JIST0306 : 2002 金属系生体材料の不動態皮膜のX線光電子分光法(XPS)による状態分析

JIS T 0306:2002の規格概要

この規格 T0306は、金属系生体材料の表面に形成する不動態皮膜をX線光電子分光法(XPS又はESCA)を用いて,状態分析する方法について規定。不動態皮膜は,材料表面から金属イオンの溶出を防ぐ作用をする。

JIST0306 規格全文情報

規格番号
JIS T0306 
規格名称
金属系生体材料の不動態皮膜のX線光電子分光法(XPS)による状態分析
制定年月日
2002/07/25
最新改正日
JIS 閲覧
 
対応国際規格

ISO

国際規格分類

ICS

11.040.40,25.220.20,77.060
主務大臣
経済産業,厚生労働
JISハンドブック
医療機器II:2018
改訂:履歴
  • 2002-07-25制定日
  • 2009-04-25確認日
  • 2014-10-25確認日
  • 2019-10-25確認日

T 0306:2002

(1)

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まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣及び経済産業

大臣が制定した日本産業規格である。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。厚生労働大臣,経済産業大臣及び日本

工業標準調査会は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願

公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。

JIS T 0306には,次に示す附属書がある。

附属書(規定) X線光電子分光法 (XPS) による状態分析

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T 0306:2002

(2)

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目 次

ページ

1. 適用範囲 P.1

2. 引用規格 P.1

3. 定義 P.1

4. 試験片 P.2

4.1 形状 P.2

4.2 表面仕上げ及び洗浄 P.2

5. 不動態皮膜の生成 P.2

6. 分析試料の洗浄及び保管 P.2

7. 不動態皮膜の状態分析 P.3

7.1 分析試料の設置 P.3

7.2 状態分析 P.3

8. 測定回数 P.3

9. 結果の表示 P.3

附属書(規定) X線光電子分光法 (XPS) による状態分析 P.9

解 説 13

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日本産業規格 JIS

T 0306:2002

金属系生体材料の不動態皮膜の X線光電子分光法 (XPS) による状態分析

Analysis of state for passive film formed on metallic biomaterials by X-ray photoelectron spectroscopy

1. 適用範囲 この規格は,金属系生体材料の表面に形成する不動態皮膜をX線光電子分光法(XPS又は

ESCAともいう。)を用いて,状態分析する方法について規定する。不動態皮膜は,材料表面から金属イオ

ンの溶出を防ぐ作用をする。この作用を解析するため,不動態皮膜を構成する元素の定性及び定量分析並

びに各元素の結合状態を分析する。さらに,深さ方向の分析によって,皮膜厚さ及び皮膜の構造を状態分

析する。ただし,この規格は,擬似体液中での不動態皮膜の状態を分析するもので,生体内での耐食性に

関しては,使用する環境に応じて適切な試験方法と併せて検討する必要がある。

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。

JIS H 0211 ドライプロセス表面処理用語

JIS K 0119 蛍光X線分析方法通則

JIS K 0211 分析化学用語(基礎部門)

JIS K 0212 分析化学用語(光学部門)

JIS T 0302 金属系生体材料のアノード分極試験による耐食性の評価方法

JIS T 0304 金属系生体材料の溶出試験方法

ISO 12891-1:Retrieval and analysis of surgical implants−Part 1:Retrieval and handling

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS H 0211,JIS K 0119,JIS K 0211,JIS K 0212及びJIS

T 0302によるほか,次による。

a) 不動態皮膜 金属表面に生成し,腐食による金属の溶解反応を防ぐ安定な皮膜。

b) 光電子 X線を試料に照射したときに光電効果によって原子から放出される電子。

c) 光電効果 原子が光子(X線,紫外線,電子線,イオンなど)を吸収し,その結果,電子が放出され

る効果。

d) 結合エネルギー 各軌道の電子の結合(束縛)の強さを意味し,エネルギーの軸を目盛るために用い

られる量。eV単位で表す。

e) 化学シフト (chemical shift) 同一元素の同一軌道の結合エネルギーが,原子の周囲の状態によってわ

ずかに変化(シフト)する変化量。この変化量を測定することによって元素の結合状態の分析が可能

となる。一般に金属は,正にイオン化すると高結合エネルギー側に化学シフトする。

f)

ワイドスキャン (wide scan) 定性分析する場合のスキャンモード。幅の広いエネルギー範囲を比較的

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T 0306:2002

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粗い間隔で測定する。サーベイスキャン (survey scan) ともいう。

g) ナロースキャン (narrow scan) 各元素の定量分析及び元素の結合状態を分析する場合のスキャンモ

ード。エネルギーの分解能を高くして測定する。

h) 角度分解測定 試料表面と検出器とのなす角度(光電子の脱出角度)を小さくすることによって,検

出深さ(脱出深度)を浅くして非破壊的に測定するモード。また,脱出角度を連続的に変化させて測

定することによって,深さ方向の状態分析ができる。

i)

イオンスパッタリング法 試料表面を加速したイオン(Ar+イオンなど)を用いてスパッタエッチング

し,このスパッタエッチングと測定を繰り返すことによって,深さ方向を分析するモード。角度分解

測定に比べ破壊的ではあるが,検出深さよりも内部までの分析が可能。

j)

デプスプロファイル (depth profile) 深さ方向の定量及び結合状態の変化を測定すること。

4. 試験片

4.1

形状 試験片の形状は,使用する装置の試料ホルダにセットできるような形状とする。

4.2

表面仕上げ及び洗浄 試験片の表面は,使用される環境を考慮し,X線光電子分光法に支障のない

平滑な表面(鏡面研磨など)とする。エタノール又は純水などで十分に洗浄して使用する。

5. 不動態皮膜の生成 不動態皮膜の生成は,次のいずれかによる。擬似体液の例は,JIS T 0302又はJIS

T 0304による。

a) 浸せき試験 擬似体液中に浸せきする。試験の方法は,JIS T 0304に準じ,試験前の試料を比較材と

する。ただし,浸せきの期間によって,腐食の程度が異なり不動態皮膜の膜厚などが変化するので,

試験目的に応じて最適な浸せき期間とする。

b) アノード分極試験 JIS T 0302に準じ,自然浸せき電位から不動態皮膜が生成する電位まで,アノー

ド分極試験を行う。自然浸せき条件での試料を比較材として用いる。この場合には,アノード分極試

験条件及び分極電位によって,膜厚などが変化するのでアノード分極試験条件及び分極電位を結果に

付記する。

c) 上記以外の方法の場合には,結果にその旨を付記する。

備考 動物などに埋入した試料である場合は,最適な方法で摘出後,洗浄し分析試料とする。また,

インプラントの摘出及び取扱方法に関しては,ISO 12891-1に準じるとよい。

6. 分析試料の洗浄及び保管

a) 擬似体液,洗浄液などが付着した状態で乾燥しないように純水などで十分に洗浄する。

b) 埋込用樹脂などで包埋した試料では,できるだけ測定表面が汚染しない条件で樹脂を除去する。

c) 試料の移動及び保管に際しては,可能な限り汚染しないようにする。そのためには,最終的な洗浄は,

装置導入の直前に行うことが望ましい。

備考 汚染及び不動態皮膜の変質の防止には,超高真空槽中での保管が理想的である。真空槽,ガス

置換した密閉容器などを使用することもできる。ただし,真空排気系にロータリーポンプを使

用する場合には,ロータリーポンプの油が真空槽内に進入して試料を汚染しないように途中に

オイルトラップなどを設ける必要がある。また,真空グリースなどによる汚染にも注意を要す

る。

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JIS T 0306:2002の引用国際規格一覧

  • ISO 12891-1

JIS T 0306:2002の国際規格分類一覧

  • 11.040.40
  • 25.220.20
  • 77.060

JIS T 0306:2002の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
H0211
ドライプロセス表面処理用語
K0119
蛍光X線分析通則
K0211
分析化学用語(基礎部門)
K0212
分析化学用語(光学部門)
T0302
金属系生体材料のアノード分極試験による耐食性の評価方法
T0304
金属系生体材料の溶出試験方法