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6 試験
6.1 一般事項
試験片を採取する製品は,通常,塗装後,24 h以上室内に放置する。ただし,常温乾燥形塗料を用いた
製品は,塗装後,48 h以上放置することが望ましい。
試験を行う場所は,特に規定がない場合は,常温及び常湿1)とする。
注1) 常温とは,535 ℃の温度範囲をいい,常湿とは,4585 %の相対湿度範囲をいう。
6.2 試験片
6.2.1 試験片の採取方法
試験片は,製品の用途に応じて指定された,表面処理の品質が不可欠な有効面から採取する。
なお,製品から試験片を採取することができない場合は,製品と同一の材料2) 及び同一の複合皮膜の処
理条件3) で作製した試験片を用いる。ただし,陽極酸化皮膜厚さ試験に用いる試験片は,塗装を行う前の
試験片を用いてもよい。
注2) 製品と同一の材料とは,材料の種類・質別及び処理前の表面状態が,製品と同じであることを
いう。
3) 同一の複合皮膜の処理とは,前処理,陽極酸化皮膜の処理及び塗装の処理が,製品と同一の浴
及び同一の処理条件で,製品と同一の性能を得るように行うことをいう。
6.2.2 試験片の寸法
試験片の寸法は,長さ150 mm及び幅70 mmとする。ただし,受渡当事者間の協定によって,これ以外
の寸法を用いてもよい。
6.2.3 試験片の清浄
試験片は,水又はエタノールを含ませた柔らかい布などで軽くぬぐい,試験片表面の汚れを除去する。
ただし,エタノールで侵される塗膜には,水を用いる。
6.3 外観試験
有効面の外観試験は,通常,受渡当事者間で協定した観察距離及び角度で,照度が600 lx以上の場所に
おいて目視で行う。ただし,色むらなどの変化の状態を判断することが困難な場合には,拡散昼光4),JIS
Z 8720の5.3に規定する常用光源D65又はJIS Z 9112に規定する高演色形の蛍光ランプ(演色AAA)の光
の下で目視で行う。背景は無光沢の黒,灰色などの無彩色であることが望ましい。
注4) 拡散昼光とは,日の出3 h後から,日の入り3 h前までの日光の直射を避けた北窓からの光をい
う。
6.4 陽極酸化皮膜厚さ試験
陽極酸化皮膜厚さ試験は,次のいずれかによる。
なお,渦電流式測定法による陽極酸化皮膜厚さ試験に用いる試験片は,陽極酸化皮膜に損傷を与えない
方法で複合皮膜の塗膜を除去してもよい。
a) 顕微鏡断面測定法 JIS H 8680-1による。 製品の3か所以上から採取した試験片の陽極酸化皮膜厚
さを測定し,その平均値をJIS Z 8401によって小数点以下1位に丸めて平均皮膜厚さとする。
b) 渦電流式測定法 JIS H 8680-2による。 製品の3か所以上から採取した試験片の陽極酸化皮膜厚さ
を測定し,その平均値をJIS Z 8401によって小数点以下1位に丸めて平均皮膜厚さとする。
6.5 キャス試験
キャス試験は,JIS H 8681-2による。ただし,腐食生成物がない場合は,塩酸での洗浄は行わなくても
よい。判定に用いるレイティングナンバの決定は,附属書Aに規定するレイティングナンバ標準図表によ
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る。また,実測する場合は拡大鏡(1015倍,スケール入り)を用いて評価する。
6.6 塗膜の付着性試験
6.6.1 碁盤目試験
碁盤目試験は,塗膜にクロスカットを入れて,塗膜の付着性を調べる試験をいい,JIS K 5600-5-6によ
る。ただし,使用するセロハン粘着テープはJIS Z 1522に規定する幅12 mm以上とする。クロスカットの
試験片への切り込みは,陽極酸化皮膜に達することとする。塗膜の付着性は,塗膜のはがれで評価し,塗
膜のいずれの升目もはがれが認められないものを25/25(はがれなかった升目の数/全升目の数)とする。
6.6.2 沸騰水碁盤目試験
沸騰水碁盤目試験は,試験片を沸騰水に浸せきした後,塗膜にクロスカットを入れて,塗膜の付着性を
調べる試験をいい,その手順は,次による。
a) 深さ150 mm以上の容器に脱イオン水を深さ約80 mm以上入れ,脱イオン水を加熱して水温を95 ℃
以上になるように保ち,この中に試験片を入れ,試験片が水中に60 mm以上浸るようにする。
b) 5 h浸せきした後,試験片を取り出し,直ちに試験片表面の水分を取り除き,5 min以内に塗膜の外観
を評価する。続いて,6.6.1によって付着性を評価する。
なお,試験片の周辺部及び水面から深さ10 mmまでの部分の塗膜は,外観評価の対象としない。
6.7 塗膜の耐溶剤性試験
塗膜の耐溶剤性試験は,キシレンを浸した脱脂綿などで塗膜面をこす(擦)り,試験前後の塗膜の表面
硬さの低下によって,塗膜の耐溶剤性を調べる試験をいい,その手順は,次による。
a) IS K 5600-5-4によって塗膜の鉛筆硬さを試験する。ただし,同じ硬度の鉛筆で5回試験し,4回以上
破れなかった場合の鉛筆の硬度をその塗膜の鉛筆硬度とする。
b) IS K 8271に規定するキシレンを浸した脱脂綿などでa)の試験を行うのに十分な範囲の面積を約1秒
間に1回の速度で,30回往復して軽くこす(擦)る。
c) 30 min間放置した後,こす(擦)った部分の塗膜の表面硬さをa)によって試験し,試験前後の塗膜の
表面硬さの変化によって耐溶剤性を評価する。
注記 本試験の実施に当たっては,室内の換気を十分に行う。
6.8 耐アルカリ性試験
耐アルカリ性試験は,水酸化ナトリウム水溶液を複合皮膜表面に接触させて,複合皮膜の耐アルカリ性
を調べる試験をいい,次による。
a) 器具 水酸化ナトリウムに侵されない材質で,約30 mLの容積をもつリング。内径32 mm,高さ30 mm
のものが望ましい。
b) 試験液 水酸化ナトリウム(JIS K 8576)を蒸留水又は脱イオン水に溶解し,その濃度を5 g/Lとする。
c) 手順 手順は,次による。
1) リングを,ワセリン,パラフィンなどで試験片の有効面上に密着させ,更に外周をシールする。
2) 20±2 ℃の試験液をリングの高さの約1/2まで注入し,ガラス板又は合成樹脂板で覆い,20±2 ℃
に保持する。
3) 表2に規定する試験時間保持した後,試験液及びリングを取り除いて試験片を水洗し,室内に1 h
放置する。
4) リングと同心円になるように直径30 mmの円を試験片上に描き,円の内側に発生した孔食及び/又
はふくれの発生程度を,附属書Bに規定するレイティングナンバ標準図表と対比して評価する。た
だし,実測する場合は拡大鏡(倍率1015倍,スケール入り)を用いて評価する。
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6.9 複合耐食性試験
複合耐食性試験は,紫外線蛍光ランプ式促進耐候性試験を行った後,キャス試験を行い,外観及び腐食
の発生程度を附属書Aに規定するレイティングナンバ標準図表によって評価する。ただし,実測する場合
は拡大鏡(倍率1015倍,スケール入り)を用いて評価する。それぞれの試験条件は,次による。
なお,この試験は,種類Cには,適用しない。
a) 紫外線蛍光ランプ式促進耐候性試験は,JIS K 5600-7-8によって,表3に規定する条件で行い,その
試験時間は,表2による。この場合, 紫外線蛍光ランプ式促進耐候性試験は,紫外線蛍光ランプの交
換などのとき以外は試験を中断しないことが望ましい。交換,清掃などを行う場合は,できるだけ短
時間で行う。
b) キャス試験は,6.5によって行い,その試験時間は,表2による。
表3−紫外線蛍光ランプ式促進耐候性試験の試験条件
項目 条件
ランプ JIS K 5600-7-8 タイプ1 [UVB (313) ]
放射照度 30 W/m2 (270700 nm)
照射(乾燥)時間 4h
暗黒(水凝縮)時間 4h
照射(乾燥)中のブラックパネル温度 60±3 ℃
暗黒(水凝縮)中の槽内温度 50±3 ℃
6.10 促進耐候性試験
促進耐候性試験は,次のいずれかによる。
a) キセノンランプ式促進耐候性試験 キセノンランプ式促進耐候性試験は,次による。
1) 試験は,JIS K 5600-7-7によって行い,その試験時間は,表2による。ただし,放射光源及びフィ
ルタシステム,サイクル,放射照度,ブラックスタンダード温度(乾燥時)又はブラックパネル温
度(乾燥時),並びに乾燥期間中の相対湿度の試験条件は,表4による。
2) キセノンアークランプの交換,フィルタの交換,清掃のときなどを除き,試験を中断しないことが
望ましい。交換,清掃などを行う場合は,できるだけ短時間で行う。
3) 噴霧に使用する水5) は,試験片に付着物が生じない水で,電気伝導率が2 μS/cm以下の蒸留水又は
脱イオン水とする。
4) 試験が終了した後,試験片の外観を評価する。次に,試験片表面を軽く脱イオン水で水洗し,室内
に1 h以上放置し,乾いた後,鏡面光沢度を測定する。また,素材の影響によって光の反射に方向
性があるときは,同じ測定箇所について互いに直角の方向から鏡面光沢度を測定し,それらの値を
平均して,その測定箇所の鏡面光沢度とする。
5) 試験結果の表し方は,JIS Z 8741に規定する方法3(60度鏡面光沢測定方法)によって,試験前及
び試験後の鏡面光沢度を測定し,次の式によって,光沢保持率を算出する。
G2s ( 60 )
G 100
s1 ( 60 )
ここに, G : 光沢保持率(%)
Gs1 (60 ) : 試験前の60度鏡面光沢度
Gs2 (60 ) : 試験後の60度鏡面光沢度
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注5) この試験では,噴霧に使用する水の純度を適切に管理することが非常に重要である。噴霧水中
の不純物,特にけい酸を適切な方法で除去しない場合には,自然界での暴露で発生しないはん
点又は汚れが試験片上に発生する。
表4−キセノンランプ式促進耐候性試験の試験条件
項目 条件
放射光源及びフィルタシステム JIS K 5600-7-7の方法1
サイクル 102 min放射
18 min放射及び水の噴霧
放射照度 60 W/m2 (300400 nm)
ブラックスタンダード温度(乾燥時) 65±2 ℃[ブラックパネル温度(乾燥時)の場合は,
63±2 ℃]
乾燥期間中の相対湿度 4060 %
b) サンシャインカーボンアーク灯式促進耐候性試験 サンシャインカーボンアーク灯式促進耐候性試験
は,次による。
1) 試験は,JIS B 7753に規定するサンシャインカーボンアーク灯式の耐候性試験機を用いて,表5に
規定する条件で行い,その試験時間は,表2による。
2) カーボンの交換,フィルタの交換,清掃のときなどを除き,試験を中断しないことが望ましい。交
換,清掃などを行う場合は,できるだけ短時間で行う。
3) ) 3) による。
4) ) 4) による。
5) ) 5) による。
表5−サンシャインカーボンアーク灯式促進耐候性試験の試験条件
項目 条件
範囲 4852 V
放電電圧
中心値 50±1 V
範囲 5862 A
放電電流
中心値 60±1.2 A
フィルタは,JIS B 7753に規定するガラス製フィルタの種類A
フィルタ
のものを使用し,2 000 hで交換する。
ブラックパネル温度計の示す温度 63±3 ℃
水の噴霧時間 48 min放射後に,12 min放射及び水の噴霧
噴霧圧 0.080.12 MPa
7 検査
検査は,次による。
a) 形式検査6) 項目
1) 外観 5.1の規定に適合しなければならない。
2) 陽極酸化皮膜厚さ 5.2の規定に適合しなければならない。
3) キャス耐食性 5.2の規定に適合しなければならない。
4) 塗膜の付着性 5.2の規定に適合しなければならない。
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5) 塗膜の耐溶剤性 5.2の規定に適合しなければならない。
6) 耐アルカリ性 5.2の規定に適合しなければならない。
7) 複合耐食性 5.2の規定に適合しなければならない。
8) 促進耐候性 5.2の規定に適合しなければならない。
なお,形式検査の抜取検査方式は,製造条件などの生産にかかわる基本的な条件を考慮し,受渡当
事者間の協定による。
b) 受渡検査7) 項目
1) 外観 5.1の規定に適合しなければならない。
2) 陽極酸化皮膜厚さ 5.2の規定に適合しなければならない。
3) キャス耐食性 5.2の規定に適合しなければならない。
4) 塗膜の付着性 5.2の規定に適合しなければならない。
5) 塗膜の耐溶剤性 5.2の規定に適合しなければならない。
6) 耐アルカリ性 5.2の規定に適合しなければならない。
なお,受渡検査の抜取検査方式は,生産設備の規模,製品の種類・大きさ・数量などを考慮し,受
渡当事者間の協定による。
注6) 形式検査とは,設計で示したすべての性能を満足するかどうかを判定するための検査をいう。
7) 受渡検査とは,既に形式検査に合格したものと同じ設計・製造による製品の受渡しをする場
合,必要と認める性能が満足するものであるかを判定するための検査をいう。
8 表示
複合皮膜の製品には,包装,送り状などに,次の事項を表示する。
a) 規格番号
b) 複合皮膜の種類
c) 製造番号又はロット番号
d) 加工業者名又はその略号
9 報告
注文者の要求がある場合,製造業者は,規定又は指定した試験の成績書,選択した試験方法などを記載
した報告書を提出する。
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JIS H 8602:2010の国際規格 ICS 分類一覧
- 77 : 金属工学 > 77.120 : 非鉄金属 > 77.120.10 : アルミニウム及びアルミニウム合金
- 25 : 生産工学 > 25.220 : 表面処理及び被覆加工 > 25.220.20 : 表面処理
JIS H 8602:2010の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB7753:2007
- サンシャインカーボンアーク灯式の耐光性試験機及び耐候性試験機
- JISH0201:1998
- アルミニウム表面処理用語
- JISH8680-1:1998
- アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜厚さ試験方法―第1部:顕微鏡断面測定法
- JISH8680-2:1998
- アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜厚さ試験方法―第2部:渦電流式測定法
- JISH8681-2:1999
- アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の耐食性試験方法―第2部:キャス試験
- JISK5600-5-4:1999
- 塗料一般試験方法―第5部:塗膜の機械的性質―第4節:引っかき硬度(鉛筆法)
- JISK5600-5-6:1999
- 塗料一般試験方法―第5部:塗膜の機械的性質―第6節:付着性(クロスカット法)
- JISK5600-7-7:2008
- 塗料一般試験方法―第7部:塗膜の長期耐久性―第7節:促進耐候性及び促進耐光性(キセノンランプ法)
- JISK5600-7-8:1999
- 塗料一般試験方法―第7部:塗膜の長期耐久性―第8節:促進耐候性(紫外線蛍光ランプ法)
- JISK8271:2007
- キシレン(試薬)
- JISK8576:2019
- 水酸化ナトリウム(試薬)
- JISZ1522:2009
- セロハン粘着テープ
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方
- JISZ8720:2012
- 測色用の標準イルミナント(標準の光)及び標準光源
- JISZ8741:1997
- 鏡面光沢度―測定方法
- JISZ9112:2019
- 蛍光ランプ・LEDの光源色及び演色性による区分