JIS Q 10012:2011 計測マネジメントシステム―測定プロセス及び測定機器に関する要求事項 | ページ 4

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Q 10012 : 2011 (ISO 10012 : 2003)
手引
関連する概念及び不確かさの構成要素を組み合わせて結果を表現する場合に利用できる方
法については,“計測における不確かさの表現ガイド(GUM)”に示されている。このほかの
文書化されて受け入れられている方法を使用してもよい。
不確かさの一部の構成要素には,他の構成要素と比較すると小さく,そのため,技術的又は
経済的な根拠からすると,詳細な決定が妥当でなくなるものがある。このような場合は,判定
及び妥当性の根拠を記録することが望ましい。いずれの場合も,測定の不確かさの決定及び記
録に費やす労力は,組織の製品の品質に対する測定結果の重要性に釣り合ったものであること
が望ましい。不確かさの決定の記録は,個々の測定プロセスに付加される要因を含めて,類似
タイプの測定機器に対して“共通の記述”の形態をとってもよい。
測定結果の不確かさは,その他の要因の中でも,特に,測定機器の校正の不確かさを考慮す
ることが望ましい。
以前の校正結果の分析及び複数の類似測定機器の複数の類似項目の校正結果の評価に統計
的技法を適切に使用することは,不確かさの推定に役立つことができる。
注記 上記のGUMは,ISO/IEC Guide 98-3:2008として制定されている。
7.3.2 トレーサビリティ
計量機能の管理者は,全ての測定結果に国際単位系(以下,SIという。)までの確実なトレーサビリテ
ィがあるようにしなければならない。
測定のSIまでのトレーサビリティは,適切な一次標準を基準とするか,又はその値が関連するSIで既
知のもので,かつ,国際度量衡総会及び国際度量衡委員会が推奨している自然定数を参照して達成しなけ
ればならない。
合意があれば,SI又は認知された自然定数が存在しない場合に限って,契約時に使用することが合意さ
れた標準を使用しなければならない。
手引
トレーサビリティは,通常,国家計量標準まで自身のトレーサビリティを確保している信頼
できる校正試験所を通じて達成する。例えば,JIS Q 17025の要求事項に適合している試験所は,
信頼できるものとしてもよい。
国家計量機関は,国家計量機関以外の施設が国家計量標準を保有している場合を含めて,国
家計量標準及びそのトレーサビリティの責任機関である。測定結果は,測定が実施された国以
外の国家計量機関を通じてトレーサビリティが確認されていてもよい。
認証標準物質を,参照標準とみなしてもよい。
測定結果のトレーサビリティの記録は,計測マネジメントシステム,顧客,法令・規制要求事項が求め
る期間を維持しなければならない。

――――― [JIS Q 10012 pdf 16] ―――――

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8 計測マネジメントシステムの分析及び改善

8.1 一般

  計量機能は,次の事項に必要な監視,分析及び改善を計画し,実施しなければならない。
a) この規格に対する計測マネジメントシステムの適合性を確実にする。
b) 計測マネジメントシステムを継続的に改善する。

8.2 監査及び監視

8.2.1  一般
計量機能は,適宜,監査,監視,その他の技法を用いて,計測マネジメントシステムの妥当性及び有効
性を判定しなければならない。
8.2.2 顧客満足
計量機能は,顧客の計量のニーズが満たされたかどうかに関して,顧客満足に関連する情報を監視しな
ければならない。この情報の入手方法及び使用方法を,規定しなければならない。
8.2.3 計測マネジメントシステムの監査
計量機能は,計測マネジメントシステムの監査を計画し,実施して,計測マネジメントシステムが継続
して有効であり,かつ,規定の要求事項に適合していることを確認しなければならない。監査結果は,組
織のマネジメントのうちの関係当事者に報告しなければならない。
計測マネジメントシステムの監査結果及び計測マネジメントシステムへの変更は,全て記録しなければ
ならない。組織は,発見した不適合及びその原因を取り除くための処置を不当に遅滞することなく講じな
ければならない。
手引
計測マネジメントシステムの監査は,組織のマネジメントシステムの監査の一部として実施
してもよい。
JIS Q 19011は,監査システムの指針を提供している。
計測マネジメントシステムの監査は,組織の計量機能が実施してもよいし,契約した要員又
は第三者機関の要員が実施してもよい。監査員は,自己が担当する領域の監査を行わない方が
よい。
8.2.4 計測マネジメントシステムの監視
計測マネジメントシステムを含むプロセスの中では,計量確認及び測定プロセスを監視しなければなら
ない。監視は,文書化された手順に従い,定められた間隔で実施しなければならない。
監視には,統計的技法を含めて,適用する方法及びその使用範囲の決定を含めなければならない。
計測マネジメントシステムの監視は,欠陥を速やかに検出し,その是正処置をタイムリーにとることに
よって,要求事項からの逸脱防止を図らなければならない。この監視は,規定の要求事項に不適合となる
リスクに相応したものでなければならない。
測定プロセス及び計量確認プロセスの監視結果,並びにその結果としての是正処置は,測定及び確認プ
ロセスが継続して文書化された要求事項に適合していることを実証するために,文書化しなければならな
い。

――――― [JIS Q 10012 pdf 17] ―――――

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8.3 不適合の管理

8.3.1  計測マネジメントシステムの不適合
計量機能は,不適合の検出が確実に行えるようにし,迅速な処置を講じなければならない。
手引
不適合要素は,不注意による使用を防止するために明確にすることが望ましい。
是正処置が実施されるまでの間,暫定処置(例えば,代替策)を講じてもよい。
8.3.2 測定プロセスの不適合
不正確な測定結果が出ることが分かっているか,又はその疑いのある測定プロセスは全て適切に識別し
て,適切な処置が講じられるまでそのプロセスを使用してはならない。
不適合の測定プロセスが識別された場合は,プロセスの使用者は潜在的影響を明確にして,必要な修正
を行い,更に必要な是正処置を講じなければならない。
不適合を理由に修正した測定プロセスは,使用の前に妥当性を確認しなければならない。
手引
例えば,検査標準の劣化,操作者の力量の変化などの理由による測定プロセスの不具合は,
次のようなポストプロセス指標によって明らかにしてもよい。
− 管理図の分析
− 傾向チャートの分析
− 後続の検査
− 試験所間比較
− 内部監査
− 顧客のフィードバック
8.3.3 不適合の測定機器
どのような計量確認済みの機器でも,次のa) h)に示すような疑いがあるか,又はそれが明らかになっ
た機器は,使用現場から分離して撤去するか,目立つラベル又はマークを付けて識別しなければならない。
a) 損傷を受けた。
b) 過負荷となった。
c) 意図した用途を無効にするような誤動作をする。
d) 不正確な測定結果を出す。
e) 指定の計量確認の間隔を超える。
f) 誤った取扱いがされた。
g) 損傷,破壊された封印又は保護装置がある。
h) 意図した用途に悪影響を及ぼし得る影響量(例えば,電磁場,ダスト)に暴露された。
上記の機器は,不適合の原因を排除し,再び計量確認が行われるまで復帰してはならない。
意図された計量特性に復帰できない不適合の測定機器は,はっきりと表示するか,又はそれ以外の方法
で識別しなければならない。このような機器を別の用途に使用するための計量確認では,変更した状態を
はっきりと表し,また,使用上の制限事項があれば識別表示することを確実にしなければならない。

――――― [JIS Q 10012 pdf 18] ―――――

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手引
意図した用途に適さないと判明した機器の調整,修理又はオーバーホールが実際的でない場
合は,等級下げ及び/又は意図した用途の変更という選択肢がある。再分類は,見掛け上は同
一の機器で許容される用途が異なることによる混乱を招くおそれがあるため,多大な注意を払
って使用することが望ましい。これには,マルチレンジ機器のごく一部の範囲又は機能の,限
定された計量確認を含む。
調整又は修理に先立つ計量検証の結果から,測定機器がそれまでの測定結果の正確さが危ぶまれるなど
の計量要求事項を満たしていないことが明らかになった場合,機器の使用者は,潜在的影響を判断して必
要な処置を講じなければならない。これには,不適合の測定機器で得られた測定値を用いて生産された製
品の再検査が含まれることがある。

8.4 改善

8.4.1  一般
計量機能は,監査結果,マネジメントレビューの結果及び顧客からのフィードバックのようなその他の
関連要素に基づき,計測マネジメントシステムの継続的改善を計画し,運用管理しなければならない。計
量機能は,計測マネジメントシステムを改善し,必要に応じて修正するための潜在的な機会をレビューし,
明らかにしなければならない。
8.4.2 是正処置
関連する計測マネジメントシステムの要素が規定の要求事項を満たしていない場合,又は関連データが
受け入れられないパターンを示している場合は,原因を特定して,矛盾を排除するための処置を講じなけ
ればならない。
修正及び是正処置の解決策は,その測定プロセスを使用に復帰する前に検証しなければならない。
是正処置を講じる場合の基準は,文書化しなければならない。
8.4.3 予防処置
計量機能は,起こり得る測定又は計量確認の不適合の原因を排除するための処置を決定し,その発生を
防止しなければならない。予防処置は,起こり得る問題の影響に見合ったものでなければならない。次の
事項に関する要求事項を定めるために文書化された手順を確立しなければならない。
a) 起こり得る不適合及びその原因の特定
b) 不適合の発生を予防するための処置の必要性の評価
c) 必要な処置の決定及び実施
d) 講じた処置の結果の記録
e) 講じた予防処置のレビュー

――――― [JIS Q 10012 pdf 19] ―――――

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注a) 校正の識別/ラベル表示は,計量確認識別に置き換えてもよい。
b) 製品を受け取る組織又は個人(例 消費者,依頼人,エンドユーザ,小売業者,受益者及び購入者。)顧客は,
組織の内部又は外部のいずれでもあり得る(JIS Q 9000の3.3.5)。
図2−測定機器の計量確認プロセス

――――― [JIS Q 10012 pdf 20] ―――――

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JIS Q 10012:2011の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 10012:2003(IDT)

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