JIS T 5913:2019 歯科―パワードスケーラ | ページ 3

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10 Nを超えてはならない。
試験は,7.8.5による。
5.19.7 スケーラチップの出力
製造業者は,スケーラチップの出力を取扱説明書に記載しなければならない。
試験は,7.8.6による。
5.19.8 破損耐性
スケーラチップは,破損に対して耐性があり,製造業者が意図した使用範囲内で加える力に耐えなけれ
ばならない。
試験は,7.8.7による。

5.20 振動数

  スケーラチップの振動数は,製造業者の推奨条件で作動させたとき,表1に記載する振動数でなければ
ならない。
試験は,7.9による。

5.21 振幅

  スケーラチップの最大振幅は,製造業者が推奨する最大出力で作動したとき,振動面(又は振動方向)
に垂直な方向に,200 mを超えてはならない。
作業端部における最大振幅が200 mを超える場合は,その旨の警告を製造業者の指示書に含めなけれ
ばならない。
試験は,7.10による。

6 サンプリング

  試験は,各モデルシリーズの少なくとも1個のハンドピースについて,この規格に対する適合性を評価
しなければならない。

7 試験方法

7.1 一般試験条件

  この規格に規定する試験は,全て形式試験である。

7.2 目視検査

  目視検査は,拡大せずに要求に対する適合性を判定する。

7.3 動力供給-電気

  試験方法は,JIS T 0601-1及びJIS T 80601-2-60を適用する。

7.4 空気供給源

7.4.1  器具
7.4.1.1 流量計 流量計は,スケーラハンドピースに供給する空気流量を5 %の精度で測定できるもの。
7.4.1.2 圧力計 圧力計は,スケーラハンドピースの入口における供給空気圧力を5 %の精度で測定でき
るもの。
7.4.2 手順
供給空気流量は,スケーラハンドピースの空気接続部に流量計を設置し,最大推奨作動圧力でスケーラ
ハンドピースを操作しながら測定する。空気流量の測定結果は,標準流量(NL/min)に補正する。

――――― [JIS T 5913 pdf 11] ―――――

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7.5 冷却液の供給

7.5.1  器具
7.5.1.1 体積計測容器 体積計測容器は,冷却液の体積を5 %の精度で測定できるもの。
7.5.1.2 圧力計 圧力計は,ハンドピースの入口における冷却液供給圧力を5 %の精度で測定できるもの。
7.5.2 手順
ハンドピースは,製造業者が推奨する冷却液供給圧力に調整し,最大出力で1分間作動させる。冷却液
がスケーラチップの作業域に適切に向けられているか判定するために,冷却液の方向を観察する。集めた
冷却液の体積を記録する。

7.6 空気圧及び水圧

7.6.1  器具
7.6.1.1 圧力計 圧力計は,供給圧を5 %の精度で測定できるもの。
7.6.2 手順
ハンドピースを推奨作動圧力の50 %増の圧力で10分間作動させる。
ハンドピースに亀裂又は破裂がないか観察する。

7.7 機器の寸法測定

  測定器具は,ゲージ又はダイヤルインジケータのような,線形寸法を0.01 mmの精度で,角度を±1°
の精度で測定できるもの。寸法を測定し,記録する。

7.8 スケーラチップ

7.8.1  引抜力(挿入式スケーラチップだけに適用)
7.8.1.1 器具
7.8.1.1.1 フォースゲージ フォースゲージは,精度が±0.5 Nで,引抜力を測定できるもの。
7.8.1.2 手順
スケーラチップは,製造業者の指示書に従って,ハンドピースに装着する。スケーラハンドピースは,
製造業者の推奨する液体流量及び最大振動数で,少なくとも1分間作動して,スイッチを切る。フォース
ゲージは,生じた最大引抜力を記録できるように設定する。スケーラチップを引き抜くのに要した力を測
定し,記録する。
7.8.2 緩みトルク(ねじ式スケーラチップだけに適用)
7.8.2.1 器具
7.8.2.1.1 トルク計又はダイナモメータ トルク計又はダイナモメータは,±10 %以上の精度で,トルク
を(mN・m又はN・cm)単位で測定できるもの。
7.8.2.2 手順
スケーラチップは,製造業者の指示書に従って,ハンドピースに装着する。スケーラハンドピースは,
製造業者の推奨する最大液体流量及び最大振動数で,少なくとも1分間作動して,スイッチを切る。測定
具は,最大トルクを記録できるように設定する。スケーラハンドピースからスケーラチップを外すのに要
したトルクを記録する。
7.8.3 挿入力(挿入式スケーラチップだけに適用)
7.8.3.1 器具
7.8.3.1.1 フォースゲージ フォースゲージは,精度が±0.5 Nで,挿入力を測定できるもの。
7.8.3.2 手順
スケーラチップは,製造業者の指示書に従って,測定具を当てながら,スケーラハンドピースに装着す

――――― [JIS T 5913 pdf 12] ―――――

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る。スケーラチップをハンドピースに固定するのに要した力を記録する。
7.8.4 装着トルク(ねじ式スケーラチップだけに適用)
7.8.4.1 器具
7.8.4.1.1 トルク計又はダイナモメータ トルク計又はダイナモメータは,±10 %以上の精度で,トルク
を(mN・m又はN・cm)単位で測定できるもの。
7.8.4.2 手順
スケーラチップは,製造業者の指示書に従って,測定具を当てながら,スケーラハンドピースに装着す
る。スケーラチップをハンドピースに固定するのに要したトルクを記録する。
7.8.5 振動停止力
7.8.5.1 器具
7.8.5.1.1 フォースゲージ フォースゲージは,精度が±0.5 Nで測定できるもの。
7.8.5.2 手順
スケーラチップは,製造業者の指示書に従って,ハンドピースに装着する。ハンドピースは,推奨する
空気流量,空気圧及び周波数で無負荷状態で少なくとも1分間操作した後,スケーラチップの先端の動き
が停止するまで力を加える。スケーラチップを停止するのに要した力を記録する。
7.8.6 スケーラチップの出力
7.8.6.1 器具
7.8.6.1.1 スプリング式フォースゲージ スプリング式フォースゲージは,摩擦係数μを計算するための
力Fμを,±0.5 Nの精度で測定できるもの。
7.8.6.1.2 非接触の光学式又は電子式長さ測定器 長さ測定器は,±10 %の精度で測定できるもの。
7.8.6.1.3 ガラス平板 ガラス平板は,平滑なもので,例えば寸法が,50 mm×50 mm,厚さ2 mmで,上
面を着色したもの。
注記 着色するために,油性マーカーペンを使用してもよい。
7.8.6.1.4 顕微鏡 顕微鏡は,少なくとも100倍の倍率をもち,接眼レンズに校正したレチクル又はミク
ロメータをもつもの。
7.8.6.2 手順
摩擦係数を決定するための手順は,次による。
a) スケーラチップを,製造業者の指示書に従って,ハンドピースに取り付ける。
b) 冷却液なしで,推奨する最大出力でスケーラチップを作動させる。
c) ハンドピースを横方向から(すなわち,振動面又は振動方向に垂直に)1 Nの力で着色ガラス面(記
録面)に押し付ける。
d) 作業部の先端をガラス上面に触れるようにする。
e) ガラス表面を作業端部が移動するのに必要な力Fμを測定し,μ=Fμ/1 Nを計算する。
ピーク間変位を測定するための手順は,次による。
a) スケーラチップを,製造業者の指示書に従って,ハンドピースに取り付ける。
b) 冷却液あり及び冷却液なしで,推奨する最大出力でスケーラチップを作動させる。
c) ハンドピースを横方向から(すなわち,振動面又は振動方向に垂直に)1 Nの力で着色ガラス面(記
録面)に押し付ける。
d) 作業部の先端をガラス上面に触れるようにする。

――――― [JIS T 5913 pdf 13] ―――――

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e) スケーラチップの軌跡が記録できるように,記録面に並行に,かつ,振動方向に垂直に,着色ガラス
面上でスケーラチップ又はガラス面を,少なくとも40 mm動かす。
f) スケーラチップを振動させた場合及び振動させていない場合の軌跡(振幅)を測定し,チップに供給
した出力を,次のように計算する(図2参照)。
注記 チップの幅dwを得るために,振動しない場合の軌跡を測定する。
1 ガラス平板
2 スケーラチップ(作業端部)
dw チップ幅
db トラック幅
a ガラス平板移動方向
b スケーラチップとガラス平板との接触部
図2−スケーラチップの出力
次の式を使用して,出力Pを計算する。
ds
Pt F (1)
dt
ここに, F : 適用した垂直の力(N)
: 摩擦係数
s : 距離
t : 時間
さらに,st s0 sint (2)
ならば,Pt F s0 cos t (3)
ここに, s0 : (db−dw) / 2
dw : チップ幅
db : トラック幅
ω : 振動周波数
0
Pt P cos t (4)

――――― [JIS T 5913 pdf 14] ―――――

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さらに, P0 F s0 (5)
P0
ならば, Peff (6)
2
ここに, F : 定数
: 定数
さらに, 2 f (7)
Pt s0 f (8)
附属書Aに,出力の計算例を示す。
7.8.7 破損耐性
スケーラチップは,表面(試料,ガラス,金属又は機械加工可能なセラミックス)と10°の角度で試料
に垂直に1 Nの力を加える。あらかじめ決めた位置を保ちながら平行に及び一定時間(1分間)振動方向
と垂直な方向にスケーラチップを移動させる。スケーラチップは,破壊してはならない(図2参照)。

7.9 振動数

7.9.1  器具
非接触振動計,振動数電子計測器又は校正された時間軸をもつ測定器は,振動数を±10 %の精度で測定
できるもの。
7.9.2 手順
スケーラチップは,製造業者の指示書に従って,ハンドピースに装着する。スケーラチップは,負荷を
全くかけずに,推奨する最大液体流量及び最大出力で,少なくとも1分間作動させる。振動数は,スケー
ラチップの作業域において測定し,全ての手順で記録する。

7.10 振幅

7.10.1  器具
7.10.1.1 非接触の光学式長さ測定器 長さ測定器は,±10 %の精度で測定できるもの。
7.10.1.2 ガラス平板 ガラス平板は,平滑なもので,例えば,寸法が,50 mm×50 mm,厚さ2 mmで,
上面を着色したもの。
注記 着色するために,油性マーカーペンを使用してもよい。
7.10.1.3 顕微鏡 顕微鏡は,少なくとも100倍の倍率をもち,接眼レンズに校正したレチクル又はミクロ
メータをもつもの。
7.10.2 手順
a) スケーラチップを,製造業者の指示書に従って,ハンドピースに取り付ける。
b) ハンドピースは,負荷を全くかけずに,冷却液あり及び冷却液なしで,製造業者が推奨する最大出力
で,1分間作動させる。
c) スケーラチップの振幅が最大となる方向に,5秒10秒の時間範囲で測定する。測定した最大振幅を
記録する。
d) ハンドピースを横方向から(すなわち,振動面又は振動方向に垂直に)1 Nの力で着色ガラス面(記
録面)に押し付ける。
e) スケーラチップの作業部の先端をガラス上面に触れるようにする(図3参照)。
注記1 記録面(ガラス上面)に対して最大10°(0°10°)の方向のずれは,測定を容易にす
るために差し支えない。

――――― [JIS T 5913 pdf 15] ―――――

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JIS T 5913:2019の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 18397:2016(MOD)

JIS T 5913:2019の国際規格 ICS 分類一覧

JIS T 5913:2019の関連規格と引用規格一覧