JIS K 0115:2020 吸光光度分析通則

JIS K 0115:2020 規格概要

この規格 K0115は、分光光度計又は光電光度計を用い,波長範囲として200 nm付近~1 100 nm付近の,物質による光の透過,吸収又は反射を測定し,定量を行う場合の通則について規定。

JISK0115 規格全文情報

規格番号
JIS K0115 
規格名称
吸光光度分析通則
規格名称英語訳
General rules for molecular absorptiometric analysis
制定年月日
1964年11月1日
最新改正日
2020年8月20日
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‐ 
対応国際規格

ISO

国際規格分類

ICS

71.040.50
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
‐ 
改訂:履歴
1964-11-01 制定日, 1968-04-01 確認日, 1971-03-01 確認日, 1973-11-01 改正日, 1978-04-01 確認日, 1979-03-01 改正日, 1983-12-01 改正日, 1989-04-01 確認日, 1992-02-01 改正日, 1997-08-20 確認日, 2002-09-20 確認日, 2004-03-20 改正日, 2008-10-01 確認日, 2013-10-21 確認日, 2018-10-22 確認日, 2020-08-20 改正
ページ
JIS K 0115:2020 PDF [31]
                                                                                   K 0115 : 2020

pdf 目 次

ページ

  •  1 適用範囲・・・・[1]
  •  2 引用規格・・・・[1]
  •  3 用語及び定義・・・・[1]
  •  4 装置・・・・[3]
  •  4.1 一般事項・・・・[3]
  •  4.2 装置の構成・・・・[3]
  •  4.3 装置の性能表示・・・・[7]
  •  4.4 附属装置・・・・[8]
  •  4.5 付加機能・・・・[11]
  •  5 操作方法・・・・[12]
  •  5.1 装置の設置条件・・・・[12]
  •  5.2 波長目盛及び吸光度目盛の校正・・・・[12]
  •  5.3 測定試料の調製・・・・[13]
  •  5.4 装置操作条件の設定・・・・[13]
  •  5.5 測定準備・・・・[15]
  •  6 特定波長における吸収の測定・・・・[16]
  •  6.1 複光束方式における測定・・・・[16]
  •  6.2 単光束方式における測定・・・・[16]
  •  6.3 セルブランク値の測定・・・・[16]
  •  7 特定波長範囲における吸収曲線の測定・・・・[17]
  •  7.1 複光束方式における測定・・・・[17]
  •  7.2 単光束方式における測定・・・・[17]
  •  7.3 セルブランク値の測定・・・・[17]
  •  8 定量・・・・[17]
  •  8.1 一般事項・・・・[17]
  •  8.2 前処理・・・・[17]
  •  8.3 吸光度及び濃度・・・・[18]
  •  8.4 定量法・・・・[18]
  •  8.5 定量値の表し方・・・・[20]
  •  9 データの質の管理(精度管理)・・・・[20]
  •  9.1 一般事項・・・・[20]
  •  9.2 計量トレーサビリティの確保・・・・[20]
  •  9.3 分析値の信頼性の確保・・・・[21]
  •  9.4 データの質の管理のための測定・・・・[21]
  •  9.5 分析方法の妥当性確認の実施・・・・[21]

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――――― [JIS K 0115 pdf 1] ―――――

           K 0115 : 2020

pdf 目次

ページ

  •  9.6 定期的な装置性能の点検・・・・[21]
  •  9.7 作業手順書の作成・・・・[21]
  •  10 安全・・・・[21]
  •  11 測定結果の記録・・・・[22]
  •  12 個別規格で吸光光度分析を分析法として取り入れる際の記載事項・・・・[22]
  •  附属書A(参考)不確かさ評価・・・・[23]

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――――― [JIS K 0115 pdf 2] ―――――

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まえがき

  この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人
日本分析機器工業会(JAIMA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本
産業規格を改正すべきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本
産業規格である。これによって,JIS K 0115:2004は改正され,この規格に置き換えられた。
  この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
  この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。

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――――― [JIS K 0115 pdf 3] ―――――

                                      日本産業規格                            JIS
                                                                              K 0115 : 2020

吸光光度分析通則

General rules for molecular absorptiometric analysis

1 適用範囲

 この規格は,分光光度計又は光電光度計を用い,波長範囲として200 nm付近1 100 nm付近の,物質
による光の透過,吸収又は反射を測定し,定量を行う場合の通則について規定する。ただし,原子吸光光
度計,近赤外分光光度計,赤外分光光度計及びネフェロメーターを用いる方法には適用しない。

2 引用規格

  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
    JIS K 0050 化学分析方法通則
    JIS K 0211 分析化学用語(基礎部門)
    JIS K 0212 分析化学用語(光学部門)
    JIS K 0215 分析化学用語(分析機器部門)
    JIS R 3505 ガラス製体積計

3 用語及び定義

  この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 0211,JIS K 0212及びJIS K 0215によるほか,次による。
3.1
吸光度(absorbance)
  試料を透過した光の強度と透過前の光の強度との比を常用対数で表した数値。
3.2
透過率(transmittance)
  光が物質を透過する割合を,透過後の光の強度と透過前の光の強度との比で表したもの。
3.3
透過パーセント(percent transmission)
  透過率を百分率で示した値。
3.4
モル吸光係数(molar absorption coefficient)
  特定試料の吸光度を,分析種の濃度1 mol/Lで,光路長1 cmのセルを用いた場合に換算した係数。
3.5
正反射(specular reflection,regular reflection)
  鏡面のように,光学的反射の法則に従う反射。

――――― [JIS K 0115 pdf 4] ―――――

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K 0115 : 2020
3.6
拡散反射(diffuse reflection)
  光が,光学的反射の法則と無関係に,多くの方向に拡散する反射。
3.7
反射パーセント(percent reflection)
  光が物質の表面で反射される割合で,基準となる物質からの反射光の強度と対象物質の表面からの強度
との比を百分率で表したもの。
3.8
分光器(spectrometer)
  一つの光源からの光を分散させて一つの焦点面上に波長順にスリット像を結像させ,その結像面に光検
出器を装備した機器。
3.9
モノクロメーター(monochromator)
  特定波長の光を取り出す機器。
3.10
シングルモノクロメーター(single monochromator)
  一つの回折格子,プリズムなど,単一の分散素子を用いたモノクロメーター。
3.11
ダブルモノクロメーター(double monochromator)
  通常,二つのシングルモノクロメーターを光学的に直列に結んだモノクロメーター。
3.12
単光束方式(single beam)
  分光光度計又は光電光度計において光源から検出部までの間で,光路が分岐していない方式。
3.13
複光束方式(double beam)
  光源からの光を試料側と対照側とに分岐させる光学系の1方式。
3.14
光学フィルター(optical filter)
  特定の波長域の光を通過又は阻止するために用いる光学素子の総称。
3.15
ゼラチンフィルター(gelatin filter)
  着色したゼラチン膜をガラス板などで挟み,特定の波長域の光を取り出せるようにした光学フィルター。
3.16
干渉フィルター(interference filter)
  薄膜又はその多重層の光の干渉作用を利用し,必要とする波長の光を取り出せるようにした光学フィル
ター。
3.17
色ガラスフィルター(color optical filter)
  着色したガラスによって,特定の波長域の光を取り出せるようにした光学フィルター。

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                                                                                             3
                                                                                   K 0115 : 2020
3.18
吸収セル(absorption cell)
  溶液,溶媒などによる光の吸収を測定するために,それらを入れる容器。
3.19
試料セル(sample cell)
  試料を入れる吸収セル。
3.20
対照セル(reference cell)
  溶媒又は対照溶液を入れる吸収セル。
3.21
光度計(photometer)
  光の強度を測定する装置。
3.22
光源(light source)
  光分析機器において,光波(光量子)を発生·放射させる部分。
3.23
分解(resolution)
  相近接した2本のスペクトル線を分離できる分光器の能力。
3.24
分散(dispersion)
  種々の波長成分を含む光を,プリズム及び/又は回折格子を用いて波長成分ごとの光に分けること。
3.25
迷光(stray light)
  モノクロメーターで分散され,取り出された光の中で,設定波長の光以外の光。
3.26
分析種(analyte)
  測定試料又は試料溶液中の被試験成分。
3.27
計量トレーサビリティ(metrological traceability)
  個々の校正が測定不確かさに寄与する,文書化された切れ目のない校正の連鎖を通じて,測定結果を計
量参照に関連付けることができる測定結果の性質。

4 装置

4.1 一般事項

  一般に,吸光光度法に用いる光度計には,波長選択部にモノクロメーターを用いる分光光度計と光学フ
ィルターを用いる光電光度計とがある。

4.2 装置の構成

4.2.1 一般
  一般に,光度計は,光源部,波長選択部,試料部,測光部,信号処理部,データ処理部,操作部及び表
示·記録·出力部で構成する。

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K 0115 : 2020
  波長選択部を通った光が試料へ入射する前波長選択方式,及び光源からの光が試料を通り波長選択部に
入射する後波長選択方式がある。前波長選択方式及び後波長選択方式の光度計の構成例を,図1及び図2
にそれぞれ示す。
  検出方法には,単一波長における光を検出するもの,及び複数の波長における光を同時に検出するもの
がある。
  測光方式には,複光束方式及び単光束方式がある。
                      波長選択部
     光源部                             試料部      検出器       増幅器       信号処理部
                  (モノクロメーター
                        又は
                                                              測光部
                   光学フィルター)
                                                                                 データ処理部
                                         操作部
                                                                           表示·記録·出力部
                       図1−光度計の構成例(波長選択した光を試料に照射)
                                  波長選択部
                                                      検出器      増幅器       信号処理部
                              (モノクロメーター
    光源部      試料部            又は
                                                             測光部
                               光学フィルター)
                                                                                データ処理部
                                   操作部
                                                                           表示·記録·出力部
                       図2−光度計の構成例(試料に照射後の光を波長選択)
4.2.2 分光光度計の装置構成
4.2.2.1 光源部
  光源部は,次による。
a) 光源用放射体 光源用放射体は,次のいずれかによる。
  1) タングステンランプ 320 nm以上の長波長域で用いる。点灯を続けるとフィラメントが蒸発して次
      第に細くなり,蒸発したタングステンが球の内面に付着して黒化し,光が遮断され,放射が徐々に
      減少し最終的に使用できなくなる。
  2) ハロゲンランプ 320 nm以上の長波長域で用いる。ガス入り電球に微量のハロゲンを添加して封入
      すると,電球内の低温部ではタングステンと化合して透明になり,高温部では,分解してタングス
      テンを生成する。このため,黒化を防ぎ,また,電球を小さくすることができる。さらに,寿命ま
      での間の放射の減少率が低いという特長がある。
  3) 重水素放電管 160 nm400 nmの波長域で用いる。重水素を0.3 kPa0.5 kPa程度に充した放電

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                                                                                             5
                                                                                   K 0115 : 2020
      管。
  4) キセノンランプ 300 nm800 nmの波長域で用いる。主としてアーク放電によるキセノンガスの励
      起によって発光する放電ランプ。
  5) 発光ダイオード(light emitting diode,LED) 白色LED及び単色LED。白色LEDは,波長帯域幅
      をもつ光源として用いる。波長の異なる数種類の単色LEDを組み合わせて光源として用いることも
      ある。
  6) その他の光源 レーザー励起光源,有機EL(organic electro-luminescence,OEL,organic light emitting
      diode,OLED)などの波長帯域幅をもつ光源。
        なお,分光光度計において,重水素放電管又はキセノンランプが光源用放射体の場合,輝線は,
      波長校正に用いてもよい。
b) 点灯用電源 光源を点灯させ,その光源放射を一定又は一定周期に保つ機能をもつ。
c) 集光系 集光ミラー,集光レンズなどで構成する。
d) 導光系 リレーレンズ,リレーミラー,導光板,導波路,光ファイバーなどで構成する。
4.2.2.2 波長選択部
  一般に,分光光度計においては,一つ以上のモノクロメーターと複数の光学フィルターとを組み合わせ
て構成する。モノクロメーターは,光源から放射される連続光の中から特定の波長の光だけを取り出す部
分で,光の分散にはプリズム又は回折格子の光分散素子が使用される。また,広範囲の波長域をカバーす
る装置では,複数の光分散素子を備えるものもある。迷光を減少させる目的でモノクロメーターを2個直
列に配置したダブルモノクロメーター,2波長を測光する目的でモノクロメーターを2個並列に配置した
二波長分光光度計などがある。
4.2.2.3 試料部
  試料部は,次による。
a) 一般 複光束方式の場合には,測定試料及び対照試料を,単光束方式の場合には,そのいずれかを光
    路中に固定する機能をもち,吸収セル,吸収セルホルダーなどで構成する。複光束方式では,光路を
    分けるビームスプリッターなどを配置する場合がある。
b) 吸収セル 気体,液体などの測定試料の光路長を一定に保つためのもので,測定波長範囲内で高い透
    過性をもち,測定試料に侵されない材質からなるもの。吸収セルには,角形セル,円筒セル,ミクロ
    セル,フローセルなどがある。角形セルは,キュベットともいう。通常,光路長10 mmの角形セルを
    用いる。吸光度が小さい試料では,光路長が大きい長光路セルが有効である。気体試料などの揮発性
    の試料では,栓付きのセルを用いる。試料量が少ないときには,ミクロセルを用いるが,セルの有効
    な光路幅が実際の光束幅よりも小さい場合には,セルの前方に余剰の光束を遮断するマスクを入れる。
    試料を流しながら濃度変化を測定する分析機器などには,フローセルを用いる。
c) 吸収セルホルダー 光路中に置かれた吸収セルを固定するもので,測定試料の光路長を一定に保つ構
    造をもつ。複数の吸収セルが設置でき,それらを切り換える機構をもつものもある。
4.2.2.4 測光部
  測光部は,次による。
a) 構成 検出器及び増幅器で構成する。複光束方式では,光路を切り換える機構をもつものがある。
b) 検出器 入射光の光強度をその強度に比例した電気信号に変換する光電変換器で,光電管,光電子増
    倍管,フォトダイオード,光電池,光伝導セルなどがある。分光光度計では,複数の波長における光
    を同時に検出する検出器としてアレイ形検出器,二次元撮像素子などを備えるものもある。また,広

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K 0115 : 2020
    範囲の波長域をカバーする分光光度計では,感度波長帯域の異なる複数の検出器を備えるものもある。
    これらの検出器の詳細について,次に示す。
  1) 光電管 光を受けて電子を放出する陰極と電子を受ける陽極とをガラス管内に封入した二極管。受
      光量に比例した光電流が得られ,光電面の種類及び窓材によって波長感度特性が異なる。
  2) 光電子増倍管 光電管の陰極と陽極との間に電子を増幅させる働きをもつダイノードを付け,光電
      面(陰極)から放出された光電子を数百万倍に増幅するもの。ダイノードに印加する電圧を制御す
      ることによって大幅に増幅率を可変でき,微弱な光も検知できる。
        注記 光電面の不均一性によって波長感度特性が変化する,及び光電面から出た光電子のダイノ
              ードへの入射効率が光電面の位置によって変化することから,屈折率の高い試料,偏光性
              の試料の測定には注意が必要である。
  3) フォトダイオード 光が当たると起電力を発生する光電効果を利用した検出器。シリコン半導体を
      用いたシリコンフォトダイオードが広く普及している。
  4) 光電池 セレン又は酸化銅(II)のような金属被膜で半導体を被覆したフォトダイオード。
  5) 光伝導セル 光が当たると抵抗値が変化する現象を利用した光検知器。硫化カドミウム,硫化鉛な
      どを用い,近赤外域で感度が高い点が特長である。
  6) アレイ形検出器 フォトダイオード又は電荷結合素子(charge coupled device,CCD)を波長分散方
      向にアレイ状に配置した検出器。
  7) 二次元撮像素子 フォトダイオード又はCCDを二次元に配置した検出器。
c) 増幅器 検出器からの電気信号を,以降の信号処理部において処理しやすい大きさに増幅するもの。
    電流出力を電圧に変換するもの,変化量を増幅するロックインアンプなどもある。
4.2.2.5 信号処理部
  信号処理の方法には,アナログ処理とデジタル変換後に数値演算などを行うデジタル処理とがある。測
光部で得られた信号は,アナログ信号処理によって必要な信号を分離し,アナログ信号からデータ処理部
で処理可能なデジタル信号に変換する。測光部からの信号には,検出器由来の暗電流などによる増幅器の
オフセット電流が含まれる。光を完全に遮断したときに,信号がゼロになるように合わせる機能(オフセ
ット調整機能)をもつ。また,対照セルを通過した信号が100 %になるように合わせる機能(ゲイン調整
機能)をもつ場合もある。信号処理には,ノイズ低減処理,平滑化処理なども含む。
4.2.2.6 データ処理部
  データ処理部は,次による。
a) 構成 データ処理部では,データ変換などを行う。分光光度計においては,スペクトル解析などを含
    む。
b) データ変換 透過パーセント,反射パーセント,吸光度変換,濃度変換,クベルカ−ムンク変換,微
    分変換などがある。その他の機能として検量線作成,統計演算などの処理がある。
c) スペクトル解析 スペクトル四則計算,平滑化処理,微分処理,ベースライン補正,検量線作成,ピ
    ーク波長検出,スペクトルデータ検索などの機能がある。その他,多変量解析,統計処理などの演算
    機能をもつものもある。
4.2.2.7 操作部
  光度計を操作し,データ処理部で行う処理の種類,表示·記録·出力部で扱うデータの種類などを決定
する。

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                                                                                   K 0115 : 2020
4.2.2.8 表示·記録·出力部
  表示·記録·出力部は,ディスプレイなどの表示器,データを記録及び保存する記録媒体,データを帳
票などに印刷するプリンターなどで構成する。測定波長1),透過パーセント,反射パーセント,吸光度,
濃度などのデータを表示器で表示し,必要に応じて記録媒体に保存し,プリンターなどに帳票出力する。
分光光度計では,波長1)と透過パーセント,反射パーセント,吸光度などとの関係図(分光データ)など
を表示器で表示し,必要に応じて記録媒体に保存,プリンターに帳票出力する。また,外部出力機能をも
つものもある。
    注1) 波長(nm)の代わりに,波数(cm−1),エネルギー(eV),周波数(Hz)などを用いてもよい。
4.2.3 光電光度計の装置構成
4.2.3.1 光源部
  光源部は,次による。
a) 光源用放射体 光電光度計の光源用放射体は,4.2.2.1 a)によるほか,次による。
  1) 単色LED 単色LEDは,特定波長域の光源として用いる。
  2) その他の単波長光源 レーザーなどの単波長光源を用いる。
b) 点灯用電源 光電光度計の点灯用電源は,4.2.2.1 b)による。
c) 集光系 光電光度計の集光系は,4.2.2.1 c)による。
d) 導光系 光電光度計の導光系は,4.2.2.1 d)による。
4.2.3.2 波長選択部
  光電光度計の波長選択部は,色ガラスフィルター,ゼラチンフィルター,干渉フィルターなどの光学フ
ィルター又はこれらを組み合わせて構成する。
  なお,単色LED,レーザーなどの単色性の光源を用いるものでは,波長選択部を省くこともある。
4.2.3.3 試料部
  光電光度計の試料部は,4.2.2.3による。
4.2.3.4 測光部
  光電光度計の測光部は,4.2.2.4による。
  一般に,光電光度計の検出器は,単一のものを用いるが,複数の検出器を備えるものもある。
4.2.3.5 信号処理部
  光電光度計の信号処理部は,4.2.2.5による。
4.2.3.6 データ処理部
  光電光度計のデータ処理部は,4.2.2.6 b)のデータ変換による。
4.2.3.7 操作部
  光電光度計の操作部は,4.2.2.7による。
4.2.3.8 表示·記録·出力部
  光電光度計の表示·記録·出力部は,4.2.2.8による。ただし,光電光度計では,分光データは取り扱わ
ない。

4.3 装置の性能表示

4.3.1 分光光度計の性能表示
  分光光度計の性能表示は,次による。装置の性能試験は,装置を取扱説明書などに示された時間通電し
た後,十分に安定した状態で行う。
a) 測光正確さ 標準物質の透過パーセント又は吸光度を測定し,その測定値と認証値との差で表す。

――――― [JIS K 0115 pdf 10] ―――――

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      なお,測光正確さには,測光再現性も含む。
      注記1 光学フィルターの標準物質として,一般財団法人日本品質保証機構(JQA)のJCRMシリ
              ーズ,米国国立標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology,NIST)のSRM3
              種などがある。
b) 測光再現性 測光再現性には,測光繰返し性と測光時間安定性とがある。測光繰返し性は,経時変化
    のない試料[a)の標準物質など]を試料部に装着し,透過パーセント又は吸光度を測定する。次に,
    試料を取り出し,再び装着して測定を行う。この操作を複数回繰り返したときの測定値のばらつきで
    表す。測光時間安定性は,同試料を一定時間間隔で測定し,単位時間当たりの変動幅で表す。
c) ノイズレベル 試料部に試料を入れないで,一定の測定条件(感度レベル,設定波長,スペクトル幅
    など)に固定し,吸光度ゼロ(透過パーセント100 %又は反射パーセント100 %)付近での短時間内
    の測定値の変動幅(山から谷まで)で表す。
d) ベースライン時間安定性 ノイズレベルと同一条件で,一定時間間隔で測定したときの単位時間当た
    りの変動幅で表す。
e) 波長正確さ 重水素放電管,キセノンランプなどから放射される輝線,又は波長校正用光学フィルタ
    ーの吸収曲線を測定する。輝線については,強度が極大を示す波長,光学フィルターを用いる場合に
    は,吸収の極大値となる波長などを求め,それらに与えられた波長と波長表示値との差で表す。
      なお,波長正確さには,波長設定再現性も含む。
      注記2 波長校正用光学フィルターとして,ネオジムフィルター,ホルミウムフィルターなどのガ
              ラス製光学フィルター,ホルミウム溶液フィルターなどが用いられる。
f) 波長設定再現性 波長設定再現性には,波長設定繰返し性と波長時間安定性とがある。波長設定繰返
    し性は,重水素放電管,キセノンランプなどから放射される同一輝線スペクトル又は光学フィルター
    の吸収曲線を複数回繰返し測定したときの波長の読取り値のばらつきで表す。
      なお,複数の光分散素子を搭載する装置では,光分散素子の切替えに対しても試験する。
      波長時間安定性は,波長校正から次の波長校正までの使用時間で,単位時間当たりの波長変動で表
    す。
g) 分解 輝線スペクトルの半値全幅(full width at half maximum,FWHM)を波長で表す。重水素放電管,
    キセノンランプなどから放射される輝線スペクトルを測定し,最大強度の1/2となる強度を示す波長
    を長波長側と短波長側とで求め,それらの波長差で表す。
h) スペクトルベースライン平たん度 試料部に試料を入れず,一定の測定条件(感度レベル,波長幅な
    ど)で,指定波長領域を走査したときの透過パーセント,反射パーセント又は吸光度の測定値の変動
    幅で表す。
i) 迷光 迷光測定用フィルターを用い,波長選択部から出射する光強度に対する設定波長以外の波長の
    光強度の総和との比率で表す。
      注記3 迷光測定用フィルターには,NISTのよう化カリウム溶液(SRM2032),ASTM E387-84に
              規定する迷光測定用溶液などがある。
4.3.2 光電光度計の性能表示
  光電光度計の性能表示は,4.3.1のa)   d)による。装置の性能試験は,装置を取扱説明書などに示された
時間通電した後,十分に安定した状態で行う。

4.4 附属装置

  附属装置には,次のものがあり,必要に応じて用いる。次のような附属装置には,試料の温度を維持す

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る機能を併せもつものもある。
a) 自動試料導入装置(シッパー) 液体試料を吸引し,試料部に導入する装置。図3に自動試料導入装
    置の例を示す。試料を吸引して測定用フローセルに導入し,そのタイミングに同期して自動的に透過
    パーセント,吸光度などを測定し,測定後は排出する機能をもつものなどがある。陰圧で吸引するも
    のとペリスタルティックポンプなどで送液するものとがある。主に,多数の試料を測定する場合に用
    いる。
                                   図3−自動試料導入装置の例
b) 吸収セル交換装置 複数の吸収セルを交換して測定するための装置。図4に自動吸収セル交換装置の
    例を示す。手動で切り替えるものと自動的に切り替えるものとがある。主に,複数の溶液試料を並行
    して測定するための装置で,温度調節機構を備えたものもある。試料セルを一定時間間隔で順次測定
    部へ移動させながら測定することによって,試料の時間的変化を測定してもよい。
                                 図4−自動吸収セル交換装置の例
c) 積分球附属装置 積分球の内面に,波長に対して非選択性の拡散反射材料を備えた装置。図5に積分
    球附属装置の例を示す。試料からの透過光及び反射光を積分球内で多重反射させ,内部に均一に分布
    させた光の一部を検出する。透明·半透明の固体,液体などの反射パーセント,透過パーセント,吸
    光度,濁りなどの測定に用いる。反射測定は,通常,硫酸バリウムなどの白色物質(標準白板と呼ば
    れることもある。)を基準として相対反射率を測定する。透過測定は,拡散透過光を含む全透過光の測

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    定及び拡散透過光の測定に用いる。
      なお,透過測定(セル)と反射測定とは,同時には行わない。
                                    図5−積分球附属装置の例
d) 試料温度可変装置 試料の温度を上昇,下降及び/又は一定にする機能をもつ装置。温度調節の方式
    には,恒温水循環方式,電子冷熱方式などがある。主に,溶液試料の測定に用いる。試料温度の変動
    が測定値に大きく影響する場合などに用いられる。
e) 正反射測定装置 試料の正反射を測定するための装置。次の1)及び2)がある。
  1) 相対反射測定装置 正反射パーセントを,標準反射板に対する相対反射率として測定する装置。
  2) 絶対反射測定装置 正反射パーセントを,絶対反射率として測定する装置。V-N法などを用いた固
      定の角度で測定する装置又は入射角が変えられる装置がある。それらの例を図6及び図7にそれぞ
      れ示す。
        注記 入射角を小さく(10°以下)すると,入射光の偏光状態が測定値に与える影響を少なくす
              ることができる。
                               図6−正反射測定装置の例(V-N法)

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                             図7−正反射測定装置の例(入射角可変)
f) フィルム保持装置 フィルム状又は板状試料の測定のために用いる試料保持装置。
g) 偏光装置 入射光に偏光特性をもたせる装置。偏光による光の透過特性及び反射特性の測定に用いる。

4.5 付加機能

  主な付加機能を,次に示す。必要に応じて用いる。
a) 測定に対する付加機能 測定に対する主な付加機能には,次の1)及び2)があり,必要に応じて用いる。
  1) 繰返し測定 同じ条件で指定した回数,又は中止するまで繰返し測定する機能。測定結果の平均を
      求める方法でノイズの低減を図る場合などに用いる。
  2) 経時変化測定 一定時間間隔で測定し,時間に対する測定値の変化を測定する機能。試料の時間変
      化を求め,酵素活性の測定及び反応の追跡に用いる。一定時間間隔のスペクトルを測定する機能を
      もつ装置もある。
b) スペクトルに関する付加機能 スペクトルに関する主な付加機能を,次に示す。必要に応じて用いる。
  1) スペクトルの拡大又は縮小 見やすい表示とするため,全部又は任意のスペクトルの一部を,拡大
      又は縮小する機能。
  2) スムージング 主にノイズを軽減し,スペクトルの大まかなパターンを示す機能。
  3) ピーク検出 吸収ピークの位置(X軸,Y軸)を検出する機能。
  4) 透過パーセント−吸光度変換 透過率及び吸光度を数値計算によって相互に求める機能。
  5) クラマース−クロニッヒ変換 反射法によって鏡面の試料を測定した際に得られる吸収係数と試料
      の複素屈折率との両方が寄与したスペクトルから,クラマース−クロニッヒの関係式によって,そ
      れぞれ又は両方のスペクトルを求める機能。
  6) クベルカ−ムンク変換 拡散反射法によるスペクトルを基に,定量的な扱いをする場合又は透過法
      によるパターンとの比較をする場合に,相対強度を透過法に近いものにするために行われる変換機
      能。
        注記 拡散反射法によるスペクトルでは,試料中を光が透過,屈折,散乱などの影響を受け,最
              終的に外部に出射される光を測定しているため,透過法でのスペクトルと比較すると,吸
              収の強いピークは相対的に小さく,逆に,吸収の弱いピークは相対的に大きく現れる。こ

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              のため,クベルカ−ムンク変換が必要とされる。
  7) 軸単位の変換(波長,波数,エネルギーなど) 軸単位を,必要とする単位系に変換する機能。
  8) 吸収ピークなどの高さ又は面積計算 ピークの強度は,ピーク高さ又は面積で示されるため,これ
      らを計算する機能。
  9) 微分計算 微分変換する機能。一次微分スペクトルでは,大きなピークの肩(ショルダー)に重な
      ったピーク及び鋭いピークの裾に隠れたピークを,明瞭にできることがある。また,二次以上の微
      分も行う。
  10) ベースライン補正 測定条件又は試料条件によってスペクトルのベースラインが傾いたり,湾曲し
      たりしている場合に,平たんにすることによって,見えにくい情報を取り出しやすくする機能。
c) スペクトル間演算の付加機能 スペクトル間演算の主な付加機能には,スペクトル間の四則演算及び
    差スペクトルがある。スペクトル間の演算によって微小なパターンの違い,及び主成分の差し引きに
    よって微量混合物のパターンを,明瞭にできる。また,スペクトルの合成による混合試料のスペクト
    ル予想にも用いることができる。
d) スペクトルからの情報抽出に関する付加機能 スペクトルからの情報抽出に関する主な付加機能に
    は,定性情報,スペクトルデータ検索,データベース作成,定量情報,濃度変換又は統計処理がある。
    これらの機能によって,スペクトルのもつ情報を,ピークの位置(X軸,Y軸)も含め,スペクトル
    パターン全体から利用できる形で取り出すことができる。
e) データの保存 測定したスペクトル,データ処理後のスペクトル,測定の条件,測定者の情報,コメ
    ント,スペクトル処理の履歴などを,装置独自の形式又は互換性をもつ形式によって保存する機能。
    データの保存の主な形式は,次による。
  1) 装置に内蔵された形式による保存 特定の装置,ソフトウェアで読込みができる形式。
  2)   CAMP-DXなど互換性をもつ形式による保存 装置によらない互換性をもつ形式。
  3) テキストファイル形式による保存 表計算ソフトウェアなどで読込みを行うために使用される形
      式。

5 操作方法

5.1 装置の設置条件

  装置の設置条件は,次による。ただし,製造業者などによって,装置の設置条件が定められている場合
には,それに従う。
a) 電磁誘導の影響を与える装置が近くにはない。
b) 強い振動又は継続的な振動がない。
c) ほこりが少ない。
d) 腐食性ガスがない。
e) 直射日光が当たらない。
f) 装置に定められた仕様範囲の温度及び湿度内であり,急激な変化を生じない。

5.2 波長目盛及び吸光度目盛の校正

5.2.1 波長目盛の校正
  波長目盛の校正は,次のいずれかによる。
a) 輝線を用いる方法 重水素放電管,キセノンランプ,キセノンフラッシュランプなどの光強度の測定
    を行い,その極大強度を示す波長を求め,表1に規定する輝線の波長と比較して校正を行う。キセノ

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