JIS H 1101:2013 電気銅地金分析方法 | ページ 3

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H 1101 : 2013
h) ひ素標準液(As : 2 g/mL) ひ素標準液は,次のいずれかを用いる。
1) 市販のひ素標準液 酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致した場合に用い,濃度が100 g/mL
より濃い場合は,水で正確にうすめて原液(As : 100 g/mL)とする。この原液を使用の都度,必
要量だけ水で正確に50倍にうすめてひ素標準液とする。
注記 JCSSに基づくひ素標準液がある。
2) 酸化物を用いて調製したひ素標準液 三酸化二ひ素[99 %(質量分率)以上]をあらかじめ105 ℃
で2時間加熱し,デシケーター中で放冷する。その0.132 gを水酸化ナトリウム溶液(40 g/L)2 mL
に溶解し,水でうすめ,フェノールフタレイン溶液[JIS K 8001のJA.4(指示薬)]を指示薬とし
て1,2滴を加え,硫酸(1+10)で微酸性とする。常温とした後,この溶液を1 000 mLの全量フラ
スコに水を用いて移し入れ,水で標線までうすめて原液(As : 100 g/mL)とする。この原液を使
用の都度,必要量だけ水で正確に50倍にうすめてひ素標準液とする。
7.2.3 試料はかりとり量
試料はかりとり量は,10.0 g又は20.0 gとし,10 mgの桁まではかる。
7.2.4 操作
操作は,次による。
a) 試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次のいずれかによる。
1) 試料はかりとり量が10 gの場合 試料はかりとり量が10 gの場合は,次の手順による。
1.1) 試料をはかりとって,ビーカー(500 mL)に移し入れる。
1.2) 時計皿で覆い,硝酸(1+1)80 mLを加えて分解し,穏やかに沸騰させて酸化窒素を追い出す。
室温まで冷却した後,時計皿の下面を水で洗浄して時計皿を取り除き,水を加えて液量を約200 mL
とする。
2) 試料はかりとり量が20 gの場合 試料はかりとり量が20 gの場合は,次の手順による。
2.1) 試料をはかりとって,ビーカー(500 mL)に移し入れる。
2.2) 時計皿で覆い,硝酸(1+1)160 mLを加えて分解し,穏やかに沸騰させて酸化窒素を追い出す。
常温まで冷却した後,時計皿の下面を水で洗浄して時計皿を取り除く。溶液を200 mLの全量フラ
スコに水を用いて移し入れ,水で標線までうすめた後,ひ素量が10 g以下となるように一定量
分取した液をビーカー(500 mL)に移し入れ,水を加えて液量を約200 mLとする。
b) ひ素の分離 ひ素の分離は,次の手順による。
1) ) 1.2) 又はa) 2.2) で得た溶液に鉄(III)溶液[7.2.2 f)]及び硝酸ランタン溶液[7.2.2 g)]を鉄(III)
及びランタンの量が各々1020 mgの一定量となるように加え,この溶液をかき混ぜながらアンモ
ニア水を,生成する水酸化銅(II)の沈殿が溶解するまで加え,更に過剰に50 mL加える。この溶
液を加熱し,穏やかに5分間沸騰させる。
2) 沈殿はろ紙(5種A又は5種B)を用いてこし分け,温めたアンモニア洗浄液[7.2.2 e)]で数回洗
浄する。ろ液及び洗液は捨てる。
3) ろ紙上の沈殿を,温水で元のビーカーに洗い移し,漏斗下に元のビーカーを置き,ろ紙上に温めた
硝酸(1+1)10 mL又は硝酸5 mLを滴加してろ紙上の沈殿を溶解した後,ろ紙は温めた硝酸(1+
50)で十分洗浄する。元のビーカー中の沈殿は,ろ液及び洗液で溶解する。ただし,沈殿が溶解し
ない場合は4) の操作を実施する。
4) 3) にて沈殿が溶解しない場合は,ろ紙上の沈殿を,温水で元のビーカーに洗い移し,漏斗下に元の
ビーカーを置き,ろ紙上に硝酸混液[7.2.2 c)]10 mLを滴加してろ紙上の沈殿を溶解した後,ろ紙

――――― [JIS H 1101 pdf 11] ―――――

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は温めた硝酸(1+50)で十分洗浄する。ろ液及び洗液の入った元のビーカーを加熱し,沈殿を完全
に溶解するとともに過剰の過酸化水素を追い出す。
5) 3) 又は4) の溶液を常温まで冷却した後,水を用いて100 mLの全量フラスコに移し入れ,水で標
線までうすめる。ただし,この溶液のひ素量が10 g以上の場合には,ひ素量が210 gになるよ
うに100 mLの全量フラスコに分取する。この分取した溶液中の鉄及びランタン量が1) と同じにな
るように鉄(III)溶液[7.2.2 f)]及び硝酸ランタン溶液[7.2.2 g)]を加え,更に硝酸(1+1)10 mL
を加えた後,水で標線までうすめる。
c) 吸光度の測定 b) 5) で得た溶液の一定量を電気加熱原子吸光光度計の電気加熱炉の中に注入して加
熱し,波長193.7 nmにおける吸光度を測定する。
注記1 一般的には,10 L又は20 Lを注入するが,各装置の測定範囲に合わせて注入量を決め
てもよい。
注記2 吸光度に比例した指示計の目盛などを用いて測定してもよい。
7.2.5 空試験
試料を用いないで,試料と同じ操作を試料と並行して行い,空試験液を調製し,吸光度を測定する。
7.2.6 検量線の作成
検量線の作成は,次の手順による。
a) 鉄(III)溶液[7.2.2 f)]及び硝酸ランタン溶液[7.2.2 g)]を鉄(III)及びランタンの添加量が7.2.4 b)
1) と同じになるように数個の100 mLの全量フラスコにとり,硝酸(1+1)10 mLを加える。
b) ひ素標準液[7.2.2 h)]05.0 mL(ひ素として010 g)を段階的に加え,水で標線までうすめる。
c) 得た溶液の一定量を電気加熱原子吸光光度計の電気加熱炉の中に注入して加熱し,波長193.7 nmにお
ける吸光度を試料と並行して測定し,得た吸光度とひ素量との関係線を作成し,検量線とする。
7.2.7 計算
計算は,次のいずれかによる。
a) 7.2.4 a) 2.2) 又は7.2.4 b) 5) で分取をしない場合 7.2.4 c) 及び7.2.5で得た吸光度と,7.2.6で作成し
た検量線とからひ素量を求め,試料中のひ素含有率を,次の式によって算出する。
A1 A2
As 100
m
ここに, As : 試料中のひ素含有率[%(質量分率)]
A1 : 試料溶液中のひ素検出量(g)
A2 : 空試験液中のひ素検出量(g)
m : 試料はかりとり量(g)
b) 7.2.4 a) 2.2) 又は7.2.4 b) 5) で分取をした場合 7.2.4 c) 及び7.2.5で得た吸光度と,7.2.6で作成した
検量線とからひ素量を求め,試料中のひ素含有率を,次の式によって算出する。
A3 A4
As 100
m B
ここに, As : 試料中のひ素含有率[%(質量分率)]
A3 : 試料溶液中のひ素検出量(g)
A4 : 空試験液中のひ素検出量(g)
m : 試料はかりとり量(g)
B : 試料溶液及び空試験液の分取比

――――― [JIS H 1101 pdf 12] ―――――

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7.3 水酸化鉄・水酸化ランタン共沈分離ICP発光分光分析法

7.3.1  要旨
試料を硝酸で分解した後,鉄(III),硝酸ランタン及びアンモニア水を加え,ひ素を水酸化鉄(III)及び
水酸化ランタンと共沈させて,こし分ける。沈殿を硝酸,又は硝酸及び過酸化水素に溶解した後,溶液を
ICP発光分光分析装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,その発光強度を測定する。
7.3.2 試薬
試薬は,次による。
a) 硝酸
b) 硝酸(1+1,1+50)
c) 硝酸混液 7.2.2 c) による。
d) アンモニア水
e) アンモニア洗浄液 7.2.2 e) による。
f) 鉄(III)溶液 7.2.2 f)による。
g) 硝酸ランタン溶液 7.2.2 g) による。
h) ひ素標準液(As : 50 g/mL) 7.2.2 h)で調製した原液(As : 100 g/mL)を使用の都度,必要量だけ水
で正確に2倍にうすめてひ素標準液とする。
7.3.3 試料はかりとり量
試料はかりとり量は,20.0 gとし,10 mgの桁まではかる。
7.3.4 操作
操作は,次による。
a) 試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次の手順による。
1) 試料をはかりとって,ビーカー(500 mL)に移し入れる。
2) 時計皿で覆い,硝酸(1+1)160 mLを加えて分解し,穏やかに沸騰させて酸化窒素を追い出す。室
温まで冷却した後,時計皿の下面を水で洗浄して時計皿を取り除き,水を加えて液量を約200 mL
とする。
b) ひ素の分離 ひ素の分離は,次の手順による。
1) ) 2) で得た溶液に鉄(III)溶液[7.3.2 f)]及び硝酸ランタン溶液[7.3.2 g)]を鉄(III)及びランタ
ンの量が各々約1020 mgの一定量となるように加え,この溶液をかき混ぜながらアンモニア水を,
生成する水酸化銅(II)の沈殿が溶解するまで加え,更に過剰に50 mL加える。この溶液を加熱し,
穏やかに5分間沸騰させる。
2) 沈殿は,ろ紙(5種A又は5種B)を用いてこし分け,温めたアンモニア洗浄液[7.3.2 e)]で数回
洗浄する。ろ液及び洗液は捨てる。
3) ろ紙上の沈殿を,温水で元のビーカーに洗い移し,漏斗下に元のビーカーを置き,ろ紙上に温めた
硝酸(1+1)10 mL又は硝酸5 mLを滴加してろ紙上の沈殿を溶解した後,ろ紙は温めた硝酸(1+
50)で十分洗浄する。元のビーカー中の沈殿は,ろ液及び洗液で溶解する。ただし,沈殿が溶解し
ない場合は4) の操作を実施する。
4) 3) にて沈殿が溶解しない場合は,ろ紙上の沈殿を,温水で元のビーカーに洗い移し,漏斗下に元の
ビーカーを置き,ろ紙上に硝酸混液[7.3.2 c)]10 mLを滴加してろ紙上の沈殿を溶解した後,ろ紙
は温めた硝酸(1+50)で十分洗浄する。ろ液及び洗液の入った元のビーカーを加熱し,沈殿を完全
に溶解するとともに過剰の過酸化水素を追い出す。

――――― [JIS H 1101 pdf 13] ―――――

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5) 3) 又は4) の溶液を加熱して濃縮し,液量を約10 mLとする。常温まで冷却した後,水を用いて25
mLの全量フラスコに移し入れ,水で標線までうすめる。ただし,この溶液のひ素量が250 g以上
の場合には,ひ素量が20250 gになるように25 mLの全量フラスコに分取する。この分取した溶
液中の鉄及びランタン量が1) と同じになるように鉄(III)溶液[7.3.2 f)]及び硝酸ランタン溶液[7.3.2
g)]を加え,更に硝酸(1+1)10 mLを加えた後,水で標線までうすめる。
c) 発光強度の測定 b) 5) で得た溶液の一部をICP発光分光分析装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,
波長193.696 nmにおける発光強度を測定する。
なお,b) 3) 及びb) 4) の操作において,ろ紙の一部がb) 5) で得た溶液に混入した場合は,乾燥ろ
紙を用いてろ過後にアルゴンプラズマ中に噴霧する。また,真度及び精度を確認してあれば,他の波
長を用いてもよい。高次のスペクトル線が使用可能な装置では,高次のスペクトル線を用いてもよく,
更に,バックグラウンド補正機構が付いている装置では,バックグラウンド補正機構を用いてもよい。
7.3.5 空試験
試料を用いないで,試料と同じ操作を試料と並行して行い,空試験液を調製し,発光強度を測定する。
7.3.6 検量線の作成
検量線の作成は,次の手順による。
a) 鉄(III)溶液[7.3.2 f)]及び硝酸ランタン溶液[7.3.2 g)]を鉄(III)及びランタンの添加量が7.3.4 b)
1)と同じになるように数個の25 mLの全量フラスコにとり,硝酸(1+1)10 mLを加える。
b) ひ素標準液[7.3.2 h)]05.0 mL(ひ素として0250 g)を段階的に加え,水で標線までうすめる。
c) 得た溶液の一部をICP発光分光分析装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,波長193.696 nmにおける発
光強度を試料と並行して測定し,得た発光強度とひ素量との関係線を作成し,検量線とする。
7.3.7 計算
計算は,次のいずれかによる。
a) 7.3.4 b) 5) で分取をしない場合 7.3.4 c) 及び7.3.5で得た発光強度と,7.3.6で作成した検量線とから
ひ素量を求め,試料中のひ素含有率を,次の式によって算出する。
A1 A2
As 100
m
ここに, As : 試料中のひ素含有率[%(質量分率)]
A1 : 試料溶液中のひ素検出量(g)
A2 : 空試験液中のひ素検出量(g)
m : 試料はかりとり量(g)
b) 7.3.4 b) 5) で分取をした場合 7.3.4 c) 及び7.3.5で得た発光強度と,7.3.6で作成した検量線とからひ
素量を求め,試料中のひ素含有率を,次の式によって算出する。
A3 A4
As 100
m B
ここに, As : 試料中のひ素含有率[%(質量分率)]
A3 : 試料溶液中のひ素検出量(g)
A4 : 空試験液中のひ素検出量(g)
m : 試料はかりとり量(g)
B : 試料溶液及び空試験液の分取比

7.4 ICP質量分析法

7.4.1  要旨
試料を硝酸で分解した後,内標準元素を加え,溶液をICP質量分析装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,

――――― [JIS H 1101 pdf 14] ―――――

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ひ素及び内標準元素のそれぞれの質量/電荷数(m/z)における指示値1) を測定し,ひ素の指示値と内標
準元素の指示値との比を求めて定量する。
注1) イオンカウント値又はその比例値。
7.4.2 試薬
試薬は,次による。
a) 硝酸(1+1)
b) ひ素標準液(As : 2 g/mL) 7.2.2 h) による。
c) 内標準液A(Y : 1 μg/mL) 内標準元素としてイットリウムを用いる。内標準液Aは,次のいずれか
を用いる。
なお,元の試料に無視できる量しか含まれていないことが確認できれば,イットリウム以外の元素
を内標準元素として用いてもよい。この場合,ひ素に比較的質量数の近い元素を内標準元素とすると
よい。
1) 市販のイットリウム溶液 酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致した場合に用い,濃度が100
g/mLより濃い場合は,水で正確にうすめて原液(Y : 100 μg/mL)とする。この原液を使用の都度,
必要量だけ水で正確に100倍にうすめて内標準液Aとする。
2) 酸化物を用いて調製したイットリウム溶液 酸化イットリウム(III)0.127 gを硝酸(1+1)10 mL
で分解し,常温まで冷却した後,1 000 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線までう
すめて原液(Y : 100 μg/mL)とする。この原液を使用の都度,必要量だけ水で正確に100倍にうす
めて内標準液Aとする。
d) 内標準液B(Y : 0.1 μg/mL) 内標準液A[7.4.2 c)]を使用の都度,必要量だけ水で正確に10倍にう
すめて使用する。
7.4.3 試料はかりとり量
試料はかりとり量は,1.0 gとし,10 mgの桁まではかる。
7.4.4 操作
操作は,次による。
a) 試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次の手順による。
1) 試料をはかりとって,ビーカー(300 mL)に移し入れる。
2) 時計皿で覆い,硝酸(1+1)10 mLを加えて分解し,穏やかに沸騰させて酸化窒素を追い出す。
3) 常温まで冷却した後,時計皿の下面を水で洗浄して時計皿を取り除き,100 mLの全量フラスコに水
を用いて移し入れる。
4) 内標準液の混合方法によって,次のいずれかの操作を行う。
4.1) CP質量分析装置によって自動で内標準液を混合しない場合 3) で得た溶液に内標準液A[7.4.2
c)]1 mLを加え,水で標線までうすめる。ただし,この溶液のひ素量が10 μg以上の場合には,
内標準液Aを加えず,水で標線までうすめ,ひ素量が210 μgになるように100 mLの全量フラ
スコに分取する。この分取した溶液に硝酸(1+1)10 mL及び内標準液A[7.4.2 c)]1 mLを加え,
水で標線までうすめる。
4.2) CP質量分析装置によって自動で内標準液を混合する場合 3) で得た溶液を水で標線までうすめ
る。この溶液のひ素量が10 μg以上の場合には,ひ素量が210 μgになるように100 mLの全量フ
ラスコに分取する。この分取した溶液に硝酸(1+1)10 mLを加え,水で標線までうすめる。
b) 質量/電荷数(m/z)における指示値の測定 質量/電荷数(m/z)における指示値の測定は,次のい

――――― [JIS H 1101 pdf 15] ―――――

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