JIS X 8341-4:2018 高齢者・障害者等配慮設計指針―情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス―第4部:電気通信機器 | ページ 5

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7.5 用語及び表記

7.5.1  一般的な用語及び表記の使用
機器への印刷表示及び刻印,表示装置の表示内容,並びに取扱説明書には,専門用語,外来語及び略語
を多用せず,一般的に使用されている用語又は分かりやすい表現を用いなければならない。
注記 専門用語,外来語及び略語を使う場合は,用語集を用いると理解の助けとなる。
7.5.2 印刷表示及び刻印
印刷表示及び刻印に関する共通要件は,次による。
a) 機器に印刷表示及び刻印する文字,図記号並びに説明図は,見やすくなければならない。
注記1 弱視,加齢などによる視力低下などのために,機器に印刷表示及び刻印された文字,図記
号などが小さくて見にくい場合がある。
注記2 見やすさには文字サイズとともに,文字のコントラストも影響する。印刷面のスペースに
よる制約などから,十分な文字サイズを得られない場合には,コントラスト比を高めるの
がよい。
b) 操作に関する情報の提示方法は,利用者の色覚特性に依存してはならない。
例1 色の違いによって表現している情報に,テキストが付記されている。
例2 十分なコントラスト比が与えられている。
注記 視覚障害,色覚障害,加齢などによる水晶体の黄変,混濁などのために,印刷表示の配色に
よっては見にくい場合がある。
c) 印刷表示及び刻印は,対象とする操作部の近くに表示しなければならない。
注記1 視野が狭いと,情報を一度に見られずに誤認識する場合がある。
注記2 操作を担う操作ボタン,キー,スイッチなどと,説明を担う印刷表示及び刻印とが近くに
位置していると,操作が分かりやすい。
d) 印刷表示及び刻印する用語は,適切な長さで分かりやすく表現しなければならない。
注記1 認知機能が低下すると,長文及び複雑な文章を理解することが困難になる場合がある。
注記2 視野が狭いと,情報を一度に見られずに誤認識する場合がある。
7.5.3 アイコン,図記号及び説明図の使用
利用者が理解しやすく一貫性のあるアイコン,図記号及び説明図を用いなければならない。
注記 加齢などによる認知機能の低下などのために,文字及び文章を理解することが難しい場合にも
図記号及び説明図が分かりやすいと,機器を操作しやすくなる。

7.6 インタフェース仕様の公開

  ハードウェア仕様及びソフトウェア仕様は,開示しなければならない。

7.7 機器個別の要件

  電気通信機器のうち,固定電話機,携帯電話機,ファクシミリ及びテレビ電話機の四つについては,7.1
7.4に加えて,機器個別に配慮すべき要件を,附属書B附属書Eに示す。

8 サポートに関する要件

8.1 取扱説明書

  取扱説明書は,アクセシビリティを確保した形式で,提供しなければならない。
例1 視覚障害のある利用者へ,図及びイラストの説明を言葉で補って,スクリーンリーダー(読上
げソフト)で読み上げ,点字データに変換,又は拡大印刷できるように,印刷物と同等の内容

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の電子文書,点字印刷,又は録音図書による取扱説明書を提供している。
例2 加齢などによって認知機能の低下した利用者が理解しやすいよう,テキストを図及びイラスト
で補足説明した取扱説明書を提供している。
例3 高齢者にも読みやすい大きな文字を用いた取扱説明書を提供している。
注記1 JIS S 0032:2003には,表示ラベル,パンフレットなどに使用される多様な文字の最小可読文
字サイズを定量的に推定する方法を規定している。
例4 基本操作を説明した簡易版の取扱説明書を提供している。
例5 JIS S 0043:2018を参照する。
例6 取扱説明書をPDF形式で配付する際は,ISO 14289-1:2014に基づいて製作する。
注記2 PDF/UA-1の規格に基づいて製作した電子文書を提供すれば,利用者は文書を音声読上装置
で聞くことができる。また,点字に変換して利用することができる。
注記3 アクセシブルなPDFとは,単にテキストを抽出できるだけでなく,作成者の意図した順番に
読上げが行われること,図を説明する代替テキストが付与されていること,見出しが適切に
設定されていることなどが求められる。

8.2 電気通信アクセシビリティ情報の公開

8.2.1  公開の対象
電気通信アクセシビリティに関する情報は,可能な限り公開されることが望ましい。
例 製品が対象とした利用者に対して配慮した項目などを公開する。
8.2.2 公開の方法
電気通信アクセシビリティに関する情報は,アクセシビリティを確保した方法で公開しなければならな
い。
例 公開する情報を,音声ブラウザで読み上げられやすいHTML(マークアップ言語)で提供してい
る。
注記1 JIS X 8341-3には,高齢者・障害者等に利用可能なウェブコンテンツの制作について配慮す
べき事項,具体的な対応方法などを規定している。
注記2 電気通信アクセシビリティ情報が公開されていると,利用者が自分の障害,能力などに応じ
て機器を選択するときに役立つ。

8.3 教育

8.3.1  流通経路への支援
電気通信アクセシビリティに関する情報は,販売店,情報サービス企業,支援者などへ可能な限り提供
することが望ましい。
例1 利用者が,目的,環境,障害の程度などに適合した電気通信アクセシビリティ製品を購入し,
効果的に利用するために,製品に関する様々な情報(製品仕様,他社製品との組合せの可否,
Q&A,使い方に関するノウハウ,留意事項など)を提供している。
例2 利用者が最適な製品選択ができるように,販売店に対し,利用者の心身機能などへの製品の対
応情報を周知している。
8.3.2 利用者への支援
利用者が教育を受ける場合,その教育は,アクセシビリティを確保した形式で提供しなければならない。
例1 視覚障害のある利用者のために,教材を,音声化,点字化又は拡大印刷が可能なように電子デ
ータとして用意している。

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例2 聴覚障害のある利用者のために,手話通訳又は要約筆記サービスを提供している。
例3 教材及び口頭による説明に,専門用語,外来語及び略語を多用せず,できるだけ分かりやすい
表現を用いている。

8.4 サポート窓口

  サポート窓口に関する要件は,次による。
a) 利用者のニーズに合わせた多様な手段で,情報を提供しなければならない。また,可能な限り,障害
のある利用者とコミュニケーションできなければならない。
例1 電話による問合せが難しい聴覚障害・言語障害がある利用者に対して,ファクシミリ,電子
メールなどによる対応を取っている。
例2 障害のある利用者からの問合せに対して手話による対応,又は点字による回答文書の作成が
難しい場合は,手話通訳士,点字技能士など外部の専門家を通じて対応する。
注記1 サポート窓口の担当者は,製品についてだけではなく,障害及び情報保障についても理解
し,障害のある利用者と十分にコミュニケーションできるようにするとよい。
注記2 サポート窓口は,製品のもつアクセシビリティ機能及び支援機器との互換性情報について
の問合せに対応できるようにするとよい。
b) 利用者が使用できるかなどを確認するために,製品の試用ができることが望ましい。

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附属書A
(参考)
電気通信サービスに関する配慮事項
A.1 一般
この附属書は,ITU-T F.790を参考にして,電気通信サービスのアクセシビリティを改善し,職場,家
庭,移動中及び公共の環境で幅広く利用できるようにするための指針であり,高齢者・障害者等を含む,
幅広い感覚,身体及び認知の能力をもつ人に対する電気通信サービスを,企画,開発及び設計するときに
配慮すべき事項について示す。
A.2 用語及び定義
附属書Aで用いる主な用語及び定義を,次に示す。
A.2.1
双方向電気通信サービス(interactive telecommunications services)
交換機,ネットワークサーバなどの電気通信に関する設備を介して,複数の地点の複数の利用者間で双
方向の情報を交換するための仕組みを提供するサービス(音声電話,ファクシミリ,テレビ電話,電子メ
ール,インスタントメッセージサービスなど)。
A.2.2
電気通信プラットフォームサービス(telecommunications platform services)
情報プロバイダに対して,電気通信に関する設備管理,利用者管理,利用者認証,コンテンツ管理,課
金,決済などの仕組みを提供するサービス。
A.2.3
情報プロバイダ
電気通信に関する設備及び電気通信プラットフォームサービスを介して,利用者に対する情報サービス
の提供を行う者。
A.3 電気通信サービスに関する要件
A.3.1 双方向電気通信サービス
A.3.1.1 リアルタイム通信
技術的に実現可能な場合,多様なメディアによるリアルタイムのコミュニケーションを可能とするため
に,文字,静止画像及び動画像による通信が,次に示す要件を満たすことが望ましい。
a) 同時に双方向での通信(全二重通信)が可能である。
b) 遅延がない。ただし,コミュニケーションに影響を与えない程度の遅延はあってもよい。
c) 情報の欠落がない。ただし,コミュニケーションに影響を与えない程度の欠落はあってもよい。
注記1 音声通信において実現されているこれらのことが,音声以外のメディアにおいても可能にな
れば,音声通信が困難な聴覚言語障害者等にとって有効な通信手段となる。
例 回線交換方式(ダイレクト方式又は直送式)の電子メールによって,必要に応じて相手を呼び出
し,遅延なく相手の機器に送信できるか,又は不着であることを確認できる。また,双方向で同
時に送受信が可能な場合は,全二重通信性をも満たしている。

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注記2 インスタントメッセージサービスは,相互にサーバなどに接続している必要はあるが,双方
向で,おおむね小さな遅延でテキストなどによって通信ができる。
注記3 米国などでは,TTY(Tele-Typewriter)が普及している。文字ディスプレイ,キーボード及び
モデムをもった専用機器で,モデムを介して電話回線で入力した文字をお互いのTTYのディ
スプレイに表示する機能をもっている。
注記4 ITU-T V.18には各国のText Telephoneの通信プロトコルが規定されているが,使用できる文
字はASCII(7ビット)文字だけであり,漢字などの通信に必要な2バイト文字などは規定
されていない。
注記5 双方向の動画通信(テレビ電話など)を使って,手話などの視覚情報によってコミュニケー
ションをする場合,15 fps(フレーム毎秒)以上のフレームレートにすると,ゆっくりした動
作の簡単な手話の識別は可能である。しかし,日常使われる通常の速度の手話,口の動きな
どで相手の発話内容を把握する読話のためには,30 fps(フレーム毎秒)以上が望まれる。
A.3.1.2 マルチメディア
異なるメディア(文字,音声,静止画像,動画像など)の組合せを含むリアルタイムの双方向電気通信
サービスが,提供されることが望ましい。
注記1 聴覚障害者の中には,音声の聞き取りは困難でも,発話は可能な者も多い。その場合,自分
自身は発話し,相手からはテキストなどの視覚的な手段で通信を行う方法を用いることがで
きる。また,通常は音声で会話し,一部聞き取りにくいところだけテキストで確認するとい
った方法も有効である。
注記2 ITU-T Recommendation F.703ではマルチメディアによる通信サービスの提供が勧告されて
いる。
A.3.1.3 メディア変換
メディア変換サービス(音声から文字,文字から音声など)を,できる限り提供することが望ましい。
例1 音声による通信が利用できない聴覚言語障害者等のために電話リレーサービスが提供されてい
る。
注記 電話リレーサービスとは,オペレータを介して,テキスト通信と音声通信とを仲介す
るサービスである。オペレータはテキストによる通信をする聴覚言語障害者等(以下,
テキスト通信者という。)とのテキスト通信と,その人と会話をする音声による通信を
する相手(以下,音声通信者という。)との音声通信を同時に行う。さらに,テキスト
通信者が入力した文字を読み上げ,音声通信者に伝える。逆に,音声通信者の話した
内容をそのまま文字入力してテキスト通信者に伝える。また,テキスト通信の代わり
に,テレビ電話を使って,手話を用いる利用者と音声通信者とをリレーするサービス
もある。この場合のオペレータは,手話通訳者となる。
例2 電子メールを音声合成で読み上げ,電話などで聞けるサービスが提供されている。
A.3.1.4 互換性
A.3.1.1A.3.1.3の要件を含む双方向電気通信サービスは,異なる通信事業者間及び/又は機器間におい
ても互換性が確保されることが望ましい。

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JIS X 8341-4:2018の国際規格 ICS 分類一覧

JIS X 8341-4:2018の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称