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とがある。
3.14
モータリング(motoring)
電動機だけを用いて試験用エンジンを運転する状態。
3.15
開き度(spread)
デトネーションメータの感度。1オクタン価の差を示す正標準燃料のノックメータ示度の差。
3.16
酸素化合物(oxygenate)
アルコール類,エーテル類などの酸素を含む有機化合物。
3.17
正標準燃料(primary reference fuels : PRF)
オクタン価の尺度として用いる燃料。正標準燃料には,5.4に規定する2,2,4-トリメチルペンタン(以下,
イソオクタンという。),5.5に規定するn-ヘプタン(以下,ヘプタンという。),試験に供するオクタン価
に合わせイソオクタンとヘプタンとを混合した燃料及びイソオクタンと四エチル鉛とを混合した燃料があ
る。
3.18
トルエン系副標準燃料
トルエンとイソオクタンとの混合液。イソオクタンと四エチル鉛とを混合した正標準燃料の代替として
用いることができる。
注記 四エチル鉛が有毒であるため,公益社団法人石油学会での検討結果に基づき,JIS独自に規定
したもの。
3.19
トルエン系点検燃料(toluene standardization fuel blends : TSF)
試験用エンジンの使用可否を判断するための適合性試験に用いる燃料。トルエン,ヘプタン及びイソオ
クタンのうち,二つ以上の混合液で,リサーチ法のオクタン価校正値及び規定の測定許容差をもつ。
注記 トルエン系点検燃料は,正標準燃料及びトルエン系副標準燃料の代用にはならない。
4 試験の原理
リサーチ法オクタン価試験装置を規定の条件で運転し,試料の予期オクタン価に近い数種の正標準燃料
又はトルエン系副標準燃料のノック強度と試料のノック強度とを比較して求める。
測定方法には,次の内挿−平衡燃料レベル法,内挿−動的燃料レベル法及び圧縮比法の3種類がある。
全ての方法が,自動車ガソリンのオクタン価の範囲において同等な精度をもっており,特定のオクタン価
範囲での評価のために使うことができる。
a) 内挿−平衡燃料レベル法 一定の圧縮比で,二つの正標準燃料のノックメータ示度の間に,試料のノ
ックメータ示度を挟み込み,試料のオクタン価を求める。
b) 内挿−動的燃料レベル法 試料のオクタン価を求める手順は内挿−平衡燃料レベル法と同等であるが,
空燃比の調整にフォーリングレベルシステムを使用する方法[8.28 b) 参照]。
c) 圧縮比法 正標準燃料を用いて,あらかじめ標準のシリンダ高さを設定し,この運転条件において試
料の標準ノック強度が得られるシリンダ高さから試料のオクタン価を求める方法。圧縮比法によって
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得られた試験結果に疑義が生じた場合は,内挿−平衡燃料レベル法又は内挿−動的燃料レベル法の結
果によって判定する。
注記 ASTM D2699-12には,オクタン価の測定手順として,内挿OA法を加えて次の4種類の方法が
記載されている。いずれの方法も,通常のオクタン価範囲では,同等の精度をもつことから,
市販の自動車ガソリンのオクタン価測定に用いられている。
− A法 : 内挿−平衡燃料レベル法
− B法 : 内挿−動的燃料レベル法
− C法 : 圧縮比法
− D法 : 内挿OA法
5 試薬及び標準物質
試薬及び標準物質は,次による。
5.1 シリンダジャケット冷却液 JIS K 0557に規定するA3の水に不凍液,水処理剤などを加えたもの。
気圧が低い試験室の場合は,冷却液の温度が100 ℃±1.5 ℃となるように市販のグリコールを主剤にした
不凍液を加えた水を用いる。水処理剤は,管内の腐食及び鉱物質スケールの付着を防ぐために用いる。冷
却液は,オーバーホール時に全量交換するのが望ましい。冷却液の廃棄については,薬品業者の推奨する
方法で処理する。
5.2 気化器冷却液 水,又は水と不凍液とを混合したもの。
燃料が沸騰するのを防ぐために用いるもので,冷却液の温度を0.610 ℃に調節する(8.29参照)。
5.3 エンジンクランク室の潤滑油 100 ℃の動粘度が9.312.5 mm2/sであり,粘度指数が85以上のもの。
粘度指数向上剤を含む潤滑油及びマルチグレード潤滑油を用いてはならない。
注記 潤滑油は,JIS K 2215に規定する陸用3種3号で粘度指数が85以上のもの及びシングルグレー
ド並級モータ油30が相当する。
5.4 イソオクタン正標準燃料 表1に規定する品質のもの。これをオクタン価100の正標準燃料とする。
5.5 ヘプタン正標準燃料 表1に規定する品質のもの。これをオクタン価0の正標準燃料とする。
表1−正標準燃料(イソオクタン及びヘプタン)の品質
正標準燃料の種類 鉛分 イソオクタン分 ヘプタン分
g/L 体積分率% 体積分率%
イソオクタン 0.000 5以下 99.75以上 0.10以下
ヘプタン 0.000 5以下 0.10以下 99.75以上
注記1 イソオクタン分及びヘプタン分の求め方は,ASTM D2268に記載されている。
注記2 イソオクタン及びヘプタンの鉛分の求め方は,IP 224に記載されている。
5.6 四エチル鉛希釈溶液 航空燃料混合用四エチル鉛アンチノック剤を,キシレン体積分率70 %とヘプ
タン体積分率30 %とを混合した希釈剤に溶かしたもの。
この希釈溶液は,四エチル鉛を質量分率18.23 %±0.05 %含み,比重15.6/15.6 ℃が0.9570.967の範囲
にあるものとする。希釈溶液の四エチル鉛を除く代表的な組成を,次に示す。
二臭化エチレン(掃気剤) 質量分率10.6 %
キシレン 質量分率52.5 %
ヘプタン 質量分率17.8 %
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染料,酸化防止剤,不活性剤 質量分率0.87 %
警告 四エチル鉛は,有毒であり可燃性である。その取扱いについては,四アルキル鉛中毒予防規則
によって十分な安全対策をとらなければならない。
5.7 オクタン価100以下の正標準燃料 イソオクタン正標準燃料とヘプタン正標準燃料とを調合したも
の。
オクタン価は,イソオクタンの体積分率(%)で表す。
5.8 オクタン価100を超える正標準燃料
5.8.1 イソオクタンに四エチル鉛を調合した正標準燃料 イソオクタン400 mLに四エチル鉛希釈溶液を
mL単位で加えて調合したもの。
注記1 この正標準燃料における四エチル鉛希釈溶液の添加量(mL)は,イソオクタン中の四エチル
鉛による混合オクタン価に示すイソオクタン3.785 L中の四エチル鉛の添加量(mL)に等し
い。
注記2 イソオクタン中の四エチル鉛による混合オクタン価は,ASTM D2699-12のAnnex A3
(Reference Fuel Blending Tables)に記載されている。
5.8.2 トルエン系副標準燃料 イソオクタンとトルエンとを調合したもの。
5.8.1に規定する正標準燃料の代わりにオクタン価100.0107.1の範囲で用いることができる。トルエン
系副標準燃料の混合割合及びオクタン価を,表10に示す。
5.9 トルエン 純度が質量分率99.5 %以上のものか,又はJIS K 8680に規定するトルエン。
5.10 日常点検燃料 低揮発性の安定した代表的な燃料のオクタン価測定値を統計的に分析し,自所で管
理値を設定したもの。
6 器具及び装置
器具及び装置は,次による。
6.1 オクタン価試験装置 オクタン価試験装置(CFR F-1)は,次の試験用エンジン及び計測機器からな
る。
リサーチ法オクタン価試験装置の例を,図1に示す。
注記 ある種の気体又は排気ガス,例えば,空調設備に用いられるハロゲン化物の冷媒が試験用エン
ジンの設置場所に存在する場合,オクタン価の測定値に影響を与えることがある。また,電圧
が変化するとオクタン価の測定値に影響を及ぼす可能性がある。ノックメータ示度が安定しな
い場合は,定電圧変圧器を用いるとよい。
a) 試験用エンジン 試験用エンジンは,次の1)7) からなる。
なお,フライホイールとベルトとで連結した電動機は,エンジン始動時には,駆動機の能力を備え,
燃焼運転中は,一定速度で動力を吸収する能力を備えているものとする。
1) 単気筒エンジン 標準クランクケースをもつもの。
2) 圧縮比可変シリンダ/クランプスリーブアセンブリ
3) ジャケット冷却液システム 熱サイフォンによる再循環形のもの。
4) 燃料タンク及び気化器ベンチュリ 燃料を一つのジェット通路を通して供給できるもの。一般的に,
弁の切替えができる燃料タンクシステムが用いられる。
5) 吸入空気システム 温度及び湿度調節ができるもの。
6) 計測機器制御装置
――――― [JIS K 2280-1 pdf 8] ―――――
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7) 排気管
17 18
B
A 19
20
21
C
16
22
1 空気導入管 8 オイルフィルタ 15 吸入空気温度調節器 A 計測機器制御装置
2 冷却液コンデンサ 9 点火断続器 16 電動機(内部) B 燃料タンク,
3 排気サージタンク 10 シリンダ固定用クランプ17 吸入空気システム 気化器,
4 排気管 11 吸入空気用温度計 18 ジャケット冷却液システム 気化器ベンチュリ
5 圧縮比調整用ハンドル12 点火コイル 19 圧縮比可変シリンダ C 単気筒エンジン
6 潤滑油ドレイン管 13 デトネーションメータ 20 排気管
7 廃燃料タンク 14 ノックメータ 21 フライホイール
22 デジタル・デトネーション
メータ
図1−リサーチ法オクタン価試験装置の例
――――― [JIS K 2280-1 pdf 9] ―――――
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b) 計測機器 計測機器は,次の1) 及び2) からなる。
1) 燃焼ノックの強度を測定し,表示するデトネーションピックアップ及びノックメータを含む電子式
デトネーション測定器。
2) 温度計,圧力計及びその他の計測機器。
注記 計測機器は,複数の製造業者から入手可能であるが,場合によっては,特定の寸法又は仕様
基準の選択が,ノック試験設備の適切な条件を設定するために重要となる。これら機器につ
いては,ASTM D2699-12のAppendix X1(Auxiliary Equipment)に記載されている。
6.2 正標準燃料及びトルエン系点検燃料の分注器 呼び容量200500 mLで体積の許容誤差が±0.2 %の
校正済みのビュレット又は定量容器。正標準燃料及びトルエン系点検燃料の調製に用いる。ビュレットは,
液体を送り出すためのバルブ及び規定量を分注できる先端部からなる。先端部は,バルブを閉止したとき,
この先端部からの流出量が,0.5 mLを超えない寸法及び形状とする。また,分注器から液体を送り出す速
度は,毎分400 mLを超えてはならない。
注記1 分注器に関する情報は,ASTM D2699-12のAppendix X2(Volumetric Reference Fuel Blending
Apparatus and Procedures)に記載されている。
注記2 ビュレット又は定量容器の校正方法は,JIS R 3505又はJIS K 0050を参照する。
6.3 正標準燃料の質量混合 容量基準で±0.2 %のブレンド誤差内となるならば,次の手順で,個々の成
分の質量測定によって正標準燃料を調製してもよい。
a) IS K 2249-1,JIS K 2249-2又はJIS K 2249-3に従って密度測定を行う。
b) 必要となる混合成分の質量を計算し,正標準燃料の調製に用いる。
6.4 四エチル鉛希釈溶液の分注器 ビュレット,ピペットなどの計量器で校正済みのもの。
最大4 mLの四エチル鉛希釈液をイソオクタン400 mLの幾つかのバッチに分注できるもの。校正は,JIS
R 3505に従って行う。
6.5 保守用専用工具 試験用エンジン及び計測機器を容易に,かつ,効率的に保守できる専用の工具及
び計器。
注記 これらの工具及び計器のリスト並びに取扱説明書は,エンジン部品の製造業者などから入手で
きる。
7 試料の採取方法及び調製方法
試料は,JIS K 2251に規定する一次試料の採取方法及び二次試料の調製方法,又はそれに準じた方法に
よって採取及び調製する。自動サンプリングの場合には,ISO 3171によってもよい。ただし,試料は,受
け取ったままの容器で,試験のために開栓するまでは,210 ℃に冷却しておくとともに,試料の変質を
防ぐため,エンジン気化器の燃料タンクに注入するまで,光に当たらないように保管する。
8 試験用エンジン及び計測機器の基本設定並びに標準運転条件
8.1 エンジン部品及び計測機器の組付け
試験用エンジンは,オクタン価の試験結果に影響を与える気体及び排気ガスの影響を受けず,全ての付
帯設備をもつ場所に,適切な固定台に据え付けて設置する。
なお,設置又は取付けに当たっては,遵法上の必要な諸手続を滞りなく行う。
注記 試験用エンジン及び計測機器の据付け及び組立ての詳細は,ASTM D2699-12のAnnex A2
(Apparatus Assembly and Setting Instructions)に記載されている。
――――― [JIS K 2280-1 pdf 10] ―――――
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JIS K 2280-1:2018の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 5164:2014(MOD)
JIS K 2280-1:2018の国際規格 ICS 分類一覧
JIS K 2280-1:2018の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB0108-1:1999
- 往復動内燃機関―用語―第1部:機関設計及び運転用語
- JISB7410:1997
- 石油類試験用ガラス製温度計
- JISK0557:1998
- 用水・排水の試験に用いる水
- JISK2249-1:2011
- 原油及び石油製品―密度の求め方―第1部:振動法
- JISK2249-2:2011
- 原油及び石油製品―密度の求め方―第2部:浮ひょう法
- JISK2249-3:2011
- 原油及び石油製品―密度の求め方―第3部:ピクノメータ法
- JISK2251:2003
- 原油及び石油製品―試料採取方法
- JISK8680:2006
- トルエン(試薬)
- JISR3505:1994
- ガラス製体積計
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方
- JISZ8402-6:1999
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第6部:精確さに関する値の実用的な使い方