JIS K 5601-5-2:2008 塗料成分試験方法―第5部:塗料中の揮発性有機化合物(VOC)の測定―第2節:水系塗料(標準添加法) | ページ 2

2
K 5601-5-2 : 2008
JIS K 5600-1-2 塗料一般試験方法−第1部 : 通則−第2節 : サンプリング
注記 対応国際規格 : ISO 15528,Paints,varnishes and raw materials for paints and varnishes−Sampling
(IDT)
ISO 2811-1 Paints and varnishes−Determination of density−Part 1: Pyknometer method
ISO 2811-2 Paints and varnishes−Determination of density−Part 2: Immersed body (plummet) ethod
ISO 2811-3 Paints and varnishes−Determination of density−Part 3: Oscillation method
ISO 2811-4 Paints and varnishes−Determination of density−Part 4: Pressure cup method

3 用語及び定義

  この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 5500によるほか,次による。
3.1
揮発性有機化合物 (volatile organic compound),VOC
一般的には,常温,常圧で自然に気化するすべての有機液体及び固体をいうが,この規格では,このう
ち常圧 (101.325 kPa) の下で,沸点が250 ℃を超えない有機化合物。
注記1 塗料の分野において,通常VOCに用いる用語に関しては,3.2の注1)を参照。
注記2 米国政府の法律では,VOCは空気中での光活性物質(ASTM D 3960参照)だけに限定され
ている。したがって,他の物質は対象除外物質として規定している。
3.2
VOC含有量 (volatile organic compound content),VOC content
この規格で測定する塗料中のVOCの全含有量(質量分率)。
注記 対象とする物質の性質及び量は,塗料が塗られる分野によって決まる。個々の使用分野におい
て,限界値,測定法及び計算法は,規制1) 契約などによって規定される。
注1) この規格の目的のために適用できる法規は,欧州委員会の決定96/13/EC,(1996.1.6付)の中に
ある。VOCは,常圧 (101.325 kPa) の下で,沸点(又は初期沸点)250 ℃を超えないすべての
有機化合物と定義されている。
3.3
容器内塗料のVOC (in-can VOC)
開封直後の水系エマルション塗料中に存在するVOC。
3.4
エマルション塗料,ラテックス塗料 (emulsion paint, latex paint)
水中に分散した有機バインダーをビヒクルとする塗料。
3.5
完全気化 (full evaporation)
液体試料中のVOCを液相から気相に移行させる方法。
注記 容器としてセプタムシール瓶を用い,ヘッドスペース装置に試料を導入する。完全気化法は,
容器内平衡を形成する通常のヘッドスペース法とは本質的に異なる。この容器には,ごく少量
の試料を入れるので,規定の温度に加熱したとき,VOCはすべて気体となる。
3.6
標準混合物 (stock reference compound mixture)
標準添加法で使用する,既知の純物質を混合したもの。

――――― [JIS K 5601-5-2 pdf 6] ―――――

                                                                                              3
K 5601-5-2 : 2008
注記 標準混合物の濃度は,試料中の,個々の純物質成分の初期量及びその純度によって決まる。
3.7
標準添加法 (multiple standard compound method)
試料に規定の標準混合物を,添加量を変えて添加し,VOC濃度を測定する方法。

4 原理

  試料中に存在するごく微量のVOCを,自動ヘッドスペース装置中で完全気化させ,ガスクロマトグラ
フ分析法によって測定する。
23 衝液(6.3参照)で希釈し,セプタムシール瓶中で,150 ℃まで加熱して完全に気化
させる。気体の一部を無極性のキャピラリカラムに注入する。テトラデカン(沸点 252.6 ℃)以下の保持
時間をもつすべての物質のピーク面積を積算する。標準混合物(3.6参照)の標準添加は,VOC濃度決定
のため,4段階の濃度レベルで実施する。

5 装置及び器具

  装置及びガラス器具は,次による。

5.1 ガスクロマトグラフ

 ガスクロマトグラフは,自動ヘッドスペース装置,自動試料注入装置,キャ
ピラリカラムに適した自動温度制御システム,検出器として水素炎イオン化検出器 (FID) 又は質量
分析計,データ解析システムなどからなる。自動ヘッドスペース装置は,試料に接するすべての部
品(例えば,注入針,注入バルブ,供給チューブなど)が加熱可能なものとする。

5.2 無極性溶融シリカキャピラリカラム

 無極性溶融シリカキャピラリカラムは,95 %100 %のジメ
チルシリコン及び5 %0 %のフェニルシリコンとの化学結合形カラム。
注記 キャピラリカラムは,長さ30 m,内径0.32 mm,で95 %のジメチルシリコン及び5 %のフ
ェニルシリコン(膜厚約1 でコートしたものが実験室でのテストでは良好であった。

5.3 マイクロシリンジ

 容量約50    

5.4 プラスチックシリンジ

 2 mLの使い捨て形プラスチックシリンジ。

5.5 セプタムシール瓶

 容量約20 mLの瓶。ポリテトラフルオロエチレン (PTFE) でコートされたブチ
ルゴム又はシリコンゴム製の膜でシールされているもの。この規格で決められた条件は,結果とし
て瓶の中でかなり高い圧力となるのでシールが確実にされていることを確認しておく。

5.6 全量フラスコ

 容量1 Lのもの。

5.7 分析用はかり

 精度0.1 mgで計量可能なもの。

5.8 上皿はかり

 精度0.1 gで計量可能なもの。

5.9 冷蔵庫

 標準混合物貯蔵用。

6 試薬類

6.1 一般事項

  他に規定のない場合は,試薬は純度99 %以上を用いる。

6.2 ガス

 キャリヤガスは,酸素を含まない乾燥したヘリウム,窒素又は水素ガスのいずれかで,純度
は99.995 %(体積分率)以上とする。検出器混合ガスは,純度99.995 %(体積分率)以上の水素ガスと有
機物を含まない合成空気とから成る。

6.3 標準混合物

 標準混合物は,代表的な標準物質として次の物質を含むものとする。

――――― [JIS K 5601-5-2 pdf 7] ―――――

4
K 5601-5-2 : 2008
― ジエチレングリコールモノブチルエーテル
― ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
― n-ブタノール
― アクリル酸ブチル
― アクリル酸2-エチルヘキシル
― スチレン
― 酢酸ビニル
各標準物質を約1 gずつ1 mgの精度でセプタムシール瓶にはかりとる。高沸点のものから順にはかる。
個々の標準物質を注入するときだけキャップをあける。すべてをはかり終えた後,混合物中に重合禁止剤
(6.5) を約1 000 mg/kgの比で加える。
標準混合物のガスクロマトグラムの例を附属書Aに示す。
注記 ひょう量中に容易に気化する物質の蒸発を少なくする方法として,試料をあらかじめ冷やすか,
又はピペットを使う方法がある。

6.4 クエン酸緩衝液 (pH 5.0)

 クエン酸緩衝液は,既調合品として購入可能である。また,全量フラス
コ1 Lにクエン酸20.265 g及び水酸化ナトリウム7.840 gを入れ,水で1 Lの標線まで (20 ℃) 希釈
して,調製をする。使用する水は,JIS K 0557に規定するA4若しくはA3の水,又はこれと同等の
品質に精製した水2)とするが,使用前に空試験を行い,使用の適否を確認する。
注2) 精製が必要な場合には,次による。
水1 L3 Lを三角フラスコにとり,これを強く加熱して煮沸し,液量が1/3になるまで
続ける(加熱が弱いと揮発性有機化合物を十分に除去することができない。)。直ちに環境
からの汚染がない場所に放置して,冷却する。

6.5 重合禁止剤

 2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール又はN,N-ジメチルジチオカーバメイトナトリウ
ム塩水和物。

6.6 テトラデカン

 少なくとも純度が99.5 %(質量分率)のもの。

7 サンプリング

  試験に供する製品の代表試料は,JIS K 5600-1-2によってサンプリングする。

8 操作

8.1 測定数

  標準混合物未添加試験試料[8.2 c)参照]を3回測定し,標準混合物添加試験試料[8.2 d)参照]4種類の
試料について各3回測定する。

8.2 試料の準備

  試料の準備は,次による。
a) 一般事項 試料の前処理とは,試験用試料とするためエマルション塗料の希釈,標準混合物の添加[d)
及びc)参照]などによって,試料を調製することである。原液の試料をクエン酸緩衝液で希釈後は,
凝集の発生又は個々の物質の気化によって質量減となるので,素早く前処理を行う。図1に試料の調
製手順を示す。
b) 原液試料の希釈 エマルション塗料10 g,クエン酸緩衝液(6.4参照)10 gを,精度0.1 gまでひょう
量し,20 mLのセプタムシール瓶に入れ,密封する。

――――― [JIS K 5601-5-2 pdf 8] ―――――

                                                                                              5
K 5601-5-2 : 2008
c) 標準混合物未添加試験試料 クエン酸緩衝液で希釈した試料の入ったセプタムシール瓶を激しく振と
うして混合後,2 mL使い捨てシリンジ(5.4参照)を用いてセプタムシールに突き刺し,過剰な気体
を除去する。分析用には,各(15±3) gの試料を精度0.1 mgまで精ひょうし,三つのセプタムシール
瓶にはかり取り,直ちに密栓する。
注記 はじめの試料の分取量が多いと内部圧が上がるため,分析誤差の原因となる。
d) 標準混合物添加試験試料 クエン酸緩衝液で希釈した試料を四つ用意し,50 リンジ(5.3参照)
を用いて,標準混合物約10 mg,20 mg,30 mg,40 mgをそれぞれ四つの容器に添加する。添加量は
0.1 mgの精度まではかり,ふたをしっかりと閉めよく混合する。さらに,もう一度容器をよく振とう
した後,2 mLの使い捨てシリンジ(5.4参照)を用いてセプタムシールに突き刺し,過剰な気体を除
去する。
分析用には,標準混合物を添加した緩衝液希釈試料約(15±3) gを精度0.1 mgまで精ひょうし,三
つの空のセプタムシール瓶(5.5参照)にはかり,直ちに密閉する。
原料試料
エマルション塗料 (EP)

希釈試料
(クエン酸緩衝液で
50 %希釈したEP)
8.2 c) 8.2 d)
標準混合物 標準混合物
未添加試料 添加試料
□ 10 mg添加 20 mg添加 30 mg添加 40 mg添加
EP-0 EP-A10 EP-A20 EP-A30 EP-A40
8.2 c)による
テスト試料の調製
8.2 d)による調製 (15±3 mg) 8.2 d)による調製 (15±3 mg)
(15±3 mg)
□ □ □ □ □
EP-0-1 EP-A10-1 EP-A20-1 EP-A30-1 EP-A40-1
□ □ □ □ □
EP-0-2 EP-A10-2 EP-A20-2 EP-A30-2 EP-A40-2
□ □ □ □ □
EP-0-3 EP-A10-3 EP-A20-3 EP-A30-3 EP-A40-3
EP-0 : 緩衝液で希釈した試料
EP-A10,-A20,-A30,-A40 : EP-0に,標準混合物をそれぞれ10 mg,20 mg,30 mg,40 mg加えた試料。
図1−試料調製図

8.3 分析

  ヘッドスペース装置の中に,8.2 c)及び8.2 d)で用意した試料入り容器を置く。
8.3.1 ヘッドスペースインジェクタ

――――― [JIS K 5601-5-2 pdf 9] ―――――

6
K 5601-5-2 : 2008
試料の温度は150 ℃,移送管及び分配バルブ温度は160 ℃,保持時間は4分間とする。
8.3.2 ガスクロマトグラフ
ガスクロマトグラフの条件は,装置の仕様に基づいて調整する。二つの例を次に示す。
例1 試料ループ付きヘッドスペース装置
キャピラリカラム : 長さ30 m,内径0.32 mm,95 %ジメチルシリコン,5 %フェニルシリコン
(膜厚約1
温度 : 注入口温度 250 ℃
カラム温度 : 初期温度 100 ℃
昇温速度 : 10 ℃/分
最終温度 : 280 ℃
検出部温度 : 300 ℃
キャリヤガス流速 : 1.8 mL/分
スプリット比 : 1 : 10
例2 圧力バランス装置付きヘッドスペースインジェクタ
キャピラリカラム : 長さ30 m,内径0.32 mm,95 %ジメチルシリコン,5 %フェニルシリコン
(膜厚約1 。
温度 : 注入口温度 200 ℃
カラム温度 : 初期温度 100 ℃
昇温速度 : 10 ℃/分
最終温度 : 280 ℃
検出部温度 : 300 ℃
キャリヤガス流速 : 1.8 mL/分
スプリット流量 : 30 mL/分50 mL/分

8.4 積算終点の決定

  テトラデカンの保持時間を確定して終了とする。これをVOC積算の範囲とする。

9 評価

9.1 ピーク面積の計算

  テトラデカンの保持時間までに得られるピークをすべて積算する。
なお,ピークを決める場合に,チャートの全域にわたって物質のピークとノイズとの比が少なくとも5 :
1以上でなければならない。
標準添加法での測定精度は,容器にはかり取る試料の計量の精度によって決まる。気化が早すぎるため
に生じるロスを避けるために,素早く作業することが大切である。このため,試料量は15 mg程度が実際
上再現性のよい量であり,各試料のピークの面積を実験に供したエマルション塗料の質量で除して,エマ
ルション塗料1 mg当たりのピーク面積を計算しておくことが望ましい。計算式は,次による。
A
Anorm=
mvd mp mp+mcb
ここに, Anorm : エマルション塗料1 mg当たりのピーク面積(単位 : 面積/mg)
A : テトラデカンの保持時間までに測定されるピーク積算面積

――――― [JIS K 5601-5-2 pdf 10] ―――――

次のページ PDF 11

JIS K 5601-5-2:2008の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 17895:2005(MOD)

JIS K 5601-5-2:2008の国際規格 ICS 分類一覧

JIS K 5601-5-2:2008の関連規格と引用規格一覧