JIS T 6528:2019 歯科矯正床用レジン | ページ 4

14
T 6528 : 2019
AMMA
AI.S.
ここに, A'MMA : 検量線用溶液中のMMAのピーク面積(又は高さ)
A'I.S. : 検量線用溶液中の内部標準用試薬(例えば,n-ペンタノ
ール)のピーク面積(又は高さ)
2) 測定の信頼性 線形回帰によって作成された検量線の相関係数は,0.990以上でなければならない。
3) MAの濃度の決定 次の対応比を用いて,MMAの濃度を求める。
AMMA
AI.S.
ここに, AMMA : サンプル溶液中のMMAのピーク面積(又は高さ)
AI.S. : サンプル溶液中の内部標準用試薬(例えば,n-ペンタノ
ール)のピーク面積(又は高さ)
分析されるサンプル溶液中のMMA濃度(cMMA μg/mL)を求めるために,検量線を用いる。
サンプル溶液中のMMA全量(mMMA μg)を次の式によって求める。
*
10
mMMA MMA 10**
2
注* 溶解ポリマーを沈殿させるために,密閉された全量フラスコ中のサンプル溶液2 mL及び
内部標準用溶液100 μLにメタノール溶液を加えて,全体量を10 mLにする。希釈率2 : 10
でポリマーが完全に沈殿しない場合には,この希釈率を変える必要がある。
** 元のサンプル溶液の体積は,10 mLである。
MMA
MMAモノマー残留量(質量分率) 100
SAMPLE
ここに, mMMA : サンプル溶液中のMMA全量(μg)
mSAMPLE : サンプルの質量(μg)
b) 評価 MMAモノマー残留量の評価は,次による。
1) 9個のサンプルのうち7個以上が5.2.10に適合したときに,合格とする。
2) 9個のサンプルのうち5個以上が5.2.10に適合しないときは,不合格とする。
3) 9個のサンプルのうち5個又は6個が5.2.10に適合したときは,試験全体を繰り返し,8個以上が
5.2.10に適合したときに,合格とする。

6.9 フタレート可塑剤(該当する場合)

6.9.1  一般
製造販売業者は,硬化した材料にフタレート可塑剤が存在する場合には,存在するフタレート可塑剤を
明示し,同定しなければならない。
6.9.2 原理
重合したレジンからフタレート可塑剤を溶媒抽出した後,クロマトグラフ分析を行う。GC法,HPLC法
(附属書A参照),又はこれらの方法と同じ結果が出ることを保証できる他のクロマトグラフ法を用いて
もよい。
6.9.3 試験片の作製
試験片は,6.8.2によって同様に作製する。

――――― [JIS T 6528 pdf 16] ―――――

                                                                                             15
T 6528 : 2019
6.9.4 フタレート可塑剤の抽出
フタレート可塑剤の抽出は,6.8.3によって同様に行う。
a) 試薬 6.8.3 a) に用いた試薬及び次による。
1) フタレート可塑剤 製造販売業者が指示するもの。
2) 内部標準用試薬 分析グレードの純度,そのピークは,サンプル溶液の他のいずれのピークとも重
ならず,フタレート可塑剤の定量に適するもの。
b) 機器 6.8.3 b) による。
c) 溶液の調製 6.8.3 c) に用いた溶液及び次による。
1) 内部標準用溶液(I.S.) フタレート可塑剤のピークの近くで溶出する内部標準用試薬が望ましい。
追加の内部標準用試薬が6.8.3 a) 4) で導入されていない場合には,レジン中のフタレート可塑剤
を定量できるように内部標準用溶液を調製する。
2) サンプル溶液 サンプル溶液に加えられる内部標準用溶液がフタレート可塑剤の定量に適していな
ければならないことを除いて,6.8.3 c) 5) によって,サンプル溶液を調製する。
残留モノマー及び可塑剤の両方を定量するために追加の内部標準用試薬が溶液に導入されている
場合には,残留モノマーの定量のために6.8.3 c) 5) によって調製された溶液を用いることができる。
6.9.5 GC法
GC法は,次による。
a) 試薬 製造販売業者が指示するフタレート可塑剤(GC法によって求められた純度が99 %以上のもの)。
b) 機器 6.8.4 a) 2) 及び6.8.4 a) 3) による。
c) 手順 手順は,次による。
1) C法の検量線用溶液の調製 サンプル溶液の定量に適切な可塑剤濃度をもつ内部標準用溶液を,
少なくとも5種,調製する。可塑剤をひょう量し,それぞれ5 mL全量フラスコに入れて,フタレ
ート可塑剤の検量線用溶液を調製する。メタノール/アセトン溶液を加えて,全体の体積を5 mL
にする。各検量線用溶液の100 μLを,100 μLの内部標準用溶液とともに,個別の10 mL全量フラ
スコへ移す。メタノール/アセトン溶液を加えて,全体の体積を10 mLにする。
各検量線用溶液ごとにフタレート可塑剤の質量を記録し,最終濃度(μg/mL)を求める。
サンプル溶液の可塑剤含量が,検量線の両端のフタレート可塑剤濃度内に入らない場合には,追
加の検量点を作成する。
2) C装置,ガス及び操作条件 GC装置,ガス及び操作条件は,6.8.4 b) 2) による。
フタレート可塑剤の定量に適するように,条件を変更できる。
MMAと(MMAの定量のために選ばれた)内部標準用試薬との両方が溶出する等温期が経過した
後,フタレート可塑剤の定量に適する温度に達するまでカラム温度を上げる。可塑剤は,フタレー
ト可塑剤の定量のために選ばれた内部標準用試薬とともに,新たな等温期に溶出することが望まし
い。
d) サンプル溶液及び検量線用溶液のGC 使用するGCの感度によって,サンプル溶液[6.9.4 c) 2) によ
って調製]又は検量線用溶液[c) 1) によって調製]の適量を注入する。注入量は,結果の算出に極め
て重大ではないが,対応するサンプル溶液又は検量線用溶液について同じでなければならない。全成
分が完全に流出されるまで,GCを作動させる。サンプル溶液中のフタレート可塑剤含量を正確に定
量するために,適切なカラムオーブン温度プロフィールを用いて,全物質の良好な分離を確保しなけ
ればならない。

――――― [JIS T 6528 pdf 17] ―――――

16
T 6528 : 2019
e) Cのピークの評価 サンプル溶液中のフタレート可塑剤を,クロマトグラフ法によって同定する。
フタレート可塑剤及び内部標準用試薬の保持時間を決定する。少なくともお互いの相対的な保持時間
を決定する。フタレート可塑剤及び内部標準用試薬のピーク高さ又は面積は,電子的記録及び積分に
よって求める。
6.9.6 計算及び評価
計算及び評価は,次による。
a) 検量線からの計算 検量線からの計算は,次による。
1) 検量線の作成 ピーク面積(又は高さ)の比を用いて,それぞれのフタレート可塑剤ごとに,検量
線を作成する。
APLASTICIZE R
AI.S.
ここに, A'PLASTICIZER : 検量線用溶液中のフタレート可塑剤のピーク面積(又
は高さ)
A'I.S. : 検量線用溶液中の内部標準用試薬のピーク面積(又は
高さ)
2) 測定の信頼性 線形回帰によって作成された検量線の相関係数は,0.990以上でなければならない。
3) フタレート可塑剤の濃度の決定 次の対応比を用いて,フタレート可塑剤の濃度を求める。
APLASTICIZE R
AI.S.
ここに, APLASTICIZER : サンプル溶液中のフタレート可塑剤のピーク面積(又
は高さ)
AI.S. : サンプル溶液中の内部標準用試薬のピーク面積(又は
高さ)
分析されるサンプル溶液中のフタレート可塑剤濃度(cPLASTICIZER μg/mL)を求めるために,検量線
を用いる。
サンプル溶液中のフタレート可塑剤含量(mPLASTICIZER μg)を次の式によって求める。
*
10
mPLASTICIZER PLASTICIZE R 10* *
2
注* 溶解ポリマーを沈殿させるために,密閉された全量フラスコ中のサンプル溶液2 mL及び
内部標準用溶液100 μLにメタノール溶液を加えて,全体量を10 mLにする。2 : 10の希釈
でポリマーが完全に沈殿しない場合には,この希釈率を変える必要がある。
** 元のサンプル溶液の体積は,10 mLである。
複数のフタレート可塑剤が存在する場合は,それぞれのフタレート可塑剤の量を合計し,フタレ
ート可塑剤の総含量を各サンプルの元の質量で除する。
各サンプルのフタレート可塑剤の濃度は,次の式によって求める。
TPC
フタレート可塑剤(質量分率%) 100
SAMPLE
ここに, mTPC : フタレート可塑剤の総含量(μg)
mSAMPLE : サンプルの質量(μg)

――――― [JIS T 6528 pdf 18] ―――――

                                                                                             17
T 6528 : 2019
b) 評価 フタレート可塑剤残留量の評価は,次による。
1) 9個のサンプルのうち7個以上が5.2.11に適合したときに,合格とする。
2) 9個のサンプルのうち5個以上が5.2.11に適合しないときは,不合格とする。
3) 9個のサンプルのうち5個又は6個が5.2.11に適合したときは,試験全体を繰り返し,8個以上が
5.2.11に適合したときに,合格とする。

6.10 吸水量及び溶解量

6.10.1  材料
材料は,次による。
a) ポリエステルフィルム 厚さ50±25 μmのポリエステルフィルム。ステンレス鋼の型を覆うためのも
の。
b) シリカゲル 130±5 ℃で300±10分間乾燥したもの。
c) 水 精製水又は蒸留水。
6.10.2 機器
機器は,次による。
a) ステンレス鋼製の型及びカバー(タイプ1) 図5に規定する寸法のステンレス鋼製の型及びカバー。
b) 型及び/又は器具(タイプ2及びタイプ3) 試験片(E)作製のために製造販売業者が指定するもの。
c) プレス及びクランプ(必要な場合)
d) マイクロメータ又はノギス JIS B 7502に規定する精度が0.01 mmで両側定面が平行なマイクロメー
タ,又はJIS B 7507に規定する最小読取長さ0.01 mmのノギス。
e) デシケータ 2個
f) 架台 試験片を平行に並べて分離しておくための架台。
g) 恒温器 37±1 ℃を維持できる恒温器。
h) 天びん 精度0.1 mg以上のもの。
i) 恒温水槽 恒温を維持できる水槽(必要な場合)。
j) ピンセット プラスチックでコーティングしたもの。
k) タイマ 1秒単位で計測できるもの。
6.10.3 試験片(E)の作製
試験片(E)の作製は,次による。
a) タイプ1の材料 レジンを混合し,混合物を6.10.2 a) の金型の中に充し,ポリエステルフィルムを
介在させ,カバーを押し付ける。その後,製造販売業者が指定する方法によって重合する。重合中は,
ポリエステルフィルムをそのままにしておく。5個の試験片(E)を,別々の混合物から作製する。
b) タイプ2及びタイプ3の材料 6.10.2 b) の型及び/又は器具を用い,製造販売業者が指定する方法に
よって,5個の試験片(E)を作製する。
c) 試験片 試験片(E)は,マイクロメータ又はノギスを用いて,直径50±1 mm,厚さ0.5±0.1 mmで,
上下面が目視によって平らであることを確認する。
6.10.4 手順
手順は,次による。
a) 恒量 恒量は,次による。
1) 乾燥したシリカゲルが入っている第1のデシケータ内部の架台に,試験片(E)を載せる。37±1 ℃
の恒温器中にデシケータを23±1時間保存した後,恒温器からデシケータを取り出す。

――――― [JIS T 6528 pdf 19] ―――――

18
T 6528 : 2019
2) 新たに乾燥したシリカゲルを入れ,23±2 ℃に保った第2のデシケータに,架台に保存された試験
片(E)を直接移す。60±10分後に第2のデシケータ内の試験片(E)を取り出し,天びんを用いて,
試験片(E)を0.2 mgの精度でひょう量する。試験片(E)を出し入れするとき,デシケータを開け
るのをできるだけ短時間で行い,それ以外は密閉しておく。
3) 全ての試験片(E)をひょう量し終わった後,第1のデシケータ中のシリカゲルを新しく乾燥した
シリカゲルと入れ替えて,そのデシケータを37±1 ℃の恒温器中に置く。
4) 試験片(E)が恒量(m1)に達するまで,上記の乾燥・ひょう量作業を繰り返す。すなわち,続け
てひょう量する間で各試験片(E)の質量減が0.2 mg以下になるまで繰り返す。恒量となった時点
で,直径を等間隔に3部位及び厚さ(中心及び円周部の等間隔な4点)の5部位を測定し,その平
均値から各試験片(E)の体積(V)を求める。
b) 水中浸せき及び直後の質量 恒量となった試験片(E)を37±1 ℃の水中に168時間(7日間)±2時
間浸せきする。その後,ピンセットを用い,水中から試験片(E)を取り出し,水分がなくなるまで
乾いたタオルで拭き,空気中で15±1秒間振り,水中から取り出してから60±10秒後に0.2 mgの精
度でひょう量する。この質量をm2とする。
c) 水中浸せき後の乾燥質量 b) のひょう量後,a) によって,デシケータの中で恒量になるまで試験片
(E)を乾燥する。乾燥した試験片(E)の質量をm3とする。a) と同じ乾燥条件を適用することが肝
要であって,同じ番号の試験片(E)を用い,デシケータには新しく乾燥したシリカゲルを使う。
d) 計算及び評価 計算及び評価は,次による。
1) 吸水量 吸水量は,次の式によって求める。得られた数値は,丸めの幅を1 μg/mm3とする。
m2 m3
Wsp
V
ここに, Wsp : 吸水量(μg/mm3)
m2 : 試験片(E)の水中浸せき直後の質量(μg)
m3 : 試験片(E)の水中浸せき後の乾燥質量(μg)
V : 試験片(E)の体積(mm3)
2) 溶解量 溶解量は,次の式によって求める。得られた数値は,丸めの幅を0.1 μg/mm3とする。
m1 m3
WsL
V
ここに, WsL : 溶解量(μg/mm3)
m1 : 試験片(E)の恒量(μg)
m3 : 試験片(E)の水中浸せき後の乾燥質量(μg)
V : 試験片(E)の体積(mm3)
3) 吸水量及び溶解量の評価 吸水量及び溶解量の評価は,次による。
3.1) 5個のうち4個以上が表1に適合したときに,合格とする。
3.2) 5個のうち3個以上が表1に適合しないときは,不合格とする。
3.3) 5個のうち3個が表1に適合したときは,6個の試験片(E)で,試験全体を繰り返し,5個以上
が表1に適合したときに,合格とする。

――――― [JIS T 6528 pdf 20] ―――――

次のページ PDF 21

JIS T 6528:2019の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 20795-2:2013(MOD)

JIS T 6528:2019の国際規格 ICS 分類一覧

JIS T 6528:2019の関連規格と引用規格一覧