JISP8220-3 : 2020 パルプ−離解方法−第3部:機械パルプの離解(85℃以上)

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附属書B(規定)標準離解機の点検

B.1

点検項目

標準離解機は,次の項目に留意して定期的に点検する。

a) プロペラ軸は,回転がスムーズで常に容器の中心にある。

b) プロペラの回転速度が,規定(A.4参照)のとおりである。

c) プロペラ羽根が,規定どおりの位置(A.3参照)に設定してある(プロペラゲージを用いた点検でも

よい。)。

d) プロペラ羽根の寸法が,規定(A.3参照)のとおりであり,プロペラ羽根が損傷していない。

B.2

点検頻度

装置が正しく使用されていれば,標準離解機のその他の寸法は一定に保たれるが,使用状況に応じて,

製造業者の指定する頻度で点検しなければならない。

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附属書C(参考)機械パルプでのレーテンシィの効果

C.1 概要

1966年にビース(参考文献[1])らは,機械パルプの製造工程でパルプに発生した変形が,潜在的に保持

されることを実証し,それをレーテンシィ現象と命名した。

レーテンシィは,機械的に繊維化したパルプのようなリグニン量の多いパルプで見られる。この附属書

ではレーテンシィ現象について記載し,熱離解によってパルプからレーテンシィを除いたときに発生する

パルプ特性の変化の例を幾つか紹介する。

C.2 レーテンシィと呼ばれる現象

機械パルプの製造過程で,リグニンの軟化温度を超える温度になるとパルプ繊維が分離する。繊維の分

離の際に発生したカール又はねじれは,図C.1に示すように冷却後も持続する。レーテンシィは,室温の

水で離解してもパルプから除くことができない(図C.2参照)。

パルプからレーテンシィを除くためには,85 ℃以上の温度を加えて熱離解するなど,パルプ懸濁液にリ

グニンの軟化温度を超える温度を加えて離解する必要がある。

注記 リグニンの軟化温度は化学処理と同様,参考文献[3]に記載のとおり繊維を分離する時の温度に

も影響を受ける。

1 リファイナー

a 冷却

b 25 ℃での室温離解

c 85 ℃以上での熱離解

図C.1−機械パルプのレーテンシィにおける室温離解及び熱離解の効果(参考文献[2])

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a) レーテンシィあり

b) レーテンシィなし

図C.2−レーテンシィ有無によるパルプ繊維の電子顕微鏡写真(参考文献[4])

バウアーmcネット繊維分級装置を使って,30メッシュ通過50メッシュ保持のもの

パルプ繊維が屈曲していると,そのパルプ繊維が真っ直ぐになった状態で示すパルプ特性とは異なった

特性を示す。

C.3 レーテンシィがパルプ特性に与える影響

砕木パルプ(GP)及びリファイナー砕木パルプ(RGP)のように,低濃度かつ高温で処理するリファイ

ニングでは,低濃度かつ室温での離解に比べてカナダ標準ろ水度は低下し,破裂強さは大きくなる(参考

文献[1])。

サーモメカニカルパルプ(TMP)は,引張強さ,破裂強さなどの特性で,最もレーテンシィの影響を受

ける。インターナルボンドテスター法(参考文献[8])及びZ軸方向引張強さ(参考文献[9])のような繊維

間結合に関する強さ及び引裂強さはレーテンシィの影響を受けない。

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参考文献

[1] Beath L. R., Neill M. T., Masse F. A. Latency in mechanical pulps. Pulp and Paper Mag. of Canada, 67 (10),

1966, T423.

[2] Mohlin, U-B. Latency in thermomechanical pulps−Contribution of the various fractions. Tappi, 63 (3), 1980,

pp 83-86

[3] Salm?n L., Lucander M., H?rk?nen E., Sundholm J. Fundamentals of mechanical pulping−Rheological

behaviour of wood. Papermaking Science and Technology Handbooks−Part 5: Mechanical Pulping. Ed. J.

Sundholm. Fapet Oy, Jyv?skyl?, 1999, pp 35-39.

[4] Mohlin, U-B. The contribution of different pulp fractions to the latency effect in thermomechanical pulps. 1979

International mechanical Pulping Conference, Toronto, Ontario. 1979, pp. 13-22.

[5] JIS P 8220-2 パルプ−離解方法−第2部:機械パルプの離解(20 ℃)

[6] JIS P 8121-1 パルプ−ろ水度試験方法−第1部:ショッパー・リーグラ法

[7] JIS P 8121-2 パルプ−ろ水度試験方法−第2部:カナダ標準ろ水度法

[8] ISO 16260,Paper and board−Determination of internal bond strength.

[9] ISO 15754,Paper and board−Determination of z-directional tensile strength.

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附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表

JIS P 8220-3:2020 パルプ−離解方法−第3部:機械パルプの離解(85 ℃以上) ISO 5263-3:2004,Pulps−Laboratory wet disintegration−Part 3: Disintegration of

mechanical pulps at ≧ 85 ℃

(I)JISの規定

(II)

国際

規格

番号

(III)国際規格の規定

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと

の評価及びその内容

(V)JISと国際規格との技術的差

異の理由及び今後の対策

箇条番号

及び題名

内容

箇条

番号

内容

箇条ごと

の評価

技術的差異の内容

3 用語及び

定義

3

追加

用語及び定義としてJIS P 0001の

引用を追加した。

理解しやすくするための追加であ

り,技術的差異はない。

4 主な装

置,器具及

び水

4

JISとほぼ同じ

追加

ISO規格では装置を規定している

が,JISでは水の規定を追加した。

理解しやすくするための追加であ

り,技術的差異はない。

4.1 標準離解機

4.1

4.1.1

4.1.2

2種類の離解機につい

て規定

変更

標準離解機だけ規定した。

日本国内では標準離解機しか使用

していないためである。技術的差

異はない。

5 試料の調

5

2種類の離解機を使用

する際の,それぞれのサ

ンプル採取量について

規定

削除

標準離解機を使用する際のサンプ

ル採取量だけを記載した。

日本国内では標準離解機しか使用

していないためである。技術的差

異はない。

試料を標準水に浸せき

する際の温度を20 ℃±

5 ℃とする。気候上この

条件で問題がある場合

は25 ℃から30 ℃まで

とする。

変更

日本では気候上の問題はない。

20 ℃±5 ℃だけとした。

国内事情による変更であり,技術

的差異はない。

6 操作

6.2 離解機による操

6.2

離解処理後に冷水によ

り希釈するが,濃度は3

g/L以上とする。

変更

希釈後の濃度は規定しない。希釈後

に通常行うろ水度試験の規定濃度

を参考として記載した。

理解しやすくするための追加であ

り,技術的差異はない。

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-3

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JIS P 8220-3:2020の対応国際規格一覧

  • ISO 5263-3:2004(MOD)

JIS P 8220-3:2020の国際規格分類一覧

  • 85.040

JIS P 8220-3:2020の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
P0001
紙・板紙及びパルプ用語
P8203
紙,板紙及びパルプ−絶乾率の測定方法−乾燥器による方法
P8216
パルプ−物理試験用標準水
P8225
パルプ−紙料の固形分濃度測定方法