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Q 10012 : 2011 (ISO 10012 : 2003)
附属書A
(参考)
計量確認プロセスの概要
A.1
序文
計量確認プロセスは,顧客計量要求事項(CMR)及び測定機器の計量特性の二つをインプットとして,
並びに測定機器の計量確認状況をアウトプットとしてもっている。
A.2 顧客計量要求事項(CMR)
顧客計量要求事項は,顧客の生産プロセスに関係するものとして顧客が規定する測定要求事項である。
したがって,CMRは測定対象の変数の仕様に影響を受ける。CMRには,生産プロセス管理及びそのイン
プットに起因する要求事項に加えて,顧客仕様に対する製品の適合性の検証に関係する要求事項が含まれ
る。こうした要求事項の決定及び規定は顧客の責任であるが,このプロセスは,顧客に代わって適切な資
格をもつ者が実施してもよい。そのため,計量計測と同様,しばしば,生産プロセスに関する深い知識が
要求されることがある。CMRには,不適切な測定のリスク,並びにそれが組織及び事業に及ぼす影響を考
慮することが望ましい。CMRは,最大許容誤差,操作限界などによって表される。CMRは十分に詳細な
ものにして,意図した用途に従って特定の測定機器が特定の変数若しくは量を管理,測定又は監視するこ
とができるかどうかを,計量確認プロセスの操作者が明確に決定できるようにすることが望ましい。
例 プロセス反応器では,臨界運転のために圧力を200 kPa250 kPaの範囲に制御することが求めら
れる。この要求事項は,圧力測定機器に関するCMRとして解釈し,表現する。この結果,機器
は150 kPa300 kPaの範囲の圧力を測定することができ,かつ,最大許容誤差を2 kPa,測定の不
確かさを0.3 kPa(時間関連の影響は含まない),及び規定時間当たりのドリフトが0.1 kPaを超え
ないというCMRが成立することになる。顧客は,CMRを機器の製造業者が指定する(明示的又
は黙示的)特性と比較して,このCMRに最も適合する測定機器及び手順を選択する。顧客は,
精度等級0.5 %,測定範囲が0 kPa400 kPaの,特定の供給者の圧力計を指定してもよい。
A.3 測定機器計量特性(MEMC)
しばしば,MEMCは単一の校正(又は数回の校正)及び/又は試験によって決められるため,計量確認
システムにおける計量機能が,こうした必要な活動の全てを規定し,管理する。校正プロセスへのインプ
ットは,測定機器,計量標準及び環境条件を明記した手順である。校正結果には,測定の不確かさの記述
を含めることが望ましい。これは,その機器を使用する測定プロセスに対する測定の不確かさを評価する
ときの,インプットとして重要な特性である。校正結果は,計量確認システムにおける適切な方法,例え
ば,校正証明書若しくは校正報告書(校正を外部委託した場合)によって,又は校正結果の記録(組織の
計量機能内で全てを実施した場合)によって,文書化すればよい。
例えば,測定の不確かさのような測定の重要特性は,機器だけではなく,環境,規定された測定手順,
並びに場合によっては操作者の技能及び経験にも依存する。そのため,要求事項を満たす測定機器を選定
する場合は,測定プロセス全体を検討対象とすることが極めて重要である。この検討事項は組織の計量機
能の責任であるが,具体的な活動は組織が実行しても,又は独立の計量専門家のような適切な有資格者が
実行してもよい。
――――― [JIS Q 10012 pdf 21] ―――――
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Q 10012 : 2011 (ISO 10012 : 2003)
A.4 検証及び計量確認
校正後,機器を意図した用途に対して確認する前に,MEMCをCMRと比較する。例えば,測定機器の
表示についての報告された誤差は,CMRとして規定された最大許容誤差と比較する。誤差が最大許容誤差
よりも小さければ,機器は要求事項に適合していることになり,使用の確認が得られる。誤差の方が大き
ければ,不適合を排除するための処置を講じるか,又は機器が計量確認できない旨を顧客に通知すること
が望ましい。
このようなMEMCとCMRとの直接比較をする作業は,しばしば検証という(JIS Q 9000参照)。計量
確認システムは,確かにこうした検証に基づいているが,製品が顧客要求事項に適合していることの判定
を裏付ける上で,機器を使用して実施する測定の品質に保証を与えるために,測定プロセス全体の詳細な
検討及び見直しも含めることが望ましい。
例 A.2に示した例によると,校正によって検出される誤差が200 kPaで3 kPa,校正における測定の
不確かさが0.3 kPaと仮定する。したがって,計器は,最大許容誤差の要求事項を満たしていない。
調整後,校正によって検出される誤差が0.6 kPaとなり,校正プロセスの不確かさは0.3 kPaであ
る。こうして,最大許容誤差の要求事項に適合することになり,計器はドリフトに関する要求事
項との適合性を実証する証拠が得られたものと仮定すれば,使用に対し確認をしてもよい。ただ
し,計器が再確認に提出された場合に,計器が使用から除外されて再確認に提出されるまでの期
間についての製品実現に関して是正処置が必要になる場合もあるため,計器の使用者に最初の校
正の結果を通知することが望ましい。
検証プロセスの結果は,使用者又は計量機能のいずれかが実施したにせよ,計量確認システム
内の監査証跡の一部として,何らかの校正証明書又は試験報告書に加えて,検証文書にまとめる
とよい。計量確認システムの最終段階は,例えば,ラベリング,マーキングなどによる測定機器
の状態の適正な識別である。その後,測定機器は計量確認をした目的に使用してよい。
――――― [JIS Q 10012 pdf 22] ―――――
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Q 10012 : 2011 (ISO 10012 : 2003)
参考文献
[1] JIS Q 9001 品質マネジメントシステム−要求事項
[2] JIS Q 9004 組織の持続的成功のための運営管理−品質マネジメントアプローチ
[3] JIS Q 14001 環境マネジメントシステム−要求事項及び利用の手引
[4] JIS Q 17025 試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項
[5] JIS Q 19011 品質及び/又は環境マネジメントシステム監査のための指針
[6] JIS Z 8103 計測用語
[7] JIS Z 8402-1 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第1部 : 一般的な原理及び定義
[8] JIS Z 8402-2 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第2部 : 標準測定方法の併行精度
及び再現精度を求めるための基本的方法
[9] JIS Z 8402-3 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第3部 : 標準測定方法の中間精度
[10] JIS Z 8402-4 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第4部 : 標準測定方法の真度を求
めるための基本的方法
[11] JIS Z 8402-5 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第5部 : 標準測定方法の精度を求
めるための代替法
[12] JIS Z 8402-6 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)−第6部 : 精確さに関する値の実用
的な使い方
[13] JIS Z 9090 測定−校正方式通則
[14] ISO 3534-1,Statistics−Vocabulary and symbols−Part 1: General statistical terms and terms used in
probability
[15] ISO 3534-2,Statistics−Vocabulary and symbols−Part 2: Applied statistics
[16] ISO/TR 10017,Guidance on statistical techniques for ISO 9001:2000
[17] ISO/TR 13425,Guidelines for the selection of statistical methods in standardization and specification
[18] ISO/IEC Guide 98-3:2008,Uncertainty of measurement−Part 3: Guide to the expression of uncertainty in
measurement (GUM:1995)
[19] OIML D10,Guidelines for the determination of recalibration intervals of measuring equipment used in testing
laboratories
JIS Q 10012:2011の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 10012:2003(IDT)
JIS Q 10012:2011の国際規格 ICS 分類一覧
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.020 : 度量衡及び測定一般
- 03 : サービス.経営組織,管理及び品質.行政.運輸.社会学. > 03.120 : 品質 > 03.120.10 : 品質管理及び品質保証
JIS Q 10012:2011の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISQ9000:2015
- 品質マネジメントシステム―基本及び用語