JIS S 1049:2020 棚・収納家具を搭載した移動ラック | ページ 5

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h) 電動式の場合,走行試験途中において8.3.2のa)で示す安全対策機能の作動確認を行ってもよい。こ
の作動確認の具体的な方法は,受渡当事者間の協定による。
9.3.4 評価
評価は,次による。
a) 走行試験中,次の項目を確認する。
1) 走行の安定性(8.3.1に規定する走行速度を含む。)
2) 走行装置からの異音の有無
3) 振動による棚板支持具,棚板など主要部材の使用上支障がある破損の有無及び収納物の落下の有無
4) 移動ユニットの転倒の有無
5) 無軌条式の場合,使用上支障がある蛇行の有無
6) 電動式の場合,安全対策機能の正常な作動
b) 走行試験終了後,次の項目を確認する。
1) 移動ユニット各接合部の著しい破損,変形及び外れの有無
2) 棚板支持具,棚板など主要部材に使用上支障がある破損の有無
3) 走行装置の著しい損傷,摩耗,異音及びひずみの有無
図12−走行試験の概略図

9.4 表面処理試験

9.4.1 一般
移動ラックの構造材の表面処理試験は,表2に示す収納部の区分に応じてJIS S 1039の9.3(表面処理試
験)又はJIS S 1033の8.3(表面処理試験)による。ただし,塗膜厚さ試験及びめっき厚さ試験以外は,
試験片(テストピース)による代用試験とする。
9.4.2 試験体
表面処理試験に用いる試験片は,試験体から長さ約150 mm,幅約50 mmの大きさ,又は鋼管の場合,
原形のままで長さ約150 mmの大きさのものを試験に必要な数だけとる。
なお,試験片は,試験体と同一生産条件で製作されたものでもよい。
9.4.3 常温液体に対する表面抵抗性試験
常温液体に対する表面抵抗性試験は,JIS A 1531による。ただし,ここで用いる試験液は,酢酸4 %溶
液,アンモニア10 %溶液,中性洗剤及び事務用インクの4種類とし,6時間放置後,試験液を拭き取り,

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塗装面の異常の有無を調べる。また,焼付け塗装の場合,JIS A 1531の4.(試験体の調製及び予備処理)
に規定する室内放置時間を待たずに実施してもよい。
なお,洗浄溶液は,JIS A 1531の3.10(洗浄溶液)に規定する溶液,又はこれと同等の性質の溶液とす
る。
9.4.4 塗膜密着性試験
塗膜密着性試験は,試験片に鋭利な刃物で刃が素地に達するように,金属の場合1 mm間隔で1 mm×1
mm,木質の場合2 mm間隔で2 mm×2 mmの升目をそれぞれ100個作る。その上にJIS Z 1522に規定す
るセロハン粘着テープ又はこれと同等以上の性能をもつ粘着テープを貼り付けた後,すぐにがし,塗膜
のがれの有無を調べる。
9.4.5 金属部塗膜防せい性試験
金属部塗膜防せい性試験は,試験片に鋭利な刃物で刃が金属素地に達するように,各対角線にきずを付
け,図13に示すように,ビーカーに3 %食塩水(15 ℃25 ℃)を深さ約70 mm入れたものに,きずを付
けた試験片を約半分浸す。100時間経過後,浸せきしたままで,きずの両側3 mmの部分より外側の部分
の塗装の膨れの有無,及び引き上げて静かに水洗した後,乾燥させ,きずの両側3 mmの部分より外側の
さびの有無を調べる。
単位 mm
図13−金属部塗膜防せい性試験
9.4.6 塗膜厚さ試験
塗膜厚さの測定は,マイクロメータ又は電磁膜厚計で行う。
9.4.7 金属部のめっき厚さ試験
金属部のめっき厚さ試験は,めっきの種類に応じて,JIS H 8610の9.3(厚さ試験)又はJIS H 8617の
9.4(厚さ試験)による。

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10 検査方法

10.1 製品検査

  移動ラックの製品検査は,形式検査5)と受渡検査6)とに区分し,それぞれ次の検査項目について箇条9
によって試験を行ったとき,箇条5箇条7及び箇条11に適合し,かつ,箇条8を満足するものを合格と
する。
なお,形式検査及び受渡検査の抜取検査の方式は,受渡当事者間の協定による。
注5) 製品の品質が,設計で示した,全ての特性を満足するかどうかを判定するための検査。
6) 既に形式検査に合格したものと同じ設計·製造による製品の受渡しをする場合,必要と認める
特性を満足するものであるかどうかを判定するための検査。
a) 形式検査項目
1) 寸法
2) 外観
3) 性能
4) 構造
5) 制御及び安全対策
6) 表示
b) 受渡検査項目
1) 外観
2) 表示
3) 試運転検査(10.2参照)

10.2 試運転検査

  試運転検査は,試運転検査要領書を作成して行う。試運転検査要領書には,次の項目を,必ず含めなけ
ればならない。また,用途に応じて必要な項目を追加する。
a) 操作装置,箇条8に規定する制御及び安全対策による機能の有効性の確認
b) 設備取合い寸法及びその精度の確認

11 表示

  移動ラックの見やすい位置に,次の事項を表示する。
a) 寸法 通常,間口寸法(W)×奥行き寸法(L)×高さ寸法(H)を,実寸法又は呼び寸法で示す。
b) 移動ラックの形式及び種類
例 A-2種,B-5種
c) その他
1) 製造年月又はその略号
2) 製造業者名又はその略号

12 取扱説明書

  移動ラックには,安全に使用するために,少なくとも次の事項を記載した製品取扱説明書を添付しなけ
ればならない。
a) 積載質量
b) 警告事項,注意事項

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c) 操作方法 次の操作方法を,記載する。
1) 電動式
1.1) 非常停止装置の配置及び異常による停止時の復旧手順
1.2) 自動運転の操作手順
1.3) 手動運転の操作手順
2) 手動式
2.1) ハンドル式 ハンドルの基本操作手順
2.2) 押し引き式 移動ユニットを走行させるときの基本操作手順
d) 保守点検 保守点検の実施時期(C.2参照)

13 施工及び保守

  移動ラックの施工及び保守の運用方法は,受渡当事者間の協定とする。
なお,施工方法及び保守の運用方法の例を附属書Cに示す。

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附属書A
(参考)
移動ラックの寸法表示
A.1 寸法
流通の目安とするために寸法を表示する場合の例を,A.2に示す。
A.2 寸法の表示
寸法の表示方法を次に示す(図A.1参照)。
a) 寸法は,ミリメートル(mm)で表示する。
b) 寸法の表示は,間口寸法(W),奥行き寸法(L)及び高さ寸法(H)の順で表す。
1) 間口寸法とは,フロントパネル厚さ寸法とリアパネル厚さ寸法とを含む最大外形寸法とする。
2) 奥行き寸法とは,奥行き方向の全長寸法とし,ラックユニットの奥行き寸法の和に通路幅を加えた
もの(緩衝部材を取り付けた場合,その厚さを含む。),又はエンドストッパを含むレール全長寸法
のうち,いずれか長い方とする。
3) 高さ寸法とは,車輪接地面又はレール上面から上板(天板),フロントパネル,リアパネルなど附属
部材の上端までの寸法とする。
c) 寸法の表示は,実寸法又は呼び寸法のいずれを用いてもよい。
a) 間口方向の例 b) 奥行き方向の例
図A.1−移動ラック寸法見取り図

――――― [JIS S 1049 pdf 25] ―――――

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