JIS R 5202:2010 セメントの化学分析方法 | ページ 3

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V1
(C 1/ 000) 1 101.96
E
65.39 V2 2
ここに, E : 亜鉛標準液 (0.01 mol/L) 1 mLの酸化アルミニウム相当量 (g)
C : 市販の亜鉛標準液の濃度 (mg/mL)
V1 : 市販の亜鉛標準液の分取量 (mL)
V2 : 全量フラスコの容量 (mL)

8.3 光度滴定装置

  滴定槽,検出器及び滴定液添加装置で構成する。
a) 滴定槽 滴定槽は滴定を行う容器であり,滴定中に溶液をかき混ぜることができるもの9)。
b) 検出器 滴定中に溶液の波長530 nm及び650 nm付近における吸光度を測定できるもの。
c) 滴定液添加装置 滴定液を定量的に添加できるもの10)。
注9) 定量操作に用いるビーカーをそのまま使用することが望ましい。
10) ビュレット,自動ビュレットなど。

8.4 操作

8.4.1  目視による場合
a) 7.4のd)で保存した試料溶液 (A) から全量ピペットで25 mLをビーカー300 mLに分取し,試料中の
酸化アルミニウム,酸化鉄 (III),酸化チタン (IV) の含有率に応じて,EDTA溶液 (0.01 mol/L) を表
1に示す添加量,全量ピペットを用いて加え,更に水を加えて液量を約100 mLとする。
b) 酢酸ナトリウム溶液 (pH 5.5) をかき混ぜながら加え,pHメーターを用いて溶液のpHを約3に調節
し11),約5分間煮沸する。
c) 冷却後,酢酸アンモニウム溶液 (200 g/L) を加え,pHメーターを用いて溶液のpHを5.5に調節する。
d) キシレノールオレンジ指示薬1,2滴を滴加し,亜鉛標準液 (0.01 mol/L) で滴定し12),黄色が赤みを
帯びたときを終点とする。
注11) メチルオレンジ指示薬を用いてpHを調節してもよい。
12) 変色が鈍感であるから,終点近くではよくかき混ぜながらゆっくり滴定するとよい。
表1−EDTA溶液 (0.01 mol/L) 添加量
添加量
[酸化アルミニウムの含有率]+[酸化鉄 (III) の含有率]+[酸化チタン (IV) の含有率]
% mL
5 10
10 20
15 30
8.4.2 光度滴定による場合
a) 8.4.1のa) c)と同様に操作する。
b) キシレノールオレンジ指示薬1,2滴を滴加し,溶液をかき混ぜながら亜鉛標準液 (0.01 mol/L) で滴
定を行い,滴定量ごとの波長530 nm付近における吸光度を,溶液の色が赤に変わるまで測定する13)。
c) 滴定量と溶液の吸光度の関係をプロットし,滴定曲線を作成して,変曲点又は滴定曲線の傾斜が最大
の点の横軸の読みを終点とする14)。
なお,空試験も同じ終点判定方法を用いて行う。

――――― [JIS R 5202 pdf 11] ―――――

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注13) 滴定間隔を0.050.10 mL程度で行うとよい。また,空試験は0.020.06 mL程度で行うとよ
い。
14) 滴定曲線の微分量(吸光度の変化量/滴定量の変化量)の最大値を終点として求めてもよい。

8.5 空試験

  過塩素酸 (60 %) 10 mLと塩酸 (1+1) 5 mLとをビーカー100 mLに入れ,更に水を約20 mL加えて,よ
くかき混ぜた後,全量フラスコ250 mLに洗い移し,標線まで水を加えて振り混ぜる。これを,試料溶液 (A)
の代わりとし,8.4に従って操作する。

8.6 計算

  試料中の酸化アルミニウムの含有率は,次の式によって算出する。
E
(V2−V1 ) 250
Al2O3 100−(Fe2O3TiO2 ) .0638
m 25
ここに, Al2O3 : 酸化アルミニウムの含有率 (%)
V1 : 8.4.1のd)又は8.4.2のc)の亜鉛標準液 (0.01 mol/L) の使用量
(mL)
V2 : 8.5の亜鉛標準液 (0.01 mol/L) の使用量 (mL)
E : 亜鉛標準液 (0.01 mol/L) 1 mLの酸化アルミニウム相当量 (g)
m : 7.3の試料の質量 (g)
Fe2O3 : 箇条9で求めた酸化鉄 (III) の含有率 (%)
TiO2 : 箇条14で求めた酸化チタン (IV) の含有率 (%)

8.7 許容差

  許容差は,0.20 %とする。

9 酸化鉄 (III) の定量方法

9.1 要旨

  7.4のd)で保存した試料溶液 (A) の一部を分取し,原子吸光分析装置を用いて鉄の吸光度を測定する。

9.2 試薬

  試薬は,次のものを用いる。
a) 酸化鉄 (III) 標準原液 (Fe2O3 : 1.0 mg/mL) 金属鉄(99.0 %以上)0.700 gを量り採り,塩酸 (1+1) 約
10 mLを加えて溶かした後,全量フラスコ1 000 mLに移し,標線まで水を加えて振り混ぜる。又は,
国家計量標準にトレーサブルな市販の鉄標準液を水で希釈し,Fe2O3として約1 mg/mLとなるように
調製する。
b) 酸化鉄 (III) 標準液15) 酸化鉄 (III) 標準原液を10倍に希釈して015 mLを段階的に全量フラスコ
100 mLに分取し,過塩素酸 (1+500) を標線まで加えて振り混ぜる。
注15) 酸化鉄 (III) 標準原液,酸化マグネシウム標準原液,酸化アルカリ調合原液及び酸化マンガン
(II) 標準原液を適宜,組み合わせて混合標準液を調製してもよい。

9.3 装置

  原子吸光分析装置を用いる。

9.4 操作

  定量操作は,次の手順によって行う。
a) 7.4のd)で保存した試料溶液 (A) から一定量16) を全量フラスコ100 mLに分取し,標線まで水を加え
て振り混ぜる。これを試料溶液 (B) とする。
b) 原子吸光分析装置の鉄用光源ランプを用いて,波長248.3 nmにおける試料溶液 (B) の吸光度を測定

――――― [JIS R 5202 pdf 12] ―――――

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する。
なお,ランプ電流値,分光器のスリット幅,可燃ガス及び助燃ガスの圧力と流量及び光束位置は,
各装置に応じて適切な条件を設定する。感度が不足する場合は,目盛拡大装置を使用するか,又は装
置に内蔵されている感度調節装置によって調節する。また,感度が必要以上に高い場合は,光束角度
などの調節によって測定感度を減じる。
注16) 分取量は,酸化鉄 (III) 含有率及び使用する装置によって適宜変える。通常,10 mL分取する
のがよい。

9.5 検量線の作成

  原子吸光分析装置の鉄用光源ランプを用いて,波長248.3 nmにおける酸化鉄 (III) 標準液のそれぞれの
吸光度を測定し,検量線を作成する。

9.6 計算

  9.5で作成した検量線から試料溶液 (B) 中の酸化鉄 (III) 量を求め,試料中の酸化鉄 (III) の含有率は,
次の式によって算出する。
c 250
Fe2O3 100
m v
ここに, Fe2O3 : 酸化鉄 (III) の含有率 (%)
c : 試料溶液 (B) 中の酸化鉄 (III) 量 (g/100 mL)
m : 7.3の試料の質量 (g)
v : 試料溶液 (A) からの分取量 (mL)

9.7 許容差

  許容差は,0.10 %とする。

10 酸化カルシウムの定量方法

10.1 カルシウム用指示薬を用いる定量方法

10.1.1 要旨
7.4のd)で保存した試料溶液 (A) の一部を分取し,アンモニア水を加えて中和し,生成した水酸化物の
沈殿をろ過する。ろ液を冷却した後,水酸化カリウム溶液を加えてpHを12.713.2に調節する。次に,
カルシウム用指示薬を加えてEDTA標準液で滴定する。
10.1.2 試薬
試薬は,次のものを用いる。
a) メチルレッド指示薬 (2 g/L) 6.2 c)と同様に調製する。
b) アンモニア水 (1+1)
c) 硝酸アンモニウム溶液 (20 g/L)
d) トリエタノールアミン (1+1)
e) 水酸化カリウム溶液(約3 mol/L) 水酸化カリウム200 gを水に溶かして1 000 mLとする。
f) カルシウム用指示薬 2-ヒドロキシ-1-(2'-ヒドロキシ-4'-スルホ-1'-ナフチルアゾ)-3-ナフトエ酸0.5 g
と硫酸カリウム50 gとを混合粉砕して均一にし,褐色瓶に保存する。
g) 亜鉛標準液 (0.02 mol/L) IS K 8005に規定する容量分析用標準物質の亜鉛約0.65 gを0.000 1 gまで
量り採ってビーカー300 mLに入れ,水10 mL及び塩酸 (1+1) 20 mLを加え,時計皿でふたをして水
浴上で溶解する。全量フラスコ500 mLに洗い移し,室温まで冷却した後,標線まで水を加えて振り
混ぜる。次の式によってファクターを算出し,小数点以下4けたに丸める。

――――― [JIS R 5202 pdf 13] ―――――

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m a
f
.0653 9100
ここに, f : 亜鉛標準液 (0.02 mol/L) のファクター
m : 亜鉛の質量 (g)
a : 亜鉛の純度 (%)
h) 緩衝液 (pH 10) 塩化アンモニウム70 gを適量の水に溶かし,アンモニア水570 mLを加え,水を加
えて1 000 mLとする。
i) EBT指示薬 エリオクロムブラックT 0.2 gをトリエタノールアミン15 mL及びJIS K 8102に規定す
るエタノール5 mLに溶かし,スポイト付き褐色滴瓶に保存する。
j) EDTA標準液 (0.02 mol/L) エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物7.5 gを適量の水に
溶かして,全量フラスコ1 000 mLに入れ,標線まで水を加えて振り混ぜ,ポリエチレン製の瓶に保存
する。
10.1.3 操作
10.1.3.1 目視による場合
a) DTA標準液 (0.02 mol/L) を,次のように標定する。
亜鉛標準液 (0.02 mol/L) 25 mLを全量ピペットで分取してビーカー300 mLに入れ,水を加えて約100
mLとし,緩衝液を加えてpHを9.510.0 に調節し17),EBT指示薬2,3滴を加え,タングステンラ
ンプ照明器に載せて,EDTA標準液 (0.02 mol/L) で滴定する。赤紫色から赤みが全く消えて青色とな
ったときを終点とする。
なお,タングステンランプ照明器は,30 W程度のタングステンランプを用い,その光をガラス又は
プラスチック製の乳白板を通して,ビーカー中の溶液を透過させることができる装置とする。この滴
定値から,次の式によってEDTA標準液 (0.02 mol/L) の酸化カルシウム相当量を算出し,小数点以下
7けたに丸める。
.0001 121 625 f
E
v
ここに, E : EDTA標準液 (0.02 mol/L) 1 mLの酸化カルシウム相当量 (g)
f : 亜鉛標準液 (0.02 mol/L) のファクター
v : EDTA標準液 (0.02 mol/L) の使用量 (mL)
注17) 緩衝液を約3 mL加えれば,規定のpHとなる。
b) 7.4のd)で保存した試料溶液 (A) から全量ピペットで20 mLずつを2個のビーカー300 mLに分取す
る。
c) それぞれに温水を加えて約150 mLとし,煮沸し始めるまで加熱する。
d) メチルレッド指示薬1,2滴を加え,かき混ぜながら溶液の色が赤から黄に変わるまでアンモニア水
(1+1) を徐々に滴加し,更に1,2滴加える。
e) 約1分間煮沸した後,加熱を止め,沈殿が沈むのを待って直ちにJIS P 3801に適合したろ紙(5種A,
110 mm)を用いてろ過し,硝酸アンモニウム温溶液 (20 g/L) で8回洗浄する。ろ液は,ビーカー500
mLに受け,沈殿は捨てる。
なお,使用する硝酸アンモニウム溶液 (20 g/L) は,メチルレッド指示薬2,3滴を加え,溶液の色
が赤から黄に変わるまでアンモニア水 (1+1) を滴加して用いる。この溶液を加熱したときに色が赤
に戻った場合は,更にアンモニア水 (1+1) を滴加して黄色にして用いる。
f) 試料が高炉セメント又は高炉スラグのときは,次の操作によってろ液からマンガンを除く。

――――― [JIS R 5202 pdf 14] ―――――

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ろ液に塩酸 (1+1) を加えて弱酸性とした後,加熱して約150 mLとなるまで濃縮し,これに飽和臭
素水5 mL及びアンモニア水 (1+1) 10 mLを加えて5分間以上煮沸し,沈殿が凝集して溶液が透明と
なった後,JIS P 3801に適合したろ紙(5種B,110 mm)でろ過し,温水で7,8回洗浄する。ろ液に
塩酸 (1+1) を加えて酸性とし,煮沸して臭素を完全に除去する。
g) ろ液を濃縮して約200 mLとし,室温まで冷却する。
h) 一方のろ液にトリエタノールアミン (1+1) 2 mL及び水酸化カリウム溶液(約3 mol/L)を加えてpH
メーターを用いてpHを12.713.2 18) に調節する。
i) 23分間放置した後,カルシウム用指示薬0.1 gを加え,タングステンランプ照明器に載せてEDTA
標準液 (0.02 mol/L) で滴定し,赤紫色から赤みが全く消えて青色となったときを終点とし,これを予
備滴定値とする。
なお,タングステンランプ照明器は,30 W程度のタングステンランプを用い,その光をガラス又は
プラスチック製の乳白板を通して,ビーカー中の溶液を透過させることができる装置とする。
j) もう一方のろ液にトリエタノールアミン (1+1) 2 mLを加えてかき混ぜ,ビュレットでEDTA標準液
(0.02 mol/L) を加え,i)の予備滴定値より12 mL少ないところで一度止めてかき混ぜる。
k) )と同量の水酸化カリウム溶液(約3 mol/L)を加えてかき混ぜる。23分間放置した後,カルシウ
ム用指示薬0.1 gを加え,i)と同様にEDTA標準液 (0.02 mol/L) で滴定する。
注18) 溶液のpHが12.713.2の範囲外では,結果が不正確になる。水酸化カリウム溶液(約3 mol/L)
の量は,約7 mLで規定のpHとなる。
10.1.3.2 光度滴定による場合
a) DTA標準液 (0.02 mol/L) を,8.3に規定する光度滴定装置を用いて次のように標定する。
亜鉛標準液 (0.02 mol/L) 25 mLを全量ピペットで分取してビーカー300 mLに入れ,水を加えて約100
mLとし,緩衝液を加えてpHを9.510.0に調節し17),EBT指示薬2,3滴を加え,溶液をかき混ぜ
ながらEDTA標準液 (0.02 mol/L) で滴定する。滴定量ごとの波長650 nm付近における吸光度を溶液
が完全に青に変わるまで測定する19)。滴定終了後,滴定量と溶液の吸光度の関係をプロットし,滴定
曲線を作成して,変曲点又は滴定曲線の傾斜が最大の点の横軸の読みを終点とする14)。この滴定値か
ら,10.1.3.1のa)の式によってEDTA標準液 (0.02 mol/L) の酸化カルシウム相当量を算出し,小数点
以下7けたに丸める。
b) 10.1.3.1のb) j)と同様に操作する。
c) 10.1.3.1のh)と同量の水酸化カリウム溶液(約3 mol/L)を加えてかき混ぜ,23分間放置した後,カ
ルシウム用指示薬を0.1 g加え,溶液をかき混ぜながらEDTA標準液 (0.02 mol/L) で8.3に規定する光
度滴定装置を用いて滴定を行い,滴定量ごとの波長650 nm付近における溶液の吸光度を測定する。
d) 溶液の色が完全に青に変化してから,1 mL程度過滴定を行い測定を終了する20)。
e) 滴定量と溶液の吸光度の関係をプロットし,滴定曲線を作成して,変曲点又は滴定曲線の傾斜が最大
の点の横軸の読みを終点とする14)。
注19) 滴定間隔を0.020.04 mL程度で行うとよい。
20) 滴定間隔を0.040.08 mL程度で行うとよい。
10.1.4 計算
試料中の酸化カルシウムの含有率は,次の式によって算出する。
v E 250
CaO 100
m 20

――――― [JIS R 5202 pdf 15] ―――――

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JIS R 5202:2010の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 29581-1:2009(MOD)

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JIS R 5202:2010の関連規格と引用規格一覧