JIS Q 14971-1:2001 医療用具―リスクマネジメント―第1部:リスク分析の適用 | ページ 2

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Q 14971-1 : 2001 (ISO 14971-1 : 1998)
e) 患者に投与したり,及び/又は患者から採取する物質はあるか?
考慮することが望ましい要因には,その物質は投与されるか又は採取されるか,その物質は単一の
物質又は一連の物質群か,最大・最小投与・採取速度とその制御方法などがある。
f) その医療用具は,生体物質を処理して再利用するためのものか?
考慮することが望ましい要因には,処理のプロセス,処理される物質の種類などがある(例えば,
自動輸液装置及び透析装置)。
g) 医療用具は,滅菌されて供給されるのか,若しくは未滅菌で供給され使用者が滅菌することを意図す
るか,又は他の微生物制御法が適用できるか?
考慮することが望ましい要因には,医療用具は,使い捨てを意図するか,再利用を意図するか,滅
菌包装形態,使用期限,再利用回数の制限,用いるべき滅菌方式などがある。
h) 医療用具は,患者の環境を変更することを意図しているか?
考慮することが望ましい要因には,温度,湿度,雰囲気ガスの組成と圧力などがある。
i) 測定をするか?
考慮することが望ましい要因には,測定するパラメータ,測定確度,測定精度などがある。
j) 医療用具は,解釈機能をもっているか?
考慮することが望ましい要因には,入力したデータ又は収集したデータから医療用具が結果を表示
するかどうか,そして使われるアルゴリズム,信頼の限界などがある。
k) 医療用具は,その他の医療用具若しくは薬剤を制御することを意図するか,又はそれらと相互に作用
することを意図するか?
考慮することが望ましい要因には,関与する他の医療用具又は薬剤の特定,その相互作用に関連し
て引き起こされる潜在的な問題などがある。
l) 好ましくないエネルギー又は物質を排出するか?
エネルギーに関連して考慮することが望ましい要因には,騒音と振動,熱,放射線(電離,非電離
及び紫外線,可視光線,赤外線の放射),接触温度,漏れ電流,電磁場などがある。
物質に関連して考慮することが望ましい要因には,化学的排出物,廃棄物,体液などがある。
m) 医療用具は,環境的影響を受けやすいか?
考慮することが望ましい要因には,こぼれ並びに電力及び冷却の供給を含めて使用・輸送・保管の
環境などがある。
n) 医療用具に関連する必すの消耗品及び附属品が存在するか?
考慮することが望ましい要因には,消耗品及び附属品についての仕様書,使用者がそれらを選ぶ際
の制限条件などがある。
o) 保守及び/又は校正を必要とするか?
考慮することが望ましい要因には,保守及び/又は校正は,操作者若しくは使用者又は専門家によ
って実施されるべきかどうかなどがある。
p) 医療用具は,ソフトウェアを含んでいるか?
考慮することが望ましい要因には,ソフトウェアが使用者及び/又は操作者によってインストール,
修正又は交換されることを意図するかどうかなどがある。
q) 医療用具には,使用期限に関する制約があるか?
考慮することが望ましい要因には,ラベリング又は標識,該当医療用具の処分などがある。
参考 ラベリングの定義は,JIS Q 13485を参照する。

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Q 14971-1 : 2001 (ISO 14971-1 : 1998)
r) 使用が遅れた場合及び/又は長期間使用した場合の影響はどうか?
考慮することが望ましい要因には,人間工学的影響及び蓄積効果などがある。
s) 医療用具は,どのような機械的力を受けるか?
考慮することが望ましい要因には,医療用具が受ける力は使用者によって制御されるか,又は使用
者以外の人とのやりとりによって制御されるものであるかなどがある。
t) 何が医療用具の寿命を決めるか?
考慮することが望ましい要因には,老朽化,電池の消耗などがある。
u) 医療用具は,使い捨てを意図するか又は再利用を意図するか?

3.3 可能性のあるハザードの特定

 附属書C及びインビトロ診断用具についての附属書A.2に記載され
ている可能性のあるハザードの例を用いて,正常状態及び故障状態の両方における医療用具に関連する潜
在的なハザードの一覧表を作成する。

3.4 各ハザードに対するリスクの推定

 3.3に基づき特定された可能性のあるハザードのそれぞれにつ
いて,入手できる情報/データを用いて正常状態及び故障状態の両方におけるリスクを推定する。分析中
のリスクレベルについての尺度を設定するために,リスク推定では特定されたハザードのきっかけとなる
事象又は環境,関連する事象のつながり,緩和特性,及び起こる可能性がある有害な結果の性質と頻度と
を調査することが望ましい。
備考1. リスクを分析するために,リスクの要素(すなわち,重大性及び確率)は,個別に分析され
ることが望ましい。定量的又は定性的な手法が適宜用いられてよい。これは,次の質問に対
する回答を含む。
− 医療用具の故障がなくても,ハザードは存在するか?
− 医療用具の故障状態において,ハザードは存在するか?
− 多重故障状態の場合に限って,ハザードは存在するか?
附属書D及びインビトロ診断用具についての附属書A.3には,幾つかの使用可能なリス
ク分析の手法についての情報を記載している。
2. リスク分析のために使用できる手法には,FMEA(故障モード影響解析),FTA(故障の木解
析)及びHAZOPがある。その手法の必要性,選択及び使用は,医療用具の性質に基づいて
行われるが,この規格の範囲外である。
附属書Dは,使用できる手法の幾つかについて簡単な要約を示している。この概念におけ
るそれ以上の詳細については,IEC 60300-3-9を参照する。参考文献については,附属書F
を参照する。
3. 情報/データは,例えば,次によって得ることができる。
− 関連する規格
− 科学的データ
− 公表された事故報告を含む既に使用中の類似の医療用具による市場データ
− 臨床的な証拠
− 適切な調査結果

3.5 リスクの審査

 与えられたハザードに対するリスクが,関連規格に適合することによって適切性が
示され,又は受容性がその他の手段によって実証されている場合には,3.8に進む。3.4によって推定され
たハザードに対するリスクが関連規格の適用又は他の方法によって定義された受容性の限界の水準を超
えている場合には,3.6に進む。

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Q 14971-1 : 2001 (ISO 14971-1 : 1998)
医療用具が故障した状態でだけリスクが受容性の限界を超えていると判断される場合には,故障の発生
の可能性を分析することが望ましい。この分析を行う場合には,次の問題を配慮することが望ましい。
− 故障は,ハザードの発生以前に使用者によって検知することが可能か?
− 故障は,製造上の更に効果的な管理又は予防的保守によって除去することができるか?
− 誤った使い方によって故障発生の可能性は増すか?
− 警報装置を付けることはできるか?

3.6 リスクの低減

 リスクが適切に低減される場合は,3.7に進む。リスクが適切に低減されない場合に
は,リスク分析手順の流れから出る。
リスクは,次のような適切な手法によって,受容レベルにまで軽減することができる。
a) 直接的な安全手段(設計)。
b) 間接的な安全対策(保護手段)。保護手段の例としては,
− 近づきやすさを制限する。例えば,放射線傷害に対して
− ハザードから遮へいする。例えば,保護カバーの手段によって
c) 記述的安全手段。例えば,医療用具の使用期間又は頻度の制限,並びに用途,寿命又は環境の制限。
d) 用途の再明確化。

3.7 その他のハザードの発生

 リスク低減の方法が,新しいハザードをもたらしたかどうかを判定する。

3.8 すべての特定されたハザードの評価

 すべての特定されたハザードに対しリスクの評価が終わった
場合には,3.9に進む。評価が終わっていない場合には,3.4に戻る。
備考 第三者の検証がされていない場合には,IEC 60300-3-9の5.5に示した分析検証をしてもよい。

3.9 リスク分析の報告

 特定されたハザードに付随する残ったリスクが受容できるかどうかを判断する
ために,3.1によったリスク分析の結果を文書で残す。その際,医療用具の意図した用途及び使用に関し
て考慮する。

4. リスク分析の見直し

 新しい情報及びデータに照らしてリスク分析の見直しが考慮されることが望ま
しい。
備考 時間の経過とともにリスクが変わるならば,リスク分析の見直しが必要になるかもしれない。
急速に変化する技術は,すでに特定されたハザードに対するリスクを除去したり,増加又は減
少する可能性がある。
新たなリスクが,この見直しによって生じたり又は特定される可能性がある。

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Q 14971-1 : 2001 (ISO 14971-1 : 1998)
附属書A(参考)
インビトロ診断用具に関するリスク分析手順の指針

序文

 この附属書(参考)は,インビトロ診断用具に関するリスク分析手順の指針について記述するもの
であり,規定の一部ではない。
A.1 一般 この附属書は,インビトロ診断用具のリスク分析について,追加的指針を与える。規定の際に
当該医療用具の特殊性と固有の状況とを考慮した。インビトロ診断用具の使用は,患者又は検査対象者に
対して,いかなる直接的リスクも引き起こさない。これらの医療用具は人体の内部に入れたり,人体の表
面に接触させたりしないからである。ただし,ある種の状況の下で,医療用具に関連するハザードから間
接的リスクが生じた結果,誤った決定を導いたり,又はそれをもたらすかもしれない。それに加えて,使
用者に関連するハザード及びそのハザードに付随するリスクが考慮されることが望ましい。
A.2 ハザードの特定 次の状況は,附属書Cに記述した観点に追加して,患者又は検査対象者に対する潜
在的なハザードを,それぞれ特定することが望ましい。
− バッチの不均等性,バッチ間の不一致性
− 一般的干渉要因
− キャリオーバ効果(持越されたものからの影響)
− 試料の識別間違い
− 安定性の問題(保管中,輸送中,使用時及び容器の最初の開こん後)
− 試料の採取,準備及び安定性に関する問題
− 必要条件の不十分な仕様
使用者に対する潜在的なハザードは,試薬が放射性,感染性,有毒性,又はその他の危険な成分をもっ
ていること及び包装の設計からもたらされる。器械に対しては,どの器械にも不特定の医療用具に関連す
るハザード(例えば,エネルギーによるハザード)に加えて,特に運搬操作及び保守の期間中における潜
在的な汚染の問題を考慮することが望ましい。
A.3 リスクの推定 各ハザードに対するリスクの推定において,次の状況を判断の中に取り入れることが
望ましい。
− 分析結果における信頼の限度(医学的判断に対する寄与度)
− もっともらしさの確認
− 対照の適用性と使用
− 検査室において適用される品質保証手段,技術
− 欠陥,誤りの発見のしやすさ
− 使用の状態(例えば,救急用)
− 専門家による使用,非専門家による使用

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Q 14971-1 : 2001 (ISO 14971-1 : 1998)
附属書B(参考)
毒性学的なハザードに関するリスク分析手順の指針

序文

 この附属書(参考)は,毒性学的なハザードに関するリスク分析手順の指針について記述するもの
であり,規定の一部ではない。
B.1 一般 この附属書は,毒性学的なハザードの観点からリスク分析手順の指針を与える。毒性学的なハ
ザードは,生物学的損傷をもたらす化学的な成分によるものである。ISO 10993-1は,材料及び医療用具
の生物学的な評価に対する一般的原理を述べている。
不必要な動物実験を避ける努力をすることが望ましい。動物愛護の要求事項についてのISO 10993-2及
び関連する国の法律,例えば,動物保護についてのEC指令 (86/609/EEC) に留意する。
もし,その試験の省略が科学的に正当化できるならば,省略してもよい。
B.2 毒性学的リスクの推定
B.2.1 一般 毒性学的リスク分析は,次の点を考慮することが望ましい。
− 材料の化学的性質
− 材料の使用前歴
− 生物学的安全性試験データ
データの量と評価の深さは,意図する用途によって変化し,患者との接触の状態と期間とに左右される。
包装材料及び損なわれていない皮膚に接する医療用具並びに身体組織,注入液,粘膜又は負傷した皮膚と
直接接触しない医療用具の構成品に対するデータの要求は,通常それほど厳しくない。
追加的データが必要か否かを決定するために,科学的文献から得られる材料及び医療用具の現在の知識,
過去の臨床経験,その他関連するデータを検討することが望ましい。ある場合には,成分データ,残留物
のデータ(例えば,滅菌プロセス,モノマー),生物学的試験データなどを得ることが必要になることがあ
る。
B.2.2 材料の化学的性質 材料の化学的特性及び生物学的反応の特質を明確にした情報は,その意図した
用途のために医療用具の評価に有用である。材料の生物学的適合性に影響を与える因子には,次の事項が
ある。
− すべての成分(例えば,添加物,処理助材,モノマー,触媒及び反応生成物)の識別,濃度,生体移
行性及び毒性
− 材料に対する生体内分解性及び腐食の影響
反応性又は有害性のある成分の使用又は生成が,材料の製造,処理,保管又は分解において起こる場合
には,それらの残留物に対する生体暴露の可能性を考慮することが望ましい。残留物の濃度及び/又は溶
出に関する情報を得ることが必要である。これは,実験的データ又は当該材料の化学に関する情報によっ
て形成される。完全な成分組成が秘密性のために製造業者が利用できない場合には,提案された用途に使
用するための材料の適切性が評価されていることを検証することが望ましい。

――――― [JIS Q 14971-1 pdf 10] ―――――

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