JIS T 61267:2014 診断用X線装置―特性決定に用いる放射線条件 | ページ 3

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T 61267 : 2014 (IEC 61267 : 2005)
表1−標準の線質RQR 2RQR 10の特性
標準の線質 管電圧 第1半価層 均等度
アルミニウム厚
kV mm
RQR 2 40 1.42 0.81
RQR 3 50 1.78 0.76
RQR 4 60 2.19 0.74
RQR 5 70 2.58 0.71
RQR 6 80 3.01 0.69
RQR 7 90 3.48 0.68
RQR 8 100 3.97 0.68
RQR 9 120 5.00 0.68
RQR 10 150 6.57 0.72

5.4 管電圧調整

  管電圧は,加重平均ピーク電圧で表示する。管電圧は,不確かさ1.5 %又は1.5 kV(包含係数k=2)の
いずれか大きい値以下になるように調整する。

5.5 付加フィルタ

  5.4で決定した管電圧の設定を使用し,減弱曲線は,アルミニウム減弱層で測定する。減弱曲線は,少
なくとも6の減弱(7枚のアルミフィルタセットの16 mm)までカバーしなければならない。
乳房撮影を除く全ての場合に,第1半価層の確立と適切な表で与えられる均等度に近づけるため,付加
フィルタの量が決定される。もしX線管装置の第1半価層が,得ようとする値よりも大きい場合,そのX
線管装置は,望まれる線質を確立するのに使用できない。
要求される付加フィルタ量の決定例は,附属書Bに記載する。
決定値を超える付加フィルタの量を加え,半価層試験器具の中間値から,修正されたろ過での半価層を
確認する。放射線ビーム中に半価層試験器具がある場合とない場合との測定で得られた空気カーマ又は空
気カーマ率の測定値の比率が,0.4850.515の場合に正確な標準の線質が得られる。
注記 正確な半価層の確立は,非線形の手順である。その手順は,この細分箇条で記述したステップ
による減弱曲線の測定を繰り返すことが必要な場合もある。代わりに,放射線ビーム中に半価
層試験器具がある場合とない場合との測定で得られた空気カーマ又は空気カーマ率の指示値が,
0.4850.515(0.500±3 %に相当)の間の範囲の外にある場合,追加ろ過は,試行錯誤によって
変えてもよい。もし空気カーマの比が0.485未満である場合,付加フィルタを追加する必要が
ある,逆もまた同様である。減弱曲線は,7枚のアルミフィルタセットで,0.5 mmの厚さから
始め,一つのフィルタから次まで2倍ずつ厚さを増加し,32 mmまでのフィルタ厚さを含んだ
もので決定することができる。

5.6 試験機器

5.6.1  管電圧測定器
管電圧は,X線発生装置及びX線管と並列に接続している分圧器で測定するものとする。
注記 非接続形管電圧測定器は,この規格の目的には適さない。
5.6.2 補助のフィルタ
アルミニウムの薄い層で作られた補助のフィルタが利用可能で,表1に示す第1半価層を得るためにX
線源装置に装着するのに適している。

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これらの層の材質は,純度99.9 %以上のアルミニウムとする。
5.6.3 減弱層
公称の半価層を得るために,5.3に要求する標準の線質RQRを達成するため,減弱カーブは,一連のア
ルミニウム減弱層によって測定する。アルミニウム減弱層を組み合わせることによって,厚さ0.5 mmを
超えないステップで,25 mmまでの減弱層厚さを確立することができる。各減弱層の厚さは,±0.01 mm
まで判別できるものとする。これらの減弱層の材質は,純度99.9 %以上のアルミニウムとする。
減弱層の寸法は,試験に用いる全ての放射線ビームを遮るのに十分な大きさでなければならない(図1
参照)。
5.6.4 絞り
絞りは,減弱層の放出表面直後の放射線ビームの広がりを50 mm×50 mm以下に制限できなければなら
ない(図1参照)。
5.6.5 放射線検出器
4.2を参照。
5.6.6 半価層試験器具
公称の半価層を得るために,5.3に要求する標準の線質RQRを達成するため,アルミニウムの半価層試
験器具が利用可能である。この半価層試験器具は,できれば単一層で成りたち,表1の3列で与えられた
公称の第1半価層と許容差±0.1 mmの厚さのものとする。
これらの層の材質は,純度99.9 %以上のアルミニウムとする。
半価層試験器具の寸法は,試験に用いる放射線ビームを遮るのに十分な大きさでなければならない(図
1参照)。

5.7 標準の線質RQRの生成及び検証

5.7.1  幾何学的配列
放射線検出器は,適用平面中の基準軸に基準点を配置する。適用平面は,焦点から最低550 mm離れて
いるか,焦点と半価層試験器具との間の距離の2倍以上のいずれか大きい距離とする。
後方散乱を最小限にするために,放射線ビームの容積内には,測定目的のために必要なものだけを置く。
放射線ビームは,適用平面及び,基準方向に適用平面を越えた450 mmの点を含む放射線ビーム軸に垂直
な平面によって制限される(図1参照)。
5.7.2 一つの標準の線質RQRの確立
5.4に記載したステップは,表1中で与えられたパラメータを使用して行う。これらの測定の結果,X線
源装置に補助のフィルタを取り付けることによって,総ろ過を修正することが必要な場合もある。
5.7.3 一連の線質 RQRの確立
線質 RQRの確立に用いた付加フィルタは,それぞれの線質に一致しない場合がある。付加フィルタの
最大値と最小値との差が,0.5 mmを超えない場合,付加フィルタの最大値と最小値との平均に近い1枚の
付加フィルタを線質RQRの確立に使用してもよい。

6 RQA-アルミニウム付加フィルタで構成したファントムによる線質

6.1 目的

  この箇条は,次に掲げる場合における特性の決定に使用する次の線質について取り扱う。
− 患者を模擬した物体から出る放射線ビームの中で測定が行われる場合。
− 検知された放射線ビーム中の散乱放射線の量が多くない場合(低散乱線条件)。

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− 患者からの放射線ビームのスペクトル分布の正確なシミュレーションは,特に必要とはしない。

6.2 識別

  表2の1列に文字コードで示す標準の線質は,次によって識別する。
RQA x JIS T 61267: 201y
ここで x : 表2による210の間の数,y : この規格の発行年

6.3 仕様

6.3.1  既知の管電圧に対する線質RQAの規定
標準の線質RQAは,次の一連のパラメータで規定する。
− タングステンの放射ターゲット
− 線質RQAに対応する管電圧
− 次のものから成る総ろ過
・ 5.4及び5.5で表された総ろ過
・ 6.3.2の表2の3列で与えられる付加フィルタ
− 表2の4列で与えられる公称の第1半価層
この細分箇条で指定した線質RQAの生成の方法は,6.4による。
6.3.2 付加フィルタ
患者を模擬した標準の線質RQA 2線質RQA 10を達成するために,表2の中で与えられた付加フィル
タの値を得る適切な厚さのアルミニウムの層を適用する。
各フィルタの厚さは,±0.01 mmまで判別できるものとする。
これらの層の材質は,純度99.9 %以上のアルミニウムとする。
層の寸法は,試験に用いる全ての放射線ビームを遮るように十分な大きさでなければならない(図2参
照)。
表2−標準の線質RQA 2RQA 10の特性
標準の線質 管電圧 付加フィルタ 公称第1半価層
アルミニウム厚 アルミニウム厚
kV mm mm
RQA 2 40 4 2.2
RQA 3 50 10 3.8
RQA 4 60 16 5.4
RQA 5 70 21 6.8
RQA 6 80 26 8.2
RQA 7 90 30 9.2
RQA 8 100 34 10.1
RQA 9 120 40 11.6
RQA 10 150 45 13.3

6.4 標準の線質RQAの生成

  5.4及び5.6で設定された標準の線質RQRから開始し,表2の3列に与えられたフィルタを加える。
注記 線質RQRを基に線質RQAを確立させる場合,管電圧及び総ろ過は,記載した方法で調整する。
これは,半価層の調整の自由度が広がるものではなく,表2の4列の半価層は,公称値を示す。

6.5 標準の線質RQAを生成する別の方法

  標準の線質RQAは,箇条5に記載した方法,すなわち,事前に線質RQRを確立せずに,直接確立でき

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る。箇条5で記載した方法を線質RQAの生成に適用する場合,表2の4列の半価層は,公称値ではなく
なる。

7 RQC-銅付加フィルタによる線質

7.1 目的

  この箇条は,散乱線がない状況での透視用自動輝度制御システムの特性を決定する際に用いる線質につ
いて取り扱う。

7.2 識別

  表3の1列に文字コードで示す標準の線質は,次によって識別する。
RQC x JIS T 61267: 201y
ここで x : 表3による3,5又は8のいずれかの数,y : この規格の発行年

7.3 仕様

  標準の線質RQCは,7.3.1に示されたパラメータによって規定する。
7.3.1 規定
標準の線質RQCは,次による。
− タングステンの放射ターゲット
− 管電圧は,対応する線質RQRと同じ
− 総ろ過は,
・ 5.4及び5.5で表された総ろ過
・ 銅の付加フィルタ
7.3.2 付加フィルタ
患者を模擬した標準の線質RQC 3,RQC 5及びRQC 8を達成するため,表3の3列の付加フィルタを
用いる。各フィルタの厚さは,±0.01 mm以内まで判別できるものとする。
これらの層の材質は,純度99.9 %以上の銅でなければならない。
層の寸法は,試験に用いる全ての放射線ビームを遮るのに十分な大きさでなければならない(図2参照)。
表3−標準の線質RQC 3,RQC 5及びRQC 8の特性
標準の線質特性 管電圧 RQC用付加フィルタ 公称第1半価層
銅厚 アルミニウム厚
kV mm mm
RQC 3 50 0.5 4.5
RQC 5 70 1.5 8.4
RQC 8 100 2.0 11.5

7.4 線質RQCの生成方法

  標準の線質RQCは,線質RQAを確立した手順で開始して,生成しなければならない。付加フィルタは,
表3の3列に示した厚さの銅フィルタに設定する。表3の4列の半価層は,公称値を示す。
X線管装置の線質等価ろ過が1.5 mm3.5 mmアルミニウムの範囲内の場合,付加フィルタは,表3の
厚さを使用しなければならない。
注記 RQCの線質は,アルミニウムフィルタ厚さの精度によって,僅かに影響される。

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8 RQT-銅付加フィルタによる線質(CT装置に適用)

8.1 目的

  この箇条は,CTの特性決定に適用される線質について取り扱う。

8.2 識別

  表4の1列に文字コードで示す標準の線質は,次によって識別する。
RQT x JIS T 61267: 201y
ここで x : 表4による810の数,y : この規格の発行年

8.3 仕様

  標準の線質RQTは,8.3.1のパラメータによって規定する。
8.3.1 既知の管電圧による線質RQTの規定
標準の線質RQTは,次による。
− 第1半価層
− タングステンの放射ターゲット
− 線質RQRに同等に対応した管電圧
− 総ろ過は,
・ 5.4及び5.5で表された総ろ過
・ 銅の付加フィルタ
8.3.2 付加フィルタ
患者を模擬した標準の線質RQT 8線質RQT 10を達成するために,表4の4列に示す第1半価層の値
になるように適切な厚さの銅を用いる。
これらの層の材質は,純度99.9 %以上の銅でなければならない。
層の寸法は,試験に用いる全ての放射線ビームを遮るのに十分な大きさでなければならない(図2参照)。
表4−標準の線質RQT 8,RQT 9及びRQT 10の特性
標準の線質特性 管電圧 公称RQT用付加フィルタ 公称第1半価層
銅厚 アルミニウム厚
kV mm mm
RQT 8 100 0.2 6.9
RQT 9 120 0.25 8.4
RQT 10 150 0.3 10.1

8.4 線質RQTの生成方法

  標準の線質RQTは,線質RQRを確立した手順で開始して,生成しなければならない。表4の3列で示
す厚さの付加フィルタをビーム内に挿入する。この結果,公称第1半価層は,表4の4列となる。
注記 線質RQRに基づき確立した線質RQAによって,管電圧及び総ろ過は,記載のとおり調整され
る。これは半価層の調整に自由度を与えるものではない。したがって,表2の4列に記載され
た半価層は,公称値を示す。

8.5 標準の線質RQTを生成するための別の方法

  標準の線質RQTは,事前に標準の線質RQRを確立することなく直接的に確立できる。線質RQRを使
用せず,直接的に線質RQTを得るために,繰り返し行うことを推奨する。
最初に,表4の3列に記載した銅の付加フィルタを追加する。8.6に記載した半価層試験器具で得られ
た半価層を確認する。放射線ビーム内に半価層試験器具がある場合とない場合とで測定された空気カーマ

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  • IEC 61267:2005(IDT)

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