JIS K 7209:2000 プラスチック―吸水率の求め方 | ページ 2

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K 7209 : 2000 (ISO 62 : 1999)
験片厚さが約1.5mm以下の場合,ひょう量操作中に,わずかではあるが測定できるほどの水分脱着が起こ
ることがある。この場合には,試験片はひょう量瓶に入れて量ることが望ましい。
水分飽和率を測定するためには,試験片を水に浸し, (30±2) 分ごとに量る。毎回,試験片を水から取
り出し,蒸留水で冷やし,乾燥した後,上に述べた方法で量る。
浸せき及び乾燥の繰り返しで,クラックが生じることがある。クラックが観察されたときの繰り返し回
数を試験報告書に記入する。
6.4 C法 : 浸せき中に溶出した水溶性物質の測定 材料が相当量の水溶性成分を含んでいるか又はその
可能性がある場合には,浸せき試験中に失われた水溶性物質について補正する必要がある。このために,
試験片を6.2及び6.3に従って浸せき後,同じく6.2及び6.3で試験前の乾燥期間に行ったように質量一定
(質量m3)になるまで状態を再調節する。状態を再調節した質量m3が最初に状態調節したときの質量m1
より小さい場合には,その差を浸せき試験中に失われた水溶性物質であるとみなす。そのような材料につ
いては,水分の吸収値は,浸せき時の質量増加と水溶性物質の質量の合計とする。
6.5 D法 : 相対湿度50%にさらした後,吸水量を測定 すべての反復試験片を, (50.0±2.0) ℃に調節
したオーブン (4.2) で (24±1) 時間乾燥する。次に,デシケータ (4.2) に入れて室温まで冷却した後,
0.1mgまで量る。この作業を試験片の質量が±0.1mg以内で一定(質量m1)になるまで繰り返す。
次に試験片を,関連する仕様によって相対湿度 (50±5) %,温度23℃±1℃又は±2℃に保持した空気を
入れた容器若しくはその状態の試験室に置く。特に仕様がない場合には,許容差は,±1℃とする。
試験片を (24±1) 時間,状態調節した後,相対湿度 (50±5) %の空気を入れた容器又はその状態の試験
室から取り出して1分以内に再び試験片を0.1mg(質量m2)まで量る。平衡水分量は,試験片を50%相対
湿度に繰り返しさらし,A法 (6.2) と同じ計量手順と時間間隔によって測定する。
7. 結果の表し方
7.1 吸収した水の質量百分率 各試験片について,次の該当する式から初期質量に対する質量変化の百
分率を算出する。
m2 m1 m2 m3
c 100 又は c 100
m1 m1
ここに, m1 : 初期乾燥後,浸せき前の試験片質量 (mg)
m2 : 浸せき後の試験片質量 (mg)
m3 : 浸せき後,最終乾燥後の試験片質量 (mg)
計算の結果は,同じ浸せき時間で得た三つの値の算術平均値として表す。
備考 吸収した水分濃度を,乾燥後の試験片質量の百分率として表す必要がある場合には,次の式を
用いる。
m2 m3
c 100
m3

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7.2 フィックの法則による飽和含水量及び拡散係数の求め方 ガラス転移温度より十分低い温度におけ
る湿ったポリマーでは,大部分のポリマーの水分吸収は(A,C及びD法),フイックの拡散理論とよく一
致し(附属書A参照),時間と濃度に依存しない拡散係数(附属書Bの[1]参照)が算出できる。その場合,
シート材料(附属書Bの[2],[3]参照)については,試験データをフィックの法則に適合させることによっ
て,質量が一定になるのを待たないで飽和含水量csと拡散係数D (mm2/s) を求めることができる。飽和含
水量は,A,C及びD法によって試験片を水に浸せきする場合には,csと表し,試験片を50%相対湿度の
空気にさらす場合(D法)には,cs (50%) と表す。試験片がフィックの拡散挙動に適合することを示すた
めに図式解法が用いられる場合がある。例えば,対数グラフにプロットし,理論データに適合させるか又
は市販のソフトウェアを用いて,計算したD値を置き換える。ポリマーの水分吸収がフィックの拡散挙動
に従うかどうかを示すためには,ポリマーは水と平衡状態になければならない。
シートの場合について,フィック理論の十分正確な解を附属書Aの図A.1に示す。次の範囲で0.5のこ
う配が得られた。
c≦5.0 sc
又は
sc
c/≦ 5.0
又は
2
D t
2
≦.051
d
ここに, t : 試験片の水中浸せき時間又は湿潤空気にさらす時間 (s)
d : 試験片の厚さ (mm)
D・ 攀一 最 湘 には,c=csとする。
その他の値を,表1に示す。
表1 シートについてフィックの法則から理論的に求めた無次元値
D・ 攀一 c/cs
0.01 0.07
0.10 0.22
0.5 0.51
0.7 0.60
1.0 0.70
1.5 0.82
2.0 0.89
3.0 0.96
4.0 0.99
5.0 1.00
計算例 :
試験データを理論値のグラフに適合させた後,c/cs=0.7の計算値から濃度c70%を読み取り,次の式を用
いてcsを算出する。
c70%
cs
7.0
ここに, cs及びc70%の単位はmg/gである。

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c70%での実測時間t70を用いて,次の関係から拡散係数D (mm2/s) を算出できる。
2
D t70
2
1
d
又は
d2
D 2
t70
t70を単位sで表し, 梏 似し,平たい試験片厚さを1mmとすると,次の式が得られる
1
D
10 t70
備考 23℃のプラスチックの場合,代表的なDの値は10-6mm2/sで,1mm厚さの試験片では,t70は105
秒(又は,1日)になる。この厚さを用いると,cs及びDの算出に必要な水中浸せき時間は,
通常,1週間を超えない。
8. 精度 試験室間データが得られていないので,この試験の精度は分からない。現在,実験室間データ
を採取しつつあり,精度の記載は次の版に追加する。
9. 試験報告書 試験報告書には,必要に応じて,次の項目を記入する。
a) この規格番号
b) 試験した材料又は製品の詳細
c) 試験片の形状,作製方法(特に,切り出したかどうか),寸法,最初の質量及び,必要に応じて,最初
の表面積と表面状態(例えば,切削加工したかどうか)。
d) 用いた測定方法(A,B,C又はD法)及び浸せき時間 (s)
e) 結果の平均値及び標準偏差を含め,7.に示す結果の表し方のいずれかによって算出した吸水率(7.1及
び7.2に規定した計算方法で,吸水率が負の値になった場合には,そのことを試験報告書に明記する
必要がある。)
f) 7.2によって算出した23℃での飽和吸水率cs又はcs (50%)。
g) 7.2によって算出した23℃での拡散係数。
h) 結果に影響したと思われるすべての事柄。
i) 試験年月日

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附属書A(参考)
試験片の吸水率とフィックの拡散法則との相関関係の証明
シート状ポリマーの場合には,コンピュータによってデータをフィックの法則の解(2)に適合させること
ができる。時間の関数として試験で求めた水分含有量を次のように表すことによって,最小二乗法で拡散
係数D及び平衡吸水率cSを求めることができる。
20
8 1 2(k )1 2 D2
c(t) s cs 2
exp t (1)
k 12(k )1 2 d2
ここに, k= 1, 2, 3,···20
d : 試験片の厚さ
図式解法に比べて,この方法は次の利点をもっている。
− 結果が試験員に依存しない。
− フィックの法則からのずれが分かる。
− c (t) の異常値は,特定して解析から除外することができる。
− 必要な最大浸せき時間tmaxを推定する基準がある。
c=f (t) の図で,t70付近で湾曲点(図A.1参照)を過ぎた後,式 (A.1) を試験データに適合させて求め
たcsとDの値が,浸せき時間をtmaxまで増加しても大きく変化しない場合には,ポリマー試験片の水分吸
収がフィックの法則とよく一致することが分かる。試験が示すところでは,そのような試験片について,
tmax≧t70で求めたcs及びDとtmax→∞で求めたcs及びDとの間のずれは,それぞれ10%以下及び20%以下
である。
注(2) hm社Dr. J. Lehman及びDr. Th. Arndtの私信による。
高分子学会編 高分子と水[共立出版(株)]
滝澤 章 コンピュータでみる高分子材料中の物質移動[講談社サイエンティフィク]

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図A.1 フィックの法則をシートに適用した場合の理論解

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JIS K 7209:2000の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 62:1999(IDT)

JIS K 7209:2000の国際規格 ICS 分類一覧

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