この規格ページの目次
9
Q 10012 : 2011 (ISO 10012 : 2003)
手引
測定機器の特性の例を,次に示す。
− 測定範囲
− バイアス
− 繰返し性
− 安定性
− ヒステリシス
− ドリフト
− 影響を与える量の効果
− 分解能
− 識別能[しきい(閾)値]
− 誤差
− 不感帯
測定機器の計量特性は,測定の不確かさ(7.3.1参照)の要因となる。
測定の不確かさは,計量確認を確立するために計量要求事項と計量特性との直接(定量的に)
比較を可能にする。
例えば,“測定機器に要求される正確さ”というような,計量特性の定性的な記述は避ける
ことが望ましい。
7.1.2 計量確認の間隔
計量確認の間隔の決定又は変更に使用する方法は,文書化された手順に記載しなければならない。この
間隔は,規定した計量要求事項に対する継続的な適合性を確保するために,必要なときにレビューし,調
整しなければならない。
手引
計量確認の間隔を決定するために,校正及び計量確認履歴から得られるデータ,及び先進の
知識及び技術を使用してもよい。測定のための統計的プロセス管理技法を利用して得た記録
は,計量確認の間隔を修正すべきか否かを判定するときに役立つ。
校正の間隔は,計量確認の間隔と等しくしてよい(OIML D10参照)。
不適合測定機器を修理,調整又は改修したときは,その都度,その計量確認の間隔をレビューしなけれ
ばならない。
7.1.3 機器の調整管理
その設定がパフォーマンスに影響を与える,計量確認済みの測定機器の調整手段及び調整装置へのアク
セス部は,無許可の変更を防止するために,封印するか,又はこれ以外の保護手段を講じなければならな
い。封印又は保護手段は,無許可の変更を検出できるように設計し,実施しなければならない。
計量確認プロセス手順は,封印又は保護処置が損傷したり,破壊したり,無視されたり又は失われたと
きに講じるべき処置を含めなければならない。
――――― [JIS Q 10012 pdf 11] ―――――
10
Q 10012 : 2011 (ISO 10012 : 2003)
手引
封印に関する要求事項は,例えばゼロ点調整装置のような,外部の基準を必要とすることな
く使用者が設定するように意図された調整手段又は調整装置には適用しない。
ソフトウェア及びファームウェアの無許可の変更を防止するための書き込み保護技術に,特
に配慮することが望ましい。
どの測定機器を封印すべきか,封印する制御又は調整部位,及び封印材料(例えば,ラベル,
はんだ,ワイヤ,塗料)についての決定は,通常,計量機能に任される。計量機能による封印
プログラムの実施は,文書化することが望ましい。全ての測定機器を封印するわけではない。
7.1.4 計量確認プロセスの記録
計量確認プロセスの記録は,適宜,結果の正確さを証明するために日付を記入し,権限をもつ人の承認
を受けなければならない。
これらの記録は,維持され,利用可能でなければならない。
手引
記録を保管する最短期間は,顧客要求事項,法令・規制要求事項及び製造業者責任を含む,
多くの要素が影響を与える。計量標準に関する記録は,無期限に保管することが必要な場合も
ある。
計量確認プロセスの記録は,測定機器の各項目が規定した計量要求事項を満たしているかどうかを実証
できるものでなければならない。
記録には,必要に応じて次の事項を含めなければならない。
a) 機器製造業者,形式,製造番号などの記述及び固有の識別
b) 計量確認を完了した日付
c) 計量確認の結果
d) 指定した計量確認の間隔
e) 計量確認手順の識別(6.2.1参照)
f) 指定の最大許容誤差
g) 該当する環境条件及び必要な補正に関する記述
h) 機器の校正に伴う不確かさ
i) 実施した調整,修理又は改修のような保守の詳細
j) 使用上の制限事項
k) 計量確認を実施した要員の識別
l) 記録した情報の正確さに関する責任者の識別
m) 校正証明書,報告書,その他の関係文書の固有の識別(シリアル番号など)
n) 校正結果のトレーサビリティの証拠
o) 意図した用途に対する計量要求事項
p) 調整,改修又は修理後に得た,また必要な場合には,その前に得た校正結果
――――― [JIS Q 10012 pdf 12] ―――――
11
Q 10012 : 2011 (ISO 10012 : 2003)
手引
校正結果は,全ての測定のトレーサビリティが実証できて,元の条件に近い条件の下で校正
結果が再現できるように記録することが望ましい。
場合によっては,検証結果は,機器が規定要求事項に適合している(又は適合していない)
と明記された校正証明書又は報告書に含まれる。
記録の形式は,手書き,タイプ打ち,マイクロフィルム,電子メモリ,磁気メモリ,その他
のデータメディアによってもよい。
最大許容誤差は,計量機能が決定しても,又は測定機器製造業者が発行する仕様書を参照し
て決定してもよい。
計量機能は,権限を与えられた要員だけが記録を作成し,修正し,発行し又は削除することが許される
ことを確実にしなければならない。
7.2 測定プロセス
7.2.1 一般
計測マネジメントシステムの一部である測定プロセスは,計画し,妥当性を確認し,実施し,文書化し,
管理しなければならない。測定プロセスに影響を及ぼす量は,識別し,考慮しなければならない。
各測定プロセスの完全な仕様書には,関連する全ての機器の識別,測定手順,測定のソフトウェア,使
用条件,操作者の能力,更に,測定結果の信頼性に影響を与えるその他の全ての要素を記載しなければな
らない。測定プロセスの管理は,文書化された手順に従って実施しなければならない。
手引
測定プロセスは,単一の測定機器の使用に限定することができる。
測定プロセスでは,例えば,環境条件を原因として,データの補正が必要になる場合がある。
7.2.2 測定プロセスの設計
計量要求事項は,顧客,組織及び法令・規制要求事項に基づいて決定しなければならない。これらの規
定された要求事項を満たすように設計した測定プロセスは,文書化し,適宜その妥当性を確認し,必要が
あれば顧客の同意を得なければならない。
それぞれの測定プロセスについて,関連するプロセス要素及び管理方法を明確にしなければならない。
要素及び管理限界の選定は,規定した要求事項に不適合となるリスクに相応したものでなければならない。
こうしたプロセス要素及び管理方法には,操作者,機器,周囲条件,影響量及び適用方法の影響を含めな
ければならない。
――――― [JIS Q 10012 pdf 13] ―――――
12
Q 10012 : 2011 (ISO 10012 : 2003)
手引
測定プロセスを規定する場合は,次の事項を決定することが必要な場合がある。
− 製品の品質を確保にするために,どの測定が必要か
− 測定方法
− 測定を実施し,それを定義するために必要な機器
− 測定を実施する要員に求められる技能及び資格
測定プロセスは,妥当性を確認した別のプロセスの結果との比較,他の測定方法によって得
た結果との比較,又は測定プロセス特性の継続的分析によって検証してもよい。
測定プロセスは,誤った測定結果を防止するように設計し,欠陥の迅速な検出及びタイムリーな是正処
置が確実に行えるようにしなければならない。
手引
測定プロセス管理に費やされる労力は,組織の最終製品の品質に対する測定の重要性に釣り
合うことが望ましい。高度の測定プロセス管理が適切な例として,重要又は複雑な測定システ
ム,製品の安全性を確保する測定,正確でなければコスト高を招くような測定などが挙げられ
る。重要でない部品の簡単な測定には,最低限のプロセス管理でよい。機械加工部品の測定用
ハンドツールを使用する場合のように,同様の種類の測定機器及びアプリケーションについて
は,プロセス管理のための手順を共通にしてもよい。
測定プロセスに対する影響量の効果は,定量化することが望ましい。このためには,特別な
実験又は調査を計画し,実施しなければならないことがある。これが不可能な場合は,機器製
造業者から提供されるデータ,仕様書及び注意書きを利用することが望ましい。
測定プロセスの意図した用途に必要なパフォーマンス特性を明確にして,定量化しなければならない。
手引
特性の例を,次に示す。
− 測定の不確かさ
− 安定性
− 最大許容誤差
− 繰返し性
− 再現性
− 操作者の技能水準
測定プロセスによっては,これ以外の特性が重要になる場合がある。
7.2.3 測定プロセスの実現
測定プロセスは,計量要求事項を満たすように設計した管理条件下で実現しなければならない。
管理すべき条件には,次の事項を含めなければならない。
a) 計量確認された機器の使用
――――― [JIS Q 10012 pdf 14] ―――――
13
Q 10012 : 2011 (ISO 10012 : 2003)
b) 妥当性が確認された測定手順の適用
c) 必要な情報資源の可用性
d) 必要な環境条件の維持
e) 力量のある要員の活用
f) 結果の適正な報告
g) 規定されたとおりの監視の実施
7.2.4 測定プロセスの記録
計量機能は,次の事項を含めて,測定プロセスの要求事項への適合性を実証するための記録を維持しな
ければならない。
a) 使用する全ての要素(例えば,操作者,測定機器,点検基準)及び関連する運用条件を含む,測定プ
ロセスの実施の完全な記述
b) 測定の不確かさに関する情報を含む,測定プロセス管理で得られた関連データ
c) 測定プロセス管理で得られたデータの結果を受けて講じた処置
d) 各測定プロセス管理活動が実施された日付
e) 関連する検証文書の識別
f) 記録のための情報の提供責任者の識別
g) 要員に要求された能力及び要員が到達した能力
手引
測定プロセス管理で使用される消耗品に対する記録目的としては,バッチ識別が適切な場合
もある。
計量機能は,権限を与えられた要員だけが記録を作成し,修正し,発行し又は削除することが許される
ようにしなければならない。
7.3 測定の不確かさ及びトレーサビリティ
7.3.1 測定の不確かさ
測定の不確かさは,計測マネジメントシステムの対象となるそれぞれの測定プロセスについて,推定し
なければならない(5.1参照)。
不確かさの推定値は,記録しなければならない。測定の不確かさの分析は,測定機器の計量確認及び測
定プロセスの妥当性確認の前に完了しておかなければならない。測定のばらつきの既知の原因は,全て文
書化しなければならない。
――――― [JIS Q 10012 pdf 15] ―――――
次のページ PDF 16
JIS Q 10012:2011の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 10012:2003(IDT)
JIS Q 10012:2011の国際規格 ICS 分類一覧
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.020 : 度量衡及び測定一般
- 03 : サービス.経営組織,管理及び品質.行政.運輸.社会学. > 03.120 : 品質 > 03.120.10 : 品質管理及び品質保証
JIS Q 10012:2011の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISQ9000:2015
- 品質マネジメントシステム―基本及び用語