9
S 2010 : 2013
8.3 試験方法
8.3.1 外観試験
外観の試験は,目視によって調べる。ただし,仕上げについては目視及び触感によって調べる。
8.3.2 構造試験
構造の試験は,次によるほか,目視,触感などによって調べる。
a) 安定性 安定性の試験は,調理器具の本体に縁まで水道水を満たし,蓋を備えている場合は蓋をつけ
た状態で取っ手の方向に15度傾斜させたとき転倒しないことを目視によって確認する。
b) 水漏れ 水漏れの試験は,調理器具に水道水を縁まで満たし,5分間放置し,漏れの有無を調べる。
c) 油漏れ いため容器類(玉子焼器を除く。)の油漏れの試験は,調理器具に常温(20 ℃±15 ℃)の灯
油を縁まで満たし,5分間放置し,漏れの有無を調べる。
d) 裏漏れ 湯沸し類の裏漏れの試験は,満水容量の約70 %の水道水を入れた状態から水を注ぎ出した
時,正常に注がれることを確認する。
8.3.3 陽極酸化皮膜の試験
8.3.3.1 厚さ
厚さの試験は,JIS H 8680-1又はJIS H 8680-2のいずれかの方法によって,内底面の3か所を測定し,
平均する。測定位置の例を,図1に示す。
図1−測定位置の例
8.3.3.2 耐食性
耐食性の試験は,JIS H 8681-1による。
8.3.3.3 耐摩耗性
耐摩耗性の試験は,JIS H 8682-3による。
8.3.4 ふっ素樹脂塗膜の試験
8.3.4.1 外観
外観の試験は,目視によって行い[必要に応じて拡大鏡(20倍)を用いる。],JIS C 7601に規定する光
で照らし,600 lx以上の明るさの下でがれ,膨れなどの有無を調べる。さらに,手触りで調べる。
8.3.4.2 厚さ
厚さの試験は,JIS H 8680-1又はJIS H 8680-2のいずれかの方法によって,内底面5か所を測定し,平
均する。測定位置の例を,図2に示す。
図2−測定位置の例
――――― [JIS S 2010 pdf 11] ―――――
10
S 2010 : 2013
8.3.4.3 硬さ
硬さの試験は,次による。
a) 試料の塗膜面に対して約45度の角度に鉛筆の芯を当て,芯が折れない程度に強く塗膜面に押し付けな
がら前方に均一な速さで約10 mm動かす。
b) 芯を塗膜面に付けてから押し終わるまでを一動作とし,試験場所を変えて5回行い,1回の所要時間
は1秒間2秒間とする。
c) 5回のうち4回以上破れなかった場合の鉛筆の濃度記号を,塗膜の硬さとする。
d) 鉛筆の削り方及び研ぎ方は,JIS S 6006に規定するものから,塗膜の硬さを測るのに適する鉛筆を使
う。鉛筆は初めに木部だけ削って,芯を円柱状約3 mm露出させて,次に硬い平らな面に載せたJIS R
6252に規定する研磨紙又はJIS R 6253に規定する耐水研磨紙のP400のものに,芯を直角に当てて円
を描きながら静かに研ぎ,先端が平らで角が鋭くなるようにする。芯の同一箇所で2回以上この試験
を行ってはならない。
8.3.4.4 付着力
付着力の試験は,次による。
a) 試料の塗膜面にカッターナイフの刃を用いて1 mmの間隔で縦横6本ずつの素地に達する線を引き,
25個の碁盤目を作る。
b) 次に,恒温室など常温で直射日光を避けて保管しておいたJIS Z 1522に規定する幅12 mm以上のセロ
ハン粘着テープ(以下,テープという。)を図3のように碁盤目より20 mmを超える長さに指で強く
貼り付けてから,5分以内にテープを上方に約120度の方向に折り返し,折り返した方向に一気に引
きがす。続いて,この操作をテープの方向を横に90度回転して繰り返す。
c) 目視によって碁盤目部の塗膜のがれの有無を調べ,結果を(塗膜にがれの認められない碁盤目の
数)/25で表す。ただし,碁盤目1個が全部がれたものを“がれの認められる碁盤目”とする。
図3−テープの引きがし方向
8.3.4.5 耐摩耗性
耐摩耗性の試験は,次による。
a) 塗膜面の温度を200 ℃±5 ℃に維持する。ステンレス板(JIS G 4304に規定するSUS304の板材で,
厚さ1.0 mmのものを図4の形状とし,先端エッジ部にRは付けず,ばりを取る程度に加工する。1
回の試験ごとに先端を研磨紙で磨き,常に同じ状態で試験をできるようにしたもの。)の先端を角度
40度で塗膜面に付け,おもりなどを用いて2.8 N±0.2 Nの荷重が掛かるように力を加える(図5参照)。
――――― [JIS S 2010 pdf 12] ―――――
11
S 2010 : 2013
単位 mm
図4−ステンレス板の形状
図5−耐摩耗性試験機の例
b) ステンレス板を毎分40回の速度でストローク約50 mmで3 000回しゅう動させる。
c) 塗膜面の状態を目視によって観察し,アルミニウム素地の露出がないものを“異状なし”とする。目
視での確認が困難な場合には回路計を用いて導通を確認してもよい。
8.3.4.6 耐熱油性
耐熱油性の試験は,次による。
a) いため容器類(玉子焼器を除く。)の底面の3か所に8.3.4.4に規定する付着力試験の手順に従って碁
盤目を作る。
b) 底面を覆う量のシリコーンオイルを入れて油温が220 ℃に達するまで加熱し,この状態を30分継続
する。油を他の容器に移し,2時間室内に試料を放置した後,中性洗剤で洗浄する。
c) 8.3.4.4に規定する付着力試験の手順に従い碁盤目にテープを指で強く貼り付けてから引きがす。
d) 底面の塗膜を目視によって観察し,膨れ又はしわがなく,碁盤目部について,8.3.4.4に規定する評価
方法で25/25であるものを“異状なし”とする。
8.3.4.7 耐食性
耐食性の試験は,次による。
a) 試料の中に試験液(50 g/L±5 g/Lの食塩水)を満水容量の1/3まで入れ,ラップなどで蓋をする。た
だし,食塩水はJIS K 8150に規定する特級の塩化ナトリウムを用い,水は25 ℃±2 ℃で導電率20
μS/cm以下の脱イオン水又は蒸留水を用いる。
b) 80 ℃の恒温槽中で24時間保持した後取り出し,水洗する。
c) 底面の腐食の状態を目視によって観察し,膨れが発生していないか,膨れの径が1 mm程度以内のも
のが3個以下で,かつ,試験前後で著しい変色がないものを“異状なし”とする。目視での確認が困
――――― [JIS S 2010 pdf 13] ―――――
12
S 2010 : 2013
難な場合には,試験前後の色を測色計を用いて測定し,JIS Z 8730の7.1.1に規定するL*a*b*表色系
による色差によって色差ΔE*abを求めてもよい。この場合,色差ΔE*abが3以下のものを“異状なし”
とする。
8.3.5 底面の有磁性材料の有効直径の試験
底面の有磁性材料の有効直径の試験は,底面の有磁性材料が円形の場合はその直径,長方形の場合はそ
の長辺,それ以外の場合は外接円の直径(図6に示すaの寸法)を測定する。ただし,鋳込み品で有磁性
材料が露出していない場合は,天板に接する面を有磁性材料の大きさとし,その大きさは,図7のように
角材にカーボン紙をかぶせ,エッジ部に底面を押し当てた状態で調理器具本体の中心付近を回転軸として
180°以上回転させることによって底面に付いたカーボンの最外径を測定する。呼び径に対する割合は,附
属書B及び附属書Cに定める呼び径に対する割合を百分率で算出する。
図6−底面の有磁性材料の有効直径の測定位置の例
図7−天板に接する面の有磁性材料の有効直径の測定方法の例
8.3.6 入力電力の試験
入力電力の試験は,図8のようにIHクッキングヒータ標準検査器に,調理器具本体の深さの1/2,又は
底面からの高さ30 mmのいずれか低い方までシリコーンオイルを入れた調理器具を載せて加熱し,3分後
の入力電力を測定し,小数点以下一桁に丸める。
図8−シリコーンオイルの液面の高さ
――――― [JIS S 2010 pdf 14] ―――――
13
S 2010 : 2013
8.3.7 底の平面性試験
8.3.7.1 冷めた状態での底の平面性
冷めた状態での底の平面性の試験は,23 ℃±5 ℃の室温で行い,がたつき及び外側への反りの有無につ
いては,調理器具を定盤の上に静置して目視及び触感で確認し,内側への反り(t1)については,定盤の
上でダイヤルゲージのゼロ点調整を行った後,図9のように調理器具の底面にダイヤルゲージを載せ,中
央部の直径10 mmの円内の反りを測定する。測定は2回行うこととし,1回目の測定後,測定器を約90
度回転して2回目の測定を行い,大きい方の値を内側への反りとする。
なお,底面の中央部に直径5 mm以上のへこ(凹)み部分がある場合には,図10の箇所を測定し,次の
式によって換算したものを内側への反りとする。
d2
t1 ty tx
d1
ここに, t1 : 内側への反り(mm)
ty : へこみ部分に最も近い箇所の反りの量(mm)
tx : へこみ部分の深さ(mm)
d1 : 有磁性材料の有効直径(mm)
d2 : へこみ部分の有効直径(mm)
図9−冷めた状態での反りの測定方法
図10−底面の中央部にへこみ部分がある場合の測定方法
8.3.7.2 加熱した状態での底の平面性
加熱した状態での底の平面性の試験は,次による。
a) 図11に示すような変位量測定器の外側にある3本の足を,図12のようにそれぞれ調理器具内側底面
の平面部の外端から内側へ5 mm以内に設置する。
b) 8.3.6に規定する図8のように調理器具本体の深さの1/2,又は底面からの高さ30 mmのいずれか低い
方までシリコーンオイルを入れて,変位量測定器のダイヤルゲージのゼロ点調整を行う。
c) Hクッキングヒータ標準検査器を用いて,鍋類にあってはシリコーンオイルの温度が170 ℃を超え
――――― [JIS S 2010 pdf 15] ―――――
次のページ PDF 16
JIS S 2010:2013の国際規格 ICS 分類一覧
JIS S 2010:2013の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC7601:2010
- 蛍光ランプ(一般照明用)
- JISG4304:2012
- 熱間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯
- JISG4304:2021
- 熱間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯
- JISG4305:2012
- 冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯
- JISG4305:2021
- 冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯
- JISH4000:2014
- アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条
- JISH5202:2010
- アルミニウム合金鋳物
- JISH5302:2006
- アルミニウム合金ダイカスト
- JISH8601:1999
- アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜
- JISH8680-1:1998
- アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜厚さ試験方法―第1部:顕微鏡断面測定法
- JISH8680-2:1998
- アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜厚さ試験方法―第2部:渦電流式測定法
- JISH8681-1:1999
- アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の耐食性試験方法―第1部:耐アルカリ試験
- JISH8682-3:2013
- アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の耐摩耗性試験方法―第3部:砂落し摩耗試験
- JISK6911:1995
- 熱硬化性プラスチック一般試験方法
- JISK8150:2006
- 塩化ナトリウム(試薬)
- JISR6252:2006
- 研磨紙
- JISR6253:2006
- 耐水研磨紙
- JISS6006:2020
- 鉛筆,色鉛筆及びそれらに用いる芯
- JISZ1522:2009
- セロハン粘着テープ
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方
- JISZ8730:2009
- 色の表示方法―物体色の色差