JIS K 2254:2018 石油製品―蒸留性状の求め方 | ページ 2

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3.6
留出温度
常圧法及び減圧法では,蒸留中のある時点における,留出量に対応する温度計の読み(℃)。ガスクロマ
トグラフ法では,留出量に対応する保持時間から,沸点変換線を用いて求めた温度(℃)。
例 常圧法及び減圧法において,留出量が体積分率50 %のときの温度計の読みは,体積分率50 %留
出温度と表記する。
3.7
全留出量(percent recovery)
常圧法及び減圧法において,それぞれ5.6及び6.7の試験手順に従って得られる留出量の全量(体積分
率%)。
3.8
回収量(percent total recovery)
常圧法及び減圧法において,全留出量と残油量との和(体積分率%)。
3.9
減失量(percent loss)
常圧法及び減圧法において,100から回収量を差し引いた量(体積分率%)。蒸留の初期段階で凝縮せず
に失われた量のことで,初期減失(front-end loss)ともいう。
3.10
残油量(percent residue)
常圧法及び減圧法において,蒸留後の蒸留フラスコ内に残った(留出されなかった)試料の量(体積分
率%)。
3.11
減失加算留出量(percent evaporated)
常圧法において,留出温度に対応する留出量と減失量との和(体積分率%)。
3.12
減失加算留出温度
常圧法において,留出量から減失量を差し引いた量に対応する留出温度(℃)。
3.13
気圧補正留出温度
常圧法において,気圧補正した留出温度(℃)。
3.14
気圧補正減失量(corrected loss)
常圧法において,気圧補正した減失量(体積分率%)。
3.15
気圧補正全留出量
常圧法において,気圧補正した全留出量(体積分率%)。
3.16
温度計の読み(thermometer reading)
常圧法において,この試験方法の指定条件下で得られる,蒸留フラスコの枝管の下部で首管内の飽和蒸
気の温度の読み。

――――― [JIS K 2254 pdf 6] ―――――

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3.17
温度の読み(temperature reading)
常圧法において,101.3 kPaの大気圧に補正された,温度計の読み又は温度表示器の読み。
3.18
露出部効果(emergent-stem effect)
常圧法において,全浸没形ガラス製水銀温度計を部分浸没の条件で用いることによって起こる温度の読
みのずれ。
注記 水銀柱の露出部分は浸没した部分より温度が低くなるため,全浸没で得られる温度計の読みよ
り結果的に低い読みとなる。
3.19
温度遅れ(temperature lag)
ガラス製水銀温度計と温度表示システムとの応答速度の違いによって起こる温度の読みのずれ。
3.20
沸点変換線
ガスクロマトグラフ法において,n-パラフィンの保持時間と沸点との関係を表した線。
3.21
分割速度(slice rate)
ガスクロマトグラフ法において,単位時間当たりに得られる分割されたクロマトグラフ検出器のデータ
の数。分割速度は,ヘルツで表される(例えば,分割/秒)。

4 試験方法の種類及び適用区分

  蒸留試験方法の種類及び適用区分を,表1に示す。

――――― [JIS K 2254 pdf 7] ―――――

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表1−試験方法の種類及び適用区分
試験方法 適用区分 適用油種例 箇条番号
常圧法 自動車ガソリン
初留点が0 ℃以上で終点が約400 ℃以下の軽質留分及び中 5
間留分に適用する。 工業ガソリン
航空ガソリン
軽質留分とは,自動車ガソリン,体積分率10 %までのエタノ
ールを含む自動車ガソリン及び航空ガソリンをいう。 航空タービン燃料油
灯油
中間留分とは,航空タービン燃料油,灯油,軽油,質量分率
軽油
20 %までの脂肪酸メチルエステル(FAME)を含む軽油,ボイ
ラー燃料及び船舶燃料をいう。
減圧法 絶対圧0.136.67 kPa{150 mmHg},最高液温400 ℃の条 減圧軽油 6
重油
件下で,完全に又は部分的に蒸発する液状石油製品に適用する。
軽質潤滑油
ガスクロマ 航空タービン燃料油
常圧下での終点が538 ℃以下,沸点範囲が55 ℃以上,かつ, 7
トグラフ法 灯油
常温での蒸気圧が試料採取に影響を及ぼさない程度に低い製品
に適用する。軽油でFAMEを含む場合,FAMEの含有量が質量 軽油
減圧軽油
分率10 %以下の軽油に適用し,ガソリン類には適用しない。
軽質潤滑油
なお,FAMEの含有量が質量分率10 %を超える軽油及び常圧
下の終点が538 ℃を超える製品にも適用できるが,精度は規定
しない。
GC 灯油
灯油及び軽油の常圧法蒸留性状を,ガスクロマトグラフ法の 附属書A
換算法 軽油
試験結果から,換算によって求める方法について規定する。初
留点の留出温度と体積分率5 %留出温度との差が65 ℃以下の
灯油及び軽油で,かつ,FAME分が質量分率10 %以下の軽油に
適用する。ただし,この方法によって得られた試験結果に疑義
が生じた場合は,常圧法で求めた結果による。
注記1 減圧法は,常圧法では熱分解を起こし,蒸留性状を求めることが困難な試料に適している。
注記2 同一試料に対して,常圧法及び減圧法を適用した場合,両法の結果は必ずしも一致しない。
注記3 減圧法において,規格の中で{}を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって参
考値である。
注記4 ガスクロマトグラフ法の試験結果は,常圧法及び減圧法とは試験の原理が異なるため,同一試料を測定し
た場合,常圧法及び減圧法の試験結果とは一致しない。
注記5 ガスクロマトグラフ法において,沸点変換線作成用混合物の組成及び分析条件を変えることによって,常
圧下の終点が538 ℃を超える製品にも適用できる。

5 常圧法

5.1 試験の原理

  試料は,その性状によって表2に示す14類の四つのグループに区分し,試料100 mLをそれぞれの条
件のもと蒸留し,初留点,留出温度,留出量,終点などを測定する。試験後は,フラスコ内の残油量をは
かり,減失量を求める。温度計の読みを大気圧で補正し,その値を条件に応じた計算式を用いて算出する。

――――― [JIS K 2254 pdf 8] ―――――

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表2−試料のグループ及び試験条件
グループ番号 1類 2類 3類 4類
試料の性状 蒸気圧a) kPa 65.5以上 65.5未満 65.5未満 65.5未満
蒸留性状 初留点 ℃ − − 100以下 100を超える
終点 ℃ 250以下 250以下 250を超える 250を超える
試料保管時の温度 ℃ 10未満 10未満 室温 室温
水分混入時の対策 採取やり直 採取やり直 脱水 脱水
し又は脱水 し又は脱水
器具の準備 温度計b) 7(DIST) 7(DIST) 7(DIST)c) 8(DIST)
フラスコ支え板の孔の直径 mm 38 38 50 50
試験開始時の 蒸留フラスコ及び温度計 ℃ 1318 1318 1318 室温以下
温度 フラスコ支え板及び風よけ ℃ 室温以下 室温以下 室温以下 −
受器及び試料 ℃ 1318 1318 1318 13室温
試験中の温度 冷却浴 ℃ 01 04 04 060 d)
受器周囲 ℃ 1318 1318 1318 試料温度±3
試験中の条件 加熱開始から初留点に達するまでの 510 510 510 515
時間 分
初留点から体積分率5 %に達するま 60100 60100 − −
での時間 秒
体積分率5 %から蒸留フラスコ内の 45 45 45 45
試料量が残り約5 mLになるまでの平
均留出速度 mL/分
蒸留フラスコ内の試料量の残り約5 5以下e) 5以下e) 5以下 5以下
mLから終点に達するまでの時間 分
注記 自動車ガソリンでは1類又は2類,灯油及び軽油では4類を選択することが望ましい。
注a) IS K 2258-1又はJIS K 2258-2による。
b) 5.2.2.11又は5.2.3.9に規定する温度計。
c) 3類に属する試料の蒸留試験を行う場合,温度計7(DIST)が不適切であるときは,温度計8(DIST)を使用
してもよい。
d) 試料及び留出油のワックス含有量に応じて,ワックスを凝縮管内に凝縮させない最低の温度を060 ℃間で
選ぶ。
e) 終点に達するまでの時間が短すぎると結果に疑義が生じるときがある。この場合は,35分で終点に達する
ように調整するとよい。

5.2 試験器及び器具

5.2.1  一般事項 試験器は,手作業及び目視で実施する手動試験器か,又は表2に示す試験条件を満たす
ように自動で冷却・加熱制御ができ,初留点,留出温度,留出量,終点などを自動的に測定して記録でき
るシステムを備えた自動試験器を用いる。
手動試験器の代表的な組立例を,図1(I形,ガス加熱)及び図2(II形,電気加熱)に示す。
なお,自動試験器の場合は,製造業者の仕様による。
注記 自動試験器には,蒸留フラスコの破損,フラスコ上部からの試料の流出,電気的なショートな
どによって加熱部内で火災が発生したときに,自動的に加熱を停止して加熱部内に消火用ガス
を噴霧する機能をもつものがある。

――――― [JIS K 2254 pdf 9] ―――――

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単位 mm
1 冷却浴 7 風よけ 11 蒸留フラスコ 17 スタンド
2蓋 8 のぞき窓 12 温度計 18 ガスホース
3 冷却浴用温度計 9扉 13 フラスコ支え板 19 受器
4 あふれ口 10 通気孔 14 フラスコ支持台 20 受器台
5 排水コック 上部 : 前後に各2個 15 支環 ろ紙
6 凝縮管 下部 : 4側面に各3個 16 ガスバーナ
図1−I形蒸留試験器(ガス加熱)の例

――――― [JIS K 2254 pdf 10] ―――――

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JIS K 2254:2018の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 3405:2011(MOD)
  • ISO 3924:2016(MOD)

JIS K 2254:2018の国際規格 ICS 分類一覧

JIS K 2254:2018の関連規格と引用規格一覧