JIS H 1111:2014 亜鉛地金分析方法 | ページ 2

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d) 水酸化鉄共沈分離ICP発光分光分析法 この方法は,鉛含有率0.000 1 %(質量分率)以上0.02 %(質
量分率)以下の試料に適用する。

6.2 原子吸光分析法

6.2.1  要旨
試料を塩酸と硝酸との混酸で分解した後,溶液を原子吸光光度計のアセチレン・空気フレーム中に噴霧
し,その吸光度を測定し,検量線から鉛量を求める。
6.2.2 試薬
試薬は,次による。
a) 塩酸
b) 塩酸(1+1)
c) 硝酸(1+3,1+100)
d) 混酸A(塩酸45,硝酸1)
e) 亜鉛溶液 亜鉛[99.995 %(質量分率)以上で,鉛を含有しないもの,又は鉛含有率が低く既知のも
の]100 gを塩酸400 mLで分解し,加熱してシロップ状となるまで濃縮する。常温まで冷却した後,
水約400 mLを加えて溶解し,500 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
この溶液1 mLは,亜鉛約200 mgを含む。
f) 鉛標準液(Pb : 20 μg/mL) 鉛標準液は,次のいずれかを用いる。
1) 市販の鉛標準液 酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致した場合に用い,濃度が20 μg/mLよ
り濃い場合は,硝酸(1+100)で正確に薄めて鉛標準液とする。
注記 計量法標準供給制度(JCSS : Japan Calibration Service System。以下,JCSSという。)に基づ
く鉛標準液がある。
2) 金属を用いて調製した鉛標準液 鉛[99.9 %(質量分率)以上]0.100 gを硝酸(1+3)20 mLで分
解し,常温まで冷却した後,1 000 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄めて
原液(Pb : 100 μg/mL)とする。この溶液を使用の都度,必要量だけ水で正確に5倍に薄めて鉛標準
液とする。
6.2.3 試料のはかりとり量
試料のはかりとり量は,5.0 gとし,10 mgの桁まではかる。
6.2.4 操作
操作は,次による。
a) 試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次の手順による。
1) 試料をはかりとって,ビーカー(300 mL)に移し入れる。
2) 時計皿で覆い,混酸A[6.2.2 d)]30 mLを加えて分解する。激しい反応が終わったら,穏やかに加
熱して完全に分解し,引き続き加熱し液量が約25 mLとなるまで濃縮する。常温まで冷却した後,
時計皿の下面を水で洗浄して時計皿を取り除く。
3) 水約20 mL及び塩酸(1+1)20 mLを加えた後,100 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水
で標線まで薄める。ただし,この溶液中の鉛量が1 000 μg以上の場合には,鉛量が1001 000 μg
になるように100 mLの全量フラスコに一定量を分取し,分取した溶液中の塩酸量が10 mLとなる
ように塩酸(1+1)を添加した後,水で標線まで薄める。また,この溶液中の鉛量が90 mg以上の
場合には,長時間放置すると塩化鉛(II)の沈殿が生成するので,できるだけ早くこの分取操作を
行う。

――――― [JIS H 1111 pdf 6] ―――――

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b) 吸光度の測定 a) 3) で得た溶液の一部を,水を用いてゼロ点を調整した原子吸光光度計のアセチレ
ン・空気フレーム中に噴霧し,波長217.0 nm又は283.3 nmにおける吸光度を測定する。
6.2.5 空試験
試料を用いないで,試料と同じ操作を試料と並行して行い,空試験液を調製し,吸光度を測定する。
6.2.6 検量線の作成
検量線の作成は,次のいずれかによる。
a) 試料用検量線の作成 試料用検量線の作成は,次の手順による。
1) 亜鉛溶液[6.2.2 e)] 25 mLを数個の100 mLの全量フラスコにとり,塩酸(1+1)20 mLを加える。
ただし,6.2.4 a) 3)で分取操作を行った場合には,分取した溶液中に含まれる亜鉛量とほぼ同じにな
るように亜鉛溶液[6.2.2 e)]を数個の100 mLの全量フラスコにとり,塩酸(1+1)20 mLを加え
る。
2) 鉛標準液[6.2.2 f)] 050.0 mL(鉛として01 000 μg)を段階的に加え,水で標線まで薄める。
3) 溶液の一部を,水を用いてゼロ点を調整した原子吸光光度計のアセチレン・空気フレーム中に噴霧
し,波長217.0 nm又は283.3 nmにおける吸光度を試料と並行して測定し,得た吸光度と鉛量との
関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平行移動して試料用検量線とする。
b) 空試験用検量線の作成 空試験用検量線の作成は,次の手順による。
1) 鉛標準液[6.2.2 f)] 05.0 mL(鉛として0100 μg)を段階的に数個の100 mLの全量フラスコに
とり,塩酸(1+1)20 mLを加え,水で標線まで薄める。
2) 溶液の一部を,水を用いてゼロ点を調整した原子吸光光度計のアセチレン・空気フレーム中に噴霧
し,波長217.0 nm又は283.3 nmにおける吸光度を試料と並行して測定し,得た吸光度と鉛量との
関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平行移動して空試験用検量線とする。ただし,試
料溶液の吸光度と比較して空試験液の吸光度が著しく低い場合には,a)で作成した試料用検量線を
用いてもよい。
6.2.7 計算
計算は,次のいずれかによる。
a) 6.2.4 a) 3) で分取をしない場合 6.2.4 b)及び6.2.5で得た吸光度と,6.2.6で作成した検量線とから鉛
量を求め,試料中の鉛含有率を,次の式によって算出する。
A1 (A2 A3 )
Pb 100
m
ここに, Pb : 試料中の鉛含有率[%(質量分率)]
A1 : 試料溶液中の鉛検出量(g)
A2 : 空試験液中の鉛検出量(g)
A3 : 6.2.6 a) 1)でとった亜鉛溶液中に含まれる鉛の量(g)
m : 試料はかりとり量(g)
b) 6.2.4 a) 3)で分取をした場合 6.2.4 b)及び6.2.5で得た吸光度と,6.2.6で作成した検量線とから鉛量を
求め,試料中の鉛含有率を,次の式によって算出する。
A4 (A5 A6 )
Pb 100
m B
ここに, Pb : 試料中の鉛含有率[%(質量分率)]
A4 : 試料溶液中の鉛検出量(g)
A5 : 空試験液中の鉛検出量(g)
A6 : 6.2.6 a) 1)でとった亜鉛溶液中に含まれる鉛の量(g)

――――― [JIS H 1111 pdf 7] ―――――

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m : 試料はかりとり量(g)
B : 試料溶液及び空試験液の分取比

6.3 ICP発光分光分析法

6.3.1  要旨
試料を塩酸と硝酸との混酸又は硝酸と酒石酸との混酸で分解した後,溶液をICP発光分光分析装置のア
ルゴンプラズマ中に噴霧し,その発光強度を測定し,検量線から鉛量を求める。
6.3.2 試薬
試薬は,次による。
a) 塩酸
b) 塩酸(1+1)
c) 硝酸
d) 硝酸(1+1,1+3,1+100)
e) 混酸A(塩酸45,硝酸1)
f) 混酸B 酒石酸 1 gを水500 mLに溶解し,硝酸200 mLを加えた後,水で1 000 mLに薄め,混合す
る。
g) 酒石酸溶液(25 g/L)
h) 亜鉛溶液A 6.2.2 e)による。
i) 亜鉛溶液B 亜鉛[99.995 %(質量分率)以上で,鉛を含有しないもの,又は鉛含有率が低く既知の
もの]100 gに硝酸(1+1)400 mLを少量ずつ加えて分解する。常温まで冷却した後,500 mLの全量
フラスコに水を用いて移し入れ,酒石酸溶液(25 g/L)20 mLを加えた後,水を用いて標線まで薄め
る。この溶液1 mLは,亜鉛約200 mgを含む。
j) 鉛標準液A(Pb : 2 mg/mL) 鉛[99.9 %(質量分率)以上]0.200 gを硝酸(1+3)20 mLで分解し,
常温まで冷却した後,100 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄めて鉛標準液と
する。
k) 鉛標準液B(Pb : 200 μg/mL) 鉛標準液Bは,次のいずれかを用いる。
1) 市販の鉛標準液 酸濃度,安定剤の有無などが使用目的に一致した場合に用い,濃度が200 μg/mL
より濃い場合は,硝酸(1+100)で正確に薄めて鉛標準液とする。
注記 JCSSに基づく鉛標準液がある。
2) 金属を用いて調製した鉛標準液 鉛標準液Aを水で正確に10倍に薄めて鉛標準液とする。
l) 鉛標準液C(Pb : 20 μg/mL) 6.2.2 f) による。
6.3.3 試料はかりとり量
試料のはかりとり量は,5.0 gとし,10 mgの桁まではかる。
6.3.4 操作
操作は,次による。
a) 試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次のいずれかによる。
1) 塩酸と硝酸との混酸による調製 混酸Aによる調製は,次の手順による。
1.1) 6.2.4 a) 1) 及び2) の手順に従って操作する。
1.2) 水約20 mL及び塩酸(1+1)20 mLを加えた後,100 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,
水で標線まで薄める。ただし,この溶液中の鉛量が90 mg以上の場合には,鉛量が1090 mgに
なるように100 mLの全量フラスコに一定量を分取し,分取した溶液中の塩酸量が10 mLとなるよ

――――― [JIS H 1111 pdf 8] ―――――

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うに塩酸(1+1)を添加した後,標線まで薄める。長時間放置すると塩化鉛(II)の沈殿が生成す
るので,できるだけ早くこの分取操作を行う。
2) 硝酸と酒石酸との混酸による調製 混酸Bによる調製は,次の手順による。
2.1) 試料をはかりとって,ビーカー(300 mL)に移し入れる。
2.2) 時計皿で覆い,酒石酸溶液[6.3.2 g)]5 mLを加えた後,硝酸25 mLを少量ずつ加えて分解する。
2.3) 常温まで冷却した後,時計皿の下面を水で洗浄して時計皿を取り除き,100 mLの全量フラスコに
水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
b) 発光強度の測定 a) 1.2)又はa) 2.3)で得た溶液の一部を,ICP発光分光分析装置のアルゴンプラズマ中
に噴霧し,波長220.353 nm又は283.306 nmにおける発光強度を測定する。
なお,精度及び真度を確認してあれば,他の波長を用いてもよい。高次のスペクトル線が使用可能
な装置では,高次のスペクトル線を用いてもよく,また,バックグラウンド補正機構が付いている装
置では,バックグラウンド補正機構を用いてもよい。
6.3.5 空試験
試料を用いないで,試料と同じ操作を試料と並行して行い,空試験液を調製し,発光強度を測定する。
6.3.6 検量線の作成
検量線の作成は,次のいずれかによる。
a) 試料用検量線の作成 試料用検量線の作成は,次のいずれかによる。
1) 塩酸と硝酸との混酸による調製を行った場合
1.1) 亜鉛溶液A[6.3.2 h)]25 mLを数個の100 mLの全量フラスコにとり,塩酸(1+1)20 mLを加え
る。ただし,[6.3.4 a) 1.2)]で分取操作を行った場合には,分取した溶液中に含まれる亜鉛量とほ
ぼ同じになるように亜鉛溶液A[6.3.2 h)]を数個の100 mLの全量フラスコにとり,塩酸(1+1)
20 mLを加える。
1.2) 鉛標準液C[6.3.2 l)]020.0 mL(鉛として0400 μg),鉛標準液B[6.3.2 k)]2.020.0 mL(鉛
として400 μg4 mg)又は鉛標準液A[6.3.2 j)]2.045.0 mL(鉛として490 mg)を段階的に
加え,水で標線まで薄める。
1.3) 溶液の一部を,ICP発光分光分析装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,波長220.353 nm又は
283.306 nmにおける発光強度を測定する。
なお,精度及び真度を確認してあれば,他の波長を用いてもよい。高次のスペクトル線が使用
可能な装置では,高次のスペクトル線を用いてもよく,また,バックグラウンド補正機構が付い
ている装置では,バックグラウンド補正機構を用いてもよい。
2) 硝酸と酒石酸との混酸による調製を行った場合
2.1) 亜鉛溶液B[6.3.2 i)]25 mLを数個の100 mLの全量フラスコにとる。
2.2) 鉛標準液C[6.3.2 l)]020.0 mL(鉛として0400 μg),鉛標準液B[6.3.2 k)]2.020.0 mL(鉛
として400 μg4 mg)又は鉛標準液A[6.3.2 j)]2.045.0 mL(鉛として490 mg)を段階的に
加え,混酸B[6.3.2 f)]で標線まで薄める。
2.3) 溶液の一部を,ICP発光分光分析装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,波長220.353 nm又は
283.306 nmにおける発光強度を測定する。
なお,精度及び真度を確認してあれば,他の波長を用いてもよい。高次のスペクトル線が使用
可能な装置では,高次のスペクトル線を用いてもよく,また,バックグラウンド補正機構が付い
ている装置では,バックグラウンド補正機構を用いてもよい。

――――― [JIS H 1111 pdf 9] ―――――

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b) 空試験用検量線の作成 空試験用検量線の作成は,次のいずれかによる。
1) 塩酸と硝酸との混酸による調製を行った場合
1.1) 鉛標準液C[6.3.2 l)] 05.0 mL(鉛として0100 μg)を段階的に数個の100 mLの全量フラス
コにとり,塩酸(1+1)20 mLを加え,水で標線まで薄める。
1.2) 溶液の一部を,ICP発光分光分析装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,波長220.353 nm又は
283.306 nmにおける発光強度を測定する。ただし,試料溶液の発光強度と比較して空試験液の発
光強度が著しく低い場合には,6.3.6 a) 1)で作成した検量線を用いてもよい。
なお,精度及び真度を確認してあれば,他の波長を用いてもよい。高次のスペクトル線が使用
可能な装置では,高次のスペクトル線を用いてもよく,また,バックグラウンド補正機構が付い
ている装置では,バックグラウンド補正機構を用いてもよい。
2) 硝酸と酒石酸との混酸による調製を行った場合
2.1) 鉛標準液C[6.3.2 l)]05.0 mL(鉛として0100 μg)を段階的に数個の100 mLの全量フラスコ
にとり,混酸B[6.3.2 f)]で標線まで薄める。
2.2) 溶液の一部を,ICP発光分光分析装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,波長220.353 nm又は
283.306 nmにおける発光強度を測定する。ただし,試料溶液の発光強度と比較して空試験液の発
光強度が著しく低い場合には,a) 2)で作成した検量線を用いてもよい。
なお,精度及び真度を確認してあれば,他の波長を用いてもよい。高次のスペクトル線が使用
可能な装置では,高次のスペクトル線を用いてもよく,また,バックグラウンド補正機構が付い
ている装置では,バックグラウンド補正機構を用いてもよい。
6.3.7 計算
計算は,次のいずれかによる。
a) 塩酸と硝酸との混酸による調製を行った場合 6.3.4 a) 1)による調製を行った場合は,次のいずれかに
よる。
1) 6.3.4 a) 1.2)で分取をしない場合 6.3.4 b)及び6.3.5で得た発光強度と,6.3.6で作成した検量線とか
ら鉛量を求め,試料中の鉛含有率を,次の式によって算出する。
A1 (A2 A3 )
Pb ×100
m
ここに, Pb : 試料中の鉛含有率[%(質量分率)]
A1 : 試料溶液中の鉛検出量(g)
A2 : 空試験液中の鉛検出量(g)
A3 : 6.3.6 a) 1.1) でとった亜鉛溶液中に含まれる鉛の量(g)
m : 試料はかりとり量(g)
2) 6.3.4 a) 1.2)で分取をした場合 6.3.4 b)及び6.3.5で得た発光強度と,6.3.6で作成した検量線とから
鉛量を求め,試料中の鉛含有率を,次の式によって算出する。
A4 (A5 A6 )
Pb 100
m B
ここに, Pb : 試料中の鉛含有率[%(質量分率)]
A4 : 試料溶液中の鉛検出量(g)
A5 : 空試験液中の鉛検出量(g)
A6 : 6.3.6 a) 1.1) でとった亜鉛溶液中に含まれる鉛の量(g)
m : 試料はかりとり量(g)
B : 試料溶液及び空試験液の分取比

――――― [JIS H 1111 pdf 10] ―――――

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JIS H 1111:2014の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 3815-2:2005(MOD)
  • ISO 714:1975(MOD)

JIS H 1111:2014の国際規格 ICS 分類一覧

JIS H 1111:2014の関連規格と引用規格一覧