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T 0993-1 : 2020 (ISO 10993-1 : 2018)
するJIS T 14971の運用ガイダンスを含んでいる。
この附属書はこの規格に新たな要求事項を追加したり,この規格の要求事項を変更するものではない。
この附属書は,規制当局の調査又は認証検査の基準となる要求事項を含んでいない。
B.2 リスクマネジメントの実践としての生物学的評価
B.2.1 一般
B.2及びB.3は,製造業者が医療機器に関連する生物学的ハザードの特定,リスク推定及び分析,リス
クコントロール及びその有効性の監視などの一連のプロセスを示している。医療機器のリスクと効用とを
十分に考慮した生物学的評価の計画を適切に実行することによって,患者の安全が守られることが望まし
い。潜在リスクを受容できなければ,医療機器の使用によって患者は効用が得られない。医療機器のリス
クはその特性及び用途によって多様である。医療機器で受容されるリスクのレベルは,その使用によって
もたらされる効用に依存する。
生物学的リスクの検証は,医療機器のリスクアセスメントの一つにすぎない。したがって,医療機器の
リスク評価はあらゆる側面から考慮することが望ましい。場合によっては,生物学的安全性とは異なる側
面から材料の利点を考慮することもある。例えば,生物学的に最も安全な材料であっても力学的強度が受
容できない場合もある。その場合は,目的の力学的強度をもつ材料が生物学的安全性においても受容可否
を検証する必要がある。これは,医療機器の設計,開発において求められるリスクマネジメントプロセス
の一部として行われる生物学的評価の基本である。
材料選択及びリスク分析は,医療機器の設計プロセスで必要不可欠な要素である。材料選択は生物学的
安全性の評価に重要な要素であり,体系的に取り組むことで適切なデータ収集が可能となる。JIS Q 13485
及びJIS T 14971に従って,受容される生物学的リスクの判断基準は設計プロセスの最初に定められるこ
とが望ましい。出発材料及び配合並びに包装,輸送及び保存期間を含む様々な条件が最終製品の生体適合
性に影響を及ぼす可能性があるため,全てをリスクアセスメントに組み込み検証することが望ましい。生
物学的評価は,リスク分析の結果又は同材料の臨床使用実績に基づいて,一定の安全性を満たすことを立
証する目的で計画,実行する。この評価は,医療機器に関する全てのハザード特定及びリスク推定を含め
たリスクマネジメント計画の構成要素の一つとなる。適切なリスクアセスメントには,医療機器への生物
学的反応と同様に,毒物学的ハザード及びばく露経路の明確化が必要である。
ハザード特定に重要な要素は,材料キャラクタリゼーションである(ISO 10993-18及びISO/TR 10993-19
を参照)。次の事項について明確化する。
− 代用できる適切な材料も含めそれぞれの材料を定め,特徴を示す。
− 材料,添加剤,加工助剤などに存在するハザードを特定する。
− 下流の工程(例 : 材料の構成成分間の化学的相互作用,最終製品の滅菌)が最終製品に存在する化学
物質に与える潜在的影響を特定する。
− 製品の使用中に放出される化学物質(例 : 生体内分解性インプラントの中間又は最終分解物)を特定
する。
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− ばく露量(医療機器に含まれる全量又は臨床使用での溶出量)を推定する。
− 書籍を含む利用可能な毒性及びその他の生物学的安全性のデータを検証する。
生物学的安全性の評価で検証する情報を次に示す。
− 関連性のある部材成分,混合部材の毒性データ
− 関連性のある部材成分,混合部材の臨床使用実績から得た情報
− 生物学的試験のデータ
まずハザードを特定し,そこから想定されるリスクを評価する。この段階では,材料に由来する重篤な
毒性学的リスクの有無を判断する。
既存データからリスクが受容されると結論付けられる場合には,更なる生物学的安全性試験の実施は必
要ない。リスクが受容できない場合は試験を実施しないことが望ましい。既存データが不十分な場合には,
追加データを取得する。生物学的安全性試験の目的は,リスク評価を行う上での追加データの取得にある。
したがって,試験を実施する根拠は,既存データの適切なリスク分析に基づく。
全ての試験結果を評価することが望ましい。報告書には,根拠を明文化し,得られた知見に対する評価
及びその受容可否の判断を記載する。
評価者は,入手した情報が生物学的安全性評価に利用可能か否かを検討する。利用可能と判断した場合
には,安全性に関する結論を導く上で必要な全ての判断の根拠,評価に影響を与える試験結果,その他の
情報などを報告書に記載する。
評価報告書には,全ての根拠に関する出典及び重要性を示し,全体の結論は科学的原理に重点を置き,
正確,明瞭かつ分かりやすく記載することが望ましい。結論を導くための要因が,判断するための論理的
根拠並びに判断の根底にある不確実性の特定及び考察も含め,十分に検討されていることが重要である。
リスクマネジメントの構成要素は,図B.1に集約されている(JIS T 14971:2012から引用)。リスクマネ
ジメントプロセスでは,生物学的評価以外の様々な要因も検証される。
要約すると,医療機器の生物学的評価は医療機器のリスクマネジメントの一つであり,生物学的評価は
この規格及びJIS T 14971の要求事項を満たすことを目的に実施することが望ましい。
――――― [JIS T 0993-1 pdf 32] ―――――
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リスク分析
・ 使用目的及び医療機器の安全に関する特質の明確 リ
ス
化 ク
・ ハザードの特定 ア
セ
・ 個々のハザードに対するリスク推定 ス
メ
ン
ト
リスク評価
リスクコントロール
リ
ス
・ リスクコントロール手段の選択 ク
・ リスクコントロール手段の実施 マ
ネ
・ 残留リスクの評価 ジ
・ リスク/効用 分析 メ
・ リスクコントロール手段から生じるリスク ン
ト
・ リスクコントロールの完了
残留リスクの全体的な受容可能性の評価
リスクマネジメント報告書
製造及び製造後の情報
図B.1−リスクマネジメントプロセスの概要(JIS T 14971:2012から引用)
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B.2.2 生物学的評価計画
JIS T 14971:2012の3.4は,事前にリスクマネジメント計画を立てるよう求めている。生物学的評価もリ
スクマネジメント計画の一部となるため,同様に生物学的評価計画書の作成が必要となる。単に附属書A
で特定した全てのエンドポイントに対する試験の実施を計画することはJIS T 14971又はこの規格の要求
事項を満たしたことにはならない。当ガイダンスの医療機器への適用事例は,ISO 18562-1にも示されて
いる。
生物学的評価計画は,次の事項を最低限考慮し,知識及び経験が豊富な専門家チームによって作成する
ことが望ましい。
− リスク分析を行うために,公表されている文献(情報源及び調査方法を含む。),内部及び提供された
データ並びにその他の文書から,適用できる情報の収集
− 医療機器の使用に関わる全ての技術的な性能要件に対する評価の実施有無
− 設計管理プロセスにおける精査及び承認の体制
− 評価の最終結論及び追加試験の必要性
− 生物学的リスクアセスメント結果に対する最終精査及び承認の体制。生物学的リスクアセスメントに
は,適用するリスクコントロールの手段,全ての残留リスクに対する文書化及び製品表示などによる
残留リスクの開示を含む。
B.3 リスクマネジメントに関するガイダンス
B.3.1 リスクアセスメント
B.3.1.1
序文
リスクアセスメントは,リスクを特定及び推定するリスク分析と,リスクコントロールによる軽減措置
をとるべきリスクを特定するリスク評価との組合せである。
B.3.1.2 リスク分析
リスク分析は特定のハザードを明確化し,その重大さを評価するプロセスである。生物学的評価におい
て重要な検討事項には,構成材料の潜在的毒性及びそのばく露経路がある。また,物理学的特性が生物学
的反応に及ぼす影響も重要な検討事項となる。リスク分析では,当該ばく露経路における原料及び成分の
いずれか又は両方に由来する毒性学的影響を基に体系的にリスクを推定することが望ましい。したがって,
リスク分析は間接的又は直接的に生体組織と接触する医療機器の原料及び成分の特定及びキャラクタリゼ
ーションから始まる。その作業は,製造用の添加剤,加工助剤,滅菌残留物などの潜在的な混入物質の存
在を考慮し,医療機器の製造過程での最終形態を対象に行うことが望ましい。材料加工時の材料組成及び
化学的性質(内部及び表面への影響を含む。)の影響も考慮することが望ましい。特に,反応性の強い又は
危険な成分が使われる場合,製造,加工,保管又は原料の分解によってそのような成分が生成される可能
性がある場合は,これら毒性物質の残留を考慮することが望ましい。包材からの混入物質による相互作用
又は混入物質自体のばく露も考慮することが望ましい。
物理学的及び化学的な材料特性は生物学的安全性と密接に関連するため,次に関連する事項は,リスク
分析の段階で特定することが求められる。
− 摩耗,応力,疲労[例 : 特に,全置換型人工関節など荷重がかかる医療機器及び医療機器から発生す
――――― [JIS T 0993-1 pdf 34] ―――――
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T 0993-1 : 2020 (ISO 10993-1 : 2018)
る微粒子(ナノマテリアルを含む。)又は材料の分解]
− 摩擦及びそれに関連した刺激(例 : カテーテルの使用)
− 材料の組合せによる相互作用(化学的相互作用)(例 : 柔軟性の違い,ガルバニック腐食,摩耗)
− 熱(例 : 熱による分解又は熱によって誘発された材料の変化)
− 製造工程(例 : 発生した内部応力が環境応力,亀裂,形態の変化又は分解を助長する。)
− 環境との相互作用[例 : 内視鏡(胃酸),包帯(外部の環境),紫外線,洗剤,除菌及び滅菌工程]
− 電気(例 : 短絡,分解,加熱,筋肉刺激)
− 成分間の潜在的な相互作用
− 物理学的形状の影響(例 : ナノマテリアルを含む微粒子)
− 再処理
− 輸送,経時的変化
材料の情報は,文献精査,供給元からの情報提供,内部で取得したデータ又は製造工程及び配合組成が
同等な市場販売品との比較を通して得ることができる。
注記1 附属書Cは,文献精査に関するガイダンスを示す。
化学的キャラクタリゼーションに続き,材料の成分に関する毒性学的影響と用量反応との関係を考慮す
ることが望ましい。
毒性学的影響の範囲は広い。ばく露経路及び期間に応じて考慮すべき毒性学的影響のガイダンスを箇条
5及び附属書Aに示す。
抽出物及び溶出物のキャラクタリゼーションに加え,形状,剛性など生物学的に悪影響を及ぼす可能性
がある医療機器の物理学的特性を考慮することが望ましい。
注記2 微粒子のキャラクタリゼーション及び試験において,ナノマテリアルには特有の注意が必要
である。サブミクロンの成分からなる材料は,同じ材料でも汎用サイズの場合と異なる挙動
をとることがあり,汎用サイズで得られたデータから外挿することが適切でないケースもあ
る。
B.3.1.3 リスク推定
材料の化学的な毒性に対してリスクの推定を行う場合は,毒性が懸念される化学物質のばく露量を考慮
する。例えば,溶出物又は溶解する成分の生物学的利用能(ISO 10993-17を参照)。材料の物性に対して
リスクの推定を行う場合は,医療機器の使用方法を考慮する。
リスクは通常,危害が起こる確率及びその重大さを明らかにすることによって推定される。一般的な毒
物学的条件の場合,危害が起こる確率は,有毒な成分の生物学的利用能及び関連組織での用量反応の知見
から推定する。重大さは毒性の性質から評価する。材料の物性に対するリスク推定では,危害が起こる確
率を摩耗片の物理学的試験の結果から推定する。重大さは文献又は動物試験から推定される生物学的反応
の性質から評価する。
――――― [JIS T 0993-1 pdf 35] ―――――
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JIS T 0993-1:2020の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 10993-1:2018(IDT)
JIS T 0993-1:2020の国際規格 ICS 分類一覧
- 11 : 医療技術 > 11.100 : 実験医学 > 11.100.20 : 生物学的な医療機器の評価
JIS T 0993-1:2020の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JIST0993-7:2012
- 医療機器の生物学的評価―第7部:エチレンオキサイド滅菌残留物