JIS M 8264:2006 クロム鉱石―けい素定量方法

JIS M 8264:2006 規格概要

この規格 M8264は、クロム鉱石中のけい素定量方法について規定。

JISM8264 規格全文情報

規格番号
JIS M8264 
規格名称
クロム鉱石―けい素定量方法
規格名称英語訳
Chromium ores -- Determination of silicon content
制定年月日
1962年8月1日
最新改正日
2016年10月20日
JIS 閲覧
‐ 
対応国際規格

ISO

ISO 5997:1984(MOD)
国際規格分類

ICS

73.060.30
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
金属分析 I 2019, 金属分析 II 2019
改訂:履歴
1962-08-01 制定日, 1965-10-01 確認日, 1969-04-01 確認日, 1969-09-01 改正日, 1972-08-01 確認日, 1975-07-01 確認日, 1978-10-01 確認日, 1982-03-01 改正日, 1988-02-01 確認日, 1993-03-01 改正日, 1998-11-20 確認日, 2004-03-20 確認日, 2006-05-20 改正日, 2011-10-20 確認日, 2016-10-20 確認
ページ
JIS M 8264:2006 PDF [10]
                                                                                   M 8264 : 2006

まえがき

  この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,日本フェロアロイ
協会(JFA)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格(日本産業規格)を改正すべきとの申出
があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格(日本産業規格)である。
これによって,JIS M 8264:1993は改正され,この規格に置き換えられる。
改正に当たっては,日本工業規格(日本産業規格)と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格(日本産業規格)の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 5997:1984,Chromium ores and
concentrates−Determination of silicon content−Molecular absorption spectrometric method and gravimetric
methodを基礎として用いた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任をもたない。
JIS M 8264には,次に示す附属書がある。
附属書(参考)JISと対応する国際規格との対比表

(pdf 一覧ページ番号 1)

――――― [JIS M 8264 pdf 1] ―――――

M 8264 : 2006

pdf 目 次

ページ

  •  序文・・・・[1]
  •  1. 適用範囲・・・・[1]
  •  2. 引用規格・・・・[1]
  •  3. 一般事項・・・・[1]
  •  4. 定量方法・・・・[1]
  •  5. 二酸化けい素重量法・・・・[1]
  •  5.1 要旨・・・・[1]
  •  5.2 試薬・・・・[2]
  •  5.3 装置及び器具・・・・[2]
  •  5.4 試料はかりとり量・・・・[2]
  •  5.5 操作・・・・[2]
  •  5.6 空試験・・・・[4]
  •  5.7 計算・・・・[4]
  •  5.8 許容差・・・・[4]
  •  附属書(参考)JISと対応する国際規格との対比表・・・・[6]

(pdf 一覧ページ番号 2)

――――― [JIS M 8264 pdf 2] ―――――

                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
M 8264 : 2006

クロム鉱石−けい素定量方法

Chromium ores-Determination of silicon content

序文

 この規格は,1984年に第1版として発行されたISO 5997,Chromium ores and concentrates−
Determination of silicon content−Molecular absorption spectrometric method and gravimetric methodを翻訳し,
技術的内容を変更して作成した日本工業規格(日本産業規格)である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,原国際規格を変更している事項である。変
更の一覧表をその説明を付けて,附属書(参考)に示す。

1. 適用範囲

 この規格は,クロム鉱石中のけい素定量方法について規定する。
備考1. クロム鉱石中のけい素含有率は,二酸化けい素含有率として表示することができる。
2. この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 5997:1984,Chromium ores and concentrates−Determination of silicon content−Molecular
absorption spectrometric method and gravimetric method (MOD)

2. 引用規格

 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS M 8261 クロム鉱石−化学分析方法−通則
備考 ISO 6629:1981,Chromium ores and concentrates−Methods of chemical analysis−General
instructionsからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。

3. 一般事項

 定量方法に共通な一般事項は,JIS M 8261による。

4. 定量方法

 クロム鉱石中のけい素定量方法は,二酸化けい素重量法による。この方法は,けい素含有
率0.1 %(質量分率)以上の試料に適用する。

5. 二酸化けい素重量法

5.1 要旨

 試料を酸分解する場合は,試料を過塩素酸で白煙処理し,塩酸でクロムを揮散させながら分
解し,再び白煙処理して不溶解残さ及び沈殿をろ別する。不溶解残さ及び沈殿を炭酸ナトリウムで融解し,
過塩素酸で白煙処理して,けい素を不溶解性二酸化けい素としてろ別し,強熱してその質量をはかる。
試料をアルカリ融解する場合は,試料を過酸化ナトリウムで融解し,水で抽出した後,塩酸溶液にして,
過塩素酸で白煙処理をして沈殿をろ別する。ろ液及び洗液は,加熱濃縮を行った後,再び過塩素酸で白煙

――――― [JIS M 8264 pdf 3] ―――――

2
M 8264 : 2006
処理して二酸化けい素を回収する。得られた沈殿を強熱して,その質量をはかる。
その後,上記のいずれの場合も,これを硫酸及びふっ化水素酸で処理し,二酸化けい素を揮散させてそ
の質量をはかり減量を算出する。

5.2 試薬

 試薬は,次による。
a) 塩酸
b) 塩酸 (1+2,1+4,1+10)
c) 硝酸
d) 過塩素酸
e) ふっ化水素酸
f) 硫酸 (1+1)
g) 炭酸ナトリウム
h) 過酸化ナトリウム
i) 過酸化水素
j) チオシアン酸カリウム溶液 (100 g/L)

5.3 装置及び器具

 装置及び器具は,通常,次のものを用いる。
a) ニッケルるつぼ,ジルコニウム製るつぼ又は鉄るつぼ
b) 白金るつぼ(30番)
c) 電気炉 1 0001 100 ℃に維持できるもの

5.4 試料はかりとり量

 試料はかりとり量は,けい素含有率に応じ,表1による。
表 1 試料はかりとり量
けい素含有率 試料はかりとり量(1)
%(質量分率) g
0.1以上2.5未満 1.00
2.5以上 0.50
注(1) 分析用試料は,JIS M 8261の4.3(試料)による。

5.5 操作

  警告
a) 過塩素酸の蒸気は,アンモニア,亜硝酸蒸気又は有機物が存在すると爆発する危険がある。過塩素
酸の蒸発処理は,過塩素酸を使用しても安全な排気設備を備えた場所で行わなければならない。
b) 二酸化二塩化クロミルは,毒性があるため吸入,又は皮膚,目及び衣類との接触に注意する。
5.5.1 試料の分解 試料の分解は,次のa)又はb)のいずれかによる。
a) 酸分解の場合
1) 分解 はかりとった試料(5.4)をビーカー(300 mL)に移して時計皿で覆い,水5 mLで湿し,過塩素酸
50 mLと硝酸5 mLとを加え,加熱して過塩素酸の白煙を発生させながら分解する。クロムが酸化
して赤色を呈したとき,加熱しながら塩酸を少量ずつ加えて,クロムを二酸化二塩化クロミルとし
て揮散させ,未分解の試料を分解する。更に加熱を続け,過塩素酸の白煙を発生させてクロムを酸
化し(2),塩酸を少量ずつ加えてクロムの揮散を繰り返して試料を完全に分解する。引き続き過塩素
酸の蒸気がビーカー内を伝わって逆流する状態で透明になるまで加熱を続ける。さらに,過塩素酸
の大部分が蒸発するまで加熱する。ただし,蒸発して乾固してはならない。その後,放冷する。ビ
ーカーの内壁を少量の水で洗った後,塩酸(1+4) 50 mLを加え加熱して可溶性塩類を溶解する(3)。

――――― [JIS M 8264 pdf 4] ―――――

                                                                                              3
M 8264 : 2006
直ちに温水約50 mLを加え,ろ紙(5種C)を用いてろ別する。ビーカー内壁に付着した未溶解残
さ及び沈殿は,ポリスマン(ゴム付きガラス棒)でこすってろ紙上に移す。始めは温塩酸(1+10)で
鉄イオンの反応がなくなるまで(4),次に温水で数回洗浄する。
注(2) 過塩素酸が揮発して不足する場合は,1015 mL追加して操作を続ける。
(3) 長時間加熱して煮沸を続けると,不溶性のけい酸は,再び可溶性になるおそれがあるので,溶
解は短時間で行い,溶解後は直ちにろ別するようにしなければならない。
(4) 洗液の一部を採り,チオシアン酸カリウム溶液を加えたときに橙赤色を示さなくなるまで洗浄
する。
2) 未溶解残さの処理 1)で得た未溶解残さ及び沈殿は,ろ紙とともに白金るつぼ(30番)に移し,乾
燥後徐々に加熱してろ紙を灰化する。放冷した後,白金るつぼに炭酸ナトリウム約3 gを加え,ふ
たをして9001 000 ℃に加熱して未溶解残さ及び沈殿を融解する。放冷した後,白金るつぼをふた
とともに元のビーカーに移し,塩酸(1+2) 50 mLを加え,加熱して融成物を溶解した後,白金るつ
ぼ及びふたを水で洗って取り出す。ビーカーに過塩素酸30 mLを加え,加熱して過塩素酸の蒸気が
ビーカー内壁を伝わって逆流する状態で乾固させないように約1520分間加熱した後,放冷する。
3) 二酸化けい素の分離 2)で処理したビーカーに塩酸(1+4) 30 mLを加え,加熱して可溶性塩類を溶
解する(2)。直ちに温水約50 mLを加えろ紙(5種C)を用いてろ別する。ビーカー内壁に付着した
未溶解残さ及び沈殿は,ポリスマンでこすってろ紙上に移す。始めは温塩酸(1+10)で鉄イオンの反
応がなくなるまで(3),次に温水で数回洗浄する。
b) アルカリ融解の場合
1) 分解 はかりとった試料(5.4)をニッケルるつぼ,ジルコニウムるつぼ又は鉄るつぼ(30 mL)に移し,
過酸化ナトリウム810 gを加えてよく混合し,更に過酸化ナトリウム12 gで混合物を覆う。始
めは低温でるつぼを回転させながら内容物が溶け落ちるまで加熱し,次に温度を上げ,約700 ℃で
5分間融解する。放冷した後,るつぼをポリテトラフルオロエチレン製のビーカー(500 mL)に移し,
温水約150200 mLを加えて融成物を抽出する。放冷した後,温水でるつぼを洗い出し,塩酸(1+
2) 100 mLを加え,加熱して可溶性塩類を溶解する。溶液をビーカー(500 mL)に移し入れ,過塩素酸
60 mLを加え,加熱して過塩素酸の蒸気がビーカー内壁を伝わって逆流する状態で,15分間加熱を
続け,放冷する。
2) 二酸化けい素の分離 1)で処理したビーカーに塩酸(1+10) 30 mLを穏やかに注ぎ,更に150200
mLの水を加え,加熱して塩類を溶解する。過酸化水素10 mLを少量ずつ加え,クロムを還元した
後,約1分間煮沸する(2)。ろ紙(5種B)を用いてろ別し,ビーカー内壁に付着した沈殿は,ポリ
スマンでこすってろ紙上に移す。始めは温塩酸(1+10)で鉄イオンがなくなるまで,次に温水で数回
ろ紙上を洗浄する。ろ紙は沈殿とともに保存しておく。
3) 二酸化けい素の回収 2)で得たろ液及び洗液をビーカー(500 mL)に移し入れ,過塩素酸10 mLを加
えて,加熱して過塩素酸の蒸気がビーカー内壁を伝わって逆流する状態で,15分間加熱を続け,放
冷する。4050 mLの水を加え,加熱して塩類を溶解し,過酸化水素10 mLを少量ずつ加え,クロ
ムを還元した後,約1分間煮沸する(2)。ろ紙(5種B)でろ別し,ビーカー内壁に付着した沈殿は,
ポリスマンでこすってろ紙上に移し,始めは温塩酸(1+10)で鉄イオンの反応がなくなるまで(3),次
に温水で数回洗浄する。
5.5.2 灰化及びひょう量 5.5.1のa) 3)又はb) 3)で得た沈殿を,ろ紙とともに白金るつぼ(30番)に移し
入れる。乾燥した後,徐々に加熱してろ紙を灰化する。

――――― [JIS M 8264 pdf 5] ―――――

次のページ PDF 6

JIS M 8264:2006の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 5997:1984(MOD)

JIS M 8264:2006の国際規格 ICS 分類一覧

JIS M 8264:2006の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISM8261:2018
クロム鉱石―分析方法通則