JIS X 0015:2002 情報処理用語(プログラム言語) | ページ 3

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番号 用語 定義 対応英語
15.04.29 型変換 type conversion
通常は,データ型の違法な不一致を回避するために遂行される,あ
るデータ型のデータ値から別のデータ型のデータ値への表現の変
換。
備考 数値型どうしの型変換は可能であるが,型変換の結果として,
正確度,精度又はその両方とも失われることもある。
15.04.30 強い型付け strong typing
言語構成要素の中のオペランドが,操作に関するデータ型と整合し
ているデータ型をもっているか,又は操作の遂行前に明示的な型変
換が終了していなければならない,という強い要請。
例 Adaにおける強い型付けでは,2+3.5 という加算は,2が整数,
3.5が実数であるという理由から,違法になってしまう。
15.04.31 弱い型付け 強い型付けに関する規則の緩和。 weak typing
例 弱い型付けの場合,二つのオペランドのいずれか一方の型変換
を明示的に行わなくても,整数と浮動小数点数との加算が許容
されることがある。
備考 弱い型付けの場合,暗黙の型変換が行われたり,行われなか
ったりする。
predefined type
15.04.32 既定義(の)型 既定義の識別子によって参照されるデータ型であって,プログラム
言語ではその識別子に対して適切な操作が用意されるもの。
15.04.33 普遍型 universal type
数値リテラルからなるデータ型及び,強い型付けに適合させるため
に使用する既定義の操作の結果からなるデータ型。
例 Adaでは,数の宣言(データ型を除く)は普遍型を前提にしてい
る。
15.04.34 無名(の) anonymous
データ型が明示的に宣言されていないデータ対象に関する用語。
15.04.35 書式(プログラ format (プログラ
レコード,ファイル,メッセージ,記憶装置又は伝送路上のデータ
ム言語におけ 対象の表現を,文字の形式で指定する言語構成要素。 ム言語におけ
る) る)
15.04.36 ピクチャ picture (プログラ
モデルとなる文字リテラルによって,文字列型のデータ対象の書式
を記述する言語構成要素。 ム言語におけ
る)
15.05 文及び式
番号 用語 定義 対応英語
15.05.01 文, statement
宣言を表現したり,遂行する動作,動作の遂行に用いられるオペラ
命令文 ンド(必要ならば),及び結果の処置で構成される一単位の作業を規
定したりするための,明示的に完結している構文上の単位。
備考 プログラム言語によっては,宣言を文とはみなさないものも
ある。
15.05.02 単純文 他の文を含まない文。 simple statement,
elementary
statement(使用し
ないほうがよ
い)
15.05.03 複合文 compound statement
一つ以上の文で構成される文であって,構文的に単純文と等価にな
るように区切られるもの。
15.05.04 代入文 assignment
単純文であって,変数の現在のデータ値を式で指定した新しいデー
タ値に置き換えるもの。 statement
15.05.05 exit文, 包含する言語構成要素の実行を終了させるために使用する単純文。 exit statement
終了文

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X 0015 : 2002
番号 用語 定義 対応英語
15.05.06 return文, return statement
モジュール中の言語構成要素であって,そのモジュールにおいて一
復帰文 つ(又は場合によっては複数)の実行順序の終わりを示し,呼ぶ モジ
ュールの中の指定された場所への飛越しを引き起こし,場合によっ
ては呼ぶ側に結果を引き渡すもの。
15.05.07 戻る <to> return
呼ぶ プログラムへの飛越しを引き起こすreturn文を実行する。
15.05.08 返す, <to> return
return文の実行時に,呼ぶ プログラムに対してデータ値を引き渡
戻す す。
15.05.09 エントリ entry
副プログラムの先頭,又は副プログラムの中の入り口名によって指
定された任意の場所における実行順序の開始。
15.05.10 入り口名 実行順序の始まりを指定する識別子。 entry name
15.05.11 goto文, goto statement
実行順序の中の指定された点から,通常はラベルによって識別され
飛越し文 る目標の文へと,プログラム制御の明示的な移行を指定する単純文。
備考 プログラムの制御の移行を,飛越しという。
15.05.12 無条件文 無条件に実行される文。 unconditional
参考 “imperative statement”は,COBOLでの呼称である。 statement,
imperative statement
15.05.13 条件文 conditional
複合文の一種であって,一つ以上の対応する条件に関する条件式の
statement
値に従って,文を包含する列の一つを実行するために選択するか,
全く選択しないかを決めるもの。
例 PASCALにおける,if文及びcase文は条件文である。
15.05.14 条件式 式であって,その評価が以降の実行順序の選択に使用されるもの。 conditional
expression
15.05.15 if文, if statement
条件文の一種であって,条件式の真理値に従って,その文が包含す
判断文 る文の列の実行を引き起こしたり,引き起こさなかったりするもの。
15.05.16 case文, case statement
条件文の一種であって,条件式の値に従って,幾つかの選択可能な
場合分け文 文の列の中から実行するために一つを選び出すもの。
15.05.17 反復文, 包含する幾つかの文の繰返し実行を制御する仕組みをもつ複合文。 iteration statement,
繰返し文, loop statement
loop文
15.05.18 while構文, while-construct
反復制御のための言語構成要素であって,遂行する試験を各反復段
前判定繰返し 階の前で定義するもの。
構文
15.05.19 until構文, until-construct
反復制御のための言語構成要素であって,遂行する試験を各反復段
後判定繰返し 階の後で定義するもの。
構文
15.05.20 for構文, for-construct
反復制御のための言語構成要素であって,通常は,ループ制御変数
繰返し構文 に従ってその制御のために遂行される試験と,反復段階の間に遂行
される反復制御変数の変更に関する規定とを定義するもの。
15.05.21 do while文, 反復制御がwhile構文の中に組み込まれている反復文。 do while statement,
repeat while文, repeat while
perform while文 statement,
perform while
statement
15.05.22 until文, 反復制御がuntil構文の中に組み込まれている反復文。 until statement,
repeat until文, repeat until
perform until文 statement,
perform until
statement

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番号 用語 定義 対応英語
15.05.23 perform文 perform statement
複合文であって,一つ以上のCOBOL手続きへの制御の移行を明示
的に指定し,かつ,指定された手続きの実行が完了すると必ず暗黙
的に制御の戻りを指定するもの。
備考 perform文は,その文の有効範囲内にある一つ以上の無条件文
の実行を制御するためにも使用される。
15.05.24 ブロック文 block statement
単一の構文単位として扱われる文の有限列であって,識別子をもつ
ことがあるもの。
例 PASCALプログラムは,単に特別な頭部の後に同じように定義
された手続きを伴ったブロック文が続いたものとみなすことが
できる。
備考1. ブロック文は,ブロック構造言語の基本的な構文要素であ
る。
2. プログラム言語によっては(例えば,C++),ブロックが複
合文と同義に用いられることもある。また,Adaのように,
ブロックが特別な意味をもち,宣言及び例外ハンドラを付
加してもよいプログラム言語もある。
3. ブロック文の内部表現は,通常,ブロック文の部分として
宣言したデータ対象の有効範囲及び生存期間に影響を与
える。
15.05.25 手続き呼出し procedure-call
手続きに実パラメタを与え,手続きの実行を引き起こす単純文。
文, 備考 関数呼出し(15.06.13)参照。 statement,
手続き文 procedure statement
15.05.26 エントリ呼出 entry-call statement
あるタスクから別のタスクとのランデブー要求をできるようにする
し文 ために使用する単純文。
15.05.27 delay文, delay statement
遅延要求を含むタスクの実行を中断するために使用する単純文。
遅延文
15.05.28 abort文, abort statement
一つ以上のタスクが異常状態になるようにし,これらのタスクとの
打切り文 以降のランデブーを禁止する単純文。
15.05.29 raise文, 例外を伝搬させたり,例外を発生させたりする単純文。 raise statement
生起文
15.05.30 accept文, accept statement
サーバ タスクの中の複合文であって,このサーバ タスクが,別の
受理文 タスク又は主プログラムを待ち受けて,タスク同期のためにエント
リ呼出し文の実行を引き起こすもの。
15.05.31 select文, select statement
呼ぶ タスク又は呼ばれる タスクが,動作を達成する幾つかの過程
選択文 の中から一つを選び出したり,それらに対して待機したりすること
のできる複合文。
15.05.32 選択待機文 selective-wait
エントリ呼出し文からの呼出しを待って,その文の列を実行する選
択文。 statement
15.05.33 式 expression
一つ以上のオペランドからの結果としてのデータ値の計算法を定義
する言語構成要素。
備考 オペランドは,リテラル,識別子,関数呼出しであってもよ
い。
15.05.34 混合型, 二つ以上の異種のデータ型で構成される式に関する用語。 mixed type,
混合モード mixed mode
15.05.35 論理式, 論理値の計算法を定義する言語構成要素。 Boolean expression
ブール式
15.05.36 演算子の優先 式の中で演算子の適用の順番を定める規則。 operator precedence
順位 備考 この順序付け規則では,評価の方向を指定してもよい。

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15.06 プログラムの部分
番号 用語 定義 対応英語
15.06.01 モジュール, module,
コンパイル,結合,実行などの動作に関して個々に区別又は識別で
プログラム単位 program unit
きるように作成されたプログラムの部分であって,他の幾つかのプ
ログラム又はプログラムの部分と相互作用しうるもの。
備考1. “モジュール”という用語の指す概念は,プログラム言語
によって異なることがある。
2. 付図2参照。
15.06.02 本体(プログラ文又はモジュールの実行可能部分を構成する言語構成要素。 body (プログラム
ム言語におけ 言語における)
る)
15.06.03 副プログラム subprogram
識別子の付いたモジュールであって,特定の言語構成要素によって
別のプログラム又は他のモジュールから制御流れの中へ呼び込まれ
て起動され,その制御流れから起動側のプログラム又はモジュール
に戻るもの。
15.06.04 コルーチン coroutine
副プログラムの一種であって,実行後に再度呼び出されたとき,直
前の実行時の戻り場所から再開するもの。
15.06.05 呼出し(プログ call (プログラム言
通常は,呼ぶ モジュールに制御が返されるという暗黙の仮定の下
ラム言語にお に,あるモジュールから別のモジュールに制御を移行する命令。語における)
ける) 備考 呼出しでは,通常は,呼ばれる モジュールとの間で授受され
るパラメタを指定する。
15.06.06 呼び出す 呼出しを実行する。 <to> call
15.06.07 名前呼び call by name
呼出しの一種であって,呼ぶ モジュールが,呼ばれる モジュール
に対して,一つ以上のパラメタの名前を与え,関連するパラメタが,
呼ばれる モジュールの中で使用される都度評価されるもの。
15.06.08 参照呼び, call by reference,
呼出しの一種であって,呼ぶ モジュールが,呼ばれる モジュール
アドレス呼び, に対して,引き渡されるパラメタのアドレスを与えるもの。 call by address,
場所呼び call by location
備考 参照呼びでは,呼ばれる モジュールが,呼ぶ モジュールの
記憶したパラメタの値を変更することができる。
15.06.09 値呼び call by value
呼出しの一種であって,呼ぶ モジュールが,呼ばれる モジュール
に対して,引き渡されるパラメタの実効値を与えるもの。
備考 値呼びでは,呼ばれる モジュールは,呼ぶ モジュールの記
憶したパラメタの値の変更も,呼ぶ モジュール用に記憶され
たパラメタの値の変更もすることはできない。
15.06.10 副プログラム呼副プログラムを起動する呼出し。 subprogram call
出し 例 手続き呼出し文,関数呼出し。
15.06.11 手続き, procedure,
副プログラムの一種であって,パラメタ授受の一環である場合を除
サブルーチン き,データ値を返さないもの。 subroutine
備考1. COBOLにおける手続きとは,手続き部の中の段落,又は
論理的に続いた幾つかの段落の集まり若しくは節(段落が
あったりなかったりする)をいう。
2. ある種のプログラム言語,例えば,C,C++では,戻りの
データ値が空であったり使用されなかったりすることを
除けば,手続きの言語構成要素と関数の言語構成要素との
間には差異が認められない。
15.06.12 関数(プログラ function (プログラ
副プログラムの一種であって,通常,仮パラメタをもち,起動場所
ム言語におけ に返すデータ値を作成するもの。 ム言語におけ
る) る)
備考 関数は,パラメタの使用によって,他の変化を引き起こすこ
ともある。

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番号 用語 定義 対応英語
15.06.13 関数呼出し function call
関数の実行を引き起こすための実パラメタを与え,実行を引き起こ
す言語構成要素。
備考1. 関数呼出しは,式の中ではオペランド,又は副プログラム
呼出しの実パラメタとしても使用される。
2. 手続き呼出し文(15.05.25)を参照。
15.06.14 トランザクショ transaction call
関数呼出しの一種であって,あるタスクが,別のタスクとのランデ
ン呼び ブーを要求できるようにするもの。
15.06.15 副単位 個別にコンパイルされたモジュールの本体。 subunit
15.06.16 本体受け body stub
本体の一形式であって,モジュールの実行可能部分が副単位の中で
定義されているもの。
15.06.17 接続(プログラ connection (プログ
モジュール相互間,特に手続き呼出し文と非同期手続きとの間の相
ム言語におけ 互作用を可能にする技法。 ラム言語におけ
る) る)
15.06.18 名前によるパラ named parameter
副プログラム呼出しにおいて,実パラメタに対応する仮パラメタを
メタ結合, association,
明示的に名前で示すことによって,パラメタ結合を確立すること。
名前による代入 assignment by name
備考1. 名前によるパラメタ結合では,任意の順番で実パラメタを
与えることができる。
2. 位置によるパラメタ結合(15.06.19)を参照。
15.06.19 位置によるパラ positional parameter
副プログラム呼出しにおいて,実パラメタと,副プログラムの宣言
メタ結合 の中の同じ位置にある仮パラメタとを対応付けること。 association
備考 名前によるパラメタ結合(15.06.18)を参照。
15.06.20 仮パラメタモー formal parameter
仮パラメタを変更せずにそれを評価してよいか,新しい値を与えて
ド mode
よいか,又は評価し,かつ,変更してよいかどうかを指示する特性。
15.06.21 マクロ命令, macroinstruction,
呼ぶ側のプログラム言語のレベルでマクロ定義を起動する命令。
マクロ macro
15.06.22 マクロ呼出し 呼ぶ側のプログラム言語のレベルでマクロ定義を起動する文。macrocall
15.06.23 マクロ定義 macrodefinition
指令,文又は命令の既定義の列であって,対応する起動中のマクロ
命令又はマクロ呼出しのそれぞれを置き換えるもの。
15.06.24 パッケージ(プ package(プログラ
データ型,そのデータ型のデータ対象,そのデータ型のパラメタを
ログラム言語 ム言語におけ
用いる副プログラムのような,論理的に関連し合った言語構成要素
における) る)
をグループ分けすることによって,抽象化,カプセル化又は情報隠
ぺい(蔽)を規定することを意図したモジュール。
package declaration
15.06.25 パッケージ宣言 言語構成要素に関する個別の宣言であって,インタフェース用又は
コンパイル用のいずれかのために,パッケージの外側で言語構成要
素の詳細指定が必要とされるもの。
15.06.26 可視部 visible part
パッケージ宣言の一部分であって,オブジェクトの利用者又はパッ
ケージのサービスに必要な詳細情報を与えるもの。
15.06.27 密閉部 private part
パッケージ宣言の一部分であって,開発過程で必要とされる構造の
詳細情報を与えるが,パッケージの機能利用者には無縁であり,か
つ,アクセス不可能であるもの。
15.06.28 はん(汎)用体 generic
適用可能なデータ型のために実言語構成要素を,強い型付けの規則
に従って生成するためのひな(雛)形として機能する言語構成要素に
関する用語。
15.06.29 はん(汎)用体宣 generic declaration
はん(汎)用体専用化の間に実パラメタで置き換えられるはん(汎)用
言 体 パラメタを導入するためのはん(汎)用体 言語構成要素の宣言。
15.06.30 はん(汎)用体本 generic body
汎用体専用化の間に対応する実言語構成要素の本体のひな(雛)形と
体 して機能する汎用体 言語構成要素の本体。

――――― [JIS X 0015 pdf 15] ―――――

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JIS X 0015:2002の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO/IEC 2382-15(MOD)

JIS X 0015:2002の国際規格 ICS 分類一覧

JIS X 0015:2002の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称