約80 ℃の空気浴中で23
分間ほど乾燥させ,デシケーター中で約30分間放冷した後,試料をひょう量した精密天びんを用いて
質量を0.1 mgの桁まではかる。
e) 電解残液中の銅の定量 電解残液中の銅の定量は,次のいずれかによる。
1) 原子吸光法による場合 原子吸光法による場合は,次による。
1.1) 試料溶液の調製及び測定 c) 5) で得た電解残液を水を用いて200 mLの全量フラスコに移し入れ,
水で標線までうすめる。この溶液の一部を,水を用いてゼロ点調整した原子吸光光度計のアセチ
レン・空気フレーム中に噴霧し,波長324.7 nmにおける吸光度を測定し,1.2) で作成した検量線
から銅量を求める。
1.2) 検量線の作成 検量線の作成は,次の手順による。
1.2.1) 銅標準液[6.3.2 e)]025.0 mL(銅として0500 μg)を,段階的に数個の200 mLの全量フラス
コにとり,硫酸(1+1)20 mLを加え,水で標線までうすめる。
1.2.2) 得た溶液の一部をアセチレン・空気フレーム中に噴霧し,波長324.7 nmにおける吸光度を試料
と並行して測定し,得た吸光度と銅量との関係線を作成し,検量線とする。
2) CP発光分光分析法による場合 ICP発光分光分析法による場合は,次による。
2.1) 試料溶液の調製及び測定 c) 5) で得た電解残液を水を用いて200 mLの全量フラスコに移し入れ,
水で標線までうすめる。この溶液の一部を,ICP発光分光分析装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,
波長324.754 nmにおける発光強度を測定し,2.2) で作成した検量線から銅量を求める。
なお,真度及び精度を確認してあれば,他の波長を用いてもよい。高次のスペクトル線が使用
可能な装置では,高次のスペクトル線を用いてもよく,また,バックグラウンド補正機構が付い
ている装置では,バックグラウンド補正機構を用いてもよい。
2.2) 検量線の作成 検量線の作成は,次の手順による。
2.2.1) 銅標準液[6.3.2 e)]025.0 mL(銅として0500 μg)を,段階的に数個の200 mLの全量フラス
コにとり,硫酸(1+1)20 mLを加え,水で標線までうすめる。
2.2.2) 得た溶液の一部をICP発光分光分析装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,波長324.754 nmにお
ける発光強度を試料と並行して測定し,得た発光強度と銅量との関係線を作成し,検量線とする。
6.3.6 空試験
空試験は,行わない。

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6.3.7 計算
試料中の銅含有率を次の式によって算出する。
m2 m1 A
Cu 100
m
ここに, Cu : 試料中の銅含有率[%(質量分率)]
m1 : 6.3.5 a) で得た円筒状白金陰極の質量(g)
m2 : 6.3.5 d) で得た銅を電着した円筒状白金陰極の質量(g)
A : 6.3.5 e) で得た電解残液中の銅検出量(g)
m : 試料はかりとり量(g)

7 ひ素定量方法

7.1 定量方法の区分

  ひ素の定量方法は,次のいずれかによる。
a) 水酸化鉄・水酸化ランタン共沈分離電気加熱原子吸光法 この方法は,ひ素含有率0.000 01 %(質量
分率)以上0.005 %(質量分率)以下の試料に適用する。
b) 水酸化鉄・水酸化ランタン共沈分離ICP発光分光分析法 この方法は,ひ素含有率0.000 1 %(質量
分率)以上0.01 %(質量分率)以下の試料に適用する。
c) CP質量分析法 この方法は,ひ素含有率0.000 01 %(質量分率)以上0.005 %(質量分率)以下の試
料に適用する。
d) 水酸化鉄・水酸化ランタン共沈分離ICP質量分析法 この方法は,ひ素含有率0.000 01 %(質量分率)
以上0.005 %(質量分率)以下の試料に適用する。

7.2 水酸化鉄・水酸化ランタン共沈分離電気加熱原子吸光法

7.2.1  要旨
試料を硝酸で分解した後,鉄(III),硝酸ランタン及びアンモニア水を加え,ひ素を水酸化鉄(III)及び
水酸化ランタンと共沈させて,こし分ける。沈殿を硝酸,又は硝酸及び過酸化水素に溶解した後,溶液を
電気加熱原子吸光光度計の電気加熱炉中に注入して加熱し,その吸光度を測定する。
7.2.2 試薬
試薬は,次による。
a) 硝酸
b) 硝酸(1+1,1+50)
c) 硝酸混液 硝酸(1+1)100 mLに過酸化水素10 mLを加える。この溶液は,使用の都度調製する。
d) アンモニア水
e) アンモニア洗浄液 アンモニア水(1+5)500 mLに硝酸アンモニウム15 gを加えて溶解する。
f) 鉄(III)溶液 鉄(III)溶液は,次のいずれかを用いる。
1) 鉄[99.9 %(質量分率)以上]0.5 gを硝酸混液[7.2.2 c)]20 mLで加熱して分解した後,更に加熱
し過剰の過酸化水素を追い出す。室温まで冷却した後,水で液量を100 mLとする。この溶液1 mL
は,鉄(III)約5 mgを含む。
2) 硝酸鉄(III)九水和物7.23 gを水に溶解した後,水で液量を200 mLとする。この溶液1 mLは,鉄
(III)約5 mgを含む。
g) 硝酸ランタン溶液 硝酸ランタン六水和物1.6 gを硝酸(1+100)100 mLに溶解する。この溶液1 mL
は,ランタン約5 mgを含む。

――――― [JIS H 1101 pdf 10] ―――――

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