JIS H 8711:2000 アルミニウム合金の応力腐食割れ試験方法 | ページ 2

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H 8711 : 2000 (ISO 9591 : 1992)
8.7 新たに作った試験液を用いる前に,液温が室温の±3℃内に入るようにする。その後の液温の制御は
必要ない。別の方法として,室温を制御し,試験液が周囲の温度と平衡する温度に保たれるようにしても
よい。
8.8 試験液の体積と浸せきする試験片の露出表面積(アルミニウム合金製の無被覆取付けジグの表面積
を含む。)の比の最小値は,交互浸せきの場合35ml/cm2,連続浸せきの塩化ナトリウムとクロム酸ナトリ
ウムの混合試験液の場合は10ml/cm2とする。
8.9 試験液の蒸発損失を補うため,8.2を満たす純度の水を試験液に毎日加えることが望ましい。
8.10 新しい試験液は一週間ごとに準備することが望ましい。同時に,試験装置の試験液に接触する部位
は流水で清浄にすることが望ましい。
9. 負荷応力 負荷応力は試験片の弾性域内であることが望ましい。弾性応力はISO 7539-2からISO
7539-5までにおいて与えられている式によって求める(この規格の“附属書25”を参照)。
10. 試験手順
10.1 試験片は応力負荷後,直ちに試験環境にさらされることが望ましい。
10.2 交互浸せき試験においては,試験片は1時間のうちの10分間は塩化ナトリウム試験液中に浸せきさ
れ,その後,試験液から取り出し,室内又は大気中に50分間は保持して乾燥する。
室内はゆっくりした換気が望ましく,換気の悪い状態は避けるべきである。
多数の試験片を同じように乾かす条件を維持することが難しいので,強制乾燥させることは推奨できな
い。
所定の暴露期間の間は通常,中断することなしに試験を行う。
10.3 試験の継続時間は合金の組成と熱処理,試験片の寸法,試験環境及び応力負荷方式に依存する。通
常,試験継続時間は10日から90日の間である。
試験の目的が,生産ロットの品質管理のため,又は合金の標準規格に定められた特性に入るかどうかを
決めるための場合,試験継続時間は,対応する仕様による要求に応じて決めるか,又は受渡当事者間の協
定に基づいて決める。
10.4 異なる合金成分の試験片を,同時に一つの試験液中で試験を行ってはならない。
試験結果の再現性を保つために,塩水中における陽極電位が大きく異なる試験片は,同一の試験液で試
験を行ってはならない。例えば,銅を含まないアルミニウム合金の試験片は,銅を約0.5%以上含む合金の
試験片と一緒に浸せきしないほうがよい。
10.5 試験後,一定のひずみで破断しなかった試験片は,荷重を除去し水洗後,室温で60から70%の濃硝
酸で洗い腐食生成物を除去する。その後,詳細な検査を行う前に水洗し乾燥することが望ましい。
11. 試験結果の評価
11.1 定ひずみ条件下で試験液に浸せきした試験片で,洗浄後にかなりの腐食が起こっていたものは,金
属組織検査が必要となる場合がある。定荷重下で試験した試験片については,10日間以上の経過後に破断
した場合について,破断が応力腐食によるか,又は他の形態の腐食によるものかを調べるために,金属組
織検査を行ってもよい。粒内のピッティングによる腐食又はピッティングと延性破断を示しただけの試験
片は,応力腐食割れによる破断とみなしてはならない。

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H 8711 : 2000 (ISO 9591 : 1992)
11.2 応力腐食,粒界腐食,粒内ピッティングを区別するために,試験片断面の光学顕微鏡による組織検
査を行ってもよい。粒内のピッティングよりも深い粒界割れを示す試験片は,応力腐食割れを起こしたも
のとみなす。粒界腐食が粒内ピッティングより深くない場合,応力腐食割れによる破断とみなしてはなら
ない。
定荷重下で試験した試験片に対しては,破面の走査電子顕微鏡 (SEM) による検査により,応力腐食に
よる脆性的な粒界破断と機械的な過荷重による延性的な粒内破断とを区別することができる。定荷重下で
試験した試験片においては,破断が応力腐食に起因する場合,両方の種類の破断が起こる。
12. 試験の報告 試験の報告には以下に挙げる情報を含むことが必要である。
a) 合金の化学組成又は表示記号。
b) 試験材料の形状,調質,断面の厚さ。
c) 試験片のサイズと採取位置。
d) 試験片の種類,寸法,結晶粒の伸長方向及び同一条件の試験数。
e) 応力レベルと負荷方式。
f) 試験片の表面性状。
g) 試験継続時間と個々の試験片の破断時間。
h) 試験方法と腐食環境条件。
i) すべての金属組織検査の結果。

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H 8711 : 2000 (ISO 9591 : 1992)
附属書A(規定) 結晶粒の方向性試験
A.1 マクロエッチング
機械加工面にエッチングを施す。
室温で1分間,次の組成の試験液に浸す。
a) 1容積の塩酸,38mass%,密度1.19g/ml
b) 1容積の硝酸,60mass%,密度1.38g/ml
c) 3容積のふっ化水素酸(40mass%, 密度1.14g/ml)を水で薄めて2%vol%としたものとする。
エッチング後,肉眼又は低倍率下で視覚による検査を行う。
A.2 テトラフルオロほう酸(ほうふっ化水素酸)エッチング
注意深く研磨した表面,望ましくは電解研磨の後,陽極酸化エッチングを施す。
a) 陽極酸化処理条件 : 20mA/cm2,のテトラフルオロほう酸水試験 (2.5vol%) 液中,1又は2分間,室温。
エッチング後,偏光顕微鏡を用いて検査を行う。
図1 試験片採取方向

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H 8711 : 2000 (ISO 9591 : 1992)
図1 試験片採取方向(続き)

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H 8711 : 2000 (ISO 9591 : 1992)
附属書1(参考)
金属及び合金の腐食−応力腐食割れ試験−
第1部 : 試験手順の一般的解説
この附属書(参考)は,本体及び附属書(規定)に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではな
い。この附属書(参考)は,この規格の利用者の便宜を図るため,この規格に引用されているISO 7539-1 :
1987 (E) を翻訳したものである。
0. 序文 この第1部では,金属及び合金の応力腐食抵抗性を評価するために発達してきた様々な試験手
順の選定,利用及びその意義に関する一般的な解説を行っている。それぞれの試験手順は,次の各部に記
述している。
第2部 : 板曲げ試験片の作製と試験
第3部 : U字曲げ試験片の作製と試験
第4部 : 単軸引張試験片の作製と試験
第5部 : C−リング試験片の作製と試験
第6部 : 予き裂入り試験片の作製と試験
第7部 : 低ひずみ速度試験
1. 適用範囲及び適用分野 この部では,金属の応力腐食感受性を評価するための試験方法を選定し,実
施するための一般的な考え方を記述している。
注意 個別の試験方法については,ここでは詳細に扱っていない。これらはISO 7539の他の部に記述
されている。
2. 定義
2.1 応力腐食 腐食環境と静的な引張応力とが同時に作用することで生じる金属への相乗的な浸食で,
通常は割れの形成に至る。この作用は,しばしば金属構造物の耐荷重特性を著しく低下させる。
注意 応力腐食割れ(3.1)参照。
2.2 応力腐食に対する下限界応力 ある試験条件下において,それ以上では応力腐食き裂が発生し成長
する応力。
2.3 応力腐食に対する下限界応力拡大係数 塑性変形が強く拘束された状態,すなわち,平面ひずみが
支配的な状態において,それ以上では応力腐食き裂が発生する応力拡大係数。
2.4 試験環境 実際の使用環境又は実験室的に作られた環境であって,試験片はその環境にさらされ,
一定状態に保持されるか,又は決められた条件で変化させられる。応力腐食の場合,その環境はしばしば
非常に特定なものである(6.参照)。
2.5 試験の開始 応力が負荷された時間,又は環境中での暴露を開始した時間のうち,後のほうの時間
を試験開始時間とする。
2.6 き裂発生時間 試験開始から,採用された方法によってき裂が検知されるまでの期間。

――――― [JIS H 8711 pdf 10] ―――――

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  • ISO 9591:1992(MOD)

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