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K 7161-1 : 2014 (ISO 527-1 : 2012)
10.3.2 2点から求める傾き
弾性率Etは,2点の規定したひずみの値を基に,式(12)で求める。
2 1
Et (12)
2 1
ここに, Et : 弾性率(MPa)
ひずみ 攀 0.000 5(0.05 %)における応力(MPa)
ひずみ 攀 0.002 5(0.25 %)における応力(MPa)
10.3.3 回帰直線による傾き
コンピュータを用いる場合は,応力/ひずみ曲線の弾性率測定のひずみ範囲内で,線形回帰を適用して,
弾性率Etを求めることができる。
t dσ
E (13)
dε
ここに, dσ/dε : 応力/ひずみ曲線のひずみ0.000 5≦ε≦0.002 5間の線形回帰
による傾き(MPa)
10.4 ポアソン比
応力/ひずみ曲線の降伏点(存在すれば)までの範囲で,標線間の長さの関数として,幅又は厚さをプ
ロットする。試験速度を変化させた箇所は,除外する。
幅(厚さ)の変化/標線間距離(長さ)の変化の曲線から傾きΔn/ΔL0を求める。この傾きは,最小二乗
法にて計算する。弾性率測定範囲から試験速度を変化させるまでの間の,できる限り大きめのひずみ範囲
で,直線部分を用いるのが望ましい。附属書Bは,0.3 %≦ε<εyで測定することを推奨している。ポアソ
ン比は,式(14)で求める。
εn L0 n
(pdf 一覧ページ番号 )
εl n0 L0
ここに, μ : ポアソン比(無次元)
Δεn : 直交(幅又は厚さ)方向のひずみの減少割合(無次元の比
又は%)
Δεl : 長さ方向のひずみの増加割合(無次元の比又は%)
L0,n0 : 長さ方向及び直交方向の初めの距離(mm)
Δn : 直交方向の距離の減少量(mm),
n=bの場合は幅,n=hの場合は厚さ。
ΔL0 : 長さ方向の距離の増加量(mm)
ポアソン比は,直交する方向の測定箇所によって,μb(幅方向)又はμh(厚さ方向)と記載する。
評価した範囲の是非は,ΔnとΔL0との関係(直交方向と長さ方向との寸法変化)から検証できる。
注記 プラスチックは粘弾性物質であるため,ポアソン比は,測定領域の応力に依存する。したがっ
て,長さ方向に対する幅(厚さ)のプロットは,直線にはならない。
10.5 統計処理
試験結果の算術平均値を計算する。必要に応じ,JIS Z 9041-2に規定する方法で,平均値の標準偏差及
び95 %信頼区間を計算する。
10.6 有効数字
引張応力及び弾性率は,有効数字3桁まで,ひずみ及びポアソン比は,2桁まで計算する。
11 精度
JIS K 7161の規格群の第1部に続く他の部のうち試験する材料に適用する規格による。
――――― [JIS K 7161-1 pdf 16] ―――――
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K 7161-1 : 2014 (ISO 527-1 : 2012)
12 試験報告書
試験報告書は,次の事項を含む。m),n)及びo)については,“引張”という語句を入れる。
a) 規格番号 : JIS K 7161の規格群の第1部に続く他の部のうちの使用規格の番号
b) 試験材料の特定に必要な全ての事項。分かる範囲で,樹脂の種類,供給者,製造番号及び履歴を含む
c) 材料の特性及び形態についての次のような事項。完成品又は半完成品,試験用の板又は試験片の区別,
並びに主要寸法,形状,製造方法,積層の状態及び前処理方法
d) 試験片の種類,平行部の幅及び厚さ(平均,最小値及び最大値)
e) 試験片の作製方法,及びその詳細
f) 完成品又は半完成品を試料とした場合,採取した方向
g) 試験片の数
h) 状態調節及び試験の条件。試験した材料又は製品の規格で,特別な状態処理が規定されている場合は,
その処理
i) 試験機及び伸び計の精確さ(JIS B 7721,ISO 9513及び5.1.5参照)
j) 伸び計又はひずみゲージの形式及び標線間距離L0
k) つかみ具の形式及びつかみ具間距離L
l) 試験速度
m) 個々の試験結果
n) 測定値の平均値
o) 必要に応じ,平均値の標準偏差及び95 %信頼区間
p) 廃棄又は取り替えた試験片の有無,有る場合はその理由。不適合の試験片を用いた場合には,その理
由
q) 測定年月日
――――― [JIS K 7161-1 pdf 17] ―――――
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K 7161-1 : 2014 (ISO 527-1 : 2012)
附属書A
(参考)
降伏ひずみの求め方
従来,降伏ひずみは,連続的に記録した応力/ひずみ曲線のx軸に平行な接線を引いて求めてきた。コ
ンピュータ制御では,応力/ひずみ曲線の評価は,コンピュータの電気的な特性によって,不連続のデー
タを用いることになる。信号ノイズ(機械的及び電気的)によって,利用するデータには幾らかの分散が
あり,ばらつくために,特性を求めるときは,ノイズを考慮しなければならない。
降伏点を求める場合,次の項目が重要となる。
− プラスチックは,広範囲に,様々な応力/ひずみ挙動を示す。例えば,ASA(アクリロニトリル−ス
チレン−アクリル酸エステル)樹脂では,降伏領域は,狭いピークとなり,POM(ポリオキシメチレ
ン)及び吸湿したPA6(ポリアミド6)樹脂では,なだらかな降伏領域となる。
− 降伏ひずみは,降伏領域の中(必要条件)で,最も高い点を特定して求める。
− しかしながら,選択した点は,物理的には,意味がなければならない。信号ノイズがあると選択が不
安定となる。
− 選択した点は,設計のためには,意味がある。例えば,降伏領域がなだらかな場合には,中央の点よ
り,初めの方が設計には関連しており,役に立つ。
デジタル(コンピュータ)のデータでは,降伏点は,次の異なった方法で求めることができる。
− 点間を比較して最大値を求める。簡便な手法ではあるがノイズの影響を防ぐために,評価の間隔及び
幅を動かすような追加の点検が必要になる。システムに依存し,試験した材料の挙動及び試験の設定
にも影響を受ける。
− 傾きによる方法で求める。計算量は,多くなるが,現在のコンピュータの能力ならば可能である。傾
きの判断基準は,応力/ひずみ曲線の回帰直線を計算する範囲の移動評価間隔(移動平均)を必要と
する。この方法は,データを滑らかにするフィルタ効果があり,ノイズの影響を軽減することができ
る。さらに,降伏点を示す場合の傾きには,次の判定基準が必要になる。
− 最初に,傾きが負になった箇所の移動間隔の中心点を降伏点とする。
− 傾きがゼロになる直前の正である箇所の移動間隔の中心点を降伏点とする。ISO 527-1の以前の版
(1993年版)の作業原案(WD)では,傾きがその点における応力以下になる移動間隔の中心点に適
用することを提案していた。
d
y ≦ (A.1)
d
− そのような判定基準の利点は,応力/ひずみ曲線の最初の大きな傾き変化に関係しており,降伏ひず
みだけを特定することになる。しかし,降伏ひずみ値は,現在の方法よりは小さくなる。また,幅の
広い降伏点では,役に立たない。
− また,傾きによる方法では,移動間隔の正確な幅は,システムに依存することになり,試験方法及び
材料に精通した使用者を必要とする。
これらの事例のように,降伏ひずみの求め方には,複数の方法がある。異なる方法の試験結果を比較す
ることは,原則,可能ではあるが,装置及びソフトウェアの違いを考慮すると意味がない。
――――― [JIS K 7161-1 pdf 18] ―――――
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K 7161-1 : 2014 (ISO 527-1 : 2012)
一つの解決方法には,検証システムがある。この検証システムは,専門家によって合意したリファレン
スデータ群が用意されている。これらのデータ群は,いずれの評価システムへも適用でき,それらを使っ
てパラメータを補正し,正確な値を導き出すように,評価システムを調整する。この検証システムは,異
なった評価システムを用いた場合でも,試験結果間の比較ができるようになる。
ひずみ間隔Δεの幅を予測するために,式(A.2)を用いることができる。
n ft f
n 60Lr nr
(A.2)
f 60L L0 L0
ここに, n : データ点数
f : 装置のデータ(転送)速度(s−1)。式(1)参照。
Δε : ひずみ間隔
ε ひずみ速度(s−1)
ν : クロスヘッド速度(mm/min)
L : つかみ具間距離(mm)
L0 : 標線間距離(mm)
r : 分解能(mm)
式(A.2)に従ったひずみ間隔を図A.1に示す。分解能rをパラメータとして,データ点数の関数としてい
る。
図A.1−式(A.2)に従ったひずみ間隔
――――― [JIS K 7161-1 pdf 19] ―――――
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K 7161-1 : 2014 (ISO 527-1 : 2012)
附属書B
(参考)
ポアソン比を求めるための伸び計の精確さ
弾性率を求めるひずみ範囲で,ポアソン比を求めることは,望ましくない。
標線間距離の伸びは,1 %の精確さで求める必要がある。弾性率の範囲では,多目的試験片で75 mmの
標線間距離を用いた場合には,伸び計は,1.5 μmの精確さで測定しなければならない(5.1.5及び図2参照)。
一般に,ほとんどの熱可塑性樹脂は,ポアソン比が0.4であり,その数字をポアソン比と仮定すると,長
さ方向は,150 μm増加し,幅方向は,8 μm減少することになる。長さ方向と同じ1 %の精確さを得るため
には,幅方向は,0.1 μm以下(0.08 μm)の精確さが必要となり,これは極めて厳しい条件になる。
ひずみεを0.3 %1.5 %の範囲でポアソン比を求めることにすれば,幅の減少は,50 μm程度になり,1 %
の精確さは,0.5 μmになる。
――――― [JIS K 7161-1 pdf 20] ―――――
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JIS K 7161-1:2014の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 527-1:2012(IDT)
JIS K 7161-1:2014の国際規格 ICS 分類一覧
- 83 : ゴム及びプラスチック工業 > 83.080 : プラスチック > 83.080.01 : プラスチック一般
JIS K 7161-1:2014の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB7721:2018
- 引張試験機・圧縮試験機―力計測系の校正方法及び検証方法
- JISK6250:2019
- ゴム―物理試験方法通則
- JISK7100:1999
- プラスチック―状態調節及び試験のための標準雰囲気
- JISK7139:2009
- プラスチック―試験片
- JISK7153:2008
- プラスチック―試験片の直線寸法の求め方
- JISZ9041-2:1999
- データの統計的な解釈方法―第2部:平均と分散に関する検定方法と推定方法